「三上雄石」の版間の差分

'''三上 雄石'''（みかみ ゆうせき）は、聯珠（[[連珠]]）第二世[[名人戦 (連珠)#永世名人|永世名人]]<ref>{{Cite |和書|author = 坂田吾朗 |title = 連珠の勝ち方入門 | series = ai・books|publisher = 日本文芸社 |date = 1984-8 |pages = 14-15 |isbn = 453700178X}}</ref>。本名は、三上 義太郎（よしたろう）。

　明治11年（1878年）11月8日、埼玉県[[志木町]]に生まれる。

　上京し、芝区にて呉服商、麦商を営む中、同町内の将棋と聯珠の大家、[[井上義雄]]と知り合い、氏に師事して聯珠の研究に身を委ね、各所の競技会で好成績を収めて「鬼三上」の綽名を取る。

　雄石という号は[[井上義雄]]が自らの「雄」一文字を入れて贈ったとされる。<ref> {{Cite journal |和書 |title = 当代の珠客・三上雄石先生 |date = 明治45年7月 |publisher = 聯珠新報社 |journal = 聯珠新報 |issue = 32 |pages = 14 }}</ref>

<ref> {{Cite journal |和書|author = 東公平 |titleauthor-link = 当代の珠客・三上雄石先生東公平 |datetitle = 明治45年7月近代将棋のあけぼの |publisher = 聯珠河出書房新報社 |journaldate = 聯珠新報平成10年2月10日 |issuepages = 3267-68 |pagesisbn = 14 4-309-26335-6}}</ref>。

　[[髙橋清致]]、[[黒岩涙香|高山互楽]]らが[[東京聯珠社]]を起し、同社が聯珠段位を与えることとなったときに、四段を授かる。

　髙高橋清致の聯珠界引退（明治42年12月）後、明治43年1月、東京聯珠社の社長が高山互楽となると主席理事に就任し、本業の麦商を廃業して、斯道に尽力する。

　高山互楽の後援によって、[[磐井楽在]]、[[小日向梅軒]]らと共に斯界唯一の雑誌『[[聯珠新報]]』を発行し、数万人の読者を得る。 <ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 10頁</ref><ref name="seikyo_item">三上雄石の逝去を伝える記事より[[File:Mikami Yuseki seikyo item.jpg|thumb|三上雄石の逝去を伝える記事]]</ref>。

　明治43年6月の段位規定づくりに励むと共に、関西遠征（明治44年1月）による、その後の段位規定の改正（明治44年9月）、競技規定など、連珠界の基盤づくり・全国統一に貢献した。<ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 10頁</ref>。

　明治45年に専門連珠家となってより、精力的に著作活動を進めて、多くの著作物を残す。（[[#著書|著書]]の項を参照）またその後、[[聯珠図書出版会]]を設立し、連珠の普及にさらに努めると共に、その技術を後世に伝えることに貢献した。

　大正7年（1918年）10月27日、東京聯珠社の楼上で、聯珠の手合の審判を務めている最中に突如、手合を写し取る珠印を握ったまま倒れ、その日の内に自宅にて息を引き取った。<ref name="seikyo_item" />。

　当時は父・母・妻・長男（13歳）・次男（4歳）・長女（17歳）・次女（9歳）を残したのであるが、<ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 17頁</ref>、平成の時代になって、そのいずれもがもうこの世にはいない。

明治11年（1878年）11月8日、廻漕問屋、呉服商を営み、町会議員も務めた父、八十八（やそはち）と、母、くにの長男として埼玉県北足立郡志木町に生まれる。曽祖父は、[[廻漕問屋]]を営んでいた七郎右衛門。祖先には、引又初代[[名主]]の又兵衛がいる<ref> {{Cite journal |和書 |author = 神山健吉 |title = 志木の黎明期のキリスト教について |date = 平成元年 |publisher = 志木市郷土史研究会 |journal = 郷土志木 |issue = 18 |pages = 16-20 }}</ref>。

明治36年（1903年）10月、上京して[[芝新堀町]]にて呉服商（父の稼業）、その後、[[芝中門前町]]にて麦商を営む。 <ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 2頁</ref>。

明治39年（1906年）、この年あたりから本格的に連珠に取り組みはじめ、高山互楽とも交流があった。{{Quote|「''不肖菲才を顧みず斯界に身を投じて茲（ここ）に七年未だ充分なる結果を・・・大正二年（1913年）九月''」。 <ref>三上雄石, 『聯珠雑録』, 聯珠新報社, 大正2年, 65頁</ref>}}{{Quote|「''明治39年頃私が斜引の打ち方を研究して大天狗になり・・・高山先生に手酷くやられた・・''」 <ref>『聯珠新報』第108号, 聯珠新報社, 大正7年11月, 21頁</ref>}}

明治39年（1906年）、師事していた[[井上義雄]]と共に芝会に属して、東京聯珠社の本社と対抗競技をする。{{Quote|「''芝に井上義雄、三上雄石・・・浅草に小林敬二、朝田又甫・・・本所に川村徳行等の諸氏、本社と対抗競技をなし・・・''」 <ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 9頁</ref>}}

明治41年（1908年）、東京聯珠社の第一回段位授与式が行われ、四段を授かる。 <ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 9頁</ref> <ref name="seikyo_item" />。

明治43年（1910年）1月、東京聯珠社の理事に就く。 <ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 9頁</ref>。

明治43年（1910年）1月、小日向梅軒、磐井楽在と共に、東京聯珠社の機関雑誌として『'''[[聯珠新報]]'''』を創刊する。 <ref>三上義太郎（雄石）, 『聯珠案内』, 聯珠新報社, 大正3年, 10頁</ref>。

明治44年（1911年）1月23日、大阪浪花倶楽部で、白井喜友の審判の下、山本利八派の巨星と対戦し、これを連破する。この遠征の結果、山本派七段を聯珠社の四段格とする等、全国統一への大きな効果を収めた。（[[#戦歴|戦歴]]の項を参照）<ref name="renjuzuihitsu_16-18">平岩米吉, 『聯珠随筆』, 聯珠白日会, 昭和5年, 16-18頁</ref>

明治45年（1912年）、専門連珠家となる。 <ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 2頁</ref>。

大正3年（1914年）4月1日、[[聯珠図書出版会]]を設立し、その責任代表者となる。 <ref>『七桂組立法 第1編 峡月之巻』, 聯珠図書出版会, 大正3年, 26頁</ref>。

大正7年（1918年）7月1日、八段を授かる。 <ref>『聯珠新報』第105号, 聯珠新報社, 大正7年7月, 17頁</ref>。

大正7年（1918年）10月29日、通夜。柩の前で夜を明して連珠を打つ。{{Quote|「''浅井、小野澤、佐藤、小日向、高木、田島、亀田、荒田、朝田、内田の諸友は柩前に夜を明し連珠を打つ・・・''」<ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 2頁</ref>}}

大正7年（1918年）10月30日、午前9時に高樹町の自宅を出棺し、麻布[[笄町]]大安寺にて葬儀が行われる。<ref name="seikyo_item" />　。

大正7年（1918年）11月17日、正午より「三上雄石追善聯珠会」が大安寺にて催される。<ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 2-17頁</ref>。

大正7年（1918年）12月1日、三上雄石への追悼記事が種々発表される<ref>『聯珠新報』第109号, 聯珠新報社, 大正7年12月, 3-9頁他</ref>。