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Anitetsuo (会話 | 投稿記録)
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{{See also|球速}}
 
=== 落差球質 ===
投球を打ち返した際に打球の飛距離が予想よりも短く、もしくは長くなる事を、球質が「重い」、「軽い」と形容されることがある。物理的に球の重さが変わることはないが、この要因としては様々な説が存在し、球の回転数が多いほど反発力が増して軽い球に、逆に回転が少ないと重い球になるという説。逆に回転が多ければ運動エネルギーの総量も多く、運動エネルギーの多い速い球の方が飛距離が出難い事に準じ、回転が多いほど飛距離の出難い重い球であるという説もある。また、回転の少ない球は「棒球(ぼうだま)」と呼ばれ、痛打されやすい球とされる事もある。或いは、打者が自身の打ち損じなどに気付かず球質のせいだと思っているだけで、飛距離を大きく左右するほどの影響を与える球の回転や球質は存在しないという説もある。特にツーシームやカットファストボールのように打者の手元で変化する球種では、芯を外しやすく打球が伸びないということがままある。また、芯を外されるとインパクトの衝撃が手に伝わることから重く感じる。体重の軽い投手が投げる球は軽いという説もあり、体重を重くすることで球質を重くしようと考える投手もいる<ref>[http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20100216-596560.html 楽天永井が体重7キロ増で球質&球威↑]</ref>。これらのように回転は飛距離が伸びる方向にも縮む方向にも作用する可能性が有り、科学的に検証した論文や研究結果などは発表されていない。なお、アメリカにおいては球質という概念自体が存在しない<ref>{{Citation | author = マッシュー・ファーゴ | title = 空想英語読本 | year = 2003 | publisher = メディアファクトリー | accessdate = 2010-02-19}}</ref>。
球は重力により放物線を描くが、回転軸の傾きが少なく回転数の多いバックスピンをかけた球は[[マグヌス効果]]により上向きの揚力を持ち、放物線から離れた直線に近い軌道になる。打者は見慣れた軌道を直線と認識しているので、それよりも上を通過する球を浮き上がると錯覚する。こういった球を「伸び」「キレ」のある球と呼ぶ。
 
=== 伸び・切れ ===
また、リリースポイントの低い[[サイドスロー]]、[[アンダースロー]]の[[投法]]から投げられる球は下から上がって来るのでこれも浮き上がるように錯覚する(ソフトボールの[[ライズボール]]も同じ理屈である)。硬式球では160km/hで毎秒40回転以上の純粋なバックスピンが与えられた場合に実際に浮き上がる事が証明されている。
球速はリリースポイントから[[捕手]]の[[ミット]]に到達するまでに空気抵抗により逓減する。しかし、球を回転させることで空気抵抗は小さくなり、減速は少なくなる。「伸び」のある球とは減速が少ない球を示す。「伸び」のない球に比べて減速が少ない事で、打者は球が加速している様に錯覚する。ジャイロボールは螺旋回転により、通常よりも遥かに減速を少なくする事が可能である。また、[[ユークリッド幾何学]]において二点間を結ぶ最短距離は直線であるので、後述の落差の少ない球は最短距離となる。これは到達時間が短いので、球速以上に速く感じて「伸び」のある球と認識される。直球においては球の「切れ(キレ)」も「伸び」と同義である。
 
=== 初速・終速落差 ===
球は重力により放物線を描くが、回転軸の傾きが少なく回転数の多いバックスピンをかけた球は[[マグヌス効果]]により上向きの揚力を持ち、放物線から離れた直線に近い軌道になる。打者は見慣れた軌道を直線と認識しているので、それよりも上を通過する球を浮き上がると錯覚する。こういっ、リリースポイントの低い[[サイドスロー]]、[[アンダースロー]]の[[投法]]から投げられるを「伸び」「キレ」は下から上がって来るでこれも浮き上がるように錯覚する(ソフトボールの[[ライズボール]]も同じ理屈である)。硬式と呼ぶでは160km/hで毎秒40回転以上の純粋なバックスピンが与えられた場合に実際に浮き上がる事が証明されている
球速はリリースポイントから[[捕手]]の[[ミット]]に到達するまでに空気抵抗により逓減する。しかし、この空気抵抗は球のスピン量により変化し、球速の減速量も同じく変化する。バックスピンにおいてはスピン量が少ない玉のほうが空気抵抗は少なく、終速も速く、逆にスピン量が多い玉のほうが終速は遅くなる。また、[[ジャイロボール|ジャイロスピンは]]、縫い目の方向次第となるが通常よりも遥かに減速を少なくする事が可能である。
 
=== '''球持ち''' ===
プロ野球中継へスピードガンを投入した初期は初速、終速が併せて番組に使われているなど、優れたストレートの条件に初速と終速の小ささが挙げられていたが、後年投入された[[PITCHf/x|Pitch f/x]]などトラッキングシステムを用いた検証が進むと、打たれにくいストレート(フォーシーム・ファストボール)は初速、終速の差ではなく、先に書いた落差による錯覚次第であると言うことが分かりつつある。
[[マウンド]]上の投手板と[[本塁|ホームベース]]間の距離は[[公認野球規則]]により18.44mと定められているが、実際には18.44mの距離から球は放たれず、投球動作に伴いリリースポイントはホームベース寄りに近付くのが一般的である。リリースポイントが打者に近いほどボールの飛行距離は短縮され、それにより球速が保存されて初速と終速の差が小さくなる。これを「球持ち」が良いと表現し、投手は少しでもリリースポイントを打者寄りにするため様々な工夫を行う。その一環として球を長く持つようにする事でリリースするのを遅らせようとする。より打者にリリースポイントを近付けるには基本的に身長が高く手足が長い方が有利である。 
 
 
=== '''球持ち''' ===
[[マウンド]]上の投手板と[[本塁|ホームベース]]間の距離は[[公認野球規則]]により18.44mと定められているが、実際には18.44mの距離から球は放たれず、投球動作に伴いリリースポイントはホームベース寄りに近付くのが一般的である。リリースポイントが打者に近いほどボールの飛行距離は短縮され、それにより球速が保存されて初速と終速の差が小さくなる。これを「球持ち」が良いと表現し、投手は少しでもリリースポイントを打者寄りにするため様々な工夫を行う。その一環として球を長く持つようにする事でリリースするのを遅らせようとする。より打者にリリースポイントを近付けるには基本的に身長が高く手足が長い方が有利である。 
 
=== 角度 ===
投手はその投法や身長・腕の長さにより打者に対して高低、または左右の角度を付けた球を投じることが出来る。角度が大きいと打者のフォームが崩れやすく、打ち難さを増す事が出来る。より大きい角度をつけるためには球持ちと同様に長身で手足が長い投手が体格的に有利で、高低差は[[オーバースロー]]かアンダースロー、左右の角度はサイドスローや投手板の立ち位置の左右を利用する投手が一般的に有利である。投げる腕と対角のコースを突く直球を[[クロスファイア]]と呼ぶ事が有る。前述の球持ちとは逆に、リリースポイントを敢えて早くすることで角度を大きくしようとすることもある。
 
=== 球質 ===
投球を打ち返した際に打球の飛距離が予想よりも短く、もしくは長くなる事を、球質が「重い」、「軽い」と形容されることがある。物理的に球の重さが変わることはないが、この要因としては様々な説が存在し、球の回転数が多いほど反発力が増して軽い球に、逆に回転が少ないと重い球になるという説。逆に回転が多ければ運動エネルギーの総量も多く、運動エネルギーの多い速い球の方が飛距離が出難い事に準じ、回転が多いほど飛距離の出難い重い球であるという説もある。また、回転の少ない球は「棒球(ぼうだま)」と呼ばれ、痛打されやすい球とされる事もある。或いは、打者が自身の打ち損じなどに気付かず球質のせいだと思っているだけで、飛距離を大きく左右するほどの影響を与える球の回転や球質は存在しないという説もある。特にツーシームやカットファストボールのように打者の手元で変化する球種では、芯を外しやすく打球が伸びないということがままある。また、芯を外されるとインパクトの衝撃が手に伝わることから重く感じる。体重の軽い投手が投げる球は軽いという説もあり、体重を重くすることで球質を重くしようと考える投手もいる<ref>[http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20100216-596560.html 楽天永井が体重7キロ増で球質&球威↑]</ref>。これらのように回転は飛距離が伸びる方向にも縮む方向にも作用する可能性が有り、科学的に検証した論文や研究結果などは発表されていない。なお、アメリカにおいては球質という概念自体が存在しない<ref>{{Citation | author = マッシュー・ファーゴ | title = 空想英語読本 | year = 2003 | publisher = メディアファクトリー | accessdate = 2010-02-19}}</ref>。
 
=== 球威 ===