「ファイヤーフォックス (映画)」の版間の差分

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本作の主役メカである[[ソビエト空軍]]の架空の新型戦闘機。[[マッハ]]5という最高速度をはじめ、東西陣営の軍事バランスを大きく損なうスペックを持つ。完璧な[[ステルス性]]<ref>形状による電波反射の制御や吸収材による実在のステルス技術とは異なり、何らかのECM装置によって自機のレーダー反応を消すことができる(続編に、ステルス機能が故障したようだが原理不明のため修理不可能といった描写がある)。</ref>、パイロットが思考するだけで各種[[ミサイル]]や[[航空機関砲]]などの火器管制が行える思考誘導装置を有しており、スイッチや操縦桿やボタンを使用するよりも迅速かつ的確に戦闘を行う事が可能。この思考誘導装置は[[ロシア語]]にしか感応しない[[ブレイン・マシン・インタフェース|BMI]]技術で動作制御するものであるため、「ロシア語で考えろ」という台詞もそれを示したものである。開発は[[モスクワ]]東方1000km付近にあるビリャースク基地にて行われていた。名称から[[MiG|ミグ設計局]]製の機体と思われる。なお、実在する[[MiG-31 (航空機)|MiG-31 フォックスハウンド]]とは無関係。
 
[[翼平面形#クリップトデルタ翼|クリップドデルタ翼]]を持つ[[無尾翼機]]で、長い機首に[[可変翼|可変後退]]機能を持つ[[エンテ型|カナード]]を有する。推力50,000ポンドのエンジンを2基装備し、高度12万フィートでも戦闘が可能な性能を持つ。機関砲は2基を胴体下部に、ミサイルは胴体内のウェポンベイに装備。また、パイロットは与圧服を着用する。劇中には1号機と2号機が登場し、開発に関与していたパラノヴィッチ博士やセメロフスキー博士の助けを得てミッチェル・ガントが強奪した1号機を、正規パイロットであるヴォスコフ中佐が操縦する2号機が追跡した。
 
*劇中、ファイヤーフォックス1号機がミサイル巡洋艦から発射されたミサイルの撃墜や2号機を撃墜する際に機体後部から発射したものはミサイルではなく、対ミサイル妨害装置の[[フレア (兵器)|フレア]]である。しかしながら実際にガント扮するイーストウッド自身は劇中終盤、「rearward missile」=「後部ミサイル」と呼んでおり、字幕、TV吹替共に「後部ミサイル」と訳されている。そのため、「なぜ1号機と2号機は後方につかれたときにすぐ使わなかったのか」という矛盾を生んでいる。劇中中盤、バラノヴィッチ博士は機体の装備の説明時、「rear defence pod」=「後部防御装置」と言っており、「炎の爆発によってミサイルを倒す」と英語では説明している(日本語字幕ではここもミサイルとしてしまっている)。2号機が撃墜されたのは後方につかれて絶体絶命となったガントが苦し紛れに放った1号機のフレアを偶然エアインテークに吸い込んでしまったからであり、原作において詳しい説明(特に続編である『ファイアフォックス・ダウン』に)がなされている(ガントの「rearward missile」の発言は、執拗に追尾する2号機に対し「後ろ向きに発射出来るミサイルはないのかよ?」とぼやいただけの事。日本語字幕の「後部ミサイルを発射しろ」は誤訳)。
 
== キャスト ==
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| ケネス・オーブリー || [[フレディ・ジョーンズ]] || [[富田耕生]] || [[宮川洋一]]
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| バックホルツ || デイヴィッド・ハフマン ||[[大滝進矢|小滝進]] || [[荒川太朗|荒川太郎]]
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| パヴェル・ウペンスコイ || [[ウォーレン・クラーク]] || [[内海賢二]] || [[麦人]]
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| セメロフスキー || [[ロナルド・レイシー]] || || [[城山堅小関一]]
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| コンタルスキー大佐 || ケネス・コリー || [[家弓家正]] || [[小関一城山堅]]
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| ウラディミロフ将軍 || クラウス・ロウシュ || [[加藤精三 (声優)|加藤精三]] || [[田中信夫]]
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| ピョートル・バラノヴィッチ博士 || [[ナイジェル・ホーソーン]] || || [[徳丸完]]
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| [[ソビエト連邦共産党書記長|書記長]] || ステファン・シュナーベル || [[島宇志夫]] || [[藤本譲]]
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| [[ユーリ・アンドロポフ]][[ソ連国家保安委員会|KGB]]議長 || [[ヴォルフ・カーラー]] || ||
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| ブラウン将軍 || トーマス・ヒル || [[飯塚昭三]] || [[今西正男]]
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| ラニエフ少佐 || [[クライヴ・メリソン]] || ||
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| ヴォスコフ中佐 || カイ・ウルフ || || [[高宮俊介]]
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| ナタリア・バラノヴィッチ博士 || ディミトラ・アーリス || || [[火野カチ子|火野カチコ]]
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| ウォルターズ || オースティン・ウリス || ||
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| シーアバッカー大尉艦長 || マイケル・カリー || || [[小島敏彦]]
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| フライシャー海軍少佐 || ジェームス・ステイリー || || [[伊井篤史]]
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| ロジャース将軍 || ウォード・コステロ || || [[塚田正昭]]
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| クトゥゾフ空軍元帥 || アラン・ティルヴァーン || || [[今西正男]]
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| 役不明又はその他 || || [[村松康雄]]<br>[[仲木隆司]]<br>[[藤本譲]]<br>[[矢野陽子]]<br>[[田口昂]]<br>[[広瀬正志]]<br>徳丸完<br>[[島香裕]]<br>[[伊井篤史]]<br>[[嶋俊介]]<br>[[山田礼子]]<br>[[稲葉実]]<br>[[田原アルノ]] || [[高宮俊介]]<br>[[幹本雄之]]<br>[[荒川太朗|荒川太郎]]<br>[[塚田正昭]]<br>[[星野充昭]]<br>[[小島敏彦]]<br>伊井篤史<br>[[牛山茂]]
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*吹き替え版の場合、音楽を変更している。特にラストシーンでは、オリジナルは2号機撃墜後静かな曲が流れ、その後、出演者のテロップと共にメインテーマが流れるが、テレビ放送でエンドロールがカットされる吹き替え版では撃墜・爆発中にメインテーマが途中から流れ始める。他にも護衛艦からのミサイル撃墜と回避のシーンでは、明らかに曲の音量が大きくなっている。また85年のTV放映版では、コンタルスキーが作業中のバラノヴィッチを間近で監視しているシーン、そして1号機と2号機の空戦シーンに映画『ブルーサンダー』の劇伴が流用・追加されていた。
 
== 製作 ==
『[[ブロンコ・ビリー]]』や『[[ダーティファイター 燃えよ鉄拳]]』が興業上大失敗に終わった後、クリント・イーストウッドは妻マギー・ジョンスンとの不仲もあり、『[[ダーティハリー]]』の新作となる脚本探しとヨーロッパでのロケ地探しに1年半を費やした。特に、マルパソ・カンパニー・のスタッフだったフリッツ・メインズが紹介した、元フランス軍人の傭兵隊長ボブ・デナール(彼は傭兵を率いてコモロでクーデターに成功し、1990年代初頭までコモロ共和国の事実上の支配者として君臨した)がイーストウッドに話した1970年代のアフリカ紛争の体験談は彼を大きく魅了し、イーストウッドはマルパソにデナールの伝記のオプション契約を結ばせた。
 
しかし、同時期にイーストウッドがワシントンの保守派と共同で立ち上げた、[[ベトナム戦争]]で行方不明となったアメリカ軍人の帰還プロジェクトが、傭兵の死亡で批判にさらされた。イーストウッドはこのプロジェクトに関してのコメントは一切口にしなかったが、デナールの伝記はお蔵入りとなった。急遽、[[1977年]]にベストセラー小説となった『ファイアフォックス』を復帰作にすることが決まった<ref name="eliott">マーク・エリオット:著、笹森みわこ・早川麻百合:訳『クリント・イーストウッド―ハリウッド最後の伝説』 [[早川書房]] [[2010年]] ISBN 978-4-15-209103-1</ref>。
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#[[ブリャンスク|ビリアルスク]]に向かう途中、検問所を出た直後のウペンスコイとの会話
#バラノヴィッチ博士の心情の吐露
#奪取された直後、アンドロポフ議長とクツートゥゾフ空軍元帥が責任のなすりあいをして、書記長が止めに入るシーン
 であるが、2についてはテレビでの放映では逆にカットされていないことも多かった。また、カットされていなければ、1で、ガントが作戦の概要を全て明かされていないことに最初から不安を感じていたことや、3によって、とっつきにくい男ウペンスコイのガントへの気遣いがわかるようになっていた。