「クモヒトデ」の版間の差分

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上の英語版原文への補足情報を、以下に挙げる。
 
*;クモヒトデ綱以下の分類
:クモヒトデ綱は、蛇尾綱とも呼ばれる。クモヒトデ綱に含まれる現生種は約2300種と多く、棘皮動物としては最も繁栄している生物群である。クモヒトデを研究する入村精一によると、クモヒトデ綱は、クモヒトデ目 (Ophiurida) とカワクモヒトデ目 (Phrynophiurida) に分かれる。上記のユウレイモヅル目は、カワクモヒトデ目の1つの科になる。入村の分類では、テヅルモヅル類はユウレイモヅル科 (Euryalidae) とテヅルモヅル科 (Gorgonocephalidae) に含まれる。
:テヅルモヅル類は、盤との接合部分の直後から腕が木の枝のように2分裂してゆく。20回以上も分裂する種もあり(ただし2<sup>20</sup>本に分かれるわけではない)、外見は底性の植物のようである。テヅルモヅルを漢字で表記すると、手蔓縺となる。
 
;クモヒトデの寸法(最小〜最大)
テヅルモヅル類は、盤との接合部分の直後から腕が木の枝のように2分裂してゆく。20回以上も分裂する種もあり(ただし2<sup>20</sup>本に分かれるわけではない)、外見は底性の植物のようである。テヅルモヅルを漢字で表記すると、手蔓縺となる。
:盤の直径は0.2cm-10cm。腕の長さは盤の直径の3-30倍。
 
*;クモヒトデの寸法(最小〜最大)体表色
:オレンジ、茶色、黒、薄緑、白、灰色、紫を基調とする。腕が横しま模様になっている種類が多い。腕と盤の色がはっきりと異なるものもある。
盤の直径は0.2cm-10cm。腕の長さは盤の直径の3-30倍。
*;クモヒトデの盤の構造
 
:クモヒトデ類の体には前後、左右の区別はないが、上下の区別はある。通常海底に接している側を腹側(口側面)、反対側を背側と呼ぶ。「口は5つのあごで縁取られている」が、あご自体も口楯、側口板、口板からなる。あごの側面には口棘が、あごの先端部から内部へは歯に相当する歯棘、対歯が確認されている。歯の有無、本数、形状が種によって異なる。
*クモヒトデの体表色
;クモヒトデの腕の構造
オレンジ、茶色、黒、薄緑、白、灰色、紫を基調とする。腕が横しま模様になっている種類が多い。腕と盤の色がはっきりと異なるものもある。
:ヒトデには50本も腕を備える種が存在するが、クモヒトデは5腕か6腕である。クモヒトデ目 Ophiactidae(チビクモヒトデ科)は6腕の種類が多い。
 
:管足は棘皮動物の特徴である。水管系の分布は神経系の分布とよく似ており、盤に環状水管が、腕に放射水管がある。放射水管の脇に管足瓶嚢という袋が並び、袋から直接管足が伸びる。管足、管足瓶嚢、水管などはすべて内部が中空になっており、体腔液が詰まっている。管足瓶嚢につながる筋肉を収縮させることで管足を伸張・収縮させ、前後に動かすこともできる。
*クモヒトデの盤の構造
*;クモヒトデの体表色生活環
クモヒトデ類の体には前後、左右の区別はないが、上下の区別はある。通常海底に接している側を腹側(口側面)、反対側を背側と呼ぶ。「口は5つのあごで縁取られている」が、あご自体も口楯、側口板、口板からなる。あごの側面には口棘が、あごの先端部から内部へは歯に相当する歯棘、対歯が確認されている。歯の有無、本数、形状が種によって異なる。
:上記では有性生殖についてのみ触れられている。卵から孵化した幼生は、オフィオプルテウス (Ophiopluteus larva) と呼ばれるプランクトンで、くの字型の中央に短い6本の足が付いた形をしている。一部の無性生殖が可能な種では盤を自切し、2分裂して増える。
 
*;クモヒトデの腕の構造分布
:上記にあるように、水深数mから分布している。テヅルモヅル類であっても、10m前後に生息している例がある。深海底を支配している例として、キタクシノハクモヒトデ (''Ophiura sarsii'') の例がある。クモヒトデを研究する[[国立科学博物館]]の藤田敏彦によると、[[岩手県]][[釜石市|釜石]]沖の水深275mの海底の場合、最大体長約10cmのキタクシノハクモヒトデの生息密度が400匹/1m<sup>2</sup>に達したという([[しんかい2000]]の探査結果による)。
ヒトデには50本も腕を備える種が存在するが、クモヒトデは5腕か6腕である。クモヒトデ目 Ophiactidae(チビクモヒトデ科)は6腕の種類が多い。
 
管足は棘皮動物の特徴である。水管系の分布は神経系の分布とよく似ており、盤に環状水管が、腕に放射水管がある。放射水管の脇に管足瓶嚢という袋が並び、袋から直接管足が伸びる。管足、管足瓶嚢、水管などはすべて内部が中空になっており、体腔液が詰まっている。管足瓶嚢につながる筋肉を収縮させることで管足を伸張・収縮させ、前後に動かすこともできる。
 
*クモヒトデの生活環
上記では有性生殖についてのみ触れられている。卵から孵化した幼生は、オフィオプルテウス (Ophiopluteus larva) と呼ばれるプランクトンで、くの字型の中央に短い6本の足が付いた形をしている。一部の無性生殖が可能な種では盤を自切し、2分裂して増える。
 
*クモヒトデの分布
上記にあるように、水深数mから分布している。テヅルモヅル類であっても、10m前後に生息している例がある。深海底を支配している例として、キタクシノハクモヒトデ (''Ophiura sarsii'') の例がある。クモヒトデを研究する[[国立科学博物館]]の藤田敏彦によると、[[岩手県]][[釜石市|釜石]]沖の水深275mの海底の場合、最大体長約10cmのキタクシノハクモヒトデの生息密度が400匹/1m<sup>2</sup>に達したという([[しんかい2000]]の探査結果による)。
 
*[http://en.wikipedia.org/wiki/Brittle_star Wikipedia英語版 2004年12月11日版より訳出、補足情報のみ書き下ろし]