「イエスの幼少時代」の版間の差分

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ルカ福音書は、その誕生物語の最後に、神殿における十二歳のイエスの物語を、イエスの少年時代のエピソードとして叙述している。ここでは誕生物語と、十二歳のイエスの物語との間は全く空白であり、ルカはそれを、「幼な子は成長し、知恵に満ちて力強くなり、神の恵みがいつもその上にあった。」(ルカによる福音書2.40、2.52)という句で埋めている。トマスによるイエスの幼時物語は、この空白を埋めようとしているように思われる。それは五歳から十二歳までのイエスの物語であって(五歳=2章、六歳=11章、八歳=12章、12歳=19章)、ルカ福音書の神殿における十二歳のイエスの物語で終わっている。<ref>「聖書外典偽典6」教文館 p117-118 本文抜粋</ref>
 
参考までに第6章を載せる。
 
:さて、ザッカイという名の教師が何かの折にそこに居合わせ、イエスがこんなことを父親に言っているのを聞いて、子供なのにそんな口をきくので大変驚いた。
 
:それで数日後ヨセフに近寄って言った。「あなたは賢い子を持っている。知性があります。さあ字を習わせにこの子をわたしのところに寄越しなさい。そうすればわたしが字と一緒にあらゆる知識を授け、またすべての年寄りに挨拶し、その人たちを先祖や父親のごとく敬い、また同年輩の者をも愛することを教えましょう」。
 
:そしてすべての文字をアルファからオメガまで正確に吟味しながらはっきりと言ってみせた。しかしイエスは教師ザッカイをみつめて言った。「あなたはアルファの本性をも知らないのに、どうしてほかの者にベーターを教えるのですか。偽善者よ、もし知っているならまず第一にアルファを教えなさい。そうすればベーターについてもあなたを信じましょう」。それから教師に最初の文字について質問を始めたが、教師は彼に答えることが出来なかった。
 
:それから沢山の人が聞いている前でザッカイに言った。「先生、第一の文字の構成秩序について聞きなさい。そして次の点に注意なさい。斜めの線と真中の線があるが、それはごらんのように一緒になる線を横切っていて、一点に集まり、上にあがり、輪舞してまた分岐する。アルファは三部の同種の同じ長さの線を持っている」。<ref>「聖書外典偽典6」教文館 p127-128 本文抜粋</ref>
 
== 参考文献 ==