「F-35 (戦闘機)」の版間の差分

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[[統合打撃戦闘機計画|統合打撃戦闘機計画]](JSF)に基づいて開発された、[[第5世代ジェット戦闘機]]に分類される[[ステルス機]]である。
 
概念実証機の[[X-35 (航空機)|X-35]]は[[2000年]]に初飛行を行い、競作機となった[[X-32 (航空機)|X-32]]との比較の結果、X-35がJSFに選定される。量産機のF-35は[[2006年]]に初飛行し、現在でも開発は継続中である。[[アメリカ空軍]]への本機の納入は[[2011年]]5月から開始され、[[初期作戦能力]](IOC)獲得は[[2015年]]7月31日の[[アメリカ海兵隊]]のF-35Bが初となった。2015年内には一年間で45機としていた量産目標をめて達成した。
 
JSFの名の通り、ほぼ同一の機体構造を用いながら、基本型の通常離着陸([[航空機の離着陸方法#通常離着陸機|CTOL]])機である'''F-35A'''、短距離離陸・垂直着陸([[航空機の離着陸方法#短距離離陸垂直着陸機|STOVL]])機の'''F-35B'''、[[艦載機]](CV)型の'''F-35C'''という3つの派生型を製造する野心的なプロジェクトである。[[戦闘機]]の[[マルチロール機]]化は、現代の戦闘機開発の主流となっているが、[[1960年代]]には空軍の[[戦闘爆撃機]]と海軍の艦隊防空戦闘機を兼務する[[F-111 (航空機)|F-111]]の開発において、機体が大型化し想定した任務の全てを果たせず、失敗している。対してF-35は、比較的小型の機体で多任務と[[ステルス性|ステルス能力]]の付加、さらには基本設計が同一の機体でCTOLとVTOLを派生させるという前例の無い多任務能力を達成し、採用予定国も複数に上る。また、F-35Bは世界初の実用超音速VTOL戦闘機となる。
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2011年[[12月16日]]、産経新聞は[[アメリカ国防総省]]内部資料を出所とした「ステルス性能に疑問」という記事を報じ、また、具体的問題点として、攻撃能力、被弾や事故時の生存可能性、旋回や上昇など飛行性能、[[空対空ミサイル]]の発射、[[電子戦]]能力が[[テストパイロット]]などより運用上深刻な、または特別な懸念として挙がっている、としている。それによると、報告者は国防総省のアハーン次官補代理ら計5人で、報告書では「今後の生産を中止するような根本的なリスクは認められなかった」としながらも、上述の問題点より「設計の安定性で信頼に欠ける」と結論し、「調達・生産計画の真剣な再考」が求められている、としている<ref>{{cite news |title=F35 空対空ミサイルとステルス性能に疑問 米国防総省内部資料 |newspaper=産経新聞|date=2011-12-15|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/111215/amr11121520070013-n1.htm |accessdate=2011-12-25}}</ref>。
 
[[2013年]][[1月14日]]には、飛行領域の拡張作業で深刻な問題が発生し、全型で維持旋回荷重を全型で5.0G以下に引き下げ(A型4.6G、B型4.5G、C型5.0G)、マッハ0.8から1.2への加速時間も延長(A型8秒延長、B型16秒延長、C型43秒延長)することが報道された<ref>{{cite news |title=Pentagon lowers F-35 performance bar |newspaper=Flightglobal|date=2013-01-14|url=https://www.flightglobal.com/news/articles/pentagon-lowers-f-35-performance-bar-381031/ |accessdate=2016-04-10}}</ref>。これ5.0G以下の維持旋回荷重は[[第3世代ジェット戦闘機]]である[[F-4 (戦闘機)|F-4]]や[[F-5 (戦闘機)|F-5]]並の数値であり、空中戦はもちろん、[[地対空ミサイル]]などに対しての脆弱性が危惧されている。C型の43秒もの加速時間延長は、燃料消費量の増大を招き、作戦遂行に支障をきたす場合も出てくると指摘されている。
 
上記課題について2013年[[5月23日]]に発表されたアメリカ国防総省の報告書によると、昨年のF-35計画は全体のコストが45億[[アメリカ合衆国ドル|ドル]]下がっており、上昇傾向にあったコストが減少に転じた<ref>{{cite news |title=Pentagon: F-35 Program Costs Fell $4.5 Billion Last Year |newspaper=Defense News|date=2013-05-23|url=http://www.defensenews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=2013305230020 |accessdate=2013-06-15}}</ref>。また、2013年[[5月31日]]には、[[2017年]]になる見込みだった空軍の初期作戦能力獲得も2016年へ前倒しされることが発表された<ref>{{cite news |title=US Air Force: F-35 To Be Deployable in '16 |newspaper=Defense News|date=2013-05-31|url=http://www.defensenews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=2013305310018 |accessdate=2013-06-15}}</ref>。
また、2013年[[5月31日]]には、[[2017年]]になる見込みだった空軍の初期作戦能力獲得も2016年へ前倒しされることが発表された<ref>{{cite news |title=US Air Force: F-35 To Be Deployable in '16 |newspaper=Defense News|date=2013-05-31|url=http://www.defensenews.com/apps/pbcs.dll/article?AID=2013305310018 |accessdate=2013-06-15}}</ref>。
 
[[2016年]][[2月1日]]に公表された報告書では、精密技術試験の結果、依然として問題が複数残っていることが明らかになった。特に深刻なのが[[射出座席]]で、パイロットの体重が62kg未満だと射出時に座席が後方へ回転し、パイロットの首をのけぞらせて死に至らしめる可能性があるという<ref>{{cite news |title=F35戦闘機にまだ多数の「欠陥」 運用予定に影響も 米軍報告|newspaper=AFPBB News|date=2016-02-04|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3075703 |accessdate=2016-03-14}}</ref>。
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[[アメリカ空軍]]によると、2011年度予算におけるF-35Aのフライアウェイ・ユニットコストが1億2,200万ドル、ウェポンシステム・ユニットコストが1億8,400万ドルである<ref name="usaf_fy2012_budget">[http://www.saffm.hq.af.mil/shared/media/document/AFD-110211-038.pdf "FY 2012 Budget Estimates"], p. 01–1. ''U.S. Air Force'', February 2011.</ref>。
 
[[2012年]][[3月30日]]、アメリカ国防総省が議会に提出した報告書によると、開発、生産費が当初の見積もりより4.3%増加して総額約3,957億ドル(約32兆円)となり、本格生産に入る時期も2017年から2年遅れの[[2019年]]になるとしている。国防総省の報道官は、[[アメリカ軍]]が同機を約2,440機調達する計画に変更はないとしているが、配備後の運用・維持コストの総額は1兆1,000億ドル(約91兆円)となり、昨年の見積もりより1,000億ドル上昇するとしている<ref>{{Cite news |url =http://www.asagumo-news.com/f_column.html |title = 米F-35の生産は2年遅れに 米国防総省発表 | newspaper = 朝雲新聞社 |publisher = |date = 2012-4-5 |accessdate =2012-4-12}}</ref>。
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}}</ref>。
 
[[2013年]][[4月14日]]、アメリカ国防総省が発表した2014年度に出した国防予算案で、1機当たりウェポンシステム・ユニットコストを1億9千万ドルとすることを明らかにした<ref>{{cite news |title=F35、1機189億円 米国防予算案で判明 日本は財源難題 |newspaper=産経ニュース|date=2013-04-14|url=http://sankei.jp.msn.com/world/news/130414/amr13041401000000-n1.htm |accessdate=2013-04-14}}</ref>引用元の記事では「航空自衛隊が調達を決めた最新鋭ステルス戦闘機F-35Aの価格が、1機当たり約1・9億ドル(約189億円)であることが明らかになった」と書かれているが、これは誤報であると考えられる<ref>[http://comptroller.defense.gov/defbudget/fy2014/FY2014_Weapons.pdf "FY 2014 Program Acquisition Costs by Weapon System"]</ref>。
 
[[2011年]]末にA型の導入を決定した[[日本]]の[[防衛省]]は、1機あたりの調達価格を本体のみ約89億円(スペア部品などを含めた場合約99億円)としていた<ref>{{cite news |title=中ロへの抑止力意識=1機約99億円−次期戦闘機 |newspaper=時事通信|date=2011-12-20|url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011122000051 |accessdate=2011-12-25}}</ref>。翌[[2012年]][[6月29日]]に正式契約が交わされた際には、2016年度に導入する4機については1機当たりの価格が約96億円(交換部品を含め約102億円)と上昇<ref name=jiji20120629>{{Cite news | newspaper=時事通信 |date=2012-6-29 |url=http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012062900078| title = F35、本体96億円=7億円上昇―政府が正式契約 |accessdate=2012-6-29}}</ref>。毎日新聞は2012年9月4日の記事において、製造に習熟していない作業員が製造に関わっているためコストが上昇し、一機当たりの価格が当初の1.5倍の150億円に達する見通しとなったと報じている<ref>{{cite news |title=F35:1機当たりの価格150億円に 防衛省概算要求 |newspaper=毎日jp|date=2012-09-04|url=http://mainichi.jp/select/news/20120904k0000e010209000c.html |accessdate=2012-09-04}}</ref>。
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=== 性能評価 ===
[[2015年]]1月に行われた模擬空中戦演習ではF-3535AがF-16に敗北し、テストパイロットは「F-35はF-16とエンゲージを行った際に、全ての状況下でパワー面で明らかに不利な条件に置かれた」と報告書にて述べた。これに対し開発責任者ジェフリー・ハリジャンは、この模擬空中戦演習に参加したF-35Aは初期生産機の「AF-02」で、空中戦用のソフトウェアやステルスコーティングが不完全であったため、この報告書をもってF-35が失敗機だと決めつけるのは時期尚早と反論している<ref>{{cite news |title=F-35はなぜ機動性では旧型機にも劣るのか、波紋を呼ぶUSAFによる模擬空中戦演習の結果 |newspaper=businessnewsline|date=2015-07-03|url=http://business.newsln.jp/news/201507040631420000.html |accessdate=2016-04-10}}</ref>。またアメリカ空軍も「完全な能力を発揮した場合のシミュレーションを何度も実施したが、F-16に対しては全て勝利している」と反論している<ref>[http://trafficnews.jp/post/41533/ 旧式より弱い新鋭戦闘機F-35? 99年間くり返される無意味な比較]</ref>。
 
== 配備 ==