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{{出典の明記|date=2008年2月}}
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'''仕事中毒'''(しごとちゅうどく)、'''ワーカホリック'''([[英語|英]]:[[:en:Workaholic|Workaholic]])とは、[[生活]]の糧である筈の[[職業]]に、私生活の多くを犠牲にして打ち込んでいる状態を指す言葉である。英語では'''ワーカホリック'''([[英語|英]]:[[:en:Workaholic|Workaholic]])とも呼ばれる。
 
仕事中毒とは、仕事に打ち込むあまり、家庭や自身の健康などを犠牲とするような状態を指す<ref>{{Cite web|publisher=国民保健サービス |title=Addiction: what is it? |date=2015-04-18 |url=http://www.nhs.uk/Livewell/addiction/Pages/addictionwhatisit.aspx |accessdate=2015-10-11}}</ref> 。その結果として、[[過労死]]や[[熟年離婚]]といった事態を招くこともある。<ref>[http://www.laqoo.net/mental/sigoto.html メンタルヘルスの救急箱]</ref>
'''仕事中毒'''(しごとちゅうどく)とは、[[生活]]の糧である筈の[[職業]]に、私生活の多くを犠牲にして打ち込んでいる状態を指す言葉である。英語では'''ワーカホリック'''([[英語|英]]:[[:en:Workaholic|Workaholic]])とも呼ばれる。
 
== 概要 ==
仕事中毒とは、仕事に打ち込むあまり、家庭や自身の健康などを犠牲とするような状態を指す。その結果として、[[過労死]]や[[熟年離婚]]といった事態を招くこともある。<ref>[http://www.laqoo.net/mental/sigoto.html メンタルヘルスの救急箱]</ref>
 
== 地域的な捉え方の違い ==
仕事と人との関係は、地域によってやや異なるため、仕事に「中毒(依存)」しやすいかどうかの事情も、やや異なる傾向が見られる。
 
=== 日本 ===
[[日本]]ではかつて、特に男性においては「滅私奉公」等の言葉に代表されるように、己の身を顧みず職業に邁進することこそが良いとする[[規範]]が存在し、己よりも職を優先することが、社会的に求められた。この中では、[[有給休暇]]を取ることすら罪悪のようにみなされた。
 
[[高度経済成長]]期からの日本では、[[第二次世界大戦]]に敗れた後の戦後の貧しい時代の経験から、国の復興と経済発展に邁進することこそが社会から個人に求められ、先の滅私奉公の精神とあいまって、仕事に邁進する人が多く見られた。この当時、まだ日本では[[女性]]の社会進出が進んでいなかったこともあり、女性会社員が家庭を顧みずに働くことはまれで、家庭で男性を支えることが求められた。男性会社員が家庭を顧みずに仕事を優先させることは当たり前であるとする風潮も見られ、[[地域社会]]の希薄化もあって、育児はもっぱら母親の責任とされた。特に[[エリート]]職である[[ビジネスマン]]を始めとして、[[サラリーマン]]でも家庭を顧みない人は多く見られ、職場を「戦地」に例え、そこに赴く「[[企業戦士]]」という言葉も生まれた。
 
しかしこの日本でも、高度経済成長期から一時の不況を経て[[バブル景気|バブル]]期に差し掛かると、職業に没頭した挙句に健康を害したり、または過労により死亡する人が目立つようになり、[[社会問題]]として仕事に没入することの危険性が指摘され始めた。また[[労働災害]]や[[職業病]]に見られる安全や健康を損なってまで就労することの是非も問われた。なおこの時期には女性の社会進出も進み、過労で体調を崩す[[キャリアウーマン]]も少なからず発生した。
 
また、その高度経済成長期に家庭を顧みず会社のために毎日遅くまで仕事に没頭し、休日ですら会社幹部や取引先との「[[接待]]ゴルフ」で家族サービスすらもしなかった男性サラリーマンが定年退職する際に、家庭で家政婦同然に扱われた妻から突然離婚を切り出される「熟年離婚」の問題(実際には年金分割制度の実施も影響している)も浮上している。
 
この方向性は、米国などから<ref>初めてこう表現したのは[[1965年]]、当時パキスタンで外務大臣を務めていた[[ベナジル・ブット]]。</ref>「エコノミックアニマル」([[1969年]]には流行語にもなった)とまで批判(あるいは驚嘆)され、1990年代には経済成長の鈍化を受けての労働時間短縮もおこった(→[[サラリーマン]]の項を参照)。その後、少数精鋭採用と人員削減により、賃金上昇を伴わない長時間労働が広がる傾向にある(→[[名ばかり管理職]]などを参照)。
 
働きすぎの日本人と言うイメージは、イメージ自体が先行しているという批判もある。こうした批判の一つとして、先進諸国では米国では平均労働時間は日本人よりも長く、また日本人より低賃金・長時間労働で日本を追い上げている(韓国、中国などの)中進諸国の実態が存在する、というものがある。しかし、日本の労働時間には統計に現れない無償労働(→[[サービス残業]])が多く含まれている。さらに、この労働時間の中には正社員の半分程度の労働時間であることが多いパートタイマーの労働時間も含まれており、日本では近年パートタイマーが増加傾向にあることから、これも全体として日本の平均労働時間を大きく押し下げている。こうしたことから、表面上の数字のみでの単純比較はできない。(ただし、米国には[[ホワイトカラーエグゼンプション]]があり、その分は統計に入っていない)。日本における長時間労働とサービス残業の蔓延は、[[少子化]]の原因としてよく論じられる点のひとつである(ただし、それが少子化の原因であるとの明確な論拠はない。近年は平均労働時間は下がってきているが、少子化は改善していない。これは[[出生率]]自体は改善傾向にあるものの、子育て世代の人口自体の減少により出生数が減っていることが最大の原因である)。
 
仕事中毒だけに限らず、過労による[[うつ病|うつ]]や[[精神疾患]]、[[自殺]]など、私生活の多くを犠牲にする仕事・労働は悲劇に繋がりやすい。こうしたことから、2007年末頃より日本政府などが[[ワーク・ライフ・バランス]](仕事と生活の調和)の取り組みを始めた。[[大企業]]を中心に、育児休業制度など仕事と育児を両立しやすくする制度を設けたり、有給休暇の取得励行、定時退社励行などの取り組みがなされている。
 
職場において人が機械同然の扱いをされることを「[[人間疎外]]」とも言う。
 
=== 欧米 ===
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北欧諸国では政府の労働市場への関与が強く、「[[同一労働同一賃金]]」原則の徹底により、労働市場の流動化と労働者保護の両立を図っており、国際競争力の維持強化にも寄与しているとされる(→[[福祉国家論]])。
 
=== 概要日本 ===
[[日本]]ではかつて、特に男性においては「滅私奉公」等の言葉に代表されるように、己の身を顧みず職業に邁進することこそが良いとする[[規範]]が存在し、己よりも職を優先することが、社会的に求められた。この中では、[[有給休暇]]を取ることすら罪悪のようにみなされた。
 
[[高度経済成長]]期からの日本では、[[第二次世界大戦]]に敗れた後の戦後の貧しい時代の経験から、国の復興と経済発展に邁進することこそが社会から個人に求められ、先の滅私奉公の精神とあいまって、仕事に邁進する人が多く見られた。この当時、まだ日本では[[女性]]の社会進出が進んでいなかったこともあり、女性会社員が家庭を顧みずに働くことはまれで、家庭で男性を支えることが求められた。男性会社員が家庭を顧みずに仕事を優先させることは当たり前であるとする風潮も見られ、[[地域社会]]の希薄化もあって、育児はもっぱら母親の責任とされた。特に[[エリート]]職である[[ビジネスマン]]を始めとして、[[サラリーマン]]でも家庭を顧みない人は多く見られ、職場を「戦地」に例え、そこに赴く「[[企業戦士]]」という言葉も生まれた。
 
しかしこの日本でも、高度経済成長期から一時の不況を経て[[バブル景気|バブル]]期に差し掛かると、職業に没頭した挙句に健康を害したり、または過労により死亡する人が目立つようになり、[[社会問題]]として仕事に没入することの危険性が指摘され始めた。また[[労働災害]]や[[職業病]]に見られる安全や健康を損なってまで就労することの是非も問われた。なおこの時期には女性の社会進出も進み、過労で体調を崩す[[キャリアウーマン]]も少なからず発生した。
 
また、その高度経済成長期に家庭を顧みず会社のために毎日遅くまで仕事に没頭し、休日ですら会社幹部や取引先との「[[接待]]ゴルフ」で家族サービスすらもしなかった男性サラリーマンが定年退職する際に、家庭で家政婦同然に扱われた妻から突然離婚を切り出される「熟年離婚」の問題(実際には年金分割制度の実施も影響している)も浮上している。
 
この方向性は、米国などから<ref>初めてこう表現したのは[[1965年]]、当時パキスタンで外務大臣を務めていた[[ベナジル・ブット]]。</ref>「エコノミックアニマル」([[1969年]]には流行語にもなった)とまで批判(あるいは驚嘆)され、1990年代には経済成長の鈍化を受けての労働時間短縮もおこった(→[[サラリーマン]]の項を参照)。その後、少数精鋭採用と人員削減により、賃金上昇を伴わない長時間労働が広がる傾向にある(→[[名ばかり管理職]]などを参照)。
 
働きすぎの日本人と言うイメージは、イメージ自体が先行しているという批判もある。こうした批判の一つとして、先進諸国では米国では平均労働時間は日本人よりも長く、また日本人より低賃金・長時間労働で日本を追い上げている(韓国、中国などの)中進諸国の実態が存在する、というものがある。しかし、日本の労働時間には統計に現れない無償労働(→[[サービス残業]])が多く含まれている。さらに、この労働時間の中には正社員の半分程度の労働時間であることが多いパートタイマーの労働時間も含まれており、日本では近年パートタイマーが増加傾向にあることから、これも全体として日本の平均労働時間を大きく押し下げている。こうしたことから、表面上の数字のみでの単純比較はできない。(ただし、米国には[[ホワイトカラーエグゼンプション]]があり、その分は統計に入っていない)。日本における長時間労働とサービス残業の蔓延は、[[少子化]]の原因としてよく論じられる点のひとつである(ただし、それが少子化の原因であるとの明確な論拠はない。近年は平均労働時間は下がってきているが、少子化は改善していない。これは[[出生率]]自体は改善傾向にあるものの、子育て世代の人口自体の減少により出生数が減っていることが最大の原因である)。
 
仕事中毒だけに限らず、過労による[[うつ病|うつ]]や[[精神疾患]]、[[自殺]]など、私生活の多くを犠牲にする仕事・労働は悲劇に繋がりやすい。こうしたことから、2007年末頃より日本政府などが[[ワーク・ライフ・バランス]](仕事と生活の調和)の取り組みを始めた。[[大企業]]を中心に、育児休業制度など仕事と育児を両立しやすくする制度を設けたり、有給休暇の取得励行、定時退社励行などの取り組みがなされている。
 
職場において人が機械同然の扱いをされることを「[[人間疎外]]」とも言う。
 
== 社会的影響 ==
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== 関連項目 ==
* [[強迫性障害]]
* [[職業病]]
* [[過労死産業精神保健]]
** [[自殺]]・[[過労自殺]]
** [[職業性ストレス]]
** [[自殺]]・[[過労自殺]]
* [[生命保険]]
* [[栄養ドリンク]]
* [[休日]]
* [[成果主義]]
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{{依存症}}
{{就業}}
 
{{DEFAULTSORT:しことちゅうとく}}
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[[Category:労働問題]]
[[Category:労働時間]]
{{就業}}