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腰部椎間板造影検査は、高度な腰痛が持続する場合に、痛みの原因となる椎間板を見つけるのに有用であろう。<ref name=manchikanti_2009_disco>{{cite journal |author=Manchikanti L, Glaser SE, Wolfer L, Derby R, Cohen SP |title=Systematic review of lumbar discography as a diagnostic test for chronic low back pain |journal=Pain Physician |volume=12 |issue=3|pages=541–59 |year=2009 |pmid=19461822 |doi=|url=http://www.painphysicianjournal.com/linkout_vw.php?issn=1533-3159&vol=12&page=541}}</ref> 同様に、神経ブロックのような治療的手技が、痛みの場所を突き止める目的で使用されることがある。<ref name=manusov_2012_diag/> このように、椎間関節注射、変形硬膜外注射、仙腸関節注射を、診断的な検査として使用することを支持するいくつかのエビデンスがある。<ref name=manusov_2012_diag/> その他の身体的検査、例えば側彎症の身体検査、筋力低下の検査、神経反射の減弱の検査などは、ほとんど使用されない。<ref name=manusov_2012_diag/>
 
腰痛の訴えは、人が医療機関を訪れる最も多い理由のうちの一つである。<ref name=AHRQ_2013>{{cite journal |title=Use of imaging studies for low back pain: percentage of members with a primary diagnosis of low back pain who did not have an imaging study (plain x-ray, MRI, CT scan) within 28 days of the diagnosis |url=http://www.qualitymeasures.ahrq.gov/content.aspx?id=38884 |year=2013 |publisher= Agency for Healthcare Research and Quality |accessdate=11 June 2013 }}</ref><ref name=AAFPfive>{{Citation |author1=American Academy of Family Physicians |author1-link=American Academy of Family Physicians |title=Ten Things Physicians and Patients Should Question |publisher=American Academy of Family Physicians |work=[[Choosing Wisely]]: an initiative of the ABIM Foundation |page=|url=http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/american-academy-of-family-physicians/ |accessdate=September 5, 2012}}</ref> 多くの場合、痛みは、2、3週間しか続かずに、ひとりでに消えるように見える。<ref name=ACPfive>{{Citation |author1=American College of Physicians |author1-link=American College of Physicians |title=Five Things Physicians and Patients Should Question |publisher=American College of Physicians |work=[[Choosing Wisely]]: an initiative of the ABIM Foundation |page=|url=http://www.choosingwisely.org/doctor-patient-lists/american-college-of-physicians/ |accessdate=5 September 2013}}</ref> 医学学会のアドバイスによれば、もし、現病歴と診察所見が、腰痛の原因となる特定の疾患の存在を示唆しないのならば、エックス線写真やCT検査やMRI検査は不要である。<ref name=AAFPfive/> 患者さんは、CTやMRIによる画像検査を望むこともあるが、<ref name=chou_2009_imaging>{{cite journal |last=Chou |first=R |author2=Fu, R |author3=Carrino, JA |author4=Deyo, RA |title=Imaging strategies for low-back pain: systematic review and meta-analysis. |journal=Lancet |date=7 February 2009 |volume=373 |issue=9662 |pages=463–72 |pmid=19200918 |doi=10.1016/S0140-6736(09)60172-0}}</ref><ref name=crownover_2013>{{cite journal |author=Crownover BK, Bepko JL |title=Appropriate and safe use of diagnostic imaging |journal=Am Fam Physician |volume=87 |issue=7 |pages=494–501 |date=April 2013 |pmid=23547591 |doi= |url=}}</ref>レッドフラッグの症状が無いのであれば、そうした検査は不必要である.<ref name=AHRQ_2013/><ref name=ACPfive/>ルーチンの画像検査は、コストがかかり、症状を改善させる効果の無い外科手術を受ける可能性が強くなり、 <ref name=chou_2011>{{cite journal |last=Chou |first=R |coauthors=Qaseem, A, Owens, DK, Shekelle, P, Clinical Guidelines Committee of the American College of, Physicians |title=Diagnostic imaging for low back pain: advice for high-value health care from the American College of Physicians |journal=Annals of Internal Medicine |date=1 February 2011 |volume=154 |issue=3 |pages=181–9 |pmid=21282698 |doi=10.1059/0003-4819-154-3-201102010-00008}}</ref><ref name=flynn_2011>{{cite journal |author=Flynn TW, Smith B, Chou R |title=Appropriate use of diagnostic imaging in low back pain: a reminder that unnecessary imaging may do as much harm as good |journal=J Orthop Sports Phys Ther |volume=41 |issue=11 |pages=838–46 |date=November 2011 |pmid=21642763 |doi=10.2519/jospt.2011.3618 |url=}}</ref>浴びる放射線が体に悪影響を及ぼす。<ref name=chou_2011/> 痛みの原因を特定できるのは、画像診断の1%以下に過ぎない。<ref name=AHRQ_2013/> 画像検査は、害の無い異常を見つけて、必要のない別の検査をさらに受けるように患者さんを仕向け、患者さんを不安にする。<ref name=AHRQ_2013/>しかし、そうは言うものの、米国のメディケアの統計によれば、1994年から2006年までに、腰部MRI検査の件数は、300%以上、増加した。<ref name=deyo_2009>{{cite journal |last1=Deyo |first1=RA |last2=Mirza |first2=SK |last3=Turner |first3=JA |last4=Martin |first4=BI |title=Overtreating Chronic Back Pain: Time to Back Off? |journal=Journal of the American Board of Family Medicine : JABFM |volume=22 |issue=1 |pages=62–8 |year=2009 |pmid=19124635 |pmc=2729142 |doi=10.3122/jabfm.2009.01.080102}}</ref>
 
== 非特異的腰痛の治療 ==
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; 支持療法(コルセット、腰ベルト)
:世界保健機構WHOの腰痛イニシアティブは、次のように述べている。「コルセットを長期に使用すると、骨粗鬆症を出現させ、腹部の筋肉を弱体化させる。痛みを我慢できるようになったら、直ちにコルセットを外さなければならない」。[[英国国立医療技術評価機構]]NICEは、次のように述べている。「(腰の支持器具が)、非特異的腰痛の治療に役立つというエビデンスはほとんど無いので、英国国民保健サービスNHSの治療として提供されるべきでない」。ヨーロッパ委員会は、腰の支持器具を、非特異的腰痛の治療に用いることを、推奨していない。また下記のように、米国のガイドラインも推奨していない。
 
; 整形外科による治療
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:例えば椎間関節注射については、次の通りである。硬膜外注射やトリガーポイント注射についても、同様である。
*WHO:椎間関節への注射は、鎮痛や機能改善の点で効果が認められない。椎間関節への注射は、感染、出血、神経損傷、化学的髄膜炎の原因となる。エックス線透視下で行えば、放射線被爆がおきる{{Sfn|世界保健機関|1999|p=26}} 。
*European Committee:非特異的腰痛に対して、椎間関節腔にステロイドを注入することや、椎間関節の神経ブロックを行うことを、我々は推奨できない。{{Sfn||欧州の腰痛診療ガイドライン|2006|pp=158-177}}
**椎間関節に由来する疼痛の有病率は、8%から94%まで、サンプルサイズや著者の信念によって変化する。
**椎間神経ブロックには、非常に大きいプラセーボ効果がある。
**効く仕組みが不明である。ステロイドの消炎作用かもしれないし、関節腔に液体を入れる効果かもしれないし、関節包に穴を開ける効果かもしれない。
*NICE:英国NICE:[[国民保健サービス]](NHS)では、次のような治療を受けてはならない。なぜなら、次のような治療は、非特異的な腰痛の治療に役に立つというエビデンスがほとんど無いからである。(このリストの中に「背中への注射」という項目あり){{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2009|loc=Chapt.1.6}}。
*[http://www.atlanticlegal.org/person.php?conid=2434 エールリック教授]:(Dr. George E. Ehrlich, MD):ステロイドまたは麻酔薬を注入する様々な注射は、せいぜいプラセーボ効果しかなく、やめるべきである<ref>[http://www.jrheum.com/subscribers/03/67/26.html{{cite journal |author=Ehrlich GE |title=Back Pain]pain |journal=J Rheumatol Suppl |volume=67 |issue= |pages=26–31 |date=2003 |pmid=12926648 |doi= |url=}}</ref>。
*日本ペインクリニック学会:椎間関節注射は、効果がありエビデンスもある<ref>[http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/IPT/01.pdf 痛み治療ガイドライン](p19)</ref>。
 
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:椎間板切除術(足への痛みを起こす椎間板を部分的に切除すること)は、非手術治療に比べて早く痛みの除去をもたらすことができる。<ref name=manusov_2012_surg/> 椎間板切除術は、1年後には、より良い結果をもたらすことができるが、4年後、10年後には、非手術療法との差は無くなる。<ref name=manusov_2012_surg/>
 
:より侵襲度の低いマイクロ椎間板切除術は、通常の椎間板切除術と比較して、同じような結果をもたらすだけである。<ref name=manusov_2012_surg/> その他の状況では、たいていの場合、手術を推奨すべきようなエビデンスは無い。<ref name=manusov_2012_surg/> 椎間板の変性疾患に対する手術の長期的な効果は、不明瞭である。<ref name=manusov_2012_surg/> 侵襲のより少ない外科的な治療は、回復までの時間を短縮するが、効果についてのエビデンスは、不充分である。<ref name=manusov_2012_surg/>
 
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; 鍼灸による治療
: 腰痛は[[肩こり]]と並び、[[鍼灸]]治療により著効を表すことがある。腰部の[[腎兪穴]]、[[大腸兪穴]]、[[志室穴]]などの施術のほか、膝の後ろにある[[委中穴]]の鍼や、足の[[照海穴]]、さらに体調を整える目的で、背部や腹部の経穴を用い腰痛を緩和する[[代替医療]]である。諸外国の腰痛診療ガイドラインは、慢性腰痛について、鍼の効果を認めている{{Sfn|英国国立医療技術評価機構|2009|loc=Chapt.1.6}} 。[[世界保健機構|WHO]]も認めている。[[オピオイド]]様の不安定な弱い効果がある。[[保険鍼灸マッサージ師会|健康保険による鍼灸治療]]が可能であるが、保険治療は地域によっては医師の同意書を必要とする。
 
{{main2|[[鍼#鍼とエビデンス|鍼治療によるエビデンス]]を}}
 
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日本のガイドライン「外来診療」によれば、次の通りである。
*神経学的に異常所見が無く、画像所見に異常がなければ、3日から1週間程度で腰痛は軽快する<ref name="prog1gairai">[{{Cite |和書|title=ガイドライン外来診療2009 |isbn=978-4931400535 |date=2009-03 |url=https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/search/guideline2009/08-2.html ガイドライン外来診療]|publisher=日経メディカルBP }}</ref>。
*1〜2週間で軽快しない場合は、原因検索が必要で、再検査が必要となる。
*なるべく日常生活を続け、早期に職場に復帰した方が、腰痛は遷延化しにくい<ref name="prog1gairai"/>。
 
米国ハーバード大学のLandon 教授は次のように述べている。「非特異的腰痛では、大半の場合に3ヶ月以内に痛みは自然に収まる。画像検査や薬物注入や手術を行っても、長期予後は少しも変わらない。それらは、腰で起きていることに、ほとんど影響を与えない。それどころか事態を悪化させている可能性がある」<ref>[http://www.health.harvard.edu/blog/back-pain-often-overdiagnosed-and-overtreated-201307316546 腰痛は過剰に診断され過剰に治療される] ハーバード大学のハーバード健康ブログ、2013年7月31日</ref>
 
世界保健機構WHOの「腰痛イニシアティブ」は、次のように述べている{{Sfn|世界保健機関|1999|pp=81-83}}。
「非特異的腰痛では、大多数のケースでは、症状は2、3週間以内に終息する。どのような治療を行っても、あるいは全く行わなくても、腰痛は自然に治まる。しかし、ひとたび腰痛が慢性化すると、効果のある治療法は、ほとんど無くなる。それで、腰痛の慢性化を防ぐことが、治療の主な目的となる。運動プログラムは、腰痛のある期間を短くし、生活の質を向上させる。ステロイドは、経口でも非経口でも硬膜外注入でも、使用する利点は無い。椎間関節への薬物注入は、ほとんど役に立たない」
 
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===各国の有病率===
国・地域によって、生活習慣が異なっても、腰痛の罹患率は比較的一定である。世界保健機構WHOの文書、次のように述べている。「腰痛の罹患率や有病率は、世界の至る所でほぼ一定である。腰痛は、世界中で、休業する原因の筆頭である」と述べている<ref>{{cite journal |author=Ehrlich GE |title=Low back pain |journal=Bull. World Health Organ. |volume=81 |issue=9 |pages=671–6 |year=2003 |pmid=14710509 |pmc=2572532 |doi= |url=}}</ref>。ただし、現在も狩猟採集生活を行うタンザニアのハザ族Hadzaの人は、毎日20km以上を歩くが、木から落ちて腰部を打撲するなどの急性腰痛の人はいるものの、慢性腰痛の人はいない<ref name="origin">[https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011034634SA000/ NHKスペシャル病の起源3、腰痛]</ref>。
 
; 欧州
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'''その他'''
* [http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/ NHKスペシャル]腰痛、治療革命
* [https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011034634SA000/ NHKスペシャル]病の起源3、腰痛
* [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2997201/ 各国のガイドラインを比較した論文] (英語)
* [http://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2008/2008mech/a1090141.pdf 椎間板に加わる負荷の推定方法の研究]高知工科大学
* [http://www.eorthopod.com/public/patient_education/6837/the_truth_about_back_pain.html The Truth About Back Pain]
* [http://www.nhk.or.jp/kenko/nspyotsu/ NHKスペシャル]腰痛、治療革命
* [https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2011034634SA000/ NHKスペシャル]病の起源3、腰痛
 
== 外部リンク ==