削除された内容 追加された内容
公認野球規則2016改正に伴う条項番号の更新、他
1行目:
{{Otheruses|野球用語}}
'''ボーク'''(英:Balk)とは、[[野球]]において[[投手]]の投球や塁への送球における反則行為である。[[公認野球規則]]2.03項で定義されており、このルールの目的は、投手が不当に打者や走者に不利になるような行為をすることにより[[盗塁]]や[[ヒットエンドラン]]、単純なヒットなどを阻もうとするのを防ぐことにある。
 
== MLBにおける歴史 ==
6行目:
 
== ボークとなる場合 ==
ボークとなる場合は[[公認野球規則8]]6.0502(a)項で定められており、全部で13項目が挙げられている。以下に挙げる項目の冒頭にある文字(a1)〜(m13)は、公認野球規則の項目に対応するものである。
 
=== 投球に関する動作 ===
;(a1) [[投手板]]に触れて、投球動作を途中で止めた(ストップモーション)。
:'''二段モーション'''は、投球動作を途中で止めたとみなされる。
:投球動作中に転倒したり、バランスを崩したりした場合も、投球動作の中止にあたるので、ボークである。
17行目:
:*肩をセンター方向に向けながらの牽制。
:*足のつま先を打者方向に向けながらの牽制。
;(e5) 反則投球を行った。
:規定されているワインドアップポジションまたはセットポジションからの投球動作に反した投球を行った。
:打者が[[打席]]で[[バット (野球)|バット]]を構えていない時に投球を行った(クイックピッチ)。
;(f6) 打者と正対する前に投球した。
;(g7) 投手が投手板に触れることなく投球、あるいはそれに関する動作を行った。
;(m13) セットポジションで完全に静止しなかった。
:完全に静止したかどうかは審判員の判断によるが、その基準はリーグの内規や取り決め等による面もある。そのため、内規や取り決め等が改正された場合や、リーグ移籍後間もない場合、投手が何度もボークを取られることもある。特に、[[日本野球機構|NPB]]では[[1998年]]から静止を厳格に取るようになり、ボークが急増した<ref>読売新聞1998年7月17日朝刊</ref>。
 
==== {{Visible anchor|二段モーション|2段モーション}} ====
'''二段モーション'''(にだんモーション)とは、投球時に足をいったん上げてから下げ、また上げて投球動作を行うことを指す。このとき投球動作中にわずかでも'''全身が静止する'''と公認野球規則85.0107(a)(1)~(2)で規定する正規の投球動作<ref>(1)ワインドアップポジション、(2)セットポジションのいずれについても、「打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。」とある。日本の公認野球規則ではさらに、同【注】で、「“中途で止めたり、変更したり”とはワインドアップポジションおよびセットポジションにおいて、投手が投球動作中に、故意に一時停止したり、投球動作をスムーズに行わずに、ことさらに段階を付けるモーションをしたり、手足をぶらぶらさせて投球すること」と注釈がある。</ref>に違反するため、反則投球と判定される。
 
===== 日本プロ野球における実例 =====
50行目:
 
=== 牽制球に関する動作 ===
;(b2) 投手板に触れた状態で、塁へ送球する真似(偽投<ref>英語では feint a throw, すなわち、塁への送球動作のフェイント行為指す。日本語では偽投と訳されているが、腕を振ったかどうかが判断基準ではない。投手板に触れた投手が、走者のいる塁に向かって自由な足を一歩踏み出すと自体がすでに塁へ送球しようとする動作なので、踏み出したところで中断しても偽投である。</ref>)をして、実際に送球しなかった(偽投)。<ref name="Rule Changes for 2013">
{{Citation
| author = MLB.com
67行目:
この規則は、アメリカでは2013年、日本では2014年に改正された。それまでは、投手板に触れた状態では、一塁への偽投は認められていなかったが、二・三塁への偽投は認められていた。
</ref>
:二塁に限り、投手板に触れた状態で偽投しても差し支えない。ただし、二塁走者がいない場合はボークになる(後述)。また、自由な足を振って、投手板の後縁を越えたにもかかわらず、打者に対して投球せず、二塁以外に送球した場合項目(a1)に該当し、ボークとなる。
:投手板を外せば、一・三塁に対して偽投してもボークにならない。ただし、本塁(打者)に対しては偽投は認められない。
;(c3) 投手板に触れた状態で、自由な足を牽制方向に踏み出さずに牽制した。
:投手板を外せば、どのような投げ方であってもボークにはならない。
:三塁に踏み出して偽投し、振り向きざまに一塁に送球した場合は、三塁に送球しなかったことが項目(b2)に該当し、ボークになる。
;(d4) 投手板に触れて、走者のいない塁に送球した、あるいはその動作を起こした。
:盗塁しようとした走者をアウトにするために走者のいない次の塁へ送球するなど、守備行為のために必要な送球であれば差し支えない。
:[[盗塁#本盗|ホームスチール]]又は[[スクイズプレイ]]が企図された場合も、正規に投手板を外してから本塁にボールを投げれば、それは送球とみなされる。この送球を捕手がフェアグラウンドに飛び出してきて捕球する行為は通常の守備行為であり、ホームスチールを補助する意図で打者が空振りを行ったり、打ったりした場合は[[守備妨害]]となる。しかし投手板を外さずに本塁にボールを投げた場合、それは打者への投球とみなされる。従って打者には打つ権利があり、捕手がフェアグラウンドに飛び出してきて捕球する行為や他の野手が本塁を通過する前に投球をカットするような行為は打撃妨害である。この場合は公認野球規則76.0701(g)により、打撃妨害のみならずボークも宣告され、盗塁行為の有無にかかわらず全走者に1個の進塁が許される。
 
=== ボールの扱いに関する動作 ===
;(h)(8) 走者が塁を離れていないのに不必要にその塁に送球するなどして試合進行を遅らせた(遅延行為)。
:公認野球規則では投手の遅延行為については86.02(c)02(c)(8)項に規定があり、審判員は一度警告を発し、それでもなお遅延行為が繰り返される場合は、投手に退場を宣告するとしている。遅延行為によるボーク6.02(a)(8)項の【原注】では、6.02(c)(8)項を適用して投手を退場させ際に合わせて適用す本項のボークも課せられることが8.05(h)項の【原注】に定められている。しかし、日本のアマチュア野球では86.02(c)02(c)(8)項に独自に【注】を設け、遅延行為が繰り返される場合は、投手に退場を宣告する代わりに「ボール」を宣告するとしている。このとき合わせて遅延行為によるボークを適用するのかどうかについては、この【注】には明記がなく、実際の規則運用が不明瞭である。
;(i)(9)ボールを持たずに、投手板に触れるか、跨ぐか、あるいは投手板に触れずとも投球する真似をした([[隠し球]]の項目参照)。
;(j)(10)正規の投球姿勢をとった後、実際に投球または送球する場合を除いて、ボールから一方の手を離した。
;(k)(11)投手板に触れている状態で、故意か偶然かにかかわらず、ボールを落球した。
;(l)(12)[[故意四球]]において、キャッチャーズボックスに両足が入っていない[[捕手]]に投球した。
:「故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば」ボークとなることが、日本の公認野球規則では【注】を設けて明記している。しかし、日本プロ野球では本項に違反しているプレイが行われているにもかかわらずボークが宣告されないことが多く、事実上黙認されている。
 
105行目:
 
=== 走者がいない場合 ===
走者がいない場合はボークにはならないが、ボークと同じような動作を行った場合には、それが反則投球とみなされる場合に限り「ボール」を宣告する<ref>公認野球規則86.0102(db)</ref>。ただし、打者が反則投球を打って安打にしたり、失策や四死球その他により一塁に到達した場合は、そのプレイが生かされる。
 
* 実例として[[2005年]][[10月4日]]、甲子園球場での阪神対横浜戦がある。3 - 6と横浜がリードして9回裏、横浜[[マーク・クルーン|クルーン]]は1死無走者の場面で、打者[[シェーン・スペンサー|スペンサー]]に対して0ボール2ストライクからの3球目を二段モーション<ref>現在、二段モーションは反則投球と見做されるが、この当時は反則投球とは見做されなかった。</ref>で投げたところ、一度上げた左足が地面についてしまい、三塁塁審<!--友寄-->は反則投球と判定した。スペンサーはこの反則投球を打ってショートゴロとし、一旦一塁でアウトを宣告されたがこれは取り消された。ここでの反則投球はボールと扱われるので、1ボール2ストライクからのやり直しが正しいが、その試合の責任審判でもあった三塁塁審が場内アナウンスの際に「1(ストライク) - 2(ボール)からやり直します」と宣告してしまったため、実際に2ボール1ストライクからのやり直しとなってしまった。4球目がボールで3ボール1ストライクとなった時点で横浜監督の[[牛島和彦]]から指摘を受けて、改めてカウントが2ボール2ストライクに訂正された(球審<!--真鍋-->も気づいていなかった)。ちなみに、この後スペンサーは四球を選び、得点に繋がった。
 
投球動作中にボールが手から飛び出した場合は、ボールが[[ファウルボール|ファウル]]ラインを超えた場合は「ボール」を宣告するが、ファウルラインを越えなかった場合は投球とみなされず、何も宣告されない<ref>公認野球規則86.0102(db)【原注】</ref>。
 
== フォースボーク ==