削除された内容 追加された内容
→‎テレビドラマ: 銭形平次 捕物控|
→‎テレビ時代劇: 銭形平次 (大川橋蔵)
161行目:
1953年(昭和28年)2月、NHKテレビが開局してTV放送スタートと同時にテレビ時代劇の歴史も始まった。ただし当時はテレビカメラによる30分のスタジオドラマで生放送であり、同年7月に放送された笈川武夫主演『半七捕物帳』がテレビ初の時代劇であり、翌年1954年6月にNTVが放送した『エノケンの水戸黄門漫遊記』が民放初の時代劇とされている<ref group="注釈">しかし内容はミュージカル調講談でバラエティー番組でもあった。</ref>。また初期には子ども向け時代劇として夕方に『赤胴鈴之助』<ref group="注釈">1957年にKRラジオからラジオ番組として始まり、その後KRTよりテレビ番組となった。主演は尾上緑也。共演者にはラジオで吉永さゆり、藤田弓子、山東昭子(ナレーション)、テレビでは同じ役で吉永さゆり、他に五月みどりが出演していた。また当時ほぼ同時に大阪の大阪テレビ(後に朝日放送と毎日放送に分かれる)が同じ番組を別に製作している。</ref>『猿飛佐助』『孫悟空』などの番組が放送された。
 
テレビ創成期の最初の時代劇スターは[[中村竹弥]]で最初の『江戸の影法師』(1955年)で認められて当時のKRT(現在のTBS)と専属契約を結び、『半七捕物帳』(1956年)、『右門捕物帳』(1957年)、『又四郎行状記』(1958年)、そして『旗本退屈男』(1959年)から『新選組始末記』<ref group="注釈">1961年10月から1962年12月まで、毎週火曜日夜に放送され、近藤勇が中村竹弥、土方歳三に戸浦六宏。スタジオドラマで池田屋襲撃を当時としては珍しくフィルム撮影ではなく、テレビカメラでの屋外中継を入れて、テレビ時代劇の歴史に残る番組であった。</ref>などに出演した。この他に大人にも楽しめる時代劇として『[[鞍馬天狗 (小説)|鞍馬天狗]]』<ref group="注釈">KRT・TBS系で何度か主演を変えて放送されており、1956年11月から始まった最初の放送には市川高麗蔵、その後市川団子(後の市川猿之助)、そして中村竹弥が1963年に主演している。</ref>『快傑黒頭巾』<ref group="注釈">1958年日本テレビ系で当初は若柳敏三郎、途中から外山高士主演。共演で松島トモ子。映画で大友柳太郎のシリーズがある。</ref>『丹下左膳』<ref group="注釈">1958年日本テレビ系で丹波哲郎が主演。</ref>『銭形平次 捕物控』<ref group="注釈">1958年KRT系で若山富三郎主演、その後1962年同じTBS系で安井昌二主演があり、後にフジテレビ系で大川橋蔵主演の長期シリーズとなった。</ref>『眠狂四郎』<ref group="注釈">1957年日本テレビ系で江見俊太郎主演。池内淳子共演。柴田錬三郎原作の初のテレビドラマ化であった。</ref>『鳴門秘帖』<ref group="注釈">1959年KRT系で水島道太郎主演。</ref>『新吾十番勝負』<ref group="注釈">1958年日本テレビ系で細川俊夫主演。その後『新吾二十番勝負』がフジテレビ系で夏目俊二主演で放送された。</ref>などが放送された。
 
また民放テレビ局の開局と同時にそのテレビ局に資本参加している映画会社が独自に製作した時代劇を放映している。代表作が『風小僧』『白馬童子』<ref group="注釈">風小僧は1959年、白馬童子は1960年で両作とも東映製作で当時資本参加していたNET(現テレビ朝日)系。主演は山城新吾。</ref>『源義経』<ref group="注釈">『風小僧』と同じ1959年に製作された東映作品。南郷京之助主演。その少年時代の牛若丸を演じたのが当時13歳だった北大路欣也である。</ref>『若さま侍捕物帳』<ref group="注釈">1959年関西テレビ系で夏目俊二主演。製作は関西テレビに資本参加していた東宝系の宝塚映画。劇場用映画では大川橋蔵主演のシリーズがある。</ref>である。そして国産テレビ映画が増加した[[1962年]]秋から4年前に『月光仮面』をヒットさせた宣弘社が、同じ船床定男監督で主演も同じ大瀬康一で『[[隠密剣士]]』が放映を開始してヒットした。この番組で初めて忍者の世界を描き、その忍者の殺陣は以後の時代劇作品の忍者の描写の元になっている<ref group="注釈">元来は隠密もののジャンルに入るが、第2部でテコ入れして忍者路線に切り替えたことが成功につながった。そしてここでの忍者の行動や所作はプロデューサーのオリジナルであり、忍者が刀を逆手に持つポーズや卍型の手裏剣などは、その後の忍者ものに影響を与えた。樋口尚文「月光仮面を創った男たち」165P参照。平凡社新書、2008年9月</ref>。
167行目:
そして[[1963年]]4月から、[[日本放送協会|NHK]]が現在まで続く長寿時代劇シリーズとなる[[大河ドラマ]]の放送を開始した。その第1作『[[花の生涯]]』は井伊大老役に歌舞伎界から[[尾上松緑]]、長野主膳役に映画界から[[佐田啓二]]([[中井貴一]]の父)を起用し、2作目の『[[赤穂浪士 (NHK大河ドラマ)|赤穂浪士]]』には映画界から[[長谷川一夫]]、民芸から[[滝沢修]]、[[宇野重吉]]、歌舞伎界から[[尾上梅幸]]など当時豪華な顔ぶれが揃い、テレビ時代劇の1つのエポックとなった。3作目は『[[太閤記]]』で新国劇から[[緒形拳]]が主演、文学座から[[高橋幸治]]、俳優座から[[佐藤慶]]など若い人材が出演して、4作目が『源義経』で歌舞伎界から尾上菊之助(現[[尾上菊五郎 (7代目)|尾上菊五郎]])が主演。毎年1作ずつ膨大な時代劇が制作されている<ref group="注釈">1994年と1995年は1年間ではなく『[[琉球の風]]』『[[炎立つ]]』『[[花の乱]]』の3作品が半年と9か月間の放送であった。</ref>。
 
その後も映画の世界では時代劇が衰退していく中で、テレビ界では各局とも時代劇を制作して、『[[三匹の侍]]』<ref group="注釈">1963年から1969年にかけてフジテレビ系で放送。五社英雄演出、丹波哲郎・平幹二郎・長門勇の三人の浪人が主人公で、凄まじい殺陣の演出で、また刀で人を斬るシーンでは音を発していたのが当時話題となった。なお第2部以降は丹波哲郎に代わり加藤剛が出演していた。</ref>『[[新選組血風録_(テレビドラマ)|新選組血風録]]』<ref group="注釈">1965年、NET系。栗塚旭主演(土方歳三役)。近藤勇役は舟橋元。</ref>『[[素浪人 月影兵庫|素浪人月影兵庫]]』<ref group="注釈">1965年、NET系。近藤十四郎と品川隆司が繰り広げる道中記スタイルの時代劇であった。</ref>『[[銭形平次 (大川橋蔵)|銭形平次]]』<ref group="注釈">1966年から1984年までフジテレビ系で大川橋蔵主演。足かけ18年の長期シリーズとなった。18年間で全888話。</ref>『[[水戸黄門]]』<ref group="注釈">テレビ創成期の1954年に榎本健一主演で日本テレビ系で放送されたが、その後1957年に十朱久雄主演でKRT系、1960年には花柳寛主演でフジテレビ系、市川左團次主演で日本テレビ系、古川緑波主演で大阪MBS製作でNET系で放送された。その後東京五輪終了後の1964年秋に東映映画の重鎮月形龍之介主演でTBS系で翌1965年暮れまで放送されたが、代表作は東野英治郎らの主演で1969年からTBS系で始まり、2011年まで続いた超長期シリーズである。水戸黄門を演じたのは5名、全43部、全製作本数1,227話。記録的なテレビシリーズであった。</ref>『[[大岡越前]]』<ref group="注釈">1970年から1999年まで続いた超長期シリーズ。全15部、全製作本数402話。水戸黄門は5人が演じたが、この大岡越前は加藤剛が足かけ30年間演じ続けた。なお初回は1970年3月16日で、大阪での日本万国博の開会式の翌々日であった。</ref>『[[遠山の金さん]]』<ref group="注釈">1957年に坂東好太郎主演でNHK、1960年に夏目俊二主演でフジテレビ系、1962年に坂東鶴之助でNHK、1967年に市川新之助(後の市川團十郎)主演で日本テレビ系で放送された。しかし記憶に残るのはNETが1970年からスタートしたシリーズで、中村梅之助、市川段四郎、橋幸夫、杉良太郎、高橋英樹、松方弘樹、松平健らが歴代主演している。</ref>『[[木枯らし紋次郎]]』<ref group="注釈">笹沢佐保原作、市川昆、森一生、池広一夫らが監督、中村敦夫主演で1972年1月からフジテレビ系で放送された。</ref>『[[必殺仕掛人]]』『[[必殺仕置人]]』『[[必殺仕事人]]』『[[子連れ狼]]』『[[影の軍団]]』『[[鬼平犯科帳]]』などのシリーズを生んだ。
 
映画からテレビに時代劇が移っていった、その先鞭をつけたのはやはり東映である。もともとテレビ局の開局時から子ども向けテレビ映画を製作して他社に比べてテレビに対して積極的であった東映は、映画での時代劇衰退で早くに見切り、1964年(昭和39年)に[[東映京都テレビ・プロダクション|東映京都テレビプロダクション]]を設立すると時代劇のスタッフを移してそこから数々のヒット作を生み出すこととなった。そしてかつての銀幕スターがテレビ時代劇に主演し、大川橋蔵『[[銭形平次_(大川橋蔵)|銭形平次]]』、片岡千恵蔵『[[軍兵衛目安箱]]』、市川右太衛門『[[旗本退屈男_(1973年のテレビドラマ)|旗本退屈男]]』、萬屋錦之介『[[子連れ狼_(萬屋錦之介版)|子連れ狼]]』、三船敏郎『[[荒野の素浪人]]』、勝新太郎『[[座頭市物語]]』など番組が並び1970年代半ばのゴールデンタイムの人気ジャンルであった<ref>『なぜ時代劇は滅びるのか』、p.20-21.</ref>。