「ウミガメ除去装置」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
謗法 (会話 | 投稿記録)
+外部リンク
m 一応、エビにも内部リンクを作っておいた方が良いと思います。
3行目:
'''ウミガメ除去装置'''(海亀除去装置、[[英語|英]]:[[:w:Turtle excluder device|Turtle Excluder Device]])あるいは英語の略称で'''TED'''(複数形は'''TEDs''')とは、[[漁網]]にかかってしまった[[ウミガメ]]を逃がすための特別な装置である。以下、記事中では「TED」と表記する。
 
ウミガメは特に{{仮リンク|エビ漁|en|Shrimp fishery}}で用いられる[[トロール網]]により[[混獲]]されることが多い。[[エビ]]を捕らえるためには目の細かい網が必要である。その結果他の海洋生物も大量に混獲されてしまう。カメがトロール網で捕らえられた、あるいはトロール網に絡まった時、ウミガメは逃げることができず海面に戻れなくなる。ウミガメは[[肺呼吸]]をする動物であるため、最終的には[[溺死]]してしまうことになる。
 
== 歴史 ==
[[File:logger ted 01.jpg|thumb|right|アカウミガメがTEDを通じて漁網から脱出している。]]
 
TEDは1970年代に、[[アメリカ]]の[[NOAA]](全米海洋大気庁)に所属していたWil Seidelによって初めて開発された。それ以来、漁業者の間では「TEDの使用により[[エビ]]や他の漁獲対象種の漁獲量が減少するのではないか」との懸念もあり、一部ではTEDの使用に対する反抗も生じてきている<ref name="Lee1999">{{cite book | last =Lee | first =Scott | title =Ancient Sea Turtles: Stranded in a Modern World | publisher =Sea Turtle Restoration Project | year=1999|url=http://www.bullfrogfilms.com/guides/astguide.pdf | location =USA|format=PDF}}</ref>。
 
17 ⟶ 18行目:
== 仕組み ==
[[File:Turtle excluder device.jpg|thumb|right|商業用のTEDの例。金属格子と脱出口が見える。]]
 
TEDを使用することにより、理論上は大きさ10cm以上のすべての混獲された生物が、傷つくことなく網を抜けられる。この選択性はトロール網に装着された金属格子によって達成される。格子があることで、ウミガメなどの大型生物は網の後方へ進むことが出来ないようになっているのである。
 
格子の上か下には網が開口している部分があるため、TEDで受け止められた大型生物はそこから網の外へと体の損傷も比較的少なく脱出できる。その一方でエビといった対象種は格子を抜け網の後方へ流されて行く。設計上、TEDは未装着時に混獲されるウミガメの97%を逃がすことができるとされる<ref name="NOAATED">{{cite web | title =Turtle Excluder Devices (TEDs) | work =Fisheries: Office of Protected Resources | publisher =U. S. National Oceanographic Atmospheric Administration | year =2007 | url =http://www.nmfs.noaa.gov/pr/species/turtles/teds.htm | accessdate = 2007-09-01 }}</ref>。しかし実際に使用されたときの除去率はしばしばそれよりとても低い。海草やその他の破片などによってTEDの捕獲率が下がったり、あるいはウミガメが網から脱出できなくなったりすることがあるのである<ref>''Decline of the Sea Turtles: Causes and Prevention'', National Academy Press, 1990 pp147.</ref>。加えて、漁業者は簡単に網の漁獲効率がよくなるようにTEDを改造することができるが、この際TEDのウミガメ除去能力はなくなってしまう<ref name="nytimes" />。
 
== 欠点 ==
 
TEDは混獲によるウミガメの死亡率を下げることにはある程度成功してきた一方で、未だにいくつかの欠点がある。
 
31 ⟶ 32行目:
時としてTEDは海中に漂う色々な破片のために実用性を失ってしまう。つまりTEDが何らかの破片で詰まってしまったら、もはや対象生物を効率的に漁獲することは出来ないし、ウミガメを除去することも出来ない。[[ハリケーン]]が連続して2つ襲来したのちの2008年の9月には、{{仮リンク|アメリカ海洋漁業局|en|National Marine Fisheries Service}}がTEDの代わりに「曳航時間制限」を一時的な手段として用いることを許可した。これは「トロール網の入り口が海に着水してから、その入り口が水上に上げられるまで」で定義される船がトロール網を曳航する時間を、55分間に制限するというものである。2010年6月にはこの時間制限が30分に短縮された<ref>{{cite news| url=http://www.nytimes.com/2010/06/26/science/earth/26turtle.html | work=The New York Times | title=Turtle Deaths Called Result of Shrimping, Not Oil Spill | first=Shaila | last=Dewan | date=2010-06-25}}</ref>。ただ船には曳航時間を記録する機械は搭載されておらず、この時間制限を取り締まる現実的な方法はなかった<ref>''Sea Turtle Conservation, Shrimp Trawling Requirements'', Department of Commerce, National Oceanic and Atmospheric Administration, 50 CFR Parts 222 and 223</ref>。
 
== 関連項目 ==
* [[責任ある漁業]]
 
== 出典 ==
{{reflist|2}}
 
== 外部リンク ==
* [http://www.jin-net.co.jp/sakuhin10.htm 『大国の経済制裁-ウミガメ保護に潜む思惑-』](TBS、ジンネット) - TEDの取り付けをめぐる国家間の紛争の例
 
{{DEFAULTSORT:うみかめしよきよそうち}}