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'''炭素星'''<ref name="tenmongakujiten408">『天文学辞典』改訂増補第2刷 [[地人書館]] 408P ISBN 4-8052-0393-5</ref>(たんそせい、Carbon star<ref name="tenmongakujiten408"/>)は、[[赤色巨星]]に似た後期[[スペクトル分類|スペクトル型]]の[[巨星]]であり、その大気に[[酸素]]よりも[[炭素]]が多く含まれているものである。2つの元素は大気上層で結合し、[[一酸化炭素]]を形成するため、大気中の酸素が消費され、自由な炭素原子が残る。そのため大気には「[[すす]]」が生じ、赤く見える。
 
[[太陽]]のような通常の[[恒星]]では、大気中に炭素よりも酸素の含量の方が多い。このような恒星は「酸素星」と呼ばれることもある。
 
炭素星は特異なスペクトル型を示し、天体分光学が始まった1860年代に、[[アンジェロ・セッキ]]によって初めて確認された。
 
== 天体物理学的機構 ==
炭素星は、複数の天体物理学的機構によって説明される。McClureは<ref>[http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=1985JRASC..79..277M&db_key=AST&data_type=HTML&format=&high=4422f74cc711450 Robert D. McClure: The carbon and related stars]</ref>、古典的炭素星と、質量の小さい非古典的炭素星に分類した。
 
スペクトル型'''C-R'''や'''C-N'''に属する古典的炭素星では、寿命が尽きかけた[[漸近巨星分枝星]]の内部で[[ヘリウム]]を原料とする[[原子核合成]]、特に[[トリプルアルファ反応]]が起こって炭素が豊富に生産されたと考えられる。これらの[[核融合]]生成物は、対流によって恒星の表面に運ばれる。通常、この種の漸近巨星分枝星は[[水素]]を燃料とするが、1万年から10万年でヘリウムを燃やすようになる。この段階で、恒星の光度は増大し、炭素等の恒星内部で作られた物質が表面に上昇してくる。光度が増大するため、恒星は膨張して、[[ヘリウム融合]]が終了し、水素の燃焼が再び始まる。恒星からの質量の流出が大きくなり、恒星は熱い[[白色矮星]]になって、大気は原始惑星雲の物質となる。
 
スペクトル型'''C-J'''や'''C-H'''に属する非古典的炭素星は、巨星と白色矮星からなる[[連星]]を形成していると考えられている。現在観測される恒星は、伴星由来の炭素に富んだ物質を吸収したものであると考えられている。[[恒星進化論|恒星の進化]]の段階は比較的短く、これらの恒星のほとんどは白色矮星になって生涯を終える。質量転移が終わってかなり時間を経た姿を見ているのであり、観測される過剰な炭素は赤色巨星の内部で作られたものではない<ref>R. McClure, Journal of the Royals Astronomical Society of Canada, vol 79, pp. 277-293, December 1985</ref>。このモデルでは、[[s過程]]元素である炭素と[[バリウム]]の強いスペクトルを持つ[[バリウム星]]の起源も説明できる。このような恒星は、炭素を自身の内部で生成する漸近巨星分枝星と区別するために「外因性」炭素星と呼ばれることがある。これらの「外因性」炭素星の多くは明るくなく、また自身で炭素を生成するほどの温度を持っていない。・そのため、連星になっているということが発見されるまで、炭素の起源は謎であった。
 
スペクトル型'''C-Hd'''に属する謎の水素欠乏炭素星(HdC)は、[[かんむり座R型変光星]]と関連があるようであるが、自身は[[変光星]]ではなく、かんむり座R型変光星に特徴的な特定の[[赤外線]]の放射も行わない。これまで、5つのHdCが発見されているが、連星であることが分かっているものはないため<ref>[http://articles.adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-iarticle_query?bibcode=1996PASP..108..225C&db_key=AST&page_ind=1&plate_select=NO&data_type=GIF&type=SCREEN_GIF&classic=YES The R Coronae Borealis Stars], by Geoffrey C. Clayton, 1996.</ref>、非古典的炭素星との関係も不明である。
 
[[CNOサイクル]]の破綻や[[ヘリウム・フラッシュ]]によって炭素が蓄積したと言う説もある。
 
== 炭素星のスペクトル ==
その定義から、炭素性のスペクトルはC<sub>2</sub>分子に由来する[[スワンバンド]]が大部分を占めている。また、CH、CN([[ジシアン]])、C<sub>3</sub>、SiC<sub>2</sub>等の他の炭素化合物も高濃度で含まれている。炭素は核で合成され、上層に移動することで、恒星表面の組成を劇的に変える。ヘリウム融合やs過程によって合成される、[[リチウム]]やバリウム等の他の元素も同様に表面まで上昇する。
 
炭素星のスペクトル型を考える際、恒星の実効温度を推定することが問題となった。これは、炭素由来のスペクトルが恒星の温度の指標となる[[吸収線]]を隠してしまったためである。
 
アンジェロ・セッキは1860年代に炭素星を発見した際、炭素星のためにIV型という新しい分類を作った。しかし1890年代後半に、N型として再分類された<ref>[http://www.astro.ufl.edu/~gott/AST1002/Additional_Notes/Add_notes.week5 Classification of Stellar Spectra: Some History]</ref>。
 
== 炭素星の一覧 ==
[[ウィキペディア日本語版]]に記事のある炭素星の一覧。
* [[うさぎ座R星]]
* [[うみへび座V星]]
* [[おとめ座SS星]]
* [[オリオン座W星]]
* [[しし座CW星]]
* [[ちょうこくしつ座R星]]
* [[はくちょう座RS星]]
* [[りょうけん座Y星]]
 
== 関連項目 ==
* [[バリウム星]]
* [[S型星]]
* マーク・アーロンソン ([[:en:Marc Aaronson]]) - 炭素星の研究で著名な[[アメリカ合衆国]]の[[天文学者]]
 
== 脚注・出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 外部リンク ==
* [http://adsabs.harvard.edu/cgi-bin/nph-bib_query?bibcode=1985JRASC..79..277M&amp;db_key=AST&amp;data_type=HTML&amp;format=&amp;high=4422f74cc711450 McClure's paper on the carbon and related stars]
* [http://www.astrosurf.com/buil/us/peculiar2/carbon.htm List of 110 carbon stars]
 
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[[Category:恒星の種類]]
[[Category:天文学に関する記事]]