「アホウドリ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
rv(LTA:YAN系)、参考文献修正
5行目:
|画像キャプション = '''アホウドリ''' {{Snamei|Phoebastria albatrus}}
|status = VU
|status_ref = <ref name="iucn">BirdLife International 2012. [http://www2015.iucnredlist.org/details/22698335/0 {{Snamei|''Phoebastria albatrus}}]''. The IUCN Red List of Threatened Species. Version2015: 2014e.3T22698335A84645695. <http://wwwdx.iucnredlistdoi.org>/10.2305/IUCN.UK.2015.RLTS.T22698335A84645695.en. Downloaded on 2506 MayDecember 2015.
</ref>
|目 = [[ミズナギドリ目]] {{Sname|[[w:Procellariiformes|Procellariiformes}}]]
|科 = [[アホウドリ科]] {{Sname||[[w:Albatross|Diomedeidae}}]]
|属 = [[キタアホウドリ属]] {{Snamei||[[w:North_Pacific_albatross|''Phoebastria}}'']]
|種 = '''アホウドリ''' {{Snamei|''P. albatrus}}''
|学名 = {{Snamei|''Phoebastria albatrus}}'' ([[ペーター・ジーモン・パラス|Pallas]], [[1769年|1769]])
|シノニム = {{Snamei|''Diomedea albatrus}}''
北[[太平洋]]|和名 = アホウドリ<ref name="fn2">小原秀竹下信・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 「アホウドリ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、[[講談社]]、[[2000年]]、60-6362、190頁。</ref>
|和名 = アホウドリ
|英名 = [[w:Short-tailed_albatross|Short-tailed albatross<br />Steller's albatross]]
}}
'''アホウドリ'''(信天翁<ref name="koj">『[[広辞苑]] 第5版』、岩波書店</ref><ref name="fn1"/><ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p36"/>、阿房鳥<ref name="koj"/><ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p36"/>、阿呆鳥<ref>『明鏡国語辞典』、大修館書店</ref><ref name="fn1">安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、[[山と渓谷|山と溪谷社]]、[[2008年]]、36-37頁。</ref><ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p36">フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.36 1988年 永岡書店</ref>、{{Snamei|Phoebastria albatrus}})は、[[鳥類|鳥綱]][[ミズナギドリ目]][[アホウドリ科]][[キタアホウドリ属]]に分類される鳥類。信天翁の[[漢字]]を[[音読み]]にして、「しんてんおう」とも呼ばれる<ref group="注釈">ちなみに、[[尖閣諸島]]の[[久場島 (沖縄県石垣市)|久場島]]に鳥の名にちなんだ「[[信天山]]」という山がある。</ref>。
 
== 分布 ==
北[[太平洋]]<ref name="fn2"/>
北[[太平洋]]<ref name="fn2">小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、[[講談社]]、[[2000年]]、60-63、190頁。</ref>
 
夏季は[[ベーリング海]]や[[アラスカ湾]]、[[アリューシャン列島]]周辺で暮らし、冬季になると繁殖のため日本近海への[[渡り]]をおこない南下する<ref name="fn3">加藤陸奥雄、沼田眞、渡辺景隆、畑正憲監修 『日本の天然記念物』、講談社、[[1995年]]、642-645頁。</ref><ref name="fn4">桐原政志 『日本の鳥550 水辺の鳥』、文一総合出版、2000年、28-29頁。</ref>。[[鳥島_(八丈支庁)|鳥島]]と[[尖閣諸島]][[北小島]]、[[南小島]]でのみ繁殖が確認されていた<ref name="fn2"/><ref name="fn5">河野裕美 「[http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/kankyo/shizenryokuka/hogo/documents/tyourui-shusei.pdf アホウドリ]」『沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)-動物編-』、沖縄県文化環境部自然保護課 、[[2005年]]、61-62頁。</ref><ref name="fn6">[[長谷川博]] 「アホウドリの保護」 [[黒田長久]]監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥類I』、[[平凡社]]、[[1986年]]、60-61頁。</ref><ref name="fn7">高野伸二 『フィールドガイド 日本の野鳥 増補改訂版』、[[日本野鳥の会]]、[[2007年]]、66-67頁。</ref><ref name="fn8">真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、21頁。</ref><ref name="momose">百瀬邦和 「[http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/73-011.html アホウドリ]」『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物 -レッドデータブック-2 鳥類』環境庁編、財団法人自然環境研究センター、[[2002年]]、134-135頁。</ref>。2011年と2012年、2014年には[[ミッドウェー環礁]]でも繁殖が確認され<ref>{{Cite web|url=http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/information/topics/topic120706.html|title=ミッドウェー環礁から、アホウドリのひなが今年も巣立つ|publisher=東邦大学メディアネットセンター|date=2012-07-06|accessdate=2013-03-02}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/information/topics/topic140120.html|title=ミッドウェー環礁でオキノタユウの3羽目のひなが誕生|publisher=東邦大学メディアネットセンター|date=2014-01-21|accessdate=2014-03-21}}</ref>、2015年には[[小笠原諸島]][[媒島]]で戦後初となる繁殖が確認された<ref name="共同">{{Cite web|url=http://www.47news.jp/CN/201503/CN2015032501001832.html|title=小笠原・媒島でアホウドリ繁殖 戦後初確認、DNA分析|publisher=[[共同通信]](47NEWS)|date=2015年3月26日|accessdate=2015-03-27}}</ref><ref name="日テレ">{{Cite web|url=http://news24.jp/articles/2015/03/26/07271775.html|title=アホウドリ、小笠原諸島で繁殖 戦後初|publisher=[[日本テレビ]]|date=2015年3月26日|accessdate=2015-03-27}}</ref>。
31行目:
 
== 分類 ==
以前は旧アホウドリ''Diomedea''{{Snamei|Diomedea}}に分類されていたが、[[ミトコンドリアDNA]]の[[シトクロム]]bの分子解析からキタアホウドリ''Phoebastria''{{Snamei|Phoebastria}}に分割された<ref name="eda">江田真毅、樋口広芳 「[http://doi.org/10.3838/jjo.61.263 危急種アホウドリ''Phoebastria albatrus''は2種からなる!?]」『日本鳥学会誌』、日本鳥学会、2012年、263-272頁。</ref><!-- 出典では''Phoebastria''属の和名としてキタアホウドリ属を提唱しているが、日本鳥類目録ではアホウドリ属としているためそれに従う -->。
 
種内ではミトコンドリアDNAの分子解析から、鳥島の繁殖個体群のうち大部分を占める系統と、鳥島の一部(約7%)と尖閣諸島で繁殖する系統の2系統があると推定された<ref name="eda"/>。約1,000年前の礼文島の遺跡から発掘された本種の骨でも同様の解析を行ったところ、同じ2系統が確認されたため少なくとも1,000年以上前には分化していたと推定されている<ref name="eda"/>。この2系統の遺伝的距離はアホウドリ科の別属の姉妹種間の遺伝的距離と同程度なため、将来的には別種として分割される可能性もある<ref name="eda"/>。尖閣諸島で繁殖する系統は手根骨が短いため翼長も短く、鳥島の系統と比較して巣立ちが2週間早いとされる<ref name="eda"/>。
43行目:
 
== 人間との関係 ==
羽毛目的の乱獲により生息数は激減した<ref name="fn2fn3"/><ref name="fn3fn4"/><ref name="fn4fn6"/><ref name="fn6hasegawa2000">長谷川博 「アホウドリの復活は確実になった」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、[[講談社]]、[[2000年]]、63頁。</ref>。和名は人間が接近しても地表での動きが緩怠で、捕殺が容易だったことに由来する<ref name="fn1"/><ref name="fn3"/>。[[1887年]]から羽毛採取が始まり、[[1933年]]に鳥島、[[1936年]]に聟島列島が禁猟区に指定されるまで乱獲は続けられた<ref name="fn3"/>。当初は主に輸出用だったが、[[1910年]]に羽毛の貿易が禁止されてからは日本国内での流通目的のために採取され計6,300,000羽が捕殺されたと推定されている<ref name="fn2"/>。以前は[[小笠原諸島]]、[[大東諸島]]、[[澎湖諸島]]([[台湾]])でも繁殖していたとされるが、繁殖地は壊滅している<ref name="fn2"/><ref name="fn3"/><ref name="fn6"/><ref name="momose"/>。また[[彭佳嶼]]、[[西之島]]でも繁殖していたとされる。[[1939年]]には残存していた繁殖地である鳥島が噴火し[[1949年]]の調査でも発見されなかったため絶滅したと考えられていたが、[[1951年]]に鳥島で繁殖している個体が再発見された<ref name="fn2fn3"/><ref name="fn3fn4"/><ref name="fn4fn6"/><ref name="fn6momose"/><ref name="momosehasegawa2000"/>。以降は測候所(後に気象観測所)による監視と保護が続けられていたが、[[1965年]]に火山性群発地震による気象観測所の閉鎖に伴い保護活動は休止した<ref name="fn2fn3"/><ref name="fn3fn6"/><ref name="fn6hasegawa2000"/>。[[1976年]]から調査や保護活動が再開しハチジョウススキ([[1981年]]、[[1982年]])やシバの植株と土木工事による繁殖地の整備、[[1992年]]には崩落の危険性が少ない斜面に模型(デコイ)を設置し鳴き声を流す事で新しい繁殖地を形成する試みが進められ繁殖数および繁殖成功率は増加している<ref name="fn2fn3"/><ref name="fn3fn6"/><ref name="fn6hasegawa2000"/><ref name="hasegawa2000"/>。[[1971年]]に南小島の個体群も再発見され<ref name="fn6"/>、[[1988年]]には繁殖が確認されている<ref name="fn2fn5"/><ref name="fn5eda"/><ref name="edamomose"/><ref name="momosehasegawa2000"/>。[[2001年]]に北小島での繁殖も確認された<ref name="fn5"/><ref name="eda"/>。2014年には[[小笠原諸島]]の[[媒島]]で雛が発見され、さらに[[2015年]]2月、同島に生息するつがいが発見され、両者の羽毛のDNA解析から親子関係が証明され、小笠原諸島で戦後初の繁殖確認となった<ref name="共同"/><ref name="日テレ"/>。
{{Wikisource|天然記念物を特別天然記念物に指定する件 (昭和37年文化財保護委員会告示第17号)|天然記念物を特別天然記念物に指定する件|[[文化庁|文化財保護委員会]]告示文}}
{{Wikisource|特別天然記念物鳥島のアホウドリおよびその繁殖地の名称および指定地域を改める件|特別天然記念物鳥島のアホウドリおよびその繁殖地の名称および指定地域を改める件|文化財保護委員会告示文}}
50行目:
 
=== 移住計画 ===
鳥島で火山活動が活発化する兆しがあるため、[[小笠原諸島]]の[[聟島]]に繁殖地を移す計画が[[2006年]]から進められている。鳥島で産まれたアホウドリの雛の一部を聟島に運んで育てることで、聟島を新たな繁殖地として認識させるというもので、2012年12月時点では、2008年から2009年にかけて旅立った25羽のうちの12羽が帰島している。また、NHKのカメラによってつがいが産卵していたことも確認された<ref>{{Cite web | url=http://nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=00020121206004 | title=新繁殖地の島でアホウドリが初産卵 | publisher=[[ナショナルジオグラフィック]] 公式日本語サイト | accessdate=2015-08-01 | date=2012-12-06 | archiveurl=http://web.archive.org/web/20130318085454/http://nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=00020121206004 | archivedate=2013-03-13}}</ref>が、孵化はしておらず未受精卵だった<ref>{{Cite web|url=http://www.yamashina.or.jp/hp/p_release/images/20130117_prelease.pdf|title=聟島のアホウドリの卵について(お知らせ)|format=pdf|publisher=山階鳥類研究所|date=2013-01-17|accessdate=2013-03-02}}</ref>([[聟島#アホウドリの繁殖地計画]]も参照)。その後、2015年2月に聟島の隣の[[媒島]]において、育てたアホウドリが繁殖していたことが確認されている<ref>{{Cite web|url=http://www.yamashina.or.jp/hp/p_release/images/20150326_prelease.pdf |format=pdf |title=小笠原諸島媒島でアホウドリの番を初確認 |publisher=山階鳥類研究所|date=2015-03-26|accessdate=2015-04-01}}</ref><ref>{{Cite web | title = NHKスペシャル|小笠原の海にはばたけ~アホウドリ移住計画~ | publisher = [[NHK]] | accessdate = 2015-08-01 | url = http://www.nhk.or.jp/special/detail/2015/0726/ }}{{リンク切れ|date=2015年11月}}</ref>。
 
== 脚注参考文献 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
=== 注釈= ==
{{Reflist|group="注釈"}}
 
== 関連項目 ==
{{Commons&cat|Phoebastria_albatrus|Phoebastria_albatrus}}
{{Wikispecies|Phoebastria_albatrus}}
* [[アホウドリ科]]
** [[キタアホウドリ属]]
*[[デコイNo22]]
 
== 外部リンク ==
{{Reflist|group="a"}}
* [http://www.yamashina.or.jp/albatross/ahou_mokuji.html 「アホウドリ復活への展望」(山階鳥類研究所)]
* [http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/index.html アホウドリ復活の軌跡 | バーチャルラボラトリ | 東邦大学]
* [https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2015063450SC000/ NHKオンデマンド | NHKスペシャル 「小笠原の海にはばたけ~アホウドリ移住計画~」]
{{Authority control}}
 
{{デフォルトソート:あほうとり}}