「インクジェットプリンター」の版間の差分

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インクを直接吐出する方式であるため他の方式の印刷機のように印刷媒体が平坦であることは求められず、媒体搬送手段に依存するが例えば紙以外にも印刷を可能としたものもある。一方で同一原稿を大量に印刷する用途には適していない。また色当たりのコストも他の印刷方法と比べて低く抑えることができる。このため6色や7色、さらに10色を超える多色刷りの実現も比較的容易である。
 
オンデマンド方式の小型[[プリンター]]が登場した[[1980年代]]から[[1990年代]]は、[[サーマルプリンター|熱転写プリンター]]などと競合状態にあった。近年は画素の高密度化や印刷速度の向上が急速に進み家庭用の写真プリンターやオフィス用プリンター、大型ポスター用のプリンターとしても広く応用されている。また[[イメージスキャナ]]や[[ファクシミリ]]等の機能を併せ持つインクジェット複合機(Multi Function Printer、MFP)も[[2001年]]ころから急速に普及が進んでいる。さらに、インクジェットプリンターの特長を生かした応用技術の開発も広がっている。インクカートリッジの容量は2005年以降、半減したとされる<ref name="printer" />
 
== 開発史 ==
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また、プロ写真家向けのプリンターについては多くが顔料インクのプリンターである。それは顔料インクは印刷後の色の安定が早いため調整がしやすく、自分が望む思い通りの作品を作り出ことが出来るからである。顔料インクの短所である光沢感の不足を補うため、顔料粒子に樹脂コートが施されたインクや、光沢を出すための透明インク(グロスインク)を導入している機種もある。
 
=== 固体インク ===
固体インクを使用するプリンタもあり[[テクトロニクス]]社で開発された。染料系のインクを、常温では固体であるワックス樹脂で固める事で他のプリンタのように液体インクよりもにじみにくい、インクが少なくなっても印刷品質に影響しにくく、[[トナー]]や液体インクを入れるカートリッジが不要なので使用済み消耗品に起因する廃棄物の発生量が減るといった利点を有する<ref>[http://cloud.watch.impress.co.jp/epw/cda/hardware/2005/08/10/5931.html FXPS、「ソリッドインク」方式を採用したA4カラーページプリンタ]</ref>。画質が良い反面、約60度の温度で液体化して用紙に転写されるのでプリンタの電源が入っているときは、常にこの温度を保つ必要があり、プリンタの電源を一度切って、再び入れなおすと、一度固体化したインクは再度温められて、ウォームアップの際に一定量捨てられ、10回も電源の入り切りを繰り返すと、機種によっては固形インクがなくなってしまうという欠点も併せ持つ<ref>[http://blog.livedoor.jp/ese_admin/archives/50450181.html ソリッドインクカラープリンタがイケてない理由]</ref>。固体インクの技術は精密な立体出力に適するので3Dシステムズ社は2013年にゼロックスからソリッドインクの開発チームを一部買収した。<ref>[http://www.xerox.com/news/news-archive/2014/xdg-3d-0114/envg.html 3D Systems To Acquire a Portion of Xerox’s Oregon Based Solid Ink Engineering and Development Teams]</ref>
 
=== その他のインク ===
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;[[DNAマイクロアレイ|DNAチップ]]
:インクジェットプリンターは極めて精度が高く微小領域に微小液体を吹き付けることができるため、DNAチップへの応用が期待できる。具体的には、DNAを溶かした溶液をインクジェットプリンターから検査試薬を塗布したDNAチップへ吹き付ける方法である。
;[[3Dプリンタ]]
:[[光硬化樹脂]]や[[ワックス]]を噴射して積層造形する3Dプリンタが開発されている。高精度の造形が可能で材料の無駄が少ない。
;[[ディスプレイ (コンピュータ)|ディスプレイ]]装置
:[[FED]]や[[有機エレクトロルミネッセンス|有機EL]]などのディスプレイ装置の製造では、発光体を基板上に対し均一に塗装する必要がある。ここにインクジェットプリンターの技術を応用する。プリンターのメーカーがディスプレイのメーカーと協力し、これら新世代ディスプレイの実用化に向けて研究・開発を行っている。キヤノンと[[東芝]]による[[表面伝導型電子放出素子ディスプレイ|SED]]はその一例である。液晶ディスプレイのカラーフィルタについても、インクジェットプリンタで作成することが発表されている(例えばシャープの亀山第2工場)。
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パソコン用のインクジェットプリンターで世界シェアのトップを占める米[[ヒューレット・パッカード]]のほか、日本企業も周辺技術も合わせて多くの[[特許]]を取得している。
 
* [[ヒューレット・パッカード]]
* [[セイコーエプソン]]
* [[キヤノン]]
* [[ブラザー工業]]
* [[リコー]]
* [[フジフイルム]]
* [[コニカミノルタ]]
* [[大日本印刷]]
* [[凸版印刷]]
 
== インクジェットプリンターの市場規模 ==
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|}
 
* 出典 - [http://it.jeita.or.jp/document/ittguide/data.html JEITA情報端末動向]
 
== 非純正インク問題 ==
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かつては可能だったキヤノンを含め、現在は多くのプリンターでユーザーによるプリントヘッド(ノズル)の交換はできなくなっており(ヘッド一体型インクカートリッジを用いる機種はこの限りではない)、ノズルの詰まりはプリンターそのものを使えなくする危険性があるため、その使用にはリスクが伴うことになる。
 
なお、かつては単純な詰め替え作業で行える物がほとんどであったが、現在はメーカー各社がインク残量管理にICチップを導入しているため、詰め替えた後は特殊なリセッターを別途購入して使用してICチップを初期化する必要がある(インク残量が表示できなくなるものの、残量管理機能を無効にしてそのまま印刷を続けられる機種も一部存在する<ref>[http://h10025.www1.hp.com/ewfrf/wc/document?docname=c01879771&tmp_task=solveCategory&lc=ja&dlc=ja&cc=jp&product=3866951 「「インク警告」、「インクわずか」メッセージが表示される」HPカスタマーケア]</ref>)。そのため、インク残量管理のICチップの導入前の詰め替えインクの利用が容易な旧機種に高値がついて取引される事例も少なからずある<ref name="printer">[http://news.livedoor.com/article/detail/10095461/ 8年前に製造された中古プリンターがオークションで高額取引される謎]</ref>
 
== 参考文献 ==
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}<references/>
{{Reflist|2}}
 
== 関連項目 ==
* [[インク]]
* [[インクカートリッジ]]
* [[プリンター]]
* [[複合機]]
 
== 外部リンク ==