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24節は[[サジダ#サジダ節|サジダ節]]。
== 内容 ==
クルアーン(コーラン)38サード章
 
 
 
 
 
 
1.サード(クルアーン)。訓戒に満ちたクルアーン。
 
2.自分は正しく信仰していると思っている者たち、その信仰の対象がアッラーであっても、自分自身であっても、外の何ものかであったとしても、自分の信仰は絶対に正しいとしている者たちがいる。実は、信仰のない者たちとは彼らのことである。このような、信仰のない者たちは高慢で反抗的である。
 
3.アッラーはこのような者たちを、幾世代も滅ぼされてきた。彼らが悔い改め慈悲を請うのは、もはや逃れ得ない時である。
 
4.彼らに対して、彼らの中に警告者を与えられると、このような不信心者は言う。「これは魔術師です。嘘つきです。
 
5.多くの信じるべきもの(預言者、聖書、クルアーンなど)があると言うのに、それらすべてに勝る一つの神のみにしようとしている《預言者や啓典を劣るものとするならば、その唯一の神を知る手ががりすらなくなる》。これは全く、驚きいったことです。」
 
6.そして、彼らの長老たちは立ち去りながら、外の者たちにこう語る。「行きなさい。そして今まで通りあなた方の神々を守り通しなさい。これは悪だくみに過ぎません。
 
7.わたしたちは、今までの教えで、こんなことを聞いたことはありません。これは作り話に過ぎません。
 
8.わたしたちの間で、あんな男にだけ御告げが下ったとでも言うのですか。」《アッラーを信仰する》と語る者たちの内で、このようなことを語る者たちがいたならば、その者はアッラーが訓戒を下されたことにも疑いを抱いているのだ。彼らはまだ、受けるべきアッラーの懲罰を味わったことがないだけである。
 
9.それとも彼らは、偉力並びなく、恵み多きあなたの主の、慈悲の宝物を持っているとでも言うのか。
 
10.すなわち、彼らは天地、そしてその間の万有の大権を持っているのか。また、彼らは天の玉座に上れるのか。もし登れるのならば、彼ら自身がアッラーに他ならない。天の玉座から声をだし万物を従えてから語るべきである。
 
11.しかし、彼らは烏合の衆に過ぎない。ただ敗走を繰り返すのみ。
 
12.彼ら以前にも、ヌーフの民、ルートの民、アードの民、そして権勢をほしいままにしたフィルアウンも
 
13.またサムードの民、ルートの民、森の民も使徒たちに対し徒党を組み、嘘つき呼ばわりした。
 
14.皆、使徒たちを嘘つき呼ばわりした。これゆえアッラーが彼らに確実に懲罰を下されたのだ。
 
15.これらの者も、アッラーの一声を待つだけである。もし、それが下れば一刻の猶予すら与えられない。
 
16.彼らは、「主よ、わたしたちの授かる分を清算の日以前に、急ぎください。」と語っているのだ。何の力もないのに、善事も行っていないのに、自分たちにアッラーの賜物があると平然と語るのだ。
 
17.あなたは彼らの言葉を耐え忍べ。アッラーの僕であり堅固の人ダーウードが、圧倒的な力を持ちながら、常に主の御許に帰っていたのかを考えよ。ダーウードは、常に主の言葉を求め、主の命に服し、主に賛美を絶やすことはなかった。
 
18.ダーウードは山々を従えていた。そして、山々に彼と共に朝に夕に、アッラーを賛美する事を命じていた。
 
19.また、ダーウードは鳥類も従えていた。そして、彼ら全てに主の命令に服する事を命じ、常に主への賛美を欠かすなとも命じていた。
 
20.彼の行動は正しい行動であった。だから、アッラーは彼の王権を強化され、叡智と断固たる決断力を彼に授けられた。
 
21.ターウードと論争者の話をしよう。人々がダーウードの私室の壁を乗り越えて、
 
22.彼の部屋に入ってきたのでダーウードは驚いた。彼らは語った。「恐れる事はありません。わたしたちは訴訟の当事者です。一方が他方に不正を働きました。真理よってわたしたちの間を裁いてください。不公平がないように、わたしたちを公正な道にお導きください。」
 
23.「これはわたしの兄です。彼は99頭も牝牛を持っており、わたしは一頭しか持っていませんでした。ところが彼は、それをも自分に任せなさいと言うのです。そして、言葉巧みにわたしを言い負かしてしまったのです。」
 
24.ダーウードはこのように言った。「彼があなたの羊を、取り込もうとしたのは、確かに不当です。共同で仕事をする者の多くは、互いにその領域を侵しあう。信仰して善行に励む者は別ですが、それは稀です。」このように答えて、彼は即座に『この話がアッラーとイブリースならば不当となるのか。信仰者と不信仰者ならば不当となるのか。』と思い至った。アッラーが彼を試されている事を悟ったのだ。彼はアッラーにお任せせず自分で裁定すると言う間違いを犯したことに気づき、主の御許しを請い、礼拝し、ひれ伏し、悔悟して主の御許に帰った。
 
25.アッラーはダーウードを御赦しになられた。ダーウードはアッラーに親近し、多幸な帰り処を得た。
 
26.「ダーウードよ、わたしはあなたを地上の代理者とした。だから人々を真理によって裁きなさい。私欲に従って、アッラーの道を踏み外してはならない。アッラーの道から迷う者は清算の日を忘れた者であり、必ず厳しい懲罰にあう。」
 
27.アッラーは天と地、そして、その間にあるものを戯れに創られたのではない。「信仰しても、何をしても自分の状態が良くならない。これはアッラーの御戯れであろう。」と語る者たちもいるが、彼らは信仰のない者たちである。彼らはその不信仰故に火を味わっているのに、それに気づかない。彼らこそ、あわれであ
る。
 
28.アッラーが真に信仰して善行に勤める者と、アッラーの名を唱えながら地上で悪を行う者を同じに扱われるだろうか。アッラーが命じられたことを守る者と、邪悪の者を同じに扱われるだろうか。
 
29.このクルアーンは、あなた自身にアッラーが下された啓典である。祝福に満ち、あなた自身がこの印を沈思黙考するための啓典であり、思慮ある者たちの訓戒ともなる。
 
30.アッラーはダーウードにスライマーンを授けられたが如く、優れた僕には、優れた援助者を授けられる。ダーウードは悔悟して常にアッラーに帰った。
 
31.ある黄昏時、彼に駿馬が献上された。
 
32.彼はそれを非常に喜び、駿馬を愛でて、夜の帳が降りるまで、主を念ずることを忘れてしまったのだ。
 
33.彼は、これゆえ、その駿馬の足と首を切り落としてしまった。
 
34.アッラーは、スライマーンに重体にもかかわらずその職務を全うするように命じられた。彼はその後回復したのだが、
 
35.彼はその時は死を覚悟し、アッラーに祈った。「主よ、わたしはもはや、今生ではあなたの職務を全うする事は出来ません。ふがいないわたしを御赦しください。その代わり、後世では誰も務めることが出来ないほどの難しいあなたの王国の職務をお与えください。わたしは必ず遂行いたします。これがわたしの望みです。」
 
36.アッラーは彼の病を回復されられ、更に彼の願いを聞き続けられた。はじめに彼に風を従わせられた。風は彼の思いのまま、彼の命令に従って吹くこととなった。
 
37.次に、アッラーは彼にシャイターンたちを従わせられた。また、大工や潜水夫たちも従わせられた。
 
38.すなわち、シャイターンの一族と言えども、スライマーンの命令に服さなければ、鎖で繋がれることとなった。
 
39.アッラーは仰せられた。「あなたが願った通り、難しい職務を賜物として授けよう。しかし、あなたが彼らを動かそうとも、動かすことを控えようとも、全く問題はない。」
 
40.スライマーンは今、アッラーの御側の幸せな帰り所にいる。
 
41.アッラーのしもべアイユーブはこのように叫んだ。「シャイターンがわたしを悩ませ、わたしは苦しみ抜いています。」
 
42.アッラーはこのように答えられた。「あなたの足で踏みなさい(あなた自身の行動を確固たるものとしなさい)。そこには清涼な沐浴と飲料のための水があろう(それがあなたの身を清め、あなたの悟りとなるだろう)。」
 
43.彼はその様にし、アッラーは彼に慈悲として2倍の家族を授けられた。思慮ある者はこの教訓に学びなさい。
 
44.「一握りの草(この僅かな悟り)を手に取って(習い、また教え)、それで妻(自分の肉体)を打ちなさい。あなたは(この通りにすると)誓ったのだ。あなた自身の誓いを破ってはならない。」かれは耐え忍び、よくこの誓いを果たした。何と優れたしもべではないか。彼はこのようにして常にアッラーの御許に帰った。
 
45.イブラーヒームとイスハークとヤアコーブはアッラーのしもべであった。彼らは偉力を持ち、洞察力があったが、
 
46.それらは、彼らの来世の住まいを信じる純粋な信仰故に、アッラーが彼らを清められ、授けられたものなのだ。
 
47.彼らはアッラーの目にも選ばれた優れた者たちであった。
 
48.またイスマーイール、アル・ヤサア、ズ・ル・キルフ、彼らも皆優れた者であった。
 
49.信仰の形も、礼拝の形も、また、各々が信じたものも皆さまざまである。彼ら全てに共通するのは《主を畏れる》という一つの心である。この心を持ち続ける者には幸せな帰り所がある。
 
50.これが永遠の楽園であり、そのすべての門は彼らのために開かれる。
 
51.この中では、彼らは安楽な寝床、たくさんの果実や飲み物、また、その他彼らが望むものは何でも望みのまま。
 
52.傍らには、伏し目がちな年頃の乙女。
 
53.これらは清算の日、あなた方に約束されるものである。
 
54.これは尽きることのないあなた方への賜物である。
 
55.反逆の徒がいる。形ばかりの信仰、形ばかりの礼拝、形ばかりの善行、口先ではアッラーを畏れるとは語るが、その実、アッラーの名を利用し人を動かし、また自分の地位を上げようと謀る者。アッラーの神権を勝手に犯しながら、自分は正しいと語る者等々。このような者たちには悪い帰り所があろう。
 
56.それは地獄である。彼らはそこで焼かれよう。何と悪い臥所であろうか。
 
57.彼らに与えられるのは、煮えたつ湯と膿。口をこじ開けられ、そこに注ぎこまれる。
 
58.そればかりではない。ありとあらゆる懲罰を取り合わせて受けることとなる。
 
59.彼らは何も考えず迎合して《自分たちは正しい》として突き進んできたから、彼らが行ったように歓迎の言葉もかけられない。彼らは、あるいは言葉で、あるいは行動で、他の人々を地獄に落としてきたから、彼らが行ったように彼ら自身が火獄で焼かれる。
 
60.そして、火獄の中でも彼らは互いに裁きあう。「わたしたちが歓迎されないのは、あなた方の責任です。わたしたちをこう仕向けたのはあなた方です。あなた方がわたしたちに勧めなければ、こんな悪いところに来る必要などなかった。何と悪い住まいにきたことか。」
 
61.「主よ、わたしたちをここに連れてきた者には、火獄で倍の懲罰をお与えください。」
 
62.「いや、わたしたちが悔悟せよと語り、悔悟しなかった悪人たちがいます。わたしたちは彼らの罪故に、ここに落とされたに違いありません。彼らこそ真の悪人です。」彼らは、こう語り、彼らの言う悪人の姿を探すがそこには見当たらない。「わたしたちをここに落とした張本人たちが見当たらない。どうしたのでしょう。」
 
63.「わたしたちが嘲笑していた者たちも見当たりません。」「当然、いるべき者たちがどうしていないのか。」
 
64.火獄の仲間たちは、実際にこのように言いあっているのだ。
 
65.「われわれの信仰する教えは絶対に正しい。」と語る者たちよ。このクルアーンはあなた方に対する警告である。あなた方は《自分たちこそ正しい》とする教えの信者である。真に正しいのは、唯一の方、抵抗する事すらできない方、アッラーのみ。アッラーの外に神はない。
 
66.アッラーこそは天と地の主、その間の万有の主であられる。偉力並びなく、寛容でもあられる。
 
67.このクルアーンは至高の知らせである。
 
68.あなた方は、このクルアーンから背き去る。
 
69.人には、低い位階の者もあれば、高い位階の者もいる。低い位階の者たちを教える教えはこれまでも明確に示されてきたが、高い位階の者を教える教えは、明確に示されたことはなかった。これは誰一人明確に知る者はなかったのだ。
 
70.このクルアーンは、高い位階の者たちを教える教えであり、低い位階の者たちには警告となる。
 
71.なぜ、このような啓典が人に示されるのか。アッラーは天使たちに、「わたしは泥から人を創る。」と仰せられた。
 
72.そして、「わたしが人を形作り、それに霊を吹き込んだならば、あなた方は伏してサジダしなさい。」と言葉を続けられた。
 
73.これゆえ、天使たちは人にサジダするものとなった。
 
74.しかし、イブリースだけはそうしなかった。彼は高慢で、信仰を拒む者となったのだ。
 
75.アッラーはイブリースに仰せられた。「イブリースよ、どうしてあなたはわたしの命令を拒否するのか。あなたが高慢だからか。それとも、高い権威を持つと言うつもりなのか。」
 
76.彼は申し上げた。「わたしは人よりも優れています。わたしも人も確かにあなたの被造物ですが、わたしは人よりも先に火により創られており、人はわたしよりも後に泥により創られているからです。」
 
77.アッラーは彼にこのように語られた。「あなたは忌まわしいものだ。ここから出て行きなさい。
 
78.わたしは審判のその時まで、あなたをわたしと無関係のものとしよう。」
 
79.イブリースはアッラーに申しあげた。「主よ、彼らが呼び起されるその時まで、わたしに御猶予を願います。」
 
80.「よろしい。あなたはあなた自身の思いにより動くが良い。
 
81.審判のその火、その時まで。」
 
82.彼は申し上げた。「あなたの御威光にかけて誓いましょう。わたしは彼ら全てを誘惑してご覧に入れましょう。
 
83.彼らの中の謙虚なあなたのしもべ以外は全て。」
 
84.アッラーは仰せられた。「それは真実である。わたしからも真実を語ろう。
 
85.わたしは、あなたとあなたに従うすべての者で地獄を満たすであろう。」
 
86.このクルアーンは、これゆえに人に示されるのだ。イブリースに従う者たちを明確に見定め、彼らを地獄に送り、アッラーの御言葉を全うするために。このよ
うに語っておこう。「わたしは如何なる報酬もあなた方に求めない。わたしは偽善者ではない。
 
87.このクルアーンは、諸民族に対する訓戒に他ならない。
 
88.あなた方にも、この話の真意が分かる時が来るであろう。そして、これが確かに真実であることを必ず知るであろう。」
 
 
以上全文
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
== 脚注・出典 ==