削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
100行目:
 
=== 在所受刑者数 ===
20132014年末現在、無期懲役が確定し[[刑事施設]]に拘禁されている者の総数は18431842人である<ref name="houmuhogo21">[http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo21.html 無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について] 法務省保護局</ref>。
 
=== 仮釈放中の処遇 ===
108行目:
無期刑仮釈放者における刑事施設在所期間について、従前においては、十数年で仮釈放を許可された例が少なからず(特に1980年代までは相当数)存在したが、1990年代に入ったころから次第に運用状況に変化が見られた。
 
2003年<!--http://www.moj.go.jp/content/000057318.pdfの表2-1にはたしかに2004年に19年11月での許可者が存在するが、同資料の9頁によると、「表2-1は、審理終結時を基準としており、実際に刑事施設を出た時点での在所期間とは異なる」と記載されており、また矯正統計年報や犯罪白書、保護統計年報でも2003年以降、20年未満での仮釈放がないことが明らかになっている-->以降では、仮釈放を許可され出所した者全員が20年を超える期間刑事施設に在所しており、それに伴って、仮釈放を許可された者における在所期間の平均も、1980年代までは15年-18年であったものの、1990年代から20年、23年と次第に伸長していき、2004年以降では、現在までのところ一貫して25年を超えるものとなっており、2004年が25年10月、2005年が27年2月、2006年が25年1月、2007年が31年10月、2008年が28年7月、2009年が30年2月、2010年が35年3月、2011年が35年2月、2012年が31年8月、2013年が31年2月、2014年が31年4月となっている<ref>矯正統計年報</ref><ref name="houmuhogo21" />。
 
また、本人の諸状況から、仮釈放が認められず、30年を超える期間刑事施設に在所し続けている受刑者や刑務所内で死を迎える受刑者も存在しており、20122014年12月31日現在では刑事施設在所期間が30年以上となる者は127182人、また20032005年から20122014年までの刑事施設内死亡者(いわゆる獄死者)は143154人となっている<ref name="houmuhogo21" />。1985年の時点では刑事施設在所期間が30年以上の者は7人であったため<ref>1985年5月31日付[[中日新聞]]社会面による。</ref>、このことから、当時と比較して仮釈放可否の判断が慎重なものとなっていることがうかがえる。
 
=== 風説 ===
117行目:
ただ、その一方で、近年、無期刑受刑者における仮釈放について、困難性を強調しすぎる風説も見受けられる。たとえば、「千数百人の無期刑受刑者が存在するにもかかわらず、近年における仮釈放は年間数人であるから、仮釈放率は0%台であり、ほとんどの受刑者にとって仮釈放は絶望的である」「2005年の刑法改正で、有期刑の上限が20年から30年となったため、無期刑受刑者は仮釈放になるとしても30年以上の服役が必定である」といったものがそれである。
 
たしかに、20132014年末時点において、18431842人の無期刑受刑者が刑事施設に在所しており、同年における仮釈放者は86人であったが<ref name="houmuhogo21" /><ref>110矯正統計年報による。</ref>、近年無期刑の判決を受ける者自体が増加しており、そのため、その約5040%は仮釈放が可能となる10年を経過していない者であり、これに現実に仮釈放の対象になりにくい20年を経過していない者を加えると全体の約75%にあたるため、これらの者(特に10年を経過していない者)を対象に加えるのは計算手法的に問題があり、また死亡や新規確定、年数経過による入れ替わりはあるものの、ある受刑者がその年に仮釈放とならなくても、その受刑者が生存する限りにおいて連続的に、仮釈放となる可能性は存し続けるため、単純な計算手法によって算定できる性質のものではないことを留意しなければならない。
 
また、刑法改正によって有期刑の上限が30年に引き上げられたといえども、仮釈放は無期刑・有期刑の区別にかかわらず存在しているため、現制度における懲役30年も絶対的な懲役30年ではなく、前述の規則28条の基準に適合すれば、30年の刑期満了以前に釈放することが可能であり、刑法の規定上はその3分の1にあたる10年を経過すれば仮釈放の可能性があることを留意しなければならない。仮に、重い刑の者は軽い刑の者より早く仮釈放になってはならないという論法を採れば、30年の有期刑は、29年の有期刑より重い刑であるから、29年未満で仮釈放になってはならないということになり、その場合、仮釈放制度そのものの適用が否定されてしまうからである。無期懲役と懲役30年の受刑者において、両者とも仮釈放が相当と認められる状況に至らなければ、前者は本人が死亡するまで、後者は30年刑事施設に収監されることになり、片方が矯正教育の結果仮釈放相当と判断され、もう片方はその状況に至らなければ、片方は相当と判断された時点において仮釈放され、もう片方は刑期が続く限り収監されることになるし、両者とも顕著な矯正教育の成果を早期に示せば、理論的にはともに10年で仮釈放が許可されることもありうるのであり、矯正教育の成果や経緯において場合によっては刑事施設の在所期間が逆転しうることは仮釈放制度の本旨に照らしてやむをえない面もある<ref group="注">それを認めない場合、仮釈放制度をともに廃止するか、無期刑受刑者を仮釈放できるまでの期間を30年に引き上げるかの選択となる。ここで後者を選択する場合、無期刑と30年の有期刑で仮釈放を許可できる最短期間に20年の差異が生じ、仮にこの差異を解消しようとすると、「3分の1」という有期刑の仮釈放の条件を引き上げることが考えられるが、その場合短期の刑を含む有期刑全体の整合性を考慮する必要が生じ、議論はもはや無期刑だけの問題にとどまらなくなり、刑事拘禁政策全体の議論となる{{要出典|date=2010年2月}}</ref>{{Refnest|group=注|なお、有期刑の上限引き上げの立法趣旨については、近年の犯罪情勢や国民感情の変化や平均寿命の延びなどを踏まえ、適切な刑を科すことができるようにするために必要であるという説明に加え、有期刑と無期刑との間で、仮釈放の資格が得られるまでの期間に連続性を持たせることにも配慮したとの説明がなされている<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/161/0004/16111090004005a.html 第161回国会 法務委員会第5号]</ref>。}}。もっとも、有期刑の受刑者については、過去では長期刑の者を中心として、刑期の6-8割あるいはそれ未満で仮釈放を許可された事例も相当数存在していたが、近年においては多くが刑期の8割以上の服役を経て仮釈放を許可されており<ref>110号までの矯正統計年報による。</ref>、このことからも、当該状況の継続を前提とすれば、将来において、無期刑受刑者に対して過去のような仮釈放運用は行い難いという間接的影響は認められるが、それ以上の影響を有期刑の引き上げに根拠づけることは理論的に不十分といえる。
191行目:
*[[拘留]]
*[[恩赦]]
*[[有期刑]]
*[[無期刑]]
*[[終身重無期刑]](現在施行されている日本の[[刑法]]にこの制度は無い)
*[[法律上の身柄拘束処分の一覧]]
*[[強制労働]]