「クォーター (紋章学)」の版間の差分

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[[Imageファイル:Quarter demo.svg|thumb|140px|クォーター<br />''[[アージェント (紋章学)|Argent]] a quarter [[ギュールズ (紋章学)|gules]]'']]
'''クォーター'''({{Lang-en-short|Quarter}}、{{Lang-fr-short|Quartier}})は、[[紋章学]]において、[[エスカッシャン (紋章学)|シールド]]の向かって左上の角に置かれる方形の[[チャージ (紋章学)|チャージ]]のことである。[[オーディナリー (紋章学)|オーディナリー]]の中ではサブオーディナリーに分類される。単独で使われることはあまりなく、既存の[[紋章]]に追加される形で用いられるが、[[結婚|婚姻]]、縁組みなどによって複数の紋章を統合する[[マーシャリング (紋章学)|マーシャリング]]の際にはクォーターがひとつの重要な単位となる。
 
== 解説 ==
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=== カントン ===
[[Imageファイル:Canton demo.svg|thumb|140px|カントン<br />''[[アージェント (紋章学)|Argent]] a canton [[ギュールズ (紋章学)|gules]]'']]
'''カントン''' (Canton) は、[[エスカッシャン (紋章学)|シールド]]の左上の角(デキスター・チーフ)に置かれる小さな方形の[[チャージ (紋章学)|チャージ]]である。実際の剣技のように盾を構えた場合、利き腕にあたる右腕の上部に来ることから、一部の[[紋章官]]はカントンを高貴なる[[オーディナリー (紋章学)|オーディナリー]] (the honorable ordinaries) のうちの1つとみなすことがある。しかし厳密には、クォーターの[[ディミニュティブ]]であり、縦横ともにクォーターの3分の2の幅、つまりシールド又は[[フィールド (紋章学)|フィールド]]全体の3分の1の幅を持ち、フィールドの9分の1の面積を持つ。シールドのシニスター側(盾を構える人物にとっての左(シニスター)、すなわち向かって右)に置かれるカントンをカントン・シニスターと呼ぶ。
 
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カントン・ヴォイデッド (canton voided) は、血縁に含まれない、おそらく養子縁組による家族を示す。イギリスのスコットランドを起源とするダン家の紋章にはカントン・ヴォイデッドが描かれている([http://www.dun.org.uk/IMAGES/ARMS.gif マイケル・ダンの紋章]<ref>{{cite web|url = http://www.dun.org.uk/Editor.htm|title = Editor's page|work = Dun & Dunn families originating in Scotland|language = 英語 |accessdate=2008年4月20日 }}</ref>)。
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Imageファイル:Chequy of nine demo.svg|チェッキー・オブ・ナイン<br /><small>''Checky of nine argent and gules''</small>
Imageファイル:Chequy demo.svg|チェッキー<br /><small>''Checquy argent and gules''</small>
</gallery>
 
=== クォーターに関する用語 ===
[[Imageファイル:Quarterly demo.svg|thumb|140px|クォータリー<br />''Quarterly, argent and gules'']]
; クォータリー : '''クォータリー''' (Quarterly) は、パーティ・パー・クロスとほぼ同じ意味で、フィールドの中央で交差する垂直と水平の線でフィールドを4つに[[パーティション (紋章学)|分割]]することを意味するが、2つの意味があり、それぞれの意味は後に続く記述で次のとおりに判断する。
:# クォータリーの後にティンクチャーを2つ指定した場合、1つ目のティンクチャーを向かって左上と右下の領域に、2つ目のティンクチャーを右上と左下の領域に適用するフィールドを意味する。クォータリーとだけ言った場合は、4分割であるが、クォータリー・シックスティーン (quarterly sixteen) と記述した場合はそれぞれのフィールドを更に4分割した16分割になる<ref>{{cite web|author = 京都大学RPG研究会|url = http://www.ku-rpg.org/column/heraldry.html|title = 紋章について|work = 中世ヨーロッパの風景|language = 日本語 |accessdate=2008年4月26日 }}</ref>。
:# クォータリーの後に[[紋章記述]]を続けた場合、十字に分割された4つのフィールドそれぞれに対応する紋章記述を書く。マーシャリング後の紋章に頻繁に見かけられ、向かって左上、右上、左下、右下の順に[[家柄|格]]の高い家系の紋章を表し、紋章記述もその順番で記述する。ただし、マーシャリングの場合以外でも紋章をクォータリーで分割するのを妨げない。クォータリーによる分割の場合はどのフィールドにどのような図柄を描くのかわかるように地の色を示すティンクチャーの前に first (1st), second (2nd), third (3rd), fourth (4th) 又は I, II, III, IV と明示的に場所を記述する。特に統合する紋章が2つの場合(かつ[[パーティ・パー・ペイル]]による[[ディミディエイション]]又は[[インペイルメント]]を用いない場合)は、左上と右下の領域に格上の家の紋章を示し、右上と左下の領域に他方の家の紋章を示すのが慣例であるため、格上の家の紋章記述の前に I and IV 、格下の家の紋章記述の前に II and III と記述する。3つの紋章を組み込む場合は、左上 (I) と右下 (IV) の領域に最も格上の家の紋章、右上 (II) にそれに続く家柄の紋章、左下 (III) に最も格下の家の紋章を示すか、最上位の紋章が左上 (I) 、それに次ぐ紋章が右上 (II) と左下 (III)、最下位の紋章が右下 (IV) という配置をする。
 
[[Imageファイル:Hainaut-Bavaria Arms.svg|thumb|140px|[[エノー州|エノー伯]]、[[バイエルン大公|バイエルン公]][[ヴィッテルスバッハ家]]の紋章]]
; グランド・クォータリー : クォータリーで分割したフィールドを更にクォータリーで分割する場合、グランド・クォータリー (grand-quarterly) という記述を用いる。次の紋章記述は、[[エノー州|エノー伯]]と[[ヴィッテルスバッハ家]]の紋章を統合したものである。
:: ''Quarterly, I and IV fusilly [[ベンド (紋章学)|in bend]] argent and [[アジュール (紋章学)|azure]]; II and III '''grand-quarterly''' I and IV Or a lion rampant [[セーブル (紋章学)|sable]], armed and langued [[ギュールズ (紋章学)|gules]]; II and III [[オーア (紋章学)|Or]] a lion rampant gules, armed and langued azure.''
 
== 脚注 ==
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{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
<references/>
</div>
 
== 関連項目 ==
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{{紋章学用語}}
 
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:くおおたあ}}
[[Category:紋章学]]
[[Category:ヘラルディック・オーディナリー]]