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'''干潟星雲'''<ref name="astro"/> (ひがたせいうん、[[メシエ天体カタログ|M]]8、[[ニュージェネラルカタログ|NGC]] 6523) は[[いて座]]にある[[散光星雲]]([[輝線星雲]])である。散光星雲を南北に横切る帯状の[[暗黒星雲]]が存在し、その姿が[[干潟]]に似ていることからその名が付けられている。星雲と同じ位置に[[散開星団]] NGC6530 も重なって見える。
 
== 特徴 ==
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いて座の[[南斗六星]]の柄の先端に当たる&mu;星の南西約4°に位置する。M8 の1.4°北には[[三裂星雲]] M20 もあり、共に夏に見られる代表的な散光星雲である。視直径が大きいので双眼鏡でも観察できる。空が暗い場所では肉眼でも確認できる。双眼鏡でも十分楽しめる対象である。望遠鏡では[[干渉フィルター]]を使うことにより、星雲の像はさらに明瞭になる。小口径の天体望遠鏡で見ることができる暗黒星雲の内ではもっとも印象的なものであると言われている。
 
星雲の所々に[[ボク・グロビュール]]と呼ばれる小さく丸い暗黒星雲の塊が見えるのが特徴である。これは[[分子雲]]の密度の高い部分が自己重力で収縮し、やがて[[原始星]]となって輝き始める直前の段階にあるものと考えられる。[[わし星雲|M16]]の中にも同様の暗黒星雲があり[[HST]]で撮影されている。M16の物は太陽系程度の大きさであるが、干潟星雲の物はそれよりも50倍程度大きい。[[ハッブル宇宙望遠鏡]]によって、地上の竜巻のような不気味な星雲のかたまりが撮影されている。
 
星雲の中には[[オリオン大星雲|M42オリオン大星雲]]や[[プレアデス星団|M45プレアデス星団]]と同じように[[閃光星]]が発見されている。僅かな短時間で極端に光度が上昇する。20秒の間に、10.3等から6.8等まで上昇した例がある。
 
星雲の西側の中心にはいて座9番という5.89等星が存在する。この星は[[スペクトル分類]]がO6型の非常に高温の星であり、この星からの紫外線が M8 のガスの電離に大きく寄与していると考えられている。
 
== 観測の歴史 ==
1654年以前にイタリアの天文学者[[ジョヴァンニ・バッティスタ・オディエルナ]]によって観測されていたとされる<ref name="seds" />。オディエルナとは独立して、星雲の前景にある NGC 6530 が[[ジョン・フラムスティード]]によって[[1680年]]ごろ発見された。
 
その後、1746年に[[ジャン=フィリップ・ロワ・ド・シェゾー]]によって星団として再発見され、翌年の1747年にはフランスの[[ギヨーム・ル・ジャンティ]]によって星雲として観測された<ref name="seds" />。[[1764年]]に[[シャルル・メシエ]]が[[メシエ天体カタログ]]に加えた際には、この星雲を星団として登録しており、星団と星雲の両方を発見したと考えられている<ref name="seds" />。メシエは「星団で、単純な3フィート望遠鏡で見ると星雲のように見える。しかしすぐれた機材では、数多くの暗い星団である」と記している<ref name="seds2" />。
 
「干潟」という言葉をM8と関連づけて使ったのは、[[アグネス・クラーク]]であろうと言われている。[[1890年]]の『The System of Stars』という本で、彼女は暗黒星雲の黒い筋を干潟と表現した。
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[[Category:暗黒星雲]]
[[Category:散開星団]]
[[Category:メシエ天体|M008008]]
[[Category:NGC天体|6523]]
[[Category:いて座]]