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Sarass11 (会話 | 投稿記録)
一年前だから戻されないということはなく、出典つきの妖怪の画像等もまとめて除去されており無茶でしょう。下部に参考資料もあります。こういう乱暴な編集をなさるのですか?
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Toroia (会話 | 投稿記録)
Sarass11 (会話) による ID:57890951 の版を取り消し 参考資料に、除去した古神道関係の記述は確認できません。これ以上の異論はノートで
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{{otheruses||[[司馬遼太郎]]の同名小説|妖怪 (司馬遼太郎)|[[平岩弓枝]]の同名小説|鳥居耀蔵#鳥居耀蔵を扱った作品}}
{{redirect|妖|[[堂本光一]]のシングル曲|妖 〜あやかし〜}}
'''妖怪'''(ようかい)は、[[日本]]で[[伝承]]される[[民間信仰]]において、[[人間]][[理解]]を超える奇怪で異常な[[現象]]や、あるいはそれらを起こす、不可思議な力を持つ非日常的・非科学的な存在のこと。'''妖'''(あやかし)または'''[[物の怪]]'''(もののけ)、'''魔物'''(まもの)とも呼ばれる
[[ファイル:Shunkosai Hokuei Obake.jpg|thumbnail|220px|「[[提灯お化け|提灯お岩]]」:[[葛飾北斎]]]]
 
== 概要 ==
{{出典の明記|date=20102015121月|section=1}}
[[ファイル:Hokusai kappa.jpg|right|thumb|170px|「[[河童]]」<br>『[[北斎漫画]]』:葛飾北斎]]
日本の[[集落]]や[[家屋]]にみられる、[[自然]]との[[境界]]の曖昧さによる畏怖や、[[里山]]や[[鎮守の森]]のように自然と共にある生活が畏敬や感謝になり、当時では解明できない[[自然現象]]・物や人に対しての畏怖など妖怪は、これらの[[恐怖|怖れ]]や禍福をもたらす存在として具現化されたものである。「'''[[神さび]]'''」<ref>[[万葉集]]からすでに使われていた</ref>という言葉に代表されるように、古いものや老いたものは、それだけで[[神聖]]であり神々しいとされてきた[[価値観]]も、妖怪(九十九神)が古い物や長く生きた物の[[憑き物]]という[[解釈]]と重なる。そして、現在では妖怪の存在の実証はされておらず、[[科学]]が未発達だった時代の[[呪術]]的思考の産物<ref>例えば、[[肛門]]の開いた水死体が発見された場合に[[河童]]が[[尻子玉]]を抜いたからだと説明付けるのは、後者の一例と言える。</ref>や[[迷信]]とされるが、日本人の[[]][[思考]]のあり方を表す一つの事柄でもある。
[[ファイル:SekienNarigama.jpg|right|thumb|170px|「[[鳴釜]]」<br>『[[百器徒然袋]]』:[[鳥山石燕]]]]
[[ファイル:Suuhi Nekomata.jpg|right|thumb|170px|「[[猫また]]」<br>『[[百怪図巻]]』:[[佐脇嵩之]]]]
日本の[[集落]]や[[家屋]]にみられる、自然との境界の曖昧さによる畏怖や、[[里山]]や[[鎮守の森]]のように自然と共にある生活が畏敬や感謝になり、当時では解明できない[[自然現象]]・物や人に対しての畏怖など妖怪は、これらの[[恐怖|怖れ]]や禍福をもたらす存在として具現化されたものである。「'''[[神さび]]'''」<ref>[[万葉集]]からすでに使われていた</ref>という言葉に代表されるように、古いものや老いたものは、それだけで[[神聖]]であり神々しいとされてきた価値観も、妖怪(九十九神)が古い物や長く生きた物の[[憑き物]]という解釈と重なる。そして、現在では妖怪の存在の実証はされておらず、[[科学]]が未発達だった時代の[[呪術]]的思考の産物<ref>例えば、肛門の開いた水死体が発見された場合に[[河童]]が[[尻子玉]]を抜いたからだと説明付けるのは、後者の一例と言える。</ref>や[[迷信]]とされるが、日本人の心や思考のあり方を表す一つの事柄でもある。
 
=== 古神道 ===
{{出典の明記|date=2010年12月|section=1}}
現在の[[神道]]の源流である[[古神道]]は、[[原始宗教]]とも呼ばれ、[[森羅万象]]に[[神 (神道)|神]]や[[命]]や[[魂]]が宿るという自然崇拝・精霊崇拝([[アニミズム]])を内包し、現在の[[神社神道]]にもその名残は多くあり、古神道としての民間信仰と共に息づいている。<!--このような世界観は近年まであり、[[逢魔時]](おうまがとき)や丑三つ時(うしみつどき)には常夜との端境で「怪異のもの」に出合う時という意味も含まれ日常にとけ込んでいた。--><!-- 「このような世界観」は、2011年5月23日 (月) 03:28 (UTC)に除去された「神道においての世界観」を指す --><!--
 
同じように神も「2つの様相」を持ち、'''荒ぶる神'''(あらぶるかみ)と和ぎる神([[なぎ]]るかみ)という[[禍福]]をそれぞれもたらす時があり、[[荒御魂]](あらみたま)と[[和御魂]](にぎみたま)ともそれぞれ表現される。これら、常世から来た神や、荒ぶる神やその仮の姿や、またはその'''[[依り代]]'''が、いわゆる妖怪とも表現された。その中で、神社神道の体系に組み込まれなかった各地に残る[[天狗]]神社・[[河童]]神社・[[白蛇]]神社や[[貧乏神]]・[[宝船]]([[七福神]])などは、古神道(日本の民間信仰)の神々が起源であるともいえる。また、食べ物や道具に対する感謝から、[[鯨塚]]や[[道具塚]]・[[包丁塚]]や、無念をもって亡くなった者に対する慰霊として、[[蒙古塚]]や[[刀塚]]などがあり、それらも「そこに宿る魂が、荒ぶる神にならぬように」と[[塚]]を建立し祀っているが、現在の神社神道とは切り離されたものであり、その根底にある行為や思いは妖怪に対するものと同じである。--><!-- 「同じように神も「2つの様相」」は、2011年5月23日 (月) 03:28 (UTC)に除去された「神道においての世界観は(略)2つの様相」」を指す -->
 
=== 九十九神 ===
{{出典の明記|section=1|date=2011年6月}}
[[付喪神|九十九神]](つくもがみ)とは、長く生きたもの([[動植物]])や古くなるまで使われた[[道具]](器物)に神が宿り、人が大事に思ったり慈しみを持って接すれば[[幸]](さち)をもたらし、そうでなければ荒ぶる神となって禍をもたらすといわれる神である。ほとんどが、現在に伝わる妖怪とも重複し、荒ぶれば九尾の狐であり、和ぎればお狐様となると解釈される。
*[[動物]]では[[九尾の狐]]・[[猫又]]・[[犬神]]などがある。
*[[道具]]では[[朧車]]・[[唐傘小僧]]・[[鳴釜]]・[[硯の魂]]などがある。
 
{{main|九十九神}}
[[ファイル:Gamayoukai.JPG|thumb|right|300px|「[[蝦蟇妖怪]]」<br>『西鶴と浮世草子研究 第二号 特集[怪異]』<ref>付録(1)怪異物挿絵大全 近藤瑞木・佐伯孝弘編 笠間書院</ref>[[玉箒木]]]]
 
=== その他の類例 ===
[[風俗史学]]者の[[江馬務]]は、[[生物]]としての人・動物・植物と、生物以外の器物(人工の道具など)・自然物<ref> 生き物以外の[[土塊]]・[[岩]]や[[滝]]・[[沼]]など自然の山河の一部や気象現象。</ref> その妖怪の由来(依り代)となる物を5つに分類し類例とした。
 
====日本神話の人格神以外の神や神霊====
日本神話の人格神とは主に[[尊]]をさし、その他、日本においては時の実力者や権威者が神として祀られたが、荒ぶる神とされても妖怪とされることはなかった神を、ここでは除く。
;民間信仰(九十九神以外)
:民間信仰の内、九十九神ではない、若しくは依り代となるものがよく解らない。または、荒ぶる神としての元となる神が解らないもの。[[天狗]]や[[河童]]や[[座敷童子]]や[[ダイダラボッチ]] など。
;寄り神(よりかみ)
:漂着神ともいい、海外から流れ着いたものや海上の[[蜃気楼]]を信仰した。
;客神(まれびとかみ)
:由来のはっきりしない神で、時として妖怪とも例えられる。蝦夷の神であったとする説もある。[[ミシャグジ|みしゃぐじ様]]や[[アラハバキ|荒覇吐神]](あらはばきのかみ)などがあげられる。[[ファイル:Yoshitoshi Nihon-ryakushi Susanoo-no-mikoto.jpg|right|thumb|300px|「ヤマタノオロチ」『日本略史 素戔嗚尊』:[[月岡芳年]]]]
;日本神話に登場するもの
:[[八岐大蛇]](やまたのおろち) - おろちの「チ」は霊の古語としての読みでもあり、幸(さち)も古くは[[弓矢|箭霊]]とも表記し、[[雷]](いかづち)・[[蛟]](みずち)・[[命]](いのち)の「チ」は全て、魂(たましい)や霊威を表すといわれている。
;式神(しきがみ)
:[[式神]]とは[[陰陽師]]といわれる[[神職]]が、人の[[悪行]]や[[善行]]を監視するために、神域から呼び出し使役した妖怪([[鬼神]])である。[[丑の刻参り]]も古くは神域の結界を破り、妖怪を呼び出し使役し、恨む相手に禍をもたらす[[呪術]]であった。
;人の命や人型 
:[[霊魂]] - [[人魂]]・[[幽霊]]・[[悪霊]]・[[怨霊]]などの死者の魂が、肉体を離れ形を成すというものや、[[生霊]]や[[夜叉]]など強い思いに自身が取り込まれた人や「[[狐憑き]]」などといわれる妖怪が憑依した人などがある。
:人型 - [[鬼]]・[[夜叉]](夜叉鬼)・[[酒呑童子]]
 
== 歴史 ==
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[[ファイル:Yoshitoshi The Heavy Basket.jpg|left|thumb|210px|「葛籠から飛び出る様々な妖怪<br>『<ref>新形三十六怪選</ref>おもゐつづら』:月岡芳年]]
 
[[正徳 (日本)|正徳]]2年(1712年)- [[三才図会]]を元に『[[和漢三才図会]]』が成立した。
 
正徳6年(1716年) - 『[[世説故事苑]]』の中に「妖怪」と「[[白澤#白澤図|白澤図]]」の解説がある。妖怪の解説には「吾が俗の言い伝える怪事(俗に怪事を誤ってケチと言う)の類多し。鼬(いたち)の鳴き、狐の吼える、鼠の騒ぐ、鶏の宵、鳴烏の声、烏の屎衣を汚す、或いは[[釜]][[甑]]の声を作()すの如きの類なり。此の類、[[渉世録]]に出だして、この妖怪祓う術見えたり、本據とすべし。」とあり、白澤図の解説には「この図、奇怪の形をうつして世に流布すると雖も未だ之を考えず、更に繹(たず)すべし。今、三才図会に憑()って写し出す。即ち、彼(かしこ)に黄帝に対して語(ものい)ふものとす。」とある<ref>世説故事苑 巻三 俗説雑志</ref>。
 
[[天明]]8年([[1788年]]) - 『[[夭怪着到牒]]』著者:[[北尾政美]]が出版される。これは黄表紙本の妖怪図鑑であるが、その序文には「世にいふようくわいはおくびょうよりおこるわが心をむかふへあらわしてみるといえども…」とあり、これはこの時代からすでに、妖怪を研究しながらも、その妖怪の実在性を疑問視していた人がいたことを示している。
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この時代の印刷・出版技術の発展とともに、出版文化が発達していき、[[黄表紙]]<ref>[[草双紙]]といわれる[[絵本]]で、ジャンルごとにより表紙が色分けされていた。黄表紙は大人向けのもので、その他に赤や青がある。</ref>などによって盛んに題材として妖怪が用いられた。
 
そしてそれらの書籍を扱う「貸本屋」の普及や利用により、庶民の中で各々の妖怪の様相が固定し、それが日本全国に広がっていった。たとえば河童に類する妖怪は江戸時代以前には、日本全国に多くの様相や解釈があったが、書籍の出版によって、それが現在のいわゆる河童に固定されていった。またその他の刊行物を含め、民間で伝承されたものとは別に、駄洒落や言葉遊びなどによって、この時代に創作された妖怪も数多く存在し、現在でいえば妖怪辞典のような位置づけであろう[[鳥山石燕]]の『[[画図百鬼夜行]]』はその一例である。また、江戸時代に[[百物語]]のような怪談会が流行する中、怪談の語り手がまだ世間に知られていない未知の怪談・妖怪を求めた末、個人によって妖怪を創作してしまうといったケースも創作を増長した要因の一つと考えられており、そうして創作された妖怪の中には[[からかさ小僧|傘化け]]や[[豆腐小僧]]が知られている<ref>{{Cite book|和書|author=[[多田克己]]|editor=[[京極夏彦]]・多田克己編|title=妖怪画本 狂歌百物語|year=2008|publisher=[[国書刊行会]]|isbn=978-4-3360-5055-7|pages=272-273頁|chapter=『妖怪画本・狂歌百物語』妖怪総覧}} </ref>。
 
また「[[浮世絵]]」などの画題としてもよく描かれ、有名な妖怪を描いた絵師に[[歌川国芳]]、[[月岡芳年]]、[[河鍋暁斎]]、[[葛飾北斎]]などがおり、また、[[狩野派]]の絵手本としても『[[百鬼夜行|百鬼夜行図]]』が描かれた。
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=== 明治時代以降 ===
{{出典の明記|section=1|date=2011201561|section=1}}
[[明治維新]]の西洋化思想は、海外の出版物の[[翻訳]]にも影響し、特に西洋の物語が持て囃された。[[貧乏神]]と[[疫病神]]と[[死神]]は並んで語られ、死神は[[古典落語]]でも描かれ、日本の妖怪や神と誤解されるが、[[三遊亭円朝]]が明治時代に[[グリム童話]]の『死神』か、[[イタリア]]の[[オペラ]](歌劇)の『[[靴直クリピスノ]]』の翻訳本を参考にした[[創作落語]]の『[[死神 (落語)|死神]]』で、[[]]に広まったことが知られている。このように西洋の物語に描かれる怪物も[[庶民]]に認知され、誤解からの日本の妖怪としてや、また近代史における「西洋の妖怪」として、日本でも相応の歴史がある。
 
その一方で日本の古典文化は排斥され、[[唄]]や[[踊り]]の伝承書が[[焚書]]された例もあり、そして科学的考察が至上とされ、妖怪もその他の迷信の類ともに、排斥される傾向にあったが、江戸末期から[[昭和]]や[[平成]]に至るまで、その時代時代の[[民俗学者]]の著書の発行と[[民俗学]]による権威付けが、妖怪という日本の民族文化の衰退の歯止めとして、一役買ったことは否めないであろう。
 
=== 現代 ===
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
近年から現在に至るまで、妖怪は様々な[[媒体]](マスメディア)で紹介されてきたため、老若男女が知るものとなっている。戦前の[[紙芝居]]や戦後の[[漫画]]産業の振興や昭和40年代([[1970年]]前後)まで続いた[[貸本屋]]、[[テレビ放送]]の普及などもその認知やある意味での親近感につながっている。そして現在では、遠野物語にえがかれた[[岩手県]]の[[遠野]]や、[[水木しげる]]の出身地でもある[[鳥取県]]などに代表されるように、妖怪は[[観光資源]]としてや地域活性にも役立てられていて、[[京都]]には町家を改装した妖怪堂という店があり、店主が京都の妖怪案内をするというようなものまである。
 
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==語彙と語義==
=== 英語圏 ===
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
[[ファイル:SophieAndersonTakethefairfaceofWoman.jpg‎|thumb|150px|fairy:妖精]]
[[ヨーロッパ]]の民間伝承上の存在「fairy」にはもっぱら[[妖精]]の訳を当てるが、文化人類学のアニミズムにおいては、妖怪も妖精も包括される。また現在の日本文化として妖怪が、英語圏で紹介されるときの訳は「monster」:[[怪物]]とされることも多い。ただし、これらの語義の違いは、背景となる自然に対する姿勢<ref>世界と日本の比較において、日本は[[狩猟]]から[[農耕]]に移った時代が遅く、また[[島嶼部]]性が高いことも[[海浜]]の[[海産物]]の[[漁労|釣漁]]も加わり、[[農耕]]と兼業であったこと。また[[畜産]]や[[放牧]]も近代になってからであり、[[肉食]]に対する忌避や[[神奈備]](かんなび)といわれる[[森林]]・[[山岳信仰]]も畜産や放牧による木々の[[伐採]]を加速せず、森林は猟場としても保護されてきた経緯がある。[[大航海時代]]以降も欧米は[[ヨーロッパ大陸]]のみならず、[[植民地]]でも家畜の放牧のため、木々や森を伐採し続け、自然を破壊し牧草地に換えてきた。一方で日本は里山に代表される自然との共生や、「[[もったいない]]」などの価値観から、森羅万象に対する慈しみを、文化や歴史の中で培ってきた</ref>や歴史性はもちろんだが、たんに翻訳とニュアンスに留まるところが多いため同義とはいえない。
 
===中国語圏===
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
妖恠とも表記し、[[妖鬼]]・[[妖精]]・[[妖魔]]・[[妖魅]]・[[妖霊]]といった表現がある。日本では妖怪と同意では使われないが、妖精や[[精霊]]も妖怪を表す言葉として用いられ、精怪ともいう。[[幽霊]]については、死者の霊魂という意味は日本と同じであるが、鬼や鬼神といった意味合いが強く、日本で謂えば[[夜叉]]といったような印象がある。このように文化が近く中華文明が起源である漢字を使用する両国でも、妖怪のその意味合いが異なる。
 
===日本===
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
[[ファイル:Punch Anti-Irish propaganda (1882) Irish Frankenstein.jpg|thumb|200px|monster:[[フランケンシュタイン]]<ref> [[1843年]]の[[イギリス]]の雑誌[[w:Punch (magazine)|パンチ]]から、[[アイルランド人]]をモンスターのフランケンシュタインに準えた(なぞらえた)[[イギリス人]]の[[風刺]][[漫画家]]の[[イラスト]]</ref>]]
夭怪とも表記し、[[妖]]([[夭]])・[[鬼]]・[[お化け]]・[[怪異]]・[[怪物]]・[[化生]]・[[魑魅魍魎]](ちみもうりょう)・[[憑き物]]・[[化け]]・[[化け物]]・[[百鬼]]・[[変化]](へんげ)・[[魔]]・[[魔物]]・[[物の怪]]([[勿の怪]])・[[物の気]]・[[妖異]]・妖怪変化なども同様な意味で使われる。ただし、「[[怪物]]」については、日本の民間信仰で伝承されていないもの、また創作の妖怪で歴史の浅いものや、海外の[[民間伝承]]されてきたもの。または、正体の解らない不気味な生き物として、フィクションの上での、不気味な宇宙から来た外来の生物や[[未確認生物]]をいう傾向にある。
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日本におけるこのカテゴリーへの内包は洋の東西を問わず、また英語圏などでは区別される''[[:en:Fairy|Fairy]]''([[フェアリー]]/[[妖精]])と''[[:en:Monster|Monster]]''([[モンスター]])の区別も曖昧であり包括して取り扱われる。[[欧州]]や[[西方大陸]]で伝承される[[魔物]]、[[妖精]]の類も、妖怪として扱われることがあり、[[西洋]]の[[吸血鬼]]や[[狼男]]だけでなく、中国の奇書『[[山海経]]』など、中国由来のものを含め「[[大陸妖怪]]」や各々「[[西洋妖怪]]」・「[[中国妖怪]]」と呼ぶ例もある。日本の風俗から外れた、海外の魔物を「妖怪」と呼び習わすのは、こうした日本以外の文化が様々な時代に流入し、ある程度の歴史を持っているからである。
 
==勿怪の幸い==
勿怪の幸い(もっけのさいわい)とは、「図らずして齎された幸福のこと」である。もともとは、物の怪(勿の怪)の幸いといい、物の怪(妖怪)がもたらす幸福を意味した。[[山姥]]や鬼や[[座敷童子]]が禍や福をもたらすという、各々違う物語が伝承されていて、妖怪は[[祟り]]や[[恐怖]]だけの存在ではなく、時として幸福を授けてくれる存在であり、前述にもあるように、古神道や神道の神々や、九十九神も同様に禍福をもたらす存在である。これらは、自然崇拝に見られる特徴であり、自然の一部である[[天気]]や[[気候]]においても、適度な[[晴れ]]や[[雨]]は実りや慈雨であるが、過ぎれば[[日照り]]や[[水害]]になることと共通する。
 
期待しなかった事柄やものが、幸(予想に反して成長や効果や利益)をもたらす表現として、「化け」や「大化け」があり、「オバケ」の語彙や語句の一つであり、「期待していなかった新人歌手が、[[トップスター]]になった」ときなどに「この新人歌手は化けた」または、「大化けした」というように使われる。大きく成長した動植物にも使用され、「お化け[[ダイコン]]やお化け[[ヤゴ]]([[オニヤンマ]]の幼生の俗称)」などと使われる。古神道において、「神さび」とともに古いことだけでなく、大きなことも尊ばれてきた歴史や価値観があり、[[神体山]]としての[[霊峰]][[富士山|富士]]や、[[巨木]]・[[巨石]]信仰の[[御神木]]や[[夫婦岩]]などがあり、この大きい「お化け」ということと根底で繋がっているともいえる。
 
また、幸をもたらす効果として、より美しくする装いを「[[化粧]]」というが、妖怪やお化けをあらわす「[[化生]]」が語源ともいわれる。
 
==端境==
[[ファイル:A woman makes a cursing ritual ceremony.jpg|left|thumb|250px|「[[丑の刻参り]]」『[[北斎漫画]]』:葛飾北斎]]
古神道においては、[[神奈備]](かんなび)という「神が鎮座する<ref>古語では神留まる(かんづまる)</ref>」山や森があり、この神奈備が[[磐座]](いわくら)・磐境(いわさか)<ref>磐境の境は境界や坂を意味し、このときの坂も神域との境界の意味を持つ。</ref>や神籬(ひもろぎ)<ref>神籬の籬も垣の意味で、同様に神域との境界を意味する。</ref>に繋がっていった。これら鎮守の森や[[神木]]や[[霊峰]]や[[夫婦岩]]は[[神域]]や神体であると共に、「現世」と「常夜・常世」の端境と考えられ、魔や禍が簡単に往来できない、若しくは人が[[神隠し]]に遭わないよう[[結界]]として、[[注連縄]](しめなわ)<ref>結界としての[[神祭具]]でもある。</ref>や[[祠]]が設けられている。逢魔刻(大禍刻)や丑三つ刻だけでなく、[[丑の刻参り]]という呪術があり、古くは[[神木]]([[神体]])に釘を打ち付け、自身が鬼となって恨む相手に[[復讐]]するというものである。丑の刻(深夜)に神木に釘を打って結界を破り、常夜(夜だけの神の国)から、禍をもたらす神(魔や妖怪)を呼び出し、[[神懸り]]となって恨む相手を祟ると考えられていた。
[[ファイル:SekienOmagatoki.jpg|right|thumb|240px|「逢魔時」『[[今昔画図続百鬼]]』:鳥山石燕]]
これらに共通するのは「場の様相」([[環境]]や[[状況]])が[[転移]]する(変わる)[[空間]]や[[時間]]を表していて、[[夕方]]や[[明け方]]は、[[昼]]と[[夜]]という様相が移り変わる端境の時刻であり、昼間はどんな賑やかな場所や開けた場所であっても、深夜には「草木も眠る丑三つ時」といわれるように、一切の活動がなくなり、漆黒の闇とともに、「時間が止まり、空間が閉ざされた」ように感じるからである。また神奈備などの自然環境の変化する端境の場所だけでなく、[[坂]]、[[峠]]、[[辻 (道路)|辻]]、[[橋]]、集落の境<ref>ヨーロッパやその他の大陸は、[[城壁]]の中に居住していることが多く、集落と自然環境が隔絶されている。</ref>など人の手の加わった土地である「道」の状態が変化する場所も、異界(神域)との端境と考えられ、魔や禍に見舞われないように、[[地蔵]]や[[道祖神]]を設けて結界とした。[[社会基盤]]がもっと整備されると、市街の[[神社]]や[[寺]]や[[門]]<ref>[[町奉行]]が管轄した町場([[町]])に設けられた、時間制限で閉じられてしまう集落の出入り口にある門。門限の語源となっている。</ref>などから、伝統的な[[日本家屋]]<ref>配置や[[間取り]]や構造が、自然と居住空間の境が曖昧な作りになっている。</ref>の[[道]]と[[敷地]]の間の[[垣根]]や、屋外にあった[[便所]]や[[納戸]]や[[蔵]]、住居と外部を仕切る[[雨戸]]や[[障子]]なども、常世と現世の端境と考えられ、妖怪と出会う時間や場所と考えられた。
 
== 民俗学として ==
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
[[ファイル:Mt Kurahashi Kudan.jpg|thumb|300px|[[倉橋山]]の「[[件]](クダン)」:「[[天保]]7年の[[瓦版]]」]]
[[ファイル:Suushi Inugami.jpg|right|thumb|250px|「犬神」『[[百怪図巻]]』:[[佐脇嵩之]]]]
[[ファイル:Elephant catching a flying tengu.jpg|thumb|right|「天狗と象」:[[歌川国芳]]]]
妖怪を学術的に大きく取り扱っているのは[[民俗学]]であり、民間信仰に関する研究において、[[予兆]]、[[禁忌]]、[[ことわざ]]、[[民間療法]]などと並んで、妖怪は庶民一般の信仰事象を解明する一事象として捉えられてきた。自然現象に対する理屈付け、教育的機能など、自然に対する畏怖や敬意、価値観などを明らかにするものと言われる。
 
=== 著名な研究者 ===
出生順
131 ⟶ 92行目:
 
== 創作の題材としての妖怪 ==
{{出典の明記|date=2015年1月|section=1}}
妖怪は芸術・娯楽の分野で、作品の題材としても数多く扱われてきた。
 
=== 著名な作者 ===
出生順
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* [[小泉八雲]]([[1850年]]-[[1904年]]) - 代表作『[[怪談 (小泉八雲)|怪談]]』。小説家、[[英文学者]]。
* [[泉鏡花]]([[1873年]] - [[1939年]])
* [[水木しげる]]([[1922年]]- [[2015年]]) - 代表作『[[ゲゲゲの鬼太郎]]』、『[[悪魔くん]]』。[[漫画家]]。
* [[畠中恵]]([[1959年]]- ) - 代表作『[[しゃばけ]]』。小説家。
* [[多田克己]] - 昭和36年([[1961年]])生まれ。妖怪研究家。
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*[[民俗学]]
妖怪の説明や類例
*[[古神道]]
**[[依り代]]
**[[九十九神]]
**[[荒魂・和魂]]
*[[超常現象]]
*[[怪物]]
*[[幻獣]]
*[[ゾンビ]]
*[[幽霊]] / [[亡霊]] / [[死霊]]
*[[日本の妖怪一覧]] / [[中国の妖怪一覧]] / [[伝説の生物一覧]] / [[妖怪文書の一覧]] / [[日本三大悪妖怪]]
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== 外部リンク ==
*[http://youkai.me 触って楽しい妖怪辞典-youkai.me]
*[http://www.mononokekanko.com/ 日本物怪観光 - 妖怪学面白講話]
*[[怪異・妖怪伝承データベース]][http://www.nichibun.ac.jp/youkaidb/]
*[http://www7a.biglobe.ne.jp/~youkai-kids/index.html 宗優子 妖怪キッズ]
* [http://wakanmomomikan.yu-nagi.com/momomikan.htm 和漢百魅缶] ([http://www10.plala.or.jp/cotton-candy/ クロヌシカガミ]内)
* [http://www.obakemono.com/ ''The Obakemono Project'': Eine Datenbank über Obake und Yōkai] - ドイツ語
 
[[category:妖怪|*]]
[[category:日本の文化]]
[[category:日本の伝承]]
[[category:民間信仰]]