「失われた世代」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
ページの置換: 'ayy lmao'
タグ: サイズの大幅な増減
Carkuni (会話 | 投稿記録)
154.66.246.97(会話)による ID:58354506 の版を取り消し (ポップアップ使用)
タグ: サイズの大幅な増減
1行目:
{{出典の明記|date=2012-1}}
ayy lmao
'''失われた世代'''(うしなわれたせだい)、'''ロストジェネレーション'''(Lost Generation)とは
 
#[[1920年代]]から[[1930年代]]に活躍した[[アメリカ合衆国]]の作家の一群。広義では、[[欧米]]諸国で[[第一次世界大戦]]に遭遇して、従来の価値観に懐疑的である世代も指す。→本項で解説。
#[[1990年代]]以後の[[南アフリカ]]諸国において学校教育を受けずに犯罪を繰り返す青年が社会問題となり、それらの青年を指して呼んだ。
#[[日本]]の[[1950年代]]の[[太陽の季節#太陽族|太陽族]]世代や[[1990年代]]の[[バブル崩壊]]以降の[[就職氷河期]]世代の別称。
 
文学史における'''失われた世代'''([[英語|英]]:'''Lost Generation''')は、[[1920年代]]から[[1930年代]]に活躍した[[アメリカ合衆国]]の小説家を指す語である。広義では、欧米諸国で20代の時に[[第一次世界大戦|第一次大戦]]に遭遇して、従来の価値観に懐疑的になった世代も指す。生年で見ると、[[1880年代]]中期から[[1890年代]]までに生まれた世代とされる。
 
== 概要 ==
[[File:GertrudeStein JackHemingway Paris.jpg|thumb|200px|ヘミングウェイの息子バンビとガートルード・スタイン(1924年)]]
「ロストジェネレーション」という言葉は[[第一次世界大戦|第一次大戦]]後の[[1920年代]]に[[パリ]]に滞在していた[[アーネスト・ヘミングウェイ]]に対し[[ガートルード・スタイン]]が投げかけた台詞(''You are all a lost generation.'' あなたたちは皆、失われた世代なのよ。)に由来し、酒や享楽に溺れる「自堕落な世代」を意味していた。ヘミングウェイがこの台詞を「[[日はまた昇る]]」の[[エピグラフ]]に引用し広く知られるようになった。
 
第一次世界大戦後の当時、[[アーネスト・ヘミングウェイ]]、[[シャーウッド・アンダーソン]]、[[ジョン・ドス・パソス]]、画家の{{仮リンク|ワルド・パース|en|Waldo Peirce}}、[[シェイクスピア・アンド・カンパニー書店|シェイクスピア書店]]主の[[シルビア・ビーチ]]、詩人では[[E・E・カミングス]]、[[エズラ・パウンド]]、批評家では[[マルカム・カウリー]]そしてスタイン自身など、パリで生活したアメリカ人の一群がいた。[[F・スコット・フィッツジェラルド]]もこの頃パリに旅行し、スタインらと交友を持った。
 
ヘミングウェイの「[[日はまた昇る]]」(1926年)やフィッツジェラルド「[[グレート・ギャツビー]]」(1925年)などの作品は[[ロストジェネレーション]]の文学と呼ばれた。延いては、文学だけでなく、「第一次大戦後に青年期を迎えた[[アメリカ合衆国#国民|アメリカ人]]」も指すようになった。
 
「ロスト」という語は「''失った''」という意味を持つ一方で、「''迷子の''」「''行き場の無い''」という意味も持つ。「ロストジェネレーション」は「失われた世代」と訳されるが、「'''迷子世代'''」「'''迷える世代'''」と訳される場合もある。この世代が、第一次大戦により、旧来の価値観に対する動揺や、戦死といった災禍に襲われた経験もまた、「ロストジェネレーション」という語を生んだ背景になっている。
 
[[ヨーロッパ]]では、ロストジェネレーションは「[[1914年]]世代」とも呼ばれている(1914年は第一次世界大戦の始まった年)。[[フランス]]では「'''炎の世代''' (''Génération au Feu'') 」とも呼ばれている。
 
== 特徴 ==
ロストジェネレーションの人々は、[[第一次世界大戦|第一次大戦]]における大量の犠牲により、親世代が持つ[[ヴィクトリア朝|ヴィクトリア期]]の[[道徳|モラル]]に対して冷笑的になったとされる。また、第一次大戦に遭遇したが故に、社会と既成の価値観に絶望し、その中で生きる指針を'''失い'''、社会の中で'''迷った'''世代である。どの世代の例に漏れず、この例に該当する者と該当しない者の双方が存在した。
 
ロストジェネレーションは、20代の青年期を第一次大戦に蹂躙され、戦死したり、生き残ったが社会生活に支障を来たす負傷をした者も多い。40代に当たる[[1930年代]]には[[世界恐慌]]に遭遇し、50代を[[第二次世界大戦|第二次大戦]]に蹂躙されるという、「貧乏くじ世代」であったとも言える。
 
ロストジェネレーションの子供世代は'''[[ビート・ジェネレーション]]'''と呼ばれており、純粋なアメリカ文化と言われる[[ジャズ]]が花開いた時代([[ジャズ・エイジ]])に9歳までの時期を過ごしたが、10代の少年期を世界恐慌に蹂躙され、20代の青年期を第二次大戦に蹂躙されるという、これまた「貧乏くじ世代」であったとも言える。
 
ロストジェネレーションの人々の中には、当時の[[アメリカ文化]]がヨーロッパに存在する文明性を欠いていると考えた者もいた。彼らは「[[狂騒の20年代|ローリング・トゥエンティーズ]]」と呼ばれる好景気に沸いていたアメリカを後にして、その時間の多くをヨーロッパ、中でもパリを中心に生活していた。この期間に生み出された文学作品の中に、後に[[アメリカ文学]]における傑作と目される作品も多い。
 
== 該当する人物 ==
[[1883年]] - [[1900年]]生まれの人物の例を以下に挙げる。
*1883年 {{仮リンク|エルザ・マックスウェル|en|Elsa Maxwell}}(1963年死去)
*1884年 [[デイモン・ラニアン]](1946年死去)
*1885年 [[シンクレア・ルイス]](1951年死去)
*1885年 [[ジョージ・パットン]](1945年死去)
*1886年 [[アル・ジョルソン]](移民; 1950年死去)
*1887年 [[ロスコー・アーバックル]](1933年死去)
*1888年 [[アーヴィング・バーリン]](移民; 1989年死去)
*1889年 [[ウォルター・リップマン]](1974年死去)
*1890年 {{仮リンク|エイミー・センプル・マクファーソン|en|Aimee Semple McPherson}}(1944年死去)
*1890年 [[ドワイト・D・アイゼンハワー]](1969年死去)
*1891年 [[アール・ウォーレン]](1974年死去)
*1891年 [[サッコ・ヴァンゼッティ事件|ニコラ・サッコ]](移民; 1927年死去)
*1892年 [[ラインホルド・ニーバー]](1971年死去)
*1893年 [[メイ・ウエスト]](1980年死去)
*1893年 [[ドロシー・パーカー]](1967年死去)
*1893年 [[ヒューイ・ロング]](1935年死去)
*1894年 [[ノーマン・ロックウェル]](1978年死去)
*1894年 [[アルフレッド・キンゼイ]](1956年死去)
*1895年 [[バックミンスター・フラー]](1983年死去)
*1895年 [[ジョン・エドガー・フーヴァー]](1972年死去)
*1895年 [[ベーブ・ルース]](1948年死去)
*1896年 [[ジョン・ドス・パソス]](1970年死去)
*1896年 [[ジョージ・バーンズ]](1996年死去)
*1896年 [[F・スコット・フィッツジェラルド]](1940年死去)
*1897年 [[ドロシー・ディ]] (1980年死去)
*1898年 [[ポール・ロブスン]](1976年死去)
*1898年 [[ヘルベルト・マルクーゼ]](移民; 1979年死去)
*1899年 [[ウラジミール・ナボコフ]](移民; 1977年死去)
*1899年 [[ハンフリー・ボガート]](1957年死去)
*1899年 [[アル・カポネ]](移民; 1947年死去)
*1899年 {{仮リンク|ジミー・デイヴィス|en|Jimmie Davis}}(2000年死去)
*1899年 [[アーネスト・ヘミングウェイ]](1961年死去)
*1899年 [[アルフレッド・ヒッチコック]](移民; 1980年死去)
*1900年 [[アーロン・コープランド]](1990年死去)
*1900年 [[アドレイ・スティーヴンソン]](1965年死去)
 
代表的な文学作品には次のようなものが挙げられる。:
 
*小説『''[[グレート・ギャツビー]]''』 F・スコット・フィッツジェラルド
*詩『''[[荒地]]''』 [[T・S・エリオット]]
*小説『''[[日はまた昇る]]'' 』 アーネスト・ヘミングウェイ
*小説『''[[バビット]]''』 [[シンクレア・ルイス]]
*小説『''[[響きと怒り]]'' 』 [[ウィリアム・フォークナー]]
*映画『''[[モンキー・ビジネス (映画)|モンキー・ビジネス]]'' 』 [[マルクス兄弟]]
*楽曲『''[[パリのアメリカ人]]'' 』 [[ジョージ・ガーシュイン]]
*楽曲『''[[浮気はやめた]]'' 』 [[デューク・エリントン]]
*小説『''[[マルタの鷹]]'' 』 [[ダシール・ハメット]]
*小説『''[[大いなる眠り]]''』 [[レイモンド・チャンドラー]]
*小説『''[[老人と海]]'' 』 アーネスト・ヘミングウェイ
*評論『''[[亡命者の帰還]]'' 』 [[マルカム・カウリー]]
 
この時代に誕生したアメリカ大統領は次の2人である。
*1884年誕生 [[ハリー・S・トルーマン]] 任期1945年 - 1953年(1972年死去)
*1890年誕生 ドワイト・D・アイゼンハワー 任期1953年 - 1961年(1969年死去)
 
この世代に誕生した政治家は、[[1937年]]から[[1953年]]にかけて合衆国議会下院で、[[1943年]]から[[1959年]]には上院で、そして[[1941年]]から[[1967年]]まではアメリカ合衆国最高裁判所で多数派を形成した。
 
=== アメリカ人以外で、同じ時代に生まれた者 ===
1880年代中期から1890年代まで([[1883年]] - [[1900年]])に生まれた世代は、「'''[[第一次世界大戦]]に遭遇した世代'''」でもある。日本で言えば、概ね明治10年代後半から明治20年代までの生まれ([[1882年]] - [[1896年]]生まれ)<!--幕末生まれの子供世代、大正生まれの親世代に当たる-->が、この世代に該当する。
 
子供世代は概ね[[1910年代]] - [[1920年代]]の生まれに当たり、「'''[[世界恐慌]]と[[第二次世界大戦]]に遭遇した世代'''」である。孫世代は概ね[[1940年代]]から[[1950年代]]の生まれであり、'''第二次世界大戦の最中か終結直後に生まれた世代'''である。曽孫世代は概ね[[1970年代]]から[[1980年代]]の生まれであり、[[1990年代]]の「[[アメリカナイゼーション]]」と呼ばれる[[グローバル資本主義]]や世界的不況に遭遇し、日本で「ロストジェネレーション」と呼ばれている'''[[プレカリアート]]が世界的にも多い世代'''である。
 
以下に挙げるように、この1880年代中期 - 1890年代に生まれた人々には、第二次大戦を惹き起こしたり、関与した政治家が非常に多いが、彼らの経験が第一次大戦に根ざしている事は言うまでもない。
 
[[ベニート・ムッソリーニ]]、[[東條英機]]、[[蒋介石]]、[[チャーリー・チャップリン]]、[[アドルフ・ヒトラー]]、[[ホー・チ・ミン]]、[[シャルル・ド・ゴール]]、[[近衛文麿]]、[[芥川龍之介]]、[[毛沢東]]、[[ニキータ・フルシチョフ]]、[[パウロ6世 (ローマ教皇)|パウロ6世]]、[[ハイレ・セラシエ1世]]、[[エルヴィン・ロンメル]]、[[ゲオルギー・ジューコフ]]、[[ヘルマン・ゲーリング]]、[[岸信介]]、[[アントニオ・サラザール]]、[[ヴィドクン・クヴィスリング|クヴィスリング]]、[[J・R・R・トールキン]]、[[バーナード・モントゴメリー]]、[[ルカーチ・ジェルジ]]、[[アントニオ・グラムシ]]、[[マックス・ホルクハイマー]]、[[ナジ・イムレ]]、[[ヤン・マサリク]]、[[ジョージ6世 (イギリス王)|ジョージ6世]]、[[フリッツ・ラング]]、[[ルイス・マウントバッテン]]、[[マルク・シャガール]]、[[エーリッヒ・マリア・レマルク]]、[[ジョアン・ミロ]]、[[ボリス・パステルナーク]]、[[セルゲイ・プロコフィエフ]]、[[ディエゴ・リベラ]]、[[フランツ・カフカ]]、[[オルダス・ハクスリー]]、[[谷崎潤一郎]]、[[ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン]]、[[マルティン・ハイデガー]]、[[和辻哲郎]]などである。
 
== 南米・アフリカ・インド・イラク・フランス・オーストラリア ==
1990年代に、南アフリカやラテンアメリカ、インド・イラク・フランス・オーストラリアの教育を受けていない''Lost Generation''が、武装し強盗や強姦を繰り返すことが世界的な社会問題となった。スタインが「''You are all a lost generation.''」と述べた時と同様に、「自堕落な世代」というニュアンスで用いられている。<!---内容はだいぶ違うなあ--->
*The Politics of Education: South Africa's Lost Generation. (EJ429512) Author(s): Green, Max Source: American Enterprise, v2 n3 p12-15 May-Jun 1991
*Children in the Streets: Latin America's Lost Generation. (EJ508908) Author(s): Rizzini, Irene; Lusk, Mark W. Source: Children and Youth Services Review, v17 n3 p391-400 1995
 
#* [http://pbdspace.kj.yamagata-u.ac.jp/w6/kaeru.php?%A5%ED%A5%B9%A5%C8%A5%B8%A5%A7%A5%CD%A5%EC%A1%BC%A5%B7%A5%E7%A5%F3 その他Lost Generationについて書かれた文献一覧:]
 
== 日本でのLost Generationという語彙の違い ==
1990年代に、ドラッグに溺れ略奪や殺人などを繰り返す''Lost Generation''に悩まされ、文字の読み書きを教え、労働へ導くべきだという議論が繰り返された。
 
2000年後半になり、一部のメディアを中心に、日本でも「Lost Generation」という語が使われるようになったが、ニュアンスがかなり異なるため、海外で話をするときには十分な説明を要する。労働問題に起因している点は同様であるが、海外で「Lost Generation」といえば、殺人強盗集団のような暴力的な青年のイメージであるが、日本では必ずしも暴力的な集団を指しているわけではない。日本の「Lost Generation」は、アメリカでは「[[ジェネレーションY|Generation Y]]」と呼ばれる世代である。従って、日本で言う所の「Lost Generation」は、アメリカで言う所の「Lost Generation」の曽孫世代に当たる。
 
== 関連項目 ==
*[[アメリカ文学]]
*[[第一次世界大戦]]
*[[狂騒の20年代]](ローリング・トゥエンティーズ)
*[[世界恐慌]]
*[[第二次世界大戦]]
*[[モダニズム]]
*[[モンパルナス]]
*[[モダーンズ]](関連映画)
*[[ビート・ジェネレーション]](子供世代)
*[[ベビーブーマー]](孫世代)
*[[ジェネレーションY]](曽孫世代)
 
== 外部リンク ==
*[http://www.msz.co.jp/news/topics/07388.html みすず書房「ロストジェネレーション」]
 
{{先代次代|アメリカ合衆国の[[世代]]|'''失われた世代'''<br />1883年-1899年|[[ミッショナリー・ジェネレーション]]<br />1860年-1882年<br />|[[戦間期世代]]<br />1900年-1913年}}
 
{{DEFAULTSORT:うしなわれたせたい}}
[[Category:アメリカ合衆国文学]]
[[Category:失われた世代|*]]
[[Category:アメリカ合衆国の歴史 (1918-1945)]]
[[Category:世代]]
[[Category:文学運動]]
[[Category:1880年代生]]
[[Category:1890年代生]]