「石油食料交換プログラム」の版間の差分

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==乱用==
基本的な方針への批判とは別に、石油食料交換プログラムは汚職や乱用の対象となった。プログラム期間中つねに、イラク政府や国連職員へと利益の一部が不正に転用されているとする訴えが、アメリカやノルウェーを始めとした多くの国からあがった<ref>{{Cite web
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|date=日付
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}}</ref>
プログラムを管理していた[[キプロス共和国]]出身の{{仮リンク|ベノン・セヴァン|en|Benon Sevan|label=ベノン・セバン}}国連事務次長は、石油食料交換プログラムの管理コストは2.2%にすぎず、内部・外部合わせて100以上の会計監査を義務づけられていると主張してプログラムを擁護し、安保理からの制約によってプログラムが難しい状況になっていることを批判した。またセバンはイラク人口の90%が、プログラムが提供する毎月の食料バスケットに依存していると主張した。セバンはプログラムの責任者であったが、プログラムの調査・再検討の試みには非協力的であった<ref>[http://www.washingtonpost.com/ac2/wp-dyn/A48225-2004Nov13?language=printer [[ワシントンポスト]]紙 石油食料交換プログラム職員、調査拒否か(英語)]</ref>。セバンはスタッフに対し、不正利得に関する告発は、告発者それぞれの国に提出するべきだとする命令を出し、内部告発者を明らかにしたうえで、イラクに対して内部告発者の処分を許した。[[2000年]]、国連からの汚職監視者のディリープ・ナイルがプログラムの危険性について調査しようとした。国連事務総長代理のルイーズ・フレシェットとセバンは、費用がかかりすぎて現実的ではないとし、調査を拒否した。セバンは、プログラムに関する数年分に相当する資料の処分を命令していた<ref>{{Cite web
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|date=2005-11-22
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|accessdate=2009-06-04
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これらの批判およびアメリカのイラク侵攻後に見つかった証拠により、国連事務総長は「利益の一部が国連およびアナン事務総長への影響力を得る目的で使われた」として訴訟を起こした。
 
[[2005年]][[2月3日]]に[[ポール・ボルカー]](元[[連邦準備制度]]議長)による調査委員会が発した暫定報告によれば、プログラム下で提供された食料は「人間の消費とするには不適切だ」という。報告は、プログラムの間を通じてセバンが15万ドル近い賄賂を受け取ったと結論しており、セバンはこの調査の結果、[[2005年]]に国連から停職処分を受けている<ref>{{Cite web
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|date=2005-08-08
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|accessdate=2009-06-04
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[[2001年]]まで、石油食料交換プログラムの支払い金は[[BNPパリバ]]を通じて送金されていた。同銀行の主要個人株主は、イギリスで13位となる([[ガーディアン]]誌調べ)、約10億ドル([[フォーブス]]誌調べ)の資産をもつイラク生まれの[[ナドミ・アウチ]]である。アウチは[[エルフ・アキテーヌ|エルフ]]事件(参照:[[:en:Elf Aquitaine]])への関与により、15ヶ月の執行猶予を受けている。このアウチに関する捜査は、イギリスの新聞に「第二次世界大戦以来のヨーロッパで最大の詐欺への捜査である。エルフは2億ポンドを政治献金・女性・宝石・美術品・別荘・家に使い込んだ役員達のための銀行になっていたのだ。」と評された<ref>{{Cite web
|author=Nick Cohen
|date=2003-11-16
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| archiveurl=http://web.archive.org/web/20040803205558/http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,2763,1086487,00.html
| archivedate=2004-08-03
}}</ref>エルフは、[[2003年]]にTotalFinaトタルフィナと合併してTotal S.A.トタルフィナエルフ(現:[[トタル]])になっている。
 
===アル・マダのリスト===
[[2004年]][[1月25日]]、イラクの日刊紙アル・マダが発表したリストには、石油食料交換プログラムを通じて石油の売買契約を結んだとされる個人・組織のリストを発表した。これがプログラムの不正に関する、最も早い指摘のひとつである。このリストの元になったのは、イラク石油省と深い関係を持つイラクの州立石油会社で見つかった1万5千件を超える文書だという。
 
この石油受取人リストに名前が挙がっていた者には、イギリスの下院議員ジョージ・ギャロウェイおよびギャロウェイ保有の慈善団体のマリアム・ファンド、フランスの元内務大臣[[シャルル・パスクワ]]、イラク系アメリカ人実業家のシャキール・アル・カファジ([[:en:Shakir al Khafaji]])などがいる。このスキャンダルによってインドの外務大臣は辞任に追い込まれた。アル・マダのリストには有名なロシアの企業や個人も入っていた。[[ロシア正教会]]さえも、不正石油取引を行ったとしてリストに上がっていた。[[バチカン]]の元国務長官補佐のジャン=マリー・ベンジャミン([[:en:Jean-Marie Benjamin]])も{{convert|4.5|Moilbbl|m3}}の石油取引権を受け取っていたという。ジョージ・ギャロウェイは、これを報じた[[クリスチャン・サイエンス・モニター]]紙および[[デイリー・テレグラフ]]紙に対する名誉毀損訴訟に勝訴している<ref>{{Cite web
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|date=2004-03-19
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| archivedate=2004-04-22
}}</ref>
 
Oilexco社(主に北海油田を採掘するイギリスの石油会社)の社長アーサー・ミルホランドの名前もアル・マダのリストに挙がっていた。ミルホランドは不正行為を否定したが、不正な追加料金が契約者からイラク政府に支払われていた疑惑については認めた<ref>{{Cite web
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| archivedate=20040812
Executive says UN oil-for-food program was rife with corruption
 
}}</ref>。
 
===図式===
この不正の図式は以下のようなものである。つまり、イラクの体制に共鳴する、もしくは賄賂で動きやすい個人や組織に対して、石油食料交換プログラムを通じて石油売買契約が持ちかけ、その際は意図的に市場価格より安い価格設定で販売されたというのだ。こうして契約した者は、石油1バレルあたり推定15セントから50セント(1立方メートルあたり94セントから3ドル14セント)安く設定された価格からの転売で中間利益を得て、イラク政府に一定の割合の手数料の見返りを払っていたとされる。(尚、イラクの石油は品質が良いためプレミアがついている可能性があり、この汚職金額の全容を分かりにくくされている。)また、石油食料交換プログラムを通じて生活必需品を売っていた会社は最大10%の割り増し価格を課して、割増分の一部はサッダーム・フセインやその他政府要職人物の個人口座に送られ、残りが会社の分け前になったという。この様に、輸入輸出双方に価格マージンを設定して行われた贈賄である。
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===石油クーポン汚職===
[[2005年]][[1月6日]]にアメリカ出資の衛星ネットワーク局[[アル・フーラ]]が伝えたところによれば、サダム政権は石油クーポンでニュース記者を買収していたという。この中で挙げられた記者には、アルジャジーラのアフマド・マンソー、フランス中心に活動する、サダム寄りの記者ハミダ・ナーナーなどがいた。こうして用いられた石油クーポンには、900万バレルの石油を割り当てるシルバークーポンと、さらに大量の石油を割り当てるゴールドクーポンの二種類があり、ハミダ・ナーナーはゴールドクーポンを受け取っていたといわれる<ref>{{Cite web
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|date=2005-05-17
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| archivedate=2006-02-18
}}</ref>
 
===クルド人による訴え===