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公式記録員の任務とNPBにおける事情を分け、そのうえで加筆
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[[野球]]における'''公式記録員'''(こうしききろくいん)とは、[[試合]]における記録をとり、これを報告する者、またはその役職名。[[日本プロ野球]] (NPB) ではコミッショナーにより任命される<ref>公認野球規則10.01(a)</ref>。オフィシャル'''[[スコアラー]]'''とも呼ばれる。
 
== 身分概要 ==
公式記録員は、公認野球規則10.01項においてその役割が定められている。
NPBでは、2009年シーズンまでは[[セントラル・リーグ|セ・リーグ]]担当と[[パシフィック・リーグ|パ・リーグ]]担当に分かれて所属していたが、経費節減を主眼に置いた組織改革(コミッショナー事務局・セ連盟・パ連盟の3局統合)に伴い、2010年シーズンからNPB記録部として一元化された。1年毎契約の[[個人事業主]]である[[プロ野球審判員|審判員]]とは違い、公式記録員はNPBとの雇用契約を結ぶサラリーマンで、基本的に[[終身雇用]]である。
 
公式記録員は、記者席内の所定の位置で試合の記録をとり、記録に関する規則(公認野球規則10章)の適用に関して、例えば、打者が一塁に到達した場合、それが[[安打]]によるものか、[[失策]]や[[野手選択]]によるものかなどを、独自の判断で決定する権限をもつ。安打・失策・野選等の判断を下した場合には、手による合図や拡声器その他の方法でこれを必要箇所に伝達する<ref>日本プロ野球の公式戦では、一般にこの判断の結果は、球場の「H」「E」「Fc」ランプで示される。</ref>。
== 役割 ==
 
=== 試合における役割 ===
公式記録員は、いかなる場合でも、記録に関する規則を含む公認野球規則の各条項に反するような記録の決定を下してはならないし、審判員の判定に反する決定を下してはならない。公認野球規則に明確に定めのない事項については、自己の裁量でその決定を下す権能が与えられている。
公式記録員は記者席に位置し、安打・失策・野選等の判断を下した場合には、手による合図や拡声器その他の方法でこれを必要箇所に伝達する。記録は所定の時間<ref>日本プロ野球では36時間、[[メジャーリーグベースボール]]では24時間</ref>以内に、報告書を提出する。
 
また、公式記録員は、打順の誤りに気づいても、審判員や両チームのいかなる人にも、その事実について告げたり、注意を促したりしてはならない<ref>公認野球規則6.07により、守備側が、打順を誤って打席に立った打者(不正位打者という)の打撃完了後に打順の誤りを指摘した場合、審判員は本来の打順の打者に対してアウトを宣告する。また、不正位打者の打撃によって起こった全てのプレイを無効になる。そのため、打順の誤りを指摘することはどちらかのチームに有利な助言を与えることとなり、公平でない。</ref>。
 
だし、3人アウトになっていないのに攻守交代が行われたといった場合には審判員にこれを知らせなければならない。同様にボールカウントが3ボールなのに球審が四球と思い打者に一塁を許した場合、規則交代することが許されていない投手に変わって他のプレーヤーが出場しようとしている場合などには判員に助言を行う<ref>公認野球規則10.01(b)(2)</ref>。
 
試合終了後、記録員は、所定の時間<ref>日本プロ野球では36時間、[[メジャーリーグベースボール]]では24時間</ref>以内に、記録に関する報告書をコミッショナーに提出する。特に提訴試合や[[サスペンデッドゲーム]]となった場合には、提訴あるいは一時停止となった状態を正確に記録し、報告しなければならない。
 
== 日本プロ野球における公式記録員 ==
=== 身分 ===
NPBでは、2009年シーズンまでは[[セントラル・リーグ|セ・リーグ]]担当と[[パシフィック・リーグ|パ・リーグ]]担当に分かれて所属していたが、経費節減を主眼に置いた組織改革(コミッショナー事務局・セ連盟・パ連盟の3局統合)に伴い、2010年シーズンからNPB記録部として一元化された。1年毎契約の[[個人事業主]]である[[プロ野球審判員|審判員]]とは違い、公式記録員はNPBとの雇用契約を結ぶサラリーマンで、基本的に[[終身雇用]]である。
 
=== 役割 ===
また、3人アウトになっていないのに攻守交代が行われたといった場合には、審判員にこれを知らせなければならない。同様にボールカウントが3ボールなのに球審が四球と思い打者に一塁を許した場合等でも、球審に助言を行う<ref>公認野球規則10.01(b)(2)</ref>。
NPBでは、一軍の試合はメイン1名・サブ1名の2名で担当している。
 
現在NPBでは、一軍の試合はメイン1名・サブ1名の2名で担当している。試合開始前に審判と共に名前を場内アナウンスされるメインの記録員は、公式スコアの記入をしながら、安打/失策・暴投/捕逸など試合中のプレイ内容全般についてのジャッジを行う<ref name=ikikata>斉藤直隆『プロ野球に関わる生き方』アスペクト、2006年7月</ref>。球場の「H」「E」「Fc」ランプの操作も行う他、球数や各種記録について場内記者席・放送席にアナウンスする仕事している。
 
サブの記録員は、[[NPB・BIS]](公式記録のデータベース)に直結したパソコンへのデータ入力を行いながら、記者席や関係者にコピー配布するスコアの記入を行う<ref name=ikikata/>。サブの記録員が入力した試合データは、NPBが公式携帯サイトで試合速報として配信している他、[[共同通信社]]を介したメディア向けの試合情報・速報の配信や、ヤフーのホームページ・CS放送等の試合情報としても活用されている。