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1956年にスタートした[[ポルシェ・356|356]]の後継車プロジェクトは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]を中心に進められた。356は設計当初2座席であり2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足され室内が狭かったことから、室内スペースを広く取るためホイールベースを延長し2+2シートを確保するという骨格のもとで進められ、試作車が3 - 4台製作された。プロジェクトは[[エルヴィン・コメンダ]](''[[:en:Erwin Komenda|Erwin Komenda]]'' )に引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクト[[クーペ]]に落ち着いた。
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{{Infobox_自動車のスペック表
| 車種= 普通自動車
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}}</ref>。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている(同様の理由で[[ポルシェ・904]]はポルシェカレラGTSに改名されている)。通称「ナロー」。日本にはミツワ自動車により1965年より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任は[[フェルディナント・ピエヒ]]、スタイリングは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]が担当した。
エンジンは新たに開発された空冷水平対向6気筒で
全長は4163mm。全幅は1,610mm。[[ホイールベース]]は2,211mm。トレッドは前1,337mm、後1,317mm。リムは前後とも4.5J15in。タイヤは前後とも165HR15。ブレーキは1系統でパッド面積前52.5cm<sup>2</sup>、後40cm<sup>2</sup>。オルタネーターは490W。
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=== Aシリーズ ===
1967年8月から1968年7月まで生産された。リムが5.5J15に変更された。[[セミオートマチックトランスミッション]]であるスポルトマチック905型<ref group="注釈">トルク比2.0</ref>のオプション設定がされた。スポルトマチック搭載車はエンジン形式が別になっているが、装着に必要なアタッチメントラグを持つ以外の差はない。ブレーキが2系統に増えた。エーバーシュペッヘル製ヒーターはオプションになった。
*'''911L'''([[1968年]]発売) - それまでの'''911'''を改称し、Oシリーズの'''911S'''に続いてブレーキが通風式になった。引き続き901/06型エンジン、スポルトマチック車は901/07型エンジン。アメリカ仕様<ref group="注釈">スロットルを閉じた時排気マニフォールドに空気を吹き込むVベルト駆動のエアポンプが追加されている。</ref>901/14、アメリカ仕様スポルトマチック車901/17。
*'''911T'''([[1968年]]発売) - Tはツーリングを意味する。圧縮比8.6で110PS/5,800rpm、16.0kgm/4,200rpmにデチューンされた901/03型エンジンを搭載し[[ポルシェ・912]]の後継として発売された廉価版。鋳鉄にクロムメッキを施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミダイキャスト、クランクシャフトは一般の911の鍛造から鋳造に変更されるとともにカウンターウェイトを省略されるなど各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンはレース車輛への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用するシリンダーヘッドや吸排気バルブやキャブレターは、低出力エンジンであるにもかかわらず全く'''911S'''と同一である。すなわち、レース車輛とするための素材とも取れる構成である。[[1968年]]セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされ、スポルトマチック車は901/13型エンジン、ブレーキが通風式となった。
*'''911S''' - エンジンはOシリーズと同一。スポルトマチック車は901/08型エンジン。
*'''911R'''([[1967年]]限定発売) - レース、ラリー用特殊モデル。デュアルイグニッション、特殊軽合金製シリンダーの採用、圧縮比10.3、バルブのタイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等[[ポルシェ・906]]とほぼ同等のチューニングを受け210PS/8,000rpm、21kgm/6,000rpmを発生する901/22型<ref group="注釈">906の901/20型はクランクケースが[[マグネシウム]]製であるがこれは[[アルミニウム]]製である点が異なる。</ref>エンジンを搭載した。ボディーはフロントフェンダー、前後リッド、バンパーがグラスファイバーに置換、窓がアクリルに置換、内装簡素化など非常に軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されているなど細部が異なる。また量産型のうち数台はワークスに残ってレースに参戦した。1967年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、スポルトマチック搭載車がマラトン・ド・ラ・ルートで総合優勝、1968年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、1969年ツール・ド・フランスで総合優勝、DOHCの916型エンジン搭載車がコルシカラリーで優勝。1967年モンツァ・サーキットで本来出場予定だった[[ポルシェ・906|906]]の代役でスピード世界記録に挑戦、この際持ち込まれたエンジンが挑戦開始直前に100時間耐久ベンチテストを済ませ点検のために降ろされていたエンジンで、本来記録挑戦に使えるようなものではなかったが手違いで持ち込まれたことが判明し時間がなかったためそのまま使用され、[[トヨタ・2000GT]]が持っていた記録を大幅に更新、連続走行15,000km、10,000マイル、20,000km、72時間、90時間の世界新記録と14の2,000ccクラス国際新記録を達成した。
{| class="wikitable" style=font-size:small
|+ スピード・トライアル記録
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=== Cシリーズ ===
1969年8月から生産された。
*'''911T/2.2''' - 125PS/5,800rpm、18.0kgm/4,200rpmの911/03型エンジンに置換した。スポルトマチック装備は911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチック装備は911/08型エンジン。キャブレターがソレックス製からゼニス・ストロンバーグ製に置換された<ref name="museum-76">『ポルシェ博物館/松田コレクション資料
*'''911E/2.2''' - マニュアルトランスミッションは5速が標準。155PS/6,200rpm、19.5kgm/4,500rpmの911/01型、スポルトマチックは911/04型エンジン。自動車高調整機能付きハイドロニューマチックストラットを装備している<ref name="museum-76"/>
*'''911S/2.2''' - 180PS/
=== Dシリーズ ===
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=== Eシリーズ ===
1971年8月から生産された。
*'''911T/2.4''' - 130PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/57型エンジン、スポルトマチックは911/67型エンジン。ヨーロッパ仕様のゼニス製キャブレターのままではアメリカの排気ガス規制に合格できず、アメリカ仕様は'''911E/2.4'''や'''911S/2.4'''と共通の6プランジャー燃料噴射ポンプを採用し140PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/51型エンジン、スポルトマチックは911/61型エンジンとなった。アメリカの排気ガス規制が厳しくなり、1973年1月より[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]のKジェトロニックに変更され圧縮比8.0で140PS/5,700rpm、20.5kgm/4,000rpmの911/91エンジン、スポルトマチックは911/96型エンジンに置換された。
*'''911E/2.4''' - 165PS/6,200rpm、21kgm/4,000rpmの911/52型、スポルトマチックは911/62型エンジン。
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*'''911E/2.4''' -
*'''911S/2.4''' -
*'''911カレラRS2.7'''([[1973年]]限定生産) ? グループ4のホモロゲーションを取るために'''911S/2.4'''をベースに当初500台が限定販売されたもので、ボディを軽量化し、
=== Gシリーズ ===
1973年8月から1974年7月まで生産された。外観が、米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーの装着により一新された。以降930型が製造中止になる1989年まで「ビッグバンパー」と俗称されたが、ノンターボモデルは901型のまましばらく生産された。
エンジンは、
*'''911/2.7''' - カムシャフトが新型の911/97型に変更された911/92型エンジン、スポルトマチックが911/97型エンジン。
*'''911S/2.7''' - カムシャフトが新型の911/98型に変更された911/93型エンジン、スポルトマチックは911/98型エンジン。
*'''911SC/2.7''' -
*'''911カレラRS3.0'''([[1975年]]限定発売) ? 109台生産され、うち50台以上が'''カレラRSR'''に改造された。
*'''カレラRSR'''([[1975年]]限定発売) - '''911カレラRS2.7'''をレース用に改造したもので排気量2,806cc、300PS/8,000rpm、30.0kgm/6,500rpmの911/72型エンジン<!-- デュアルイグニッションを備え330PS/8,000rpm、32.0kgm/6,500rpmの911/75型エンジン(ポルシェ博物館の資料P60)、または315PSの911/74型エンジン -->を搭載している。ブレーキは[[ポルシェ・917|917]]から流用しカムシャフトは[[ポルシェ・906|906]]から流用している。ボディ重量は900kg。1975年には出力が345PSまで向上している。
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=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。ブレーキのパッド面積は前78cm<sup>2</sup>、後52.5cm<sup>2</sup>。自動低温始動装置を装備した。給油ポンプが大型化され、冷却ファンが5枚羽根に強化された。Hシリーズ'''911/2.7'''に相当するグレードは廃止され、Hシリーズ'''911S/2.7'''に相当する'''911/2.7'''と'''911SC/2.7'''に相当する'''911カレラ3.0'''のみとなった。[[1976年]]から全車種500℃の[[亜鉛]]槽にドブ漬け<ref name="porsche911story-146">
*'''911/2.7''' - Hシリーズの'''911S/2.7'''に搭載されていたエンジンを搭載した。
*'''911カレラ3.0''' -
*'''911リミテッド'''([[1976年]]限定発売) - [[フェルディナント・ポルシェ]]生誕100周年<ref>ポルシェ博物館資料
=== Kシリーズ ===
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=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。180PS/5,800rpm、25kgm/4,000rpmのエンジン
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{{Infobox_自動車のスペック表
| 車種= 普通自動車
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=== Hシリーズ ===
*'''911ターボ'''([[1975年]]発売、[[1976年]]日本発売) - 1973年[[フランクフルトモーターショー]]で「911ターボ」試作車が展示され、280PSで最高速度280km/hとアナウンスされていた。1974年[[モンディアル・ド・ロトモビル|パリサロン]]に「930ターボ」試作車が展示された。生産車は
=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。サイドミラーが電動式となった。[[1976年]]から全車種
*'''911ターボ'''
226行目:
=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。
*'''911ターボ''' -
=== 1978年モデル ===
901型のままだったノンターボ車が930型に移行した。この年[[新潟県警察]]に[[パトロールカー]]として配備され、その後20年近く活躍したことが知られている。
*'''911SC'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911S'''に当たる。
*'''911SCS'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911カレラ'''に当たる。
*'''911ターボ'''
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=== 1984年モデル ===
[[1984年]][[フランクフルトモーターショー]]で「カレラ」の名称が復活した。
*'''911カレラ''' -
=== 1985年モデル ===
フロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mmから1mmにアップし、剛性が向上した。ターボの日本輸入が再開された<ref>「昨年から再輸入されるようになった」『外国車ガイドブック1986』
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ'''
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=== 1986年モデル ===
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ''' - [[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Kジェトロニック。ターボはKKK製。
=== 1987年モデル ===
274行目:
コンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ''' - ボディーバリエーションとしてタルガトップ<ref>
*'''911ターボ・フラットノーズ'''([[1988年]]限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330PSエンジンを搭載したモデル。
282行目:
*'''911ターボS'''([[1989年]]限定発売) - 330PSエンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。
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1989年に964型に移行した。ボディー構造が一般的なモノコックとなり、サスペンションのばねがトーションバースプリングからコイルスプリングに変更された。外観は930型に似ているが、80%が新規部品である。また四輪駆動のカレラ4が設定された。
{{main|ポルシェ・964}}
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1993年に993型に移行した。次の996型のエンジンが水冷だったため、911としては最後の空冷モデルとなった。
{{main|ポルシェ・993}}
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1998年に996型に移行した。トレードマークの一つとされて来た空冷エンジンが水冷エンジンとなり[[シャシ
{{main|ポルシェ・996}}
==
{{main|ポルシェ・997}}
==
2011年に991型に移行した。最大の特徴は車体に軽量金属を使用した軽量[[シャシ
{{main|ポルシェ・991}}
== インターミディエイトシャフトの破損について ==
996型と997前期型に搭載された水冷エンジンではタイミングチェーンがエンジンの左右で前後に分かれて配置されている<ref name="box987">『ボクスター/ケイマン最強メンテナンス
==
{{
== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}{{Reflist}}
== 参考文献 ==
*『ワールドカーガイド1ポルシェ』[[ネコ・パブリッシング
*『われらがポルシェ ポルシェなんでも事典』[[講談社]]
*別冊ベストカーガイド・赤バッジシリーズ『ボクスター/ケイマン最強メンテナンス』講談社 2009年9月10日 ISBN 978-4061799196
*モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポート 21『ポルシェ911のすべて』三栄書房 2012年8月9日 ISBN 978-4779615009
*ポルシェ博物館/松田コレクション資料
*[[小林彰太郎]]『世界の自動車-5 ポルシェ』[[二玄社]]
*[[ポール・フレール]]著、平井啓輔訳『ポルシェ911ストーリー』[[二玄社]] ISBN 978-4544040234
*THE 911&PORSCHE MAGAZINE No.63『走り、愉快』
*福野礼一郎『幻のスーパーカー』[[双葉社]]
*『スポーツカーカタログ見聞録』ティーポ 1998年8月号増刊
*『[[輸入車ガイドブック|外国車ガイドブック1975]]』[[日刊自動車新聞]]社
*『外国車ガイドブック1976』日刊自動車新聞社
*『外国車ガイドブック1977』日刊自動車新聞社
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