「管理通貨制度」の版間の差分

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管理通貨制度では、発行量が本位の備蓄量に拘束されることがないので、[[景気]]や物価調整のために柔軟な通貨量調整をすることができるメリットがある。一方で通貨当局と行政府の関係(独立性と協調性)がつねに問われ、通貨当局が行政府の影響下にある場合、景気対策のための恒常的な[[金融緩和]]が[[インフレ]]を招く場合がある。また独立性が極端に保護されている場合、通貨当局の失策が国家に破滅的な混乱をもたらす場合がある([[中央銀行#中央銀行の独立性|ライヒスバンクの事例]])。
 
独立性の問題は次のように掘り下げることができる。本位制下の通貨は中央銀行に対して[[正貨]]を目的とする債権であったが、管理通貨制度における通貨は目的物がない。管理通貨制度下の通貨は、中央銀行が[[売りオペ]]をするときにだけ投下資本を回収できるような擬似株券である。これは、本位制から管理通貨制度へ変わるに伴い、中央銀行の[[株式会社]]化が進んだことを意味する。そして売りオペで回収した[[証券]]は、換金するとまた目的物がなくなってしまうのである。したがって、管理通貨制度における通貨は専ら、その流動性と希少性によって自身の価値を維持している。貨幣の流動性は資金量によって異なる。非上場会社を使って競争を避けながら旨みのある大事業へ投資できるのは資産家だけである。ここで[[金融政策]]をすれば、担保の豊富な資産家に集中して資金が供給され、彼らが囲い込んだ市場の中だけ[[インフレ]]になる。また、希少性は金融政策で損なわれるかに見えて、資産家が庶民的な市場に派生需要が及ばないような投資ばかりをしていたら、その市場は希少性が維持されて[[物価]]は低迷する。資産家は、インフレした潤沢な資金で財を安く買うことができる。買われた財は値を戻すけれども、露骨にあれもこれも買うということをしなければ全体の物価は暴騰しない。管理通貨制度は金融政策と不可分に機能し、貨幣の[[スケールメリット]]を人為的に増大させる。
 
== 歴史 ==