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{{出典の明記|date=2009年11月}}
{{Aimai}}
{{otheruses|[[推理小説]]に始まって多様なメディアで展開されるようになったフィクションのジャンル|神秘劇|神秘劇}}
'''ミステリ''' (mystery) は、[[神秘]]的、[[謎]]、[[不可思議]]なこと。'''ミステリアス'''、'''ミステリー'''、'''ミステリイ''' (英:mystery)もいう。は、
*[[神秘]]、[[不思議]]<ref name='koujien'>広辞苑「ミステリー」</ref>。
*[[聖史劇]]<ref name='koujien' /> 。[[神秘劇]]とも。
*[[推理小説]]<ref name='koujien' />。
 
英語の「mystery」をカタカナで音写する場合(外来語としてカタカナで表記する場合)、「ミステリー」「ミステリイ」「ミステリ」などが用いられているのである。
[[文学]]など[[フィクション]]の[[ジャンル]]で「ミステリ」と言えば、[[事件]]や[[犯罪]]の問題解決への[[捜査]]を描いた[[推理小説]]などのミステリを用いた創作物を指すことが多い。[[超常現象]]やそれらを扱った[[オカルト]]、[[ホラー]]、[[サイエンス・フィクション|SF]]なども含めて呼ぶ場合もある(その場合、[[サスペンス]]と称されることが多い)。
 
== 神秘・不思議 ==
==概要==
{{Main|神秘|不思議}}
ミステリとは[[小説]]、[[漫画]]、[[テレビドラマ]]、[[ゲーム]]などの創作物における[[ジャンル]]の一つ。例えば[[仁賀克雄]]によるミステリ小説の定義では、「発端の不可思議性」「中途の[[サスペンス]]」「結末の意外性」が挙げられている<ref name="jinka">仁賀克雄『読書案内決定版 海外ミステリ・ゼミナール』朝日ソノラマ刊、1994年9月30日発行</ref>。
 
英語のmystery ミステリーは、ギリシア語の「ミューステリオン」を語源としており、神の隠された秘密、人智では計り知れないことを指している。
 
キリスト教圏である西洋の伝統では、mysteryと言えばしばしば、[[聖書]]に書かれている神秘の物語のことを指している。
 
漢字表現に置き換える場合は「神秘」や、あるいは仏教用語の「不思議([[不可思議]])」が当てられるわけである。
 
== 神秘劇 ==
{{Main|神秘劇|聖史劇}}
 
中世のヨーロッパではミステリー、すなわち聖書に書かれている神秘の物語(特にイエス・キリストの生誕、公生活、)が、文字を読めない一般人にも理解できるように、演劇作品として、教会堂の前の広場などでさかんに上演されるようになった。そうした聖書の神秘物語を題材とした演劇も「ミステリー」と呼ばれているのである。
 
== 推理小説 ==
{{Main|推理小説}}
 
[[フィクション]]の[[ジャンル]]のひとつとしての「ミステリー」(ミステリ)と言えば、基本としては、[[推理小説]]のことであり、作品中で何らかの[[謎]]が提示されやがてそれが解かれてゆく、という類のものである。
 
例えば、作品中で[[事件]]([[犯罪]])が起きるが、その[[犯人]]が誰なのか、また動機が何なのか、あるいはまた どのように犯行を行ったのか、ということなどが読者にとって隠されたまま(謎のままに)物語が展開し、作品の最後のあたりで謎が解き明かされる(種明かしがされる)、といった作品である。ミステリーでは、一般的には、作品の最後あたりまで謎が残るような展開、読者が謎を知りたいあまりに思わず読み進んでしまうような手法で書かれており、つまり「種明かし」が作品の最後あたりまで「引き延ばされ」、読者を「じらす」ような手法が採られるので、その意味では推理小説は「[[サスペンス]]」というジャンル分けとも重なっていることも多い。(なお、「サスペンス」は、語源的には「サスペンド」(引き伸ばす)という動詞の派生語が転じてジャンル名になったものである。)
 
謎(不可思議)は、事件ばかりでなく、現代風に言うところの「[[超常現象]]」である場合もある。また、作品中の世界(舞台)は過去や現代の世界のものもあれば、未来的・[[サイエンス・フィクション|SF]]な場合もある。
 
もともとの語義として、神秘や謎(不可思議)がテーマになっていたり、それが軸に展開する物語が「ミステリー」であるので、それは必ずしも[[小説]]に限ってはおらず、[[漫画]]・[[映画]]・[[テレビドラマ]]・[[ゲーム]]なども指しうる。
 
ミステリとは[[小説]]、[[漫画]]、[[テレビドラマ]]、[[ゲーム]]どの創作物にける[[ジャンル]]の一つ。例えば[[仁賀克雄]]によるミステリ小説の定義では、「発端の不可思議性」「中途の[[サスペンス]]」「結末の意外性」が挙げられている<ref name="jinka">仁賀克雄『読書案内決定版 海外ミステリ・ゼミナール』朝日ソノラマ刊、1994年9月30日発行</ref>。
 
「発端の不可思議性」とは、最初に奇妙な事件や謎を提示して読者を引きつけることを指す。これを作者は論理的に解明していくが、同時に読者が自ら推理を試みることを期待し、作者との知恵比べが行われる。「中途のサスペンス」は謎の提示と最終的な解明をつなぐ部分をいう。不安感を煽る事件を起こしたり、推理の手がかりを提供したりして、[[エンターテインメント]]として読者の興味を引き離さない工夫がなされる。「結末の意外性」はそれらを受けた最も重要な部分であり、読者の予想を裏切る形で謎や真相の解明がなされる結末のことである。広くは、[[完全犯罪]]が成立して終結する場合と、その解決に向けての[[捜査]]活動および推理がなされて[[犯人]]が逮捕されたり真相が明らかにされる場合がある。
 
後者において特に事件解決に貢献する推理を主に行う個人探偵いる合、[[主人公]]にする場合もある。このような個人は一般に[[探偵]]と(職業が探偵でなくても)呼ばれる。こうしたことから推理物探偵物と呼ばれることもある。
 
なお、辞書によっては「ミステリ」と「[[推理小説]]」を同義に扱う場合もあとしていのが一般的だが、厳密に両者を使い分けられている場合ある。原語の mystery が小説以外も含めて指す語であるため、メディアの多様化によって現代では小説に限定されずに用いる用法が行われている。
 
=== 歴史 ===
仁賀によるとミステリの生みの親は[[エドガー・アラン・ポー]]だといわれる。ただし、その作品のうちミステリと呼べるものは数編に留まり、『[[モルグ街の殺人]]』が史上初のミステリとされる。直感ではなく証拠と論理的推論によって謎の解明を行うというミステリの形式はこの作品によって生み出されたという。また、ポーは同作を含む数編で、密室殺人、[[名探偵]]とその言動を記す主人公、心理的盲点といったその後のミステリ全体の原型を提示している<ref name="jinka"/>。
同時期にチャールズ・ディケンズは双子トリックを使った『荒涼館』を発表、必ずしもミステリを目したわけではないが、犯罪の謎とその論理的解明を全編を通じて描いた。
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クリスティに戯曲作家としての側面があったように、推理小説からはじまったミステリはやがて舞台化、映画化、テレビドラマ化がなされていくことになる。既に1893年にホームズが登場する舞台として「時計の下に」が上演され、1903年には米国で『シャーロックホームズの当惑』が映画化されていた。やがて諸媒体独自のミステリも生まれ、今では漫画やゲームにいたるまで幅広いメディアにおいてミステリというジャンルの作品が存在する。
 
===特性===
犯罪の発生における犯人や犯行方法、[[動機]]その他の真相は、一部または全部が物語終盤まで隠されていることが多い。かつては真相は犯人が誰かということに関心が集中する傾向もあったが(いわゆる、"Who done it?"。欧米では、この形式のミステリ自体をもじって"Whodunit"と呼ぶ)、動機や犯行手段(それぞれ、"Who done it?"をもじって、"Why done it?"、"How done it?"と呼ばれたりもする)などのその他の面に関心を持たせる作品も増えている。意図的にその効果を狙う方法として『[[刑事コロンボ]]』や『[[古畑任三郎]]』にみられるように[[推理小説#推理小説の分類|倒叙]]と呼ばれる技法が用いられることもある。
 
また、小説から始まったミステリにも、媒体による特性の違いが見られるようになってきた。例えば漫画におけるミステリにおいては、『[[金田一少年の事件簿]]』にみられるように台詞や説明文によらずコマ絵中に視覚的に手がかりを忍ばせる手法が用いられている。またゲームにおけるミステリには、プレイヤーが物語の進行に参加するメディアとしての特徴をふまえた特徴的な作品が見られる<ref name="nakase">高梨邦紀他『ひぐらしのなかせ方』虎の穴刊(ひぐらしのなく頃に礼購入特典)、2006年12月31日発行 6頁</ref>。プレイヤーの選択によってミステリ・サスペンス・ホラーといった物語の展開自体が変化するもの、映像や音楽といった[[サウンドノベル]]ならではの要素によって真相を見えにくくするというトリックが用いられているものもある。
 
===トリック===
推理の楽しみを増す単純な方法は、簡単には真相を見抜けなくすることである。こうして真相を隠すためには様々な[[トリック (推理小説)|トリック]]が用いられる。読者(視聴者、ユーザー)が推理を楽しむために、製作者側との間である程度の暗黙の約束が存在するとされる(詳細は[[トリック (推理小説)#トリックにまつわる暗黙の了解|トリックにまつわる暗黙の了解]]、[[ノックスの十戒]]、[[ヴァン・ダインの二十則]]を参照のこと)。ただし全ての作家が同意した約束が存在するわけではなく、この通りに厳密に守られることも必ずしも多くはない。ある程度原則を崩すことによって意外な真相を提示することも広く行われている。
 
====密室====
[[密室]]とは、一般に内外での人の出入りが不可能な空間を指す。古典的な例としては中に死体がある部屋で、犯人がそこにどうやって入り、どうやって出たのか方法が見あたらないケースを指す。ミステリにおいては様々な活用が可能な状況である。詳細は[[密室殺人]]を参照。
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====クローズド・サークル====
登場可能な容疑者が何らかの理由で内部にいる一定人数以下に限られる状況を指す。詳細は[[クローズド・サークル]]を参照。
 
====アリバイ====
ミステリにおける[[アリバイ]]とは、ある容疑者に犯行の機会が存在しないことと定義できる。この意味で先述の密室は全員にアリバイを証明可能な状況と言い直すことも出来る。現実の[[刑事訴訟法]]同様にミステリにおいても探偵役は容疑者に犯行の機会があることを証明しない限り真犯人とすることはできない。ゆえに犯人の側は様々なトリックを用いてアリバイを偽装することになる。このようなアリバイを巡る攻防を中心としたミステリはアリバイ崩しものと呼ばれる。
 
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===魔法・ファンタジー・超科学===
ミステリにおいては、[[魔法]]や[[ファンタジー]]、[[超科学]]といった現代の常識では扱えない要素に否定的な立場が見られる{{要出典|date=2009年11月}}。しかしこれらの要素を用いたミステリは広く存在する。その扱い方にはいくつかの手法が用いられる。まず一般的なミステリに多く見られるものとしては、一見ファンタジーにしか見えない現象が、実際は現代の常識の範囲で行われた現象に何らかの偽装を施したものであるというケースが挙げられる。さらに作品中で魔法や超科学などに関する法則を提示し、それに基づいた推理を求める作品も見られる{{要出典|date=2009年11月}}。よりファンタジーに近いケースとしては、基本的には事前に法則性を提示するといった形式にとらわれずファンタジーとして展開しながら、作品中で何らかの謎解きを要求する場合も見られる{{要出典|date=2009年11月}}。
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===メディア別の代表的な作品一覧===
以下は50音順
 
==== 小説 ====
{{main|推理小説}}
 
==== 漫画 ====
{{main|推理漫画}}
 
==== ドラマ ====
* [[相棒]]
* [[怪奇大作戦]]
66 ⟶ 95行目:
* [[森村誠一・終着駅シリーズ]]
 
==== ゲーム ====
* [[EVEシリーズ]]
* [[かまいたちの夜]]