「竹筋コンクリート」の版間の差分

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河村はこれらの竹の欠点を克服する為、竹筋コンクリートの施工に当たっては、
 
* 竹材伐採の際には竹の材齢で最も強度が高くなる4-5年材を選定し、竹材の含水量が最も低くなる秋季(9-11月)に伐採を実施すること。
* 鉄筋コンクリートよりもコンクリートの被りを大きめに取る(概ね鉄筋比+1cm程度)こと。
* 竹は丸竹のまま用いず、可能な限り半割竹に加工するか、鋸歯状の凹凸加工を施した上で、一定間隔で番線を縛り付けてコンクリートとの付着性を高めること。
* 丸竹・割竹の別なく、竹の節は削らずにそのままの状態で施工を行うこと。
* 割竹とした場合、強度の高い外皮側を構造物の引っ張り強度が掛かる面に必ず向けて配筋すること。
* 竹は先端部と根元部で強度が異なるため、一列に配筋する際には端部に先端・根元を交互に配すること。
* 竹の表面に[[鉛白]]や[[柿渋]]、[[コールタール]]や合成樹脂塗料などを塗布して吸水防止の措置を取るか、配筋作業の直前まで竹筋を特殊な防腐液<ref>[http://brtc.at.webry.info/200601/article_6.html 国立米子工業高等専門学校建築学科 玉井研究室ブログ - 竹筋コンクリートについて(耐アルカリ処理)]</ref>に浸して'''硬化竹筋'''処理<ref>特許明細第135165号(昭和14年公告第5994号) - 竹ヲ應用セル「コンクリート」筋材ノ製造法 - 七條 記會一</ref>した上で配筋し、コンクリートの打設を行うこと。
 
等の施工方法を推奨している。但し、このような厳格な施工指針を遵守した場合であっても、大きな曲げ強度の掛かる梁や桁橋においては施工可能なスパンは最大でも4m程度が限界であり、多くは柱や底版、橋脚基部などの圧縮強度が掛かる構造物に用いられる程度に留まり、終戦後間もなく鉄筋材の供給体制が回復し、鉄筋コンクリートが復活すると竹筋コンクリートは瞬く間に廃れていった。
 
日本に置いては現在でも一部に竹筋コンクリート構造物が現存し、中には現役の構造物も存在する。また未確認ながら竹筋の可能性が囁かれている現役の構造物もある。他に、[[国際協力機構|独立行政法人国際協力機構 (JICA) ]]が東南アジアの国々において、経済的事情から鉄筋の購入が難しい貧困地域向けの小規模建造物建設技術指導に、戦前の河村・細田の竹筋コンクリート施工法を用いている例がある<ref>[http://www.yonago-k.ac.jp/Archi/grad/2008/25.pdf 竹筋コンクリート造によるJICA 草の根援助プロジェクトへの技術協力]</ref>。東南アジアでも竹材の産出量が多い地域では、均しコンクリートの補強材等として補助的に竹筋コンクリートが施工される例は、元より多く見られる傾向ではある<ref>[http://www.buildinginasia.com/bamboo-reinforced-concrete.html Bamboo Reinforced Concrete Construction]</ref>が、日本の大学などが[[バイオマス]]研究の一環として現地の研究機関と共に技術開発を模索している例も見られる<ref>[http://www.ags.dir.u-tokyo.ac.jp/pages/150/S-13.pdf 東南アジア地域のインフラ整備におけるバイオマス利用の可能性]</ref><ref>[http://www.arch.eng.osaka-cu.ac.jp/kougai/2012/master/051.pdf 曲げとせん断を受ける竹筋コンクリート部材に関する研究]</ref><ref>[https://hispec.sharepoint.com/Pages/brc.aspx もくしつけん 竹筋コンクリート]</ref>。
 
日本以外での本格的な竹筋コンクリートの研究例としては、1966年に[[アメリカ海軍]]土木研究所(現・[[:en:NFESC|NSFEC]])の土木技師、Francis E. Brink及びPaul J. Rushによって「BAMBOO REINFORCED CONCRETE CONSTRUCTION」というレポートが発表されている<ref>[http://www.romanconcrete.com/docs/bamboo1966/BambooReinforcedConcreteFeb1966.htm BAMBOO REINFORCED CONCRETE CONSTRUCTION]</ref>。
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=== 現役 ===
* [[松浦鉄道西九州線]]([[福井川橋梁]])※)<ref>[http://hayabusa-3.dreamlog.jp/archives/51283460.html 断層を乗り越えた竹筋コンクリートの福井川橋梁]</ref>※
* [[厳美渓]]長者滝橋 - 1939年の建設時に竹筋使用の証言が残る。1987年の強度調査で竹片が検出されるも、確定までは至らず。付近に竹筋説を示す看板が設置されている。1999年より登録有形文化財。
 
=== 現存するもの ===
* [[大間線]]([[未成線]])
 
* [[戸井線]](未成線)
* [[宮原線]](1984年に[[廃線]]、線内の[[アーチ橋]]に使用。[[2004年]]より[[登録有形文化財]])
* [[岩国徴古館]]※ - 1945年竣工、柱に使用。
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* [[名古屋市]]旧大正橋※ - 橋脚基部。現在の大正橋近辺に一部が残存
* 宇和島市立和霊小学校※ - [[プール]]の底版部に竹筋を使用。[[昭和南海地震]]にも無傷で耐えたが、平成19年に解体撤去<ref>[http://www16.tok2.com/home/uwajimakun/saikin/07-03-00/07-03-warei01.html 平成19年3月・和霊小学校のプールが消えた]</ref>。
* [[戸井線]]蓬内橋(未成線)- 2013年3月19日に解体された結果、無筋橋であった事が判明した。<ref>{{Cite web|url=http://ehako.com/news/news2013a/5870_index_msg.shtml|title=旧戸井線遺構「蓬内橋」、無筋コンクリ製だった|publisher=函館新聞社|date=2013-3-27|accessdate=2014-11-15}}</ref><ref>[http://www.workvisions.co.jp/weblog/2013/04/11/「戦時設計」という言葉 「戦時設計」という言葉]</ref>
 
== 分析方法 ==
* [[非破壊検査]]の一種で[[X線撮影|X線]]や[[放射線透過検査]]で透過画像を検出
* [[地中レーダー探査]]
* [[金属探知機]]
* [[超音波探傷検査]]
 
== 関連項目 ==
* [[複合材料]]
* [[鉄筋コンクリート]]
 
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
* 永冨 謙 (nagajis) 『廃道を読む (21) 竹筋コンクリートニ就テ』「[http://www.the-orj.org/ORJ_0801/index.php 日本の廃道 第21号]」日本の廃道編集部、2008年
* 河村 協「竹筋コンクリート」山海堂出版、1941年
* 細田 貫一「竹筋コンクリート工」修教社書院、1942年
 
== 外部リンク ==
* [http://www.fujii-kiso.co.jp/topics/forum/kenshuu/2007/17.pdf 竹筋橋(ちっきんきょう)]
* [https://hispec.sharepoint.com/Documents/竹筋コンクリート.pdf 竹筋コンクリート]
 
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