「組合せ (数学)」の版間の差分

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m rv. 順列と順列の総数とを混同した挙句に総数の式だけで順列との関係というのはちょっと……
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== 組合せの総数 ==
=== 重複を持たない組合せ ===
{{main|{{仮リンク|二項係数|en|Binomial coefficient|preserve=1}}}}
単純な場合で、異なる ''n'' 個のものから異なる ''m'' 個のものを選ぶ(このとき必然的に ''n'' &ge; ''m'' なる非負整数(自然数)でなければいけないが, このほかには何の制限も課されない)組合せというのを考えると、その選び方の総数はよく知られており、{{lang|en|'''C'''ombination}} の頭文字を取って、しばしば <sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> または C(''n'', ''m'') のような記号を使って表される。これは具体的には
異なる {{mvar|n}} 個のものから(重複無く)相異なる {{mvar|k}} 個のものを選ぶ組合せ({{mvar|k}}-組合せ)を考えるとき、その選び方の総数は初等組合せ論においては {{lang|en|'''C'''ombination}} の頭文字を取って、{{mvar|{{msub|n}}C{{msub|m}}, C{{su|p=n|b=k}}, {{msup|n}}C{{msub|k}}, C{{msub|n,k}}}} または {{math|''C''(''n'', ''k'')}} のような記号で表す。ただし、この数は数学のあらゆる分野に頻繁に現れ、大抵の場合 <math>\textstyle\binom{n}{k}</math> と書かれる。特に[[二項定理]]
: <math>(1+x)^n=\sum_{mk=0}^{\infty}{n \choose mk}x^mk</math>
に係数として現れることは顕著であり、これにより <math>\textstyle\binom{n}{k}</math> はふつう'''[[二項係数]]'''と呼ばれる。二項展開の係数として数 <math>\textstyle\binom{n}{k}</math> を定義するものと考えれば {{math|1=''k'' = ''n''}} または {{math|1=''k'' = 0}} のとき <math>\textstyle\binom{n}{k}=1</math>, {{math|''k'' &lt; ''n''}} のとき <math>\textstyle\binom{n}{k}=0</math> と考えるのは自然である。
 
実用上は個々の係数が具体的に
: <math>\binom{n}_n{\rm Ck}_{m} = \frac{n\times (n-1)\times\cdotsdotsb\times(n-mk+1) \over m}{k\times(mk-1)\times\cdotsdotsb\times 1} \left(= \frac{P(n,k)}{k!}\right)</math>
 
で与えられることを利用するのが簡便である。この式の分子は {{mvar|k}}-[[順列]]({{mvar|k}}-個のものを“並べる順番の違いを区別して”並べたもの)を作る総数を表し、分母はそれら {{mvar|k}}-個の[[置換 (数学)|並べ替え]]の総数が {{math|''k''!}} であることを表し。並びだけが異なるそれらは同じ組合せを与えるものであるから、割っているのはそれらの違いを無視することに対応している。
という数値になる。''n'', ''m'' が ''n'' &ge; ''m'' を満たす0以上の整数であるとき、この右辺の分数が実際に[[整数]]になることは、分母および分子の[[素因数分解|素因数]]に着目することで算術的にも証明できるが、組合せの[[数え上げ]]という意味付けによって割り切れることが示されるところに、組合せ論的な意味があると考えられる。
 
<sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> は 「ナンバー・オブ・コンビネーションズ・フロム ''n'' チューズ ''m''」 またはそのまま 「エヌ シー エム」 などと読むことが多いようである。あるいは、[[二項定理|二項展開]]の係数の意味で'''二項係数'''とも呼び、しばしば
:<math>{n \choose m} = {n! \over m!(n-m)!} = {n^{\underline{m}} \over m^{\underline{m}}}</math>
と表す。ここで ! は[[階乗]]、右辺の記号は下降[[階乗冪]]を表す。
 
[[二項定理]]は <sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> を数列と見なしたときの[[母関数]]が[[二項式]]の[[冪]]になるということを述べており、[[冪]]の拡張とともに二項冪の展開
: <math>(1+x)^n=\sum_{m=0}^{\infty}{n \choose m}x^m</math>
の係数という意味付けのもと、''n'' や ''m'' が非負整数以外の場合にも拡張して用いられる。この展開は ''n'' が非負整数ならば ''m'' は ''n'' まで増えたところでそれ以降の係数が 0 になって止まるが、一般の二項展開では止まらずに ''m'' は無限大までとる。
 
=== 重複組合せ ===
{{main|{{仮リンク|多重集合係数|en|Multiset coefficient}}}}
''n'' 種のものから、重複 {{lang|en|(repetition)}} を許して ''r'' 個のものを取り出す(という以外に制限を持たない)組合せというものを考えて、''n'' から ''r'' とる'''重複組合せ'''(ちょうふくくみあわせ、じゅうふくくみあわせ、{{lang|en|repeated combination}})と呼び、その総数を <sub>''n''</sub>H<sub>''r''</sub> と表す。これは
:<math>{}_n{\rm H}_r_nH_r = {}_{n+r-1}{\rm C}_{r} = {{n+r-1} \choose {r}} = \frac{(n+r-1)!}{r!(n-1)!}</math>
によって計算することができる。記号 H は斉次積 {{lang|en|('''H'''omogeneous product)}} の頭文字から来たものである。これは重複組合せを斉次積、つまり斉次多項 {{lang|en|(homogeneous polynomial)}} の冪乗積 {{lang|en|(product)}}
: <math>(x_1+x_2+\cdots+x_n)^r</math>
の係数を無視した項として取り出すことができることに由来している。したがって、重複組合せの総数 <sub>''n''</sub>H<sub>''r''</sub> は斉次積の展開によって得られる項の総数に等しい。また、
: <math>\left\langle\begin{matrix}n\\r\end{matrix}\right\rangle = \left(\binom{n}_n{m}\rmright)= H{}_r_nH_r = (-1)^r{-n \choose r}</math>
は多重集合係数あるいは負の二項係数とも呼ばれ、
: <math>(1-x)^{-n} = \sum_{r=0}^{\infty}\left\langle\begin{matrix}n\\r\end{matrix}\right\rangle x^r</math>
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の <sub>5</sub>H<sub>3</sub> = 35 通りである。この中には重複を許さない場合の 10 通りが含まれているのが確認できる。
 
== 性質関連項目 ==
多くの公式があるが、いくつか挙げると、
 
:''m'' <sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> = ''n'' <sub>''n''-1</sub>C<sub>''m''-1</sub>
:<sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> = <sub>''n''-1</sub>C<sub>''m''</sub> + <sub>''n''-1</sub>C<sub>''m''-1</sub>
:<sub>''m''</sub>C<sub>''m''</sub> + <sub>''m''+1</sub>C<sub>''m''</sub> + … + <sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> = <sub>''n''+1</sub>C<sub>''m''+1</sub>
:(<sub>''n''</sub>C<sub>0</sub>)<sup>2</sup> +(<sub>''n''</sub>C<sub>1</sub>)<sup>2</sup> + … + (<sub>''n''</sub>C<sub>''n''</sub>)<sup>2</sup> = <sub>2''n''</sub>C<sub>''n''</sub>
 
などがある。更に、<sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub>の偶奇について面白いことが言える。
:''n'' = 2<sup>''p''(1)</sup> + 2<sup>''p''(2)</sup> + …、''m'' = 2<sup>''q''(1)</sup> + 2<sup>''q''(2)</sup> + …
というように、''n'' と ''m'' を[[二進記数法|二進展開]]したとき、 {''p''(1), ''p''(2), ...} &sup; {''q''(1), ''q''(2), ...} であることが、<sub>''n''</sub>C<sub>''m''</sub> が奇数であることの[[必要十分条件]]になっている。
 
==関連項目==
* [[順列]]
* {{仮リンク|パスカルの三角形|en|Pascal's triangle|preserve=1}}
* [[二項定理]]
 
[[Category{{DEFAULTSORT:組合せ論|くみあわせ]]}}
[[Category:数学に関する記事|くみあわ組合論|*]]
[[Category:数学に関する記事]]