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'''デンプン'''('''澱粉'''、{{lang-la|amylum}}、{{lang-en|starch}})とは、[[分子式]]([[炭素|C]]<sub>6</sub>[[水素|H]]<sub>10</sub>[[酸素|O]]<sub>5</sub>)<sub>n</sub> の[[炭水化物]]([[多糖]]類)で、多数の[[グルコース|α-グルコース]]分子が[[グリコシド結合]]によって[[重合]]した天然[[高分子]]である。構成単位である[[グルコース]]とは異なる性質を示す。[[種子]]や[[球根]]などに多く含まれている。
 
高等[[植物]]の[[細胞]]において認められるデンプンの[[結晶]](デンプン粒)やそれを取り出して集めたものも、一般にデンプンと呼ばれる。デンプン粒の形状や性質(特に糊化特性)は起源となった[[植物]]の種類によりかなり異なる。[[トウモロコシ]]からを原料として取り出されたものを特に'''[[コーンスターチ]]'''と呼ぶ。
 
== 分子構造 ==
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== デンプンの製造 ==
植物が[[細胞]]内に貯蔵しているデンプン粒を取り出す。基本的には植物細胞の[[細胞壁]]を破壊して取り出すが、[[原料]]とする植物の種類や用途により[[蛋白質]]あるいは[[脂質]]の除去が必要となることもある。<br>
原料となる植物としては、[[ジャガイモ]](馬鈴薯)、[[コムギ|小麦]]、[[トウモロコシ]]、[[サツマイモ]](甘藷)、[[米]]、[[キャッサバ]]、[[クズ]](葛)、[[カタクリ]](片栗)、[[緑豆]]、[[サゴヤシ]]、[[ワラビ]](蕨)、[[オオウバユリ]](大姥百合)など様々な物が用いられている。<br>
利用される植物の部位は、[[根]]、[[茎]]、[[種子]]および[[果実]]がある。根および茎からのデンプン粒の抽出は比較的容易だが、種子・果実(特に種子)からの抽出は、蛋白質や[[脂質]]の分離操作を必要とすることが多い。
 
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===トウモロコシ===
トウモロコシ澱粉、いわゆる[[コーンスターチ]]。
 
アミロース含量25%。
 
原料となる品種は、食用として一般に広く認知されているスイートコーン(甘味種)や [[ポップコーン]](爆裂種)などは用いず、デントコーン(馬歯種)が使われる。イエロー種デントコーンが大半を占めるが、その他一部の特殊用途向けにホワイト種デントコーンが原料として用いられる。
 
粒径2-30&micro;m、平均粒径15&micro;mで小さめ、非常に細かく角張っている。
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白色度は高く、[[吸湿]]性は少なく、灰分は最も少ない。一方、蛋白質、脂質の含量が多め。[[糖化]]製品原資として多く用いられる。糊化時の粘度は中庸だが安定性が高く、接着力や糊液の浸透性も高いため、加工デンプン原料として用いられる。
 
黄粒種から取り出された澱粉も色としては白色だが、一部の用途(錠剤などの製薬用途・和菓子等のとり粉などの食品用途)向けには白粒種を原料として更に白色度の高い澱粉(ホワイトコーンスターチ)を取り出して用いている。
====ワキシー(糯(もち)トウモロコシ)====
ワキシーコーンスターチ。
 
====ワキシートウモロコシ(糯(もち)トウモロコシ)====
アミロースをほとんど含まない。
糯トウモロコシ澱粉、ワキシーコーンスターチ。
 
アミロースをほとんど含まない。アミロペクチンのみで構成される
 
[[糊化]]温度は低く、透明な[[ゲル]]を形成する。
 
====ハイアミローストウモロコシ====
ハイアミローストウモロコシ澱粉、ハイアミロースコーンスターチ。
 
アミロース含量60-70%。
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粒径2-40&micro;m、平均粒径15-40&micro;mからなる大粒と2-10&micro;mからなる小粒からなり、粒子は凸レンズ型。
 
品質のばらつきが多く、多くの製造所で粒度区分と純度に従って等級を指定している。大粒子区分を精製した特級品は糊化温度が低く、冷却時の粘度が高くなる。他のデンプンと比較して糊化時の粘度はやや低いが、冷却時粘度が高くゲル化能力も高い。糊液の粘度安定性は良好で、老化しにくく離水も少ない。水産練り製品、菓子などで粘稠剤として利用されており、一般的には[[浮き小麦粉#.E6.B5.AE.E3.81.8D.E7.B2.89|浮き粉]]と称されている。
 
===米===
<!--粳…?糯…?-->
米澱粉。
 
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糊化温度がやや高く(80℃)、冷却時に硬いゲルを形成する。食品ではソース、フィリングとして利用される。緑豆春雨はこの硬いゲルの形成を利用したもの。特に細胞デンプン(細胞膜に包まれた状態にあるデンプンのこと)は100℃においても糊化しないため、餡として用いられる。
 
===馬鈴薯ジャガイモ===
馬鈴薯澱粉。
国内産のものとしては、北海道が一大産地として広く知られる。
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加熱時の糊化温度は低く、膨潤力、溶解力が強い。透明で粘着力が強い糊液が得られる。糊化時の糊液の粘度は非常に高い。ただし、粘度の安定性は乏しい。[[食塩]]等の塩類により糊化の状態が大きく変化する。塩の存在下では、糊化が抑制され、糊液も離水しやすくなる。糊化に用いる水の水質、あるいは調味により容易に糊化が抑制されるため、扱いが難しいといわれる。
 
===甘藷サツマイモ===
甘藷澱粉。
国内産のものとしては、鹿児島県が一大産地として広く知られる。