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1956年にスタートした[[ポルシェ・356|356]]の後継車プロジェクトは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]を中心に進められた。356は設計当初2座席であり2年生産された後に補助座席として後部2座席が付け足され室内が狭かったことから、室内スペースを広く取るためホイールベースを延長し2+2シートを確保するという骨格のもとで進められ、試作車が3 - 4台製作された。プロジェクトは[[エルヴィン・コメンダ]](''[[:en:Erwin Komenda|Erwin Komenda]]'' )に引き継がれ、一時は大型4人乗りモデルも検討されたが、最終的に2+2のコンパクト[[クーペ]]に落ち着いた。
 
== 初代 901型(1964年 - 1974年) ==
{{Infobox_自動車のスペック表
| 車種= 普通自動車
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}}</ref>。初代生産型は開発コードの901からそのまま901型と称され、部品番号の冒頭にも901が入っている(同様の理由で[[ポルシェ・904]]はポルシェカレラGTSに改名されている)。通称「ナロー」。日本にはミツワ自動車により1965年より輸入されている。技術担当重役はF.トマラ、エンジン開発主任は[[フェルディナント・ピエヒ]]、スタイリングは[[フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ]]が担当した。
 
エンジンは新たに開発された空冷水平対向6気筒でボア内径φ80mm×ストローク行程66mm。低騒音と高出力を兼ね備えており将来性があるとの観点から、従来のプッシュロッド式に換えてSOHCが採用された。排気量は大きなマージンを取りかつ手の届きやすい価格にするため排気量1,991ccになったものの、後の市場の要求次第で2.7Lくらいまで拡大できるようになっていた。総[[アルミニウム合金]]製の[[クランクケース]]、チェーン駆動<ref group="注釈">4気筒の356カレラエンジンではベベルギア駆動であったため騒音が大きく、ベルト駆動はシンプルで静粛であるが当時としては[[ハンス・グラース (自動車メーカー)|ハンス・グラース]]しか採用しておらずリスクを負うべきではないとの結論になり、チェーン駆動となった。高性能エンジンはフライホイールが軽くチェーンに大きな加速力が掛かるため、当時最高品質であったレノルド(''Renold'' )製を採用した。</ref>される[[カムシャフト]]、[[ドライサンプ]]<ref group="注釈">水平対向エンジンは横幅があるため横Gが掛かった時のオイルレベル変動が激しい。ウエットサンプでオイルパンを深く取ればエンジンの重心を上げねばならず、4気筒エンジンでもカレラにはドライサンプが採用されていた。</ref>、鉄をアルミフィンで包んだバイラル構造シリンダー<ref group="注釈">当初はアルミニウム合金、試作段階では鋳鉄製であった。</ref>、軸流式冷却ファン<ref group="注釈">従来使われていたシロッコ式は非常に安価にフォルクスワーゲンから購入できたが効率が劣り、また風が左列に行くので右列用にダクトを設けるか右寄りにファンを移動する対策が必要になっていた。</ref>などが特徴点として挙げられる。[[キャブレター]]は[[ソレックス]]トリプルチョーク40PIオーバーフロー型をツインキャブで採用していた。クラッチはフィヒテル&ザックス(''Fichtel & Sachs'' 、現[[ZFフリードリヒスハーフェン|ZF]])が生産した砂型アルミニウム鋳物製で軸間距離は68mm、φ215mm単板ダイアフラム式。
 
全長は4163mm。全幅は1,610mm。[[ホイールベース]]は2,211mm。トレッドは前1,337mm、後1,317mm。リムは前後とも4.5J15in。タイヤは前後とも165HR15。ブレーキは1系統でパッド面積前52.5cm<sup>2</sup>、後40cm<sup>2</sup>。オルタネーターは490W。
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=== Aシリーズ ===
1967年8月から1968年7月まで生産された。リムが5.5J15に変更された。[[セミオートマチックトランスミッション]]であるスポルトマチック905型<ref group="注釈">トルク比2.0</ref>のオプション設定がされた。スポルトマチック搭載車はエンジン形式が別になっているが、装着に必要なアタッチメントラグを持つ以外の差はない。ブレーキが2系統に増えた。エーバーシュペッヘル製ヒーターはオプションになった。
*'''911L'''([[1968年]]発売) - それまでの'''911'''を改称し、Oシリーズの'''911S'''に続いてブレーキが通風式になった。引き続き901/06型エンジン、スポルトマチック車は901/07型エンジン。アメリカ仕様<ref group="注釈">スロットルを閉じた時排気マニフォールドに空気を吹き込むVベルト駆動のエアポンプが追加されている。</ref>901/14、アメリカ仕様スポルトマチック車901/17。
*'''911T'''([[1968年]]発売) - Tはツーリングを意味する。圧縮比8.6で110PS/5,800rpm、16.0kgm/4,200rpmにデチューンされた901/03型エンジンを搭載し[[ポルシェ・912]]の後継として発売された廉価版。鋳鉄にクロムメッキを施した旧式のクローマルシリンダー、ピストンはアルミダイキャスト、クランクシャフトは一般の911の鍛造から鋳造に変更されるとともにカウンターウェイトを省略されるなど各所でコストダウンされているが、これらのコストダウンはレース車輛への改造を念頭に、すなわちレース車輛でさらに高価なパーツに交換しなければならない、もしくは改造されることが多い箇所に限定されており、レースでもそのまま使用するシリンダーヘッドや吸排気バルブやキャブレターは、低出力エンジンであるにもかかわらず全く'''911S'''と同一である。すなわち、レース車輛とするための素材とも取れる構成である。[[1968年]]セミオートマチックトランスミッションであるスポルトマチックの設定がされ、スポルトマチック車は901/13型エンジン、ブレーキが通風式となった。
*'''911S''' - エンジンはOシリーズと同一。スポルトマチック車は901/08型エンジン。
*'''911R'''([[1967年]]限定発売) - レース、ラリー用特殊モデル。デュアルイグニッション、特殊軽合金製シリンダーの採用、圧縮比10.3、バルブのタイミング変更と大型化、ウェーバー46IDAキャブレター採用等[[ポルシェ・906]]とほぼ同等のチューニングを受け210PS/8,000rpm、21kgm/6,000rpmを発生する901/22型<ref group="注釈">906の901/20型はクランクケースが[[マグネシウム]]製であるがこれは[[アルミニウム]]製である点が異なる。</ref>エンジンを搭載した。ボディーはフロントフェンダー、前後リッド、バンパーがグラスファイバーに置換、窓がアクリルに置換、内装簡素化など非常に軽量化され800kg。先行試作3台と量産20台、計23台が生産された。量産型は製造をカール・バウアが担当し、窓が薄く軽量化されているなど細部が異なる。また量産型のうち数台はワークスに残ってレースに参戦した。1967年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、スポルトマチック搭載車がマラトン・ド・ラ・ルートで総合優勝、1968年ムジェロで行なわれた330マイルレースで3位入賞、1969年ツール・ド・フランスで総合優勝、DOHCの916型エンジン搭載車がコルシカラリーで優勝。1967年モンツァ・サーキットで本来出場予定だった[[ポルシェ・906|906]]の代役でスピード世界記録に挑戦、この際持ち込まれたエンジンが挑戦開始直前に100時間耐久ベンチテストを済ませ点検のために降ろされていたエンジンで、本来記録挑戦に使えるようなものではなかったが手違いで持ち込まれたことが判明し時間がなかったためそのまま使用され、[[トヨタ・2000GT]]が持っていた記録を大幅に更新、連続走行15,000km、10,000マイル、20,000km、72時間、90時間の世界新記録と14の2,000ccクラス国際新記録を達成した。
{| class="wikitable" style=font-size:small
|+ スピード・トライアル記録
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=== Cシリーズ ===
1969年8月から生産された。ボアφ84mm××ストローク内径φ84mm×行程66mmに拡大し排気量2,195cc。マニュアルトランスミッションがアルミニウムダイキャスト製に強化された911型となりクラッチはφ225mmに大径化された。マニュアルトランスミッションは後マグネシウム製に変更された。
*'''911T/2.2''' - 125PS/5,800rpm、18.0kgm/4,200rpmの911/03型エンジンに置換した。スポルトマチック装備は911/06型、US仕様は911/07型、US仕様スポルトマチック装備は911/08型エンジン。キャブレターがソレックス製からゼニス・ストロンバーグ製に置換された<ref name="museum-76">ポルシェ博物館/松田コレクション資料P76』p.76。</ref>。マニュアルトランスミッションは4速が標準でオプションで5速も選択できた。マニュアルトランスミッション車のブレーキが通風式となりこれで全車種通風式となった。容量放電が'''911T'''にも採用され、全車種容量放電点火となった。
*'''911E/2.2''' - マニュアルトランスミッションは5速が標準。155PS/6,200rpm、19.5kgm/4,500rpmの911/01型、スポルトマチックは911/04型エンジン。自動車高調整機能付きハイドロニューマチックストラットを装備している<ref name="museum-76"/>ポルシェ博物館資料P76。</ref>
*'''911S/2.2''' - 180PS/6500rpm6,500rpm、20.3kgm/5200rpm5,200rpmの911/02型エンジン。マニュアルトランスミッションは5速のみでスポルトマチックは用意されなかった。
 
=== Dシリーズ ===
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=== Eシリーズ ===
1971年8月から生産された。ボア内径φ84×ストローク行程φ70.4mmで排気量2,341ccに拡大された。マニュアルトランスミッションがレース用の916型をベースとし軸間距離77mmに拡大されたマグネシウムダイキャスト製5速915型または4速915型に変更された。クラッチがφ225mmに拡大された。オプションのスポルトマチックが強化されつつトルク比2.2に変更された4速925型または3速925/10型に変更された。オイルタンクが右後輪の前に移動された。
*'''911T/2.4''' - 130PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/57型エンジン、スポルトマチックは911/67型エンジン。ヨーロッパ仕様のゼニス製キャブレターのままではアメリカの排気ガス規制に合格できず、アメリカ仕様は'''911E/2.4'''や'''911S/2.4'''と共通の6プランジャー燃料噴射ポンプを採用し140PS/5,600rpm、20kgm/4,000rpmの911/51型エンジン、スポルトマチックは911/61型エンジンとなった。アメリカの排気ガス規制が厳しくなり、1973年1月より[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]のKジェトロニックに変更され圧縮比8.0で140PS/5,700rpm、20.5kgm/4,000rpmの911/91エンジン、スポルトマチックは911/96型エンジンに置換された。
*'''911E/2.4''' - 165PS/6,200rpm、21kgm/4,000rpmの911/52型、スポルトマチックは911/62型エンジン。
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*'''911E/2.4''' -
*'''911S/2.4''' -
*'''911カレラRS2.7'''([[1973年]]限定生産) ? グループ4のホモロゲーションを取るために'''911S/2.4'''をベースに当初500台が限定販売されたもので、ボディを軽量化し、ボア×ストロークφ90mm×70内径φ90mm×行程70.4mm、圧縮比8.5で、2,687ccで210PS/6,300rpm、26kgm/5,600rpmの911/83型エンジンを搭載した。ツーリング、スポーツ、レーシングの3グレードがあり、スポーツグレードの重量は960kg。当初の生産台数はすぐに売り切り、1,000台以上が追加生産されたためグループ3のホモロゲーションも得た。日本に正規輸入されたのはスポーツグレードのみで14台。「73カレラ」と俗称され名車として現在まで語り継がれている。トランスミッションは5速915型のみ。[[ポルシェ・917|917]]からフィードバックされた技術でアルミニウムシリンダーにニッケルとシリコンの化合物を付着させた「ニカシル」シリンダーによりこの大ボアを実現している。ホイールはフロント6J15、リア7J15。タイヤはフロント185/70VR15、リア215/60VR15。
 
=== Gシリーズ ===
1973年8月から1974年7月まで生産された。外観が、米国の連邦自動車安全基準 (Federal Motor Vehicle Safety Standard, FMVSS) のバンパー強度規定Std215に従った5マイルバンパーの装着により一新された。以降930型が製造中止になる1989年まで「ビッグバンパー」と俗称されたが、ノンターボモデルは901型のまましばらく生産された。
エンジンは、ボアφ90×ストローク内径φ90mm×行程70.4mmの2,681ccに拡大された。ニカシルシリンダーで後アルシルシリンダーに変更された。リアサスペンションアームがアルミニウム鋳物製となった。
*'''911/2.7''' - カムシャフトが新型の911/97型に変更された911/92型エンジン、スポルトマチックが911/97型エンジン。
*'''911S/2.7''' - カムシャフトが新型の911/98型に変更された911/93型エンジン、スポルトマチックは911/98型エンジン。
*'''911SC/2.7''' -
*'''911カレラRS3.0'''([[1975年]]限定発売) ? 109台生産され、うち50台以上が'''カレラRSR'''に改造された。ボアφ95×ストローク内径φ95mm×行程70.4mm、圧縮比10.3の2,994ccで230PS/6,200rpm、28.0kgm/5,000rpmの911/77型エンジン。燃料供給は[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]メカニカルインジェクション。トランスミッションは5速915型のみ。ブレーキは[[ポルシェ・917]]から流用したアルミニウム製。ボディ重量は900kg。
*'''カレラRSR'''([[1975年]]限定発売) - '''911カレラRS2.7'''をレース用に改造したもので排気量2,806cc、300PS/8,000rpm、30.0kgm/6,500rpmの911/72型エンジン<!-- デュアルイグニッションを備え330PS/8,000rpm、32.0kgm/6,500rpmの911/75型エンジン(ポルシェ博物館の資料P60)、または315PSの911/74型エンジン -->を搭載している。ブレーキは[[ポルシェ・917|917]]から流用しカムシャフトは[[ポルシェ・906|906]]から流用している。ボディ重量は900kg。1975年には出力が345PSまで向上している。
 
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=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。ブレーキのパッド面積は前78cm<sup>2</sup>、後52.5cm<sup>2</sup>。自動低温始動装置を装備した。給油ポンプが大型化され、冷却ファンが5枚羽根に強化された。Hシリーズ'''911/2.7'''に相当するグレードは廃止され、Hシリーズ'''911S/2.7'''に相当する'''911/2.7'''と'''911SC/2.7'''に相当する'''911カレラ3.0'''のみとなった。[[1976年]]から全車種500℃の[[亜鉛]]槽にドブ漬け<ref name="porsche911story-146">電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146』p.146。</ref><ref group="注釈">電気メッキではない。</ref>で防錆処理されたティッセン(現[[ティッセンクルップ]])製鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。サイドミラーが電動式となった。
*'''911/2.7''' - Hシリーズの'''911S/2.7'''に搭載されていたエンジンを搭載した。
*'''911カレラ3.0''' - ボアφ95×ストローク内径φ95mm×行程70.4mmの2,994cc。オプションで前が7J15inホイールに205/50VR15タイヤでトレッド1,398mm、後が8J15inホイールに225/50VR15タイヤでトレッド1,405mm。
*'''911リミテッド'''([[1976年]]限定発売) - [[フェルディナント・ポルシェ]]生誕100周年<ref>ポルシェ博物館資料P108p.108。</ref>を記念し500台限定。一般の911より70万円も高価であったが日本でも50台が販売された。外部塗装は、ダイヤモンドシルバーメタリック。薄く色が入ったアロイホイール、布ばりシート、パワーウィンドー、フロント色ガラスが特別仕様。
 
=== Kシリーズ ===
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=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。180PS/5,800rpm、25kgm/4,000rpmのエンジン。トランスミッションは5速915型のみと思います
 
== 2代目 930型(1974年-1989年) ==
{{Infobox_自動車のスペック表
| 車種= 普通自動車
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=== Hシリーズ ===
*'''911ターボ'''([[1975年]]発売、[[1976年]]日本発売) - 1973年[[フランクフルトモーターショー]]で「911ターボ」試作車が展示され、280PSで最高速度280km/hとアナウンスされていた。1974年[[モンディアル・ド・ロトモビル|パリサロン]]に「930ターボ」試作車が展示された。生産車はボア×ストロークφ95mm×70内径φ95mm×行程70.4mmで2,994cc、圧縮比6.5の930/50型エンジンを搭載、[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]KEジェトロニックとブースト圧0.8気圧のKKK製ターボチャージャーで260PS/5,500rpm、35.0kgm/4,500rpm。日本仕様は昭和50年(1975年)規制に適合するため等で245PS/5,500rpm、35.0kgm/4,000rpm<ref>外国車ガイドブック'77」P1441977』p.144。</ref>。大パワーに対応するタイヤを納めるべくフェンダーを備え全幅は1,775mmまで拡げられた。1978年モデルからはカタログ上の名称は1978年「ターボ」、1979年「930ターボ」、1980年「911ターボ」と変遷しているが、特別大きな変更はない。豪華な内装をもつ高性能スポーツカーとして高価格ながら販売は好調であった。トランスミッションは当初4速[[マニュアルトランスミッション|MT]]930型であり、ポルシェは「ありあまるパワーには4速で充分」と説明したが、「ポルシェシンクロトランスミッションの許容量がターボのパワーに耐え切れずやむなく4速にした」というのが通説。クラッチ径はφ240mm。
 
=== Iシリーズ ===
1975年8月から生産された。サイドミラーが電動式となった。[[1976年]]から全車種500℃摂氏500度の[[亜鉛]]槽にドブ漬け<ref name="porsche911story-146"/><ref group="注釈">電気メッキではない。「ポルシェ911ストーリー」P146。</ref>で防錆処理された鋼板を採用し、ボディの耐久性が大幅に向上した。
*'''911ターボ'''
 
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=== Lシリーズ ===
1977年8月から生産された。
*'''911ターボ''' - ボア×ストロークφ97mm×74内径φ97mm×行程74.4mm、排気量3,299ccに拡大され圧縮比7.0で300PS/5,500rpm、42.0kgm/4,000rpm。新たに空冷式インタークーラーを装備した。エンジン取り付け位置が30mm後退し、これに伴いリアタイヤの指定空気圧が上げられた<ref>ポルシェ博物館資料P80p.80。</ref>。アメリカ向けと日本向けは排気リアクターと低オクタン対応のため265PSに抑えられている。
 
=== 1978年モデル ===
901型のままだったノンターボ車が930型に移行した。この年[[新潟県警]]に[[パトロールカー]]として配備され、その後20年近く活躍したことが知られている。
*'''911SC'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911S'''に当たる。ボアφ95×ストローク内径φ95mm×行程70.4mmの2,994cc、930/17型エンジン。[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]のKジェトロニック、圧縮比8.5、180PS/5,500rpm、27.0kgm/4,000rpm。
*'''911SCS'''([[1978年]]発売) - 従来の'''911カレラ'''に当たる。
*'''911ターボ'''
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=== 1984年モデル ===
[[1984年]][[フランクフルトモーターショー]]で「カレラ」の名称が復活した。
*'''911カレラ''' - ボア×ストロークφ95mm×74内径φ95mm×行程74.4mm、圧縮比10.3、排気量3,164ccエンジン。225PS/5,900rpm、27.3kgm/4,800rpm。フラップ式の[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Lジェトロニックを採用した。馬力も1973年の'''カレラRS'''を超えたことから、かつてレーシングモデルにのみ与えられていたカレラの名称は以降ノンターボモデルの名称として使用されるようになった。
 
=== 1985年モデル ===
フロアパンとバルクヘッドの板厚が0.75mmから1mmにアップし、剛性が向上した。ターボの日本輸入が再開された<ref>「昨年から再輸入されるようになった」『外国車ガイドブック1986』P136p.136。</ref>。
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ'''
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=== 1986年モデル ===
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ''' - [[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]Kジェトロニック。ターボはKKK製。ボア×ストロークφ97mm×74内径φ97mm×行程74.0mm、3,287cc、288PS/5,300rpm、38.9kgm/4,250rpm<ref>『外国車ガイドブック1986』P208p.208。</ref>。
 
=== 1987年モデル ===
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コンロッドボルトが強化され、ブレーキパッドがアスベストフリーとなった。
*'''911カレラ'''
*'''911ターボ''' - ボディーバリエーションとしてタルガトップ<ref>外国車ガイドブック1988」P142』p.142。</ref>。とカブリオレ<ref>外国車ガイドブック1988」P143』p.143。</ref>を選択できるようになった。
*'''911ターボ・フラットノーズ'''([[1988年]]限定発売) - リトラクタブルライトとすることで空力を改善し、330PSエンジンを搭載したモデル。
 
282行目:
*'''911ターボS'''([[1989年]]限定発売) - 330PSエンジンを搭載し足回りも強化され少数製造された。
 
== 3代目 964型(1989年-1993年) ==
1989年に964型に移行した。ボディー構造が一般的なモノコックとなり、サスペンションのばねがトーションバースプリングからコイルスプリングに変更された。外観は930型に似ているが、80%が新規部品である。また四輪駆動のカレラ4が設定された。
{{main|ポルシェ・964}}
 
== 4代目 993型(1993年-1998年) ==
1993年に993型に移行した。次の996型のエンジンが水冷だったため、911としては最後の空冷モデルとなった。
{{main|ポルシェ・993}}
 
== 5代目 996型(1998年-2004年) ==
1998年に996型に移行した。トレードマークの一つとされて来た空冷エンジンが水冷エンジンとなり[[シャシ (自動車)|シャシ]]も一新された。
{{main|ポルシェ・996}}
 
== 6代目 997型(2004年-2011年) ==
20072004年に997型に移行した。996型で不評だった涙滴型ヘッドライトが廃止となり、往年の丸型ヘッドライトが復活した。シャシーは996ベース。前期型は996ベースのエンジンを使用し、後期型より直噴式新型エンジンに変更され[[デュアポルシェ・ドッペルクチトランスミッショプル|PDK]]が導入された。
{{main|ポルシェ・997}}
 
== 7代目 991型(2011年-) ==
2011年に991型に移行した。最大の特徴は車体に軽量金属を使用した軽量[[シャシ (自動車)|シャシ]]である。エンジンは997後期型を改良。
{{main|ポルシェ・991}}
 
== インターミディエイトシャフトの破損について ==
996型と997前期型に搭載された水冷エンジンではタイミングチェーンがエンジンの左右で前後に分かれて配置されている<ref name="box987">ボクスター/ケイマン最強メンテナンス (別冊ベストカーガイド・赤バッジシリーズ) 講談社 (2009/9/10) ISBN-10: 4061799193</ref>。そのためクランクシャフトからカムシャフトへ動きを伝達するインターミディエイトシャフトの長さが延長されてクランクケース前後を貫通している(空冷時代の基本構造を受け継いだクランクケースを継続使用するターボおよびGT2、GT3を除く)<ref name="box987"/>。このインターミディエイトシャフトの不具合がブログ、掲示板、日本国土交通省の自動車不具合情報ホットラインなどで報告されている。ポルシェ本社は本不具合に対する公式見解を発表していないが、利用者からの情報を総合すると不具合は996型および997前期型で発生している。997前期型の2006年と2007年モデルで応急的な対策(ボルトなどの改良)がなされたが、当該年式においても依然としてインターミディエイトシャフトの不具合は散見される。本不具合は車両走行中に応力のかかるインターミディエイトシャフト(のボルトおよびベアリングの経年変化によって劣化した部分)に負荷が集中した結果、突然耐え切れず破損してしまうものである<ref name="box987"/>。この破損によりインターミディエイトシャフトを通して制御されていたカムシャフトが暴走し、車はエンジンブローによって動作不可能となる。復旧にはエンジンの交換が必要である。2012年10月より、本件に関してポルシェジャパンによるサービスキャンペーン(リコールとは異なる)が実施され、該当車(2001年5月4日から2005年2月21日製造分)は無償で点検、必要に応じ修理されることになった。なお、直噴エンジンに換装された997後期モデルからはインターミディエイトシャフトそのものが存在しないため、本不具合とは無縁である<ref>ポルシェ911のすべて (モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポート 21) 出版社: 三栄書房 (2012/8/9) ISBN-13: 978-4779615009</ref>。
 
== ==
{{Reflist|group="ヘルプ釈"}}
 
{{Reflist}}
== 出典 ==
{{脚注ヘルプ}}{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
*『ワールドカーガイド1ポルシェ』[[ネコ・パブリッシングISBN4]] ISBN 4-87366-090-4
*『われらがポルシェ ポルシェなんでも事典』[[講談社]]
*別冊ベストカーガイド・赤バッジシリーズ『ボクスター/ケイマン最強メンテナンス』講談社 2009年9月10日 ISBN 978-4061799196
*モーターファン別冊 ニューモデル速報/インポート 21『ポルシェ911のすべて』三栄書房 2012年8月9日 ISBN 978-4779615009
*ポルシェ博物館/松田コレクション資料
*[[小林彰太郎]]『世界の自動車-5 ポルシェ』[[二玄社]]
*[[ポール・フレール]]著、平井啓輔訳『ポルシェ911ストーリー』[[二玄社]] ISBN 978-4544040234
*THE 911&PORSCHE MAGAZINE No.63『走り、愉快』
*福野礼一郎『幻のスーパーカー』[[双葉社]] ISBN4ISBN 4-575-28840-3
*『スポーツカーカタログ見聞録』ティーポ 1998年8月号増刊
*『[[輸入車ガイドブック|外国車ガイドブック1975]]』[[日刊自動車新聞]]
*『外国車ガイドブック1976』日刊自動車新聞社
*『外国車ガイドブック1977』日刊自動車新聞社