「愛知長久手町立てこもり発砲事件」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2015年9月}}
{{Infobox 事件・事故
| 名称 = 愛知長久手町立てこもり発砲事件
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| 開始時刻 =
| 終了時刻 =
| 時間帯 =
| 概要 =
| 原因 =
| 手段 =
| 武器 = [[拳銃]]
| 攻撃人数 =
| 標的 =
| 死亡 = 1名(警察官)
| 負傷 = 3名(警察官、犯人の息子と娘)
| 行方不明 =
| 被害者 =
| 損害 =
| 犯人 = 元[[暴力団]]組員の男
| 容疑 =
| 動機 =
| 関与 =
| 防御 =
| 対処 =
| 謝罪 =
| 賠償 =
}}
'''愛知長久手町立てこもり発砲事件'''(あいちながくてちょう たてこもりはっぽうじけん)とは、[[2007年]]([[平成]]19年)[[5月17日]]から[[5月18日]]にかけ、[[愛知県]][[愛知郡 (愛知県)|愛知郡]]長久手町(現:[[長久手市]])で、被疑者のが元妻を[[人質]]に取って民家に立てこもった[[事件]]。発生から解決まで約29時間に及び、[[愛知県警察]]の[[日本の警察官|警察官]]1人が[[殉職]]、男の妻子と警察官1人が負傷した。
 
この事件は[[特殊急襲部隊|SAT]]初の[[殉職]]者を出す事件となった。この事件の4週間ほど前には[[町田市立てこもり事件 (2007年)|町田市立てこもり事件]]が発生していた。テレビによる一部始終の中継もあり、立てこもり事件に対する新たな対策などが提唱されるきっかけともなった。この他、愛知県内では同年8月に[[刈谷市]]で、9月には[[豊明市]]で立てこもった男が逮捕される事件が続発した。
 
== 経緯 ==
=== 発生 ===
2007年5月17日午後3時47分頃、愛知県愛知郡長久手町の民家から「父親が[[拳銃]]を持って暴れている」という通報が警察に入った。その後、午後3時49分に犯人民家に住む息子から「父親はもう落ち着いた。警察が来ると興奮するので家には来ないで下さい。持っている拳銃はおもちゃだ」という2度目の通報が入った。[[愛知警察署]]長久手[[交番]]勤務員の[[巡査部長]](当時54歳)が現場に駆けつけたところ、元[[暴力団]]組員(当時50歳)の男が巡査部長に向けて[[回転式拳銃]](実銃)を発砲し、巡査部長は首を撃たれ現場民家の出入り口付近に倒れた。巡査部長は2度目の通報内容から[[ボディアーマー|防弾チョッキ]]を着ておらず、[[防刃ベスト]]プロテクターを着用していた。巡査部長が撃たれた直後に愛知警察署の[[刑事課]]員10人が3台の捜査車両で現場に駆けつけたが、10人中6人は防弾チョッキを身に付けていたものの、拳銃は10人全員が携帯していなかった。
 
犯人の男は別れた元妻(当時50歳)との復縁について家族と話をしていたが、話し合いが上手くいかないことに腹を立て、銃を持ち出し暴れていたという。犯人は巡査部長への銃撃とほぼ同時に息子(当時25歳)の左腹部と娘(当時21歳)の右足も拳銃で撃ち負傷させた。民家を脱出した息子と娘は命に別状はなかったものの、息子は重傷であった。
 
その後、犯人は元妻を人質にとり自宅に立てこもった。警察は現場付近の交通を全て遮断し、犯人に対して説得を続けたが、犯人は「[[救急車]]を近づけたら撃つ」「[[弾丸|弾]]が100発ある」「[[爆弾]]も持っている。近づいたら爆発させる」などと威嚇したため、民家の出入り口付近に倒れている巡査部長を容易に救出することはできなかった。民家の敷地内には人の動きに反応して点灯する防犯センサーライトが設置されており、巡査部長の腕が動く度に点灯して周囲を明るく照らしていた。また、庭に1匹と室内に2匹の犬がおり、民家の裏から捜査員が近づいた際も吠えていたという。
 
午後4時45分ごろ、捜査一課に所属する捜査員が犯人を説得している間に、[[機動捜査隊]]が現場に到着した。機動捜査隊の捜査員らは窓を開けて姿を現していた犯人の死角に配置し、拳銃を構えて[[射撃]]する態勢をとっていたが、突然、前線本部から「下がれ」と命令されたため、犯人の制圧は中止された<ref name=bunshun20070531>[[週刊文春]] 2007年5月31日号</ref>。
 
午後5時30分ごろから午後6時ごろにかけて、[[愛知県警察]][[刑事部]]の[[特殊捜査班]] (SIT) の隊員が現場に到着。到着直後に防護車両を玄関に突入させて巡査部長を救出する作戦を計画したが、実行直前に前線本部からの指示により中止された。この時点で、倒れていた巡査部長は「俺はもうだめだ」との言葉を残して、[[警察無線|無線]]の呼びかけに応じなくなっていた。愛知県警察は犯人が「人質を撃つ」などと威嚇し続けたことから作戦を転換したという。
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救出部隊は、大盾を持ったSITの隊員7人が先頭となって1列に並び、その後ろに拳銃を持ったSITの隊員3人、そのさらに後ろに担架を持った機動捜査隊の隊員6人が続くという陣形をとった。また後方支援を担当するSATは、約70メートル離れた建物の屋上に[[狙撃銃]]を持った隊員5人を配置、さらに現場前の路上に拳銃や[[機関拳銃]] ([[H&K MP5]]) を持った隊員9人を配置し、9人のうち3人は民家の前まで前進してきた[[特型警備車]]の陰に身を隠しつつ、救出部隊を近距離から援護する計画だった。
 
午後8時54分、作戦が開始され、犯人と娘が電話している間に救出部隊は前進を始めた。
 
午後9時20分過ぎ、SIT、SAT、機動捜査隊員計25人が盾や銃を構えつつ気付かれないように民家に近づいた。この際、[[防弾]]機能のある特殊車両については犯人に気付かれてはならないとの判断から、計画よりも数メートル手前に停車させた。車両が手前に停車した結果、SAT隊員3人は特殊車両の前に出て援護することとなった。救出部隊はそのまま巡査部長の倒れている民家の出入り口へと向かい、SAT隊員3人は駐車していた捜査車両に身を隠しつつ援護を行う。
 
作戦通り救出部隊が倒れている巡査部長を救出し、SATのいる後方に搬送していた際、犬の鳴き声により警察官の接近に気付いた男が民家の窓から救出部隊に向かって拳銃を発砲。後方支援のため捜査車両の間で機関拳銃を構えて警戒していたSAT隊員(当時23歳)の左鎖骨部に被弾した。このSAT隊員は[[防弾チョッキ]]を着用していたが、銃弾は左鎖骨に跳弾して方向を変え、防弾チョッキの防弾効果がない胸と背中との繋ぎ部分を貫通、首筋の左鎖骨下部から入り上行大動脈を貫通した。即座に救急車で搬送されたが、外傷による[[心不全]]([[心タンポナーデ]])のため5月18日午前0時頃に病院で死亡した。弾丸は体内から見つかった。救出された巡査部長は命に別状はなかったものの、外傷性[[クモ膜下出血]]などの重傷であり、半身不随の[[後遺障害]]が残った。
 
報道によれば、SATは巡査部長救出の際、民家敷地に犬がいることを知らされておらず、前線本部からは「発砲してきて、犯人の姿がみえたら発砲しろ」と命令されていた。隊員が撃たれた際、犯人は[[ブラインド]]越しに銃撃しており、姿が確認できなかったため、これに応戦する形での射撃は行われなかった<ref name=bunshun20070531/>。
 
SAT隊員の死亡後、[[大阪府警察]]の[[特殊捜査班|MAAT]]が現場に応援派遣され、愛知県警察SITと合同で突入する演習を実施しており、この様子を撮影した写真が事件後にテレビで報道された。
 
=== 人質の脱出・保護 ===
その後、しばらく膠着状態が続いたが、5月18日午前10時35分ごろ、犯人が名古屋市のFMラジオ局[[ZIP-FM]]に直接電話をして、放送中の番組の[[ディスクジョッキー|DJ]]、[[ジェイムス・ヘイブンス]]との会話を要求してきた。その時の様子や彼が感じたことについては、エピソードの項目を参考にしてほしい。
 
午後2時過ぎ、愛知県警察捜査員などの立会いのもと、犯人とDJとの電話による会話が開始され、犯人が自身に関する話などを始めた。
 
午後2時50分ごろ、犯人が電話をしている隙に人質になっていた元妻がトイレの高窓から脱出、警察に保護された。このころになると応援の大阪府警察MAATも[[マスメディア]]の前に姿を現していた。
 
=== 犯人の投降・逮捕 ===
元妻が脱出・保護されると犯人は次第に態度を軟化させ、特殊捜査班の交渉役捜査員が説得を続けると午後7時20分に自宅から出ることを約束した。
 
しかし、犯人は投降する時間を延長し午後7時30分を過ぎても出てこなかった。現地対策本部ではSITに突入訓練の再チェックを指示しており、午後10時ころに強行突入する計画を進めていたという<ref>後に、犯人は交渉役の捜査員と午後7時頃から連絡が取れなくなったことから、射殺されるかもしれないと危機感を覚え、自ら[[110番]]通報し命乞いをしていたことが明らかとなった</ref>。
 
午後8時30分過ぎ、犯人は警察の「あなたを安全に保護したい」との説得に応じて投降し、周囲を取り囲んだ捜査員によって身柄確保され、その後、殺人の疑いで緊急[[逮捕]]された。拳銃を自宅に置いてきた犯人は、左手に家族の写真・タオル・音楽CD入りのビニール袋を、そして右手には[[水道水]]が入ったペットボトルを持って出てきた<ref>なお、中身について犯人は捜査員の問いかけに対し「神の水」と答えた</ref>。
 
=== その後の捜査 ===
事件後の調べで犯人は、まず巡査部長に対して1発、さらに止めに入った息子と娘に対して各1発ずつの2発を発砲して負傷させた事が分かった。
 
また、その後倒れている巡査部長と介抱をする娘に対して1発を発砲したがこれは命中しなかった。そして、巡査部長救出の際に救出部隊に対して4発を発砲、そのうちの1発が後方支援のSAT隊員に当たり、死に至った。
 
犯人の使用した38[[口径]]の[[回転式拳銃]]はスペインなどで製造された[[ルビー・エクストラ]] (Ruby Extra) とみられている。押収時は実弾6発が装填されており、ほかにも実弾8発と[[薬莢]]10個が発見されている。以上のことから犯人は少なくとも24発以上の実弾を所持していたとみられている。犯人は爆弾を持っていると威嚇していたが爆発物は発見されなかった。
 
殉職した隊員は[[警部]]に[[殉職#二階級特進|二階級特進]]し[[漆間巌]][[警察庁長官]]から[[警察勲功章]]が、国から[[旭日章|旭日双光章]]が授与された。
 
事件現場の家屋は、所有者である[[南原竜樹]]によって事件後取り壊された<ref>[http://www.47news.jp/CI/200804/CI-20080414-00285.html{{Cite news|title=長久手・発砲立てこもりの○○被告宅取り壊し] |newspaper=共同通信 |date=2008年4月-04-14|url=http://www.47news.jp/CI/200804/CI-20080414-00285.html}}記事名に犯人の実名が使われているため、その部分を伏字とした</ref>。
 
== 裁判 ==
[[2008年]][[10月7日]]に行われた[[名古屋地方裁判所|名古屋地裁]]での論告求刑[[公判]]で[[検察]]側は[[被告人]]に[[死刑]]を求刑した<ref>[http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008100701000525.html{{Cite news|title=警官ら殺傷の男に死刑求刑 愛知の発砲立てこもり] |newspaper=共同通信 |date=2008-10月7日-07|url=http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008100701000525.html}}</ref>。12月17日に名古屋地裁は被告人に[[懲役|無期懲役]]を言い渡した<ref>[http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121701000031.html{{Cite news|title=発砲立てこもり男に無期懲役 名古屋地裁、殺意を認定] |newspaper=共同通信 |date=2008-12-17|url=http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121701000031.html}}</ref>。検察・被告人双方が[[控訴]]したが、[[2009年]][[9月18日]]に[[名古屋高等裁判所|名古屋高裁]]は検察・被告人双方の控訴を棄却した<ref>[http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091801000183.html{{Cite news|title=元暴力団員、二審も無期 愛知の発砲立てこもり] |newspaper=共同通信 |date=2009年9月-09-18|url=http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009091801000183.html}}</ref>。これに対し、検察・被告人側は[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]に上告した。検察が死刑求刑に対する二審の無期懲役判決を不服として上告したのは、[[北九州監禁殺人事件]]の二審判決([[2007年]][[9月26日]]、[[福岡高等裁判所|福岡高裁]])以来2年ぶり。[[2011年]][[3月22日]]最高裁が上告を棄却し、無期懲役が確定した<ref>[http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032401001002.html{{Cite news|title=愛知の発砲籠城事件、無期確定へ 警察官ら4人死傷] |newspaper=共同通信 |date=2011年3月-03-24|url=http://www.47news.jp/CN/201103/CN2011032401001002.html}}</ref>。
 
== 警察の対応をめぐって ==
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検証では負傷した警察官の救出に5時間以上がかかったことについて「時間短縮の余地があった」と結論づけた。またSATの隊員が殉職したことについては、「(捜査幹部が)現場に配置された各部隊に対し、より一層きめ細かな指示を行うことに配慮する必要があった」と指摘し、「防弾用装備品の改良も必要」とした。さらに、発砲事件発生の一報を受けて現場に向かった警察官が撃たれたことについては、「死傷事故防止への配慮を徹底する必要があった」とのことであった。
 
[[読売新聞]]』(20072007年7月11日朝刊に掲載された記事によると、「事件発生から4時間半後に、[[刑事部]]長が県警[[本部長]]に対して、救出作戦を電話で報告するまで、検討中の作戦案の内容や議論の進み具合が報告されることはなく、本部長も報告を求めなかった」とされている。さらに、同紙によれば、刑事部長が県警本部長に対して報告した救出作戦の内容は、「SATが遠距離と近距離から狙撃支援を行う」といった程度のもので、具体的な報告は行われなかったとされている。また、現場には170人もの警察官が動員されていたが、トイレは大用・小用ともに1台ずつしか用意していなかった。緊張から多くの警察官がこのトイレを使用したが、これが作戦開始が遅れる一因になったとしている。
 
== 影響 ==
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== 外部リンク ==
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* [http://www.asahi.com/special/070518/ asahi.com:朝日新聞 愛知立てこもり] - ニュース特集]朝日新聞
 
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[[Category:平成時代の殺人事件]]
[[Category:2007年の日本の事件]]
[[Category:銃乱射事件]]
[[Category:警察官が殉職した事件・事故]]
[[Category:2007年の日本の事件]]
[[Category:長久手市の歴史]]
[[Category:2007年5月]]