「ポペットバルブ」の版間の差分

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内燃機関はレシプロだけじゃなくロータリーやガスタービンも含む。&その他もろもろ。
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SV
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====バルブ配置====
[[第二次世界大戦]]前後までの黎明期の車両用エンジンは、ポペットバルブはシリンダーと平行に逆さの状態で配置された。これは一般的には[[サイドバルブ]](SV)と呼ばれ、シリンダーヘッドの外形が平たかったためにしばしばフラットヘッドとも呼ばれた。この形式は極めて簡素な構造で信頼性や耐久性も高かったことから[[第二次世界大戦]]中の軍用車両では積極的に用いられたこともあった。しかし燃焼室が横に長く伸びる形状となることと、吸気と排気が同じ側に向かうターンフロー(カウンターフロー)構造しか採れなかったこととから、吸排気効率が非常に悪くて最高回転数は2000-3000rpm程度に限定され、またこの燃焼室形状では大きな表面積により冷却損失が大きいために[[熱効率]]が低く、しかも排気がシリンダー側面を這うように出て行くために放熱を妨げるなど、エンジン性能面では不都合が多かった。
 
そのため、戦前頃からサイドバルブSVをベースにシリンダーヘッド側にポペットバルブを配置するOHV(頭上弁)形式が登場した。当初のOHVは楔(ウェッジ)形燃焼室やターンフローなどのサイドバルブSV時代の影響が強いデザインが多かったが、後に[[クライスラー・ヘミエンジン]]などから燃焼室形状は吸排気バルブ間に角度を持たせて配置することで燃焼室形状が表面積の小さな半球型へと変わるとともに、吸気から排気へとヘッドを横切って流れていくクロスフロー構造に移行していき、熱効率と最高回転数が大幅に向上したOHVがサイドバルブSVに代わって主流となった。
 
当初のOHVでロッカーアームを押してポペットバルブを開いていたのは、クランクシャフトとほぼ同じ高さにあるカムシャフトからの長い[[プッシュロッド]]だった。しかしこれの慣性質量の大きさが追従性を下げていて高回転高性能化の妨げだったため、プッシュロッドを短く軽くしたハイカムOHVを経て、ついにはプッシュロッドを無くしたOHC形式(SOHCあるいはDOHC)が登場し、現在では多くのエンジンに採用されている。ただし特に[[V型エンジン]]においては、両バンクのバルブ開閉をバンク間に配置した1本のカムシャフトで賄え、その場合でもハイカムにはなることから、OHCだけでなくプッシュロッドを用いるOHVも採用され続けている。
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ロッカーアーム式の場合は、ロッカーアームのバルブ側にネジ式のボルトがダブルナットで固定されており、このボルト長を調整することでクリアランス調整を行う。
 
一部のOHVやサイドバルブSVの場合は、エンジン側面のプッシュロッド(サイドバルブ(SVの場合はバルブそのもの)に調整ネジが設けられているため、このネジを開閉することでカムシャフトとロッドの隙間を調整することになる。
 
なお、近年のエンジンではバルブクリアランスのメンテナンスフリーのために油圧で自動的にタペット隙間を調整するハイドロリックラッシュアジャスター(オイルタペット)が装備されており、これらの作業は不要であるものも多いが、ラッシュアジャスター自体も経年劣化でオイル粕が溜まるなどして動きが悪くなることがあるため、年数を経過したエンジンの場合はラッシュアジャスターを分解清掃するか、新品に交換することが望ましい。