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『'''バットマン:ダークナイト・リターンズ'''』(Batman:The Dark Knight Returns)は、[[フランク・ミラー]]原作・作画による、4巻の[[アメリカン・コミックス]]である。[[1986年]]2月から6月にわたり、[[DCコミック]]からミニシリーズとして出版され、後にグラフィックノベルとして一冊にまとめられた。2001年には続編の『[[バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン]]』が出版されている。
日本では、[[1998年]]に[[小学館集英社プロダクション|小学館プロダクション]]より、[[柳下毅一郎]]による訳書『バットマン:ダークナイト・リターンズ』が刊行された。[[2009年]]に同出版社より『バットマン:ダークナイト・ストライクス・アゲイン』とセットで『DARK KNIGHT バットマン:ダークナイト』として再版された。▼
== 概要 ==
ヒーローの最後を描いたこの作品は現代的な視点、ヒーローの苦悩の描写、ハードボイルドなストーリーにより、それまで陽性の勧善懲悪ものに過ぎなかったアメコミを大人の観賞に耐えうるレベルにまで高め、大ヒットを記録。一般層にまでアピールし、現代アメコミの原点と称されている。
本作によって[[バットマン (架空の人物)|バットマン]]の、悪に対して容赦の無い冷酷なキャラが確立され、現在のバットマン人気も本作によるところが非常に大きい。
さらに、[[アラン・ムーア]]の『[[ウォッチメン]]』、[[アート・スピーゲルマン]]の『[[マウス (オルタナティヴ・コミック)|マウス]]』が出版されたのもちょうどこの頃であったが、当時ミラーは29歳であった。
かの[[スティーヴン・キング]]は「これは、かつて出版されたコミックの中でたぶん最も良質な、傑作だろう」と評している。
本作の影響を受けて1989年に[[ティム・バートン]]監督による『[[バットマン (映画)|バットマン]]』、2005年には[[クリストファー・ノーラン]]監督による『[[バットマン ビギンズ]]』が製作された。
▲日本では、[[1998年]]に[[小学館集英社プロダクション|小学館プロダクション]]より、[[柳下毅一郎]]による訳書『バットマン:ダークナイト・リターンズ』が刊行されるも一時絶版であった
== あらすじ ==
バットマンとしての活動を引退してから10年、両親の死のトラウマにいまだに引きずられていたブルース・ウェインは、ゴッサムシティの現状に憤り、老体に鞭打って自警活動を再開する。しかし、社会はもはやこうした自警行為をよしとせず、バットマンは新たなロビン(キャリー)とともに政府を敵に回した戦いに身を投じていく。
徹底した暴力描写と当時の米ソ冷戦を反映した政治色の強いストーリーで、それまでのヒーロー像を批判するとともに新たなヒーロー像を確立している。[[冷戦]]を下敷きにしていたり、ヒーロー活動を批判している点ではムーアの『[[ウォッチメン]]』にも似ているが、『[[ウォッチメン]]』がヒーローの精神も徹底的に批判しているのに対し、本作ではそうしたヒーローの精神自体には深い敬意を払った内容となっている。
さらにバットマンの誕生に「幼少時に遭遇した[[蝙蝠]]の幻による啓発」という説明を与えたのも本作からである。
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; 1. The Dark Knight Returns
: 引退から10年、55歳になっていたかつてのバットマン
: その頃、[[アーカム・アサイラム]]ではブルースの資金援助による、[[トゥーフェイス]]の顔を元に戻す手術が成功していた。医師団はこれでトゥーフェイスは消え去ったと宣言する。しかし、その後行方を眩ましたトゥーフェイスは、かつての部下の所に現れる。
: 帰宅したブルースは悪夢にうなされる。6歳の頃、ウサギを追って穴に落ちたブルースは、そこから洞窟
: 眠れぬブルースはTVをつけるが、TVに映ったのは両親が殺された日に見に行った「[[奇傑ゾロ]]」だった。両親の死が脳裏に浮かび上がったブルースはあわててチャンネルを変えるが、映るのは陰惨な犯罪のニュースばかり。もはや我慢の限界だったブルースの元に再びあの獣神が現れる。こうしてバットマンはゴッサムに帰ってきた。
: しかし、社会は彼の自警行為を認めず、医師団は彼を異常者呼ばわりし、ミュータント団のボスは彼に宣戦布告をする。そして、アーカムで今や廃人と化していた[[ジョーカー (バットマン)|ジョーカー]]は彼の復活
: そんな時、トゥーフェイスがゴッサムのツインタワーに爆弾を仕掛け、市を脅迫する
; 2. The Dark Knight Triumphant
: バットマンの自警行為に対応し、政府はバットマンの逮捕を目的としてエレン・インデルをゴードン本部長の後釜に据えた。
: 一方で、一般市民はバットマンの復活を歓迎し、かつて彼に救われた13歳のキャリー・ケリーは[[ロビン (バットマン)|ロビン]]のコスチュームを自作し、自警活動を開始する。
: その頃、バットマンはゴッサムを牛耳るミュータント団にバットタンクで攻撃を仕掛けていた。
: バットケイブにたどり着いたバットマンは洞窟の奥で獣神に向き合う。まだ死ぬときではないと。
: その頃、[[ホワイトハウス]]では[[アメリカ合衆国大統領|大統領]]が
: ブルースの最後の願いを聞いたゴードンは、刑務所に入れられていたミュータント団のボス
; 3. Hunt The Dark Knight
:ミュータント団はバラバラになり、その一部は「バットマンの息子」を名乗って過激な自警活動を開始する。
:新たな本部長インデルは自身の就任式でバットマン捕縛を宣言。大統領の命を受けたクラーク・ケントことスーパーマンはバットマンと接触し、活動を止めようと説得するがバットマンは交戦をも辞さない態度で拒否する。
:そんな中アメリカはソ連とついに局地的な軍事衝突を起こし、スーパーマンは米軍支援の為
:一方でゴッサムではジョーカーが部下と共に市民を虐殺して脱走し、[[上院議員]]や[[州知事]]に対し[[テロ]]を決行
; 4. The Dark Knight Falls
:インデルはSWATを引き連れて遊園地に赴き、そこでジョーカーの死体を発見する。インデルはバットマンの射殺を命じるが、ロビンによって救出される。
:スーパーマンと米軍に敗北したソ連は、特殊な大型[[核弾頭]]を米軍に向けて発射。スーパーマンがなんとか砂漠の無人地帯に向かうよう軌道を変えるのに成功するが、爆発の際の[[電磁パルス]]により全米のあらゆる電子機器が停止する。アルフレッドにジョーカーから負わされた傷の治療を受けていたバットマンは、停電から最悪の事態を悟る。
:核発射のニュース、停電、飛行機の墜落、火災、巻き上げられた塵による太陽光の遮断、それに伴う寒冷化と立て続けに災害に見舞われたゴッサムはパニックに陥る。バットマンは、「バットマンの息子」や刑務所に収容されていたミュータント団の残党を従えて自警団を結成
:一方スーパーマンも核爆発のダメージから回復し、[[戒厳令]]を敷いた大統領は、バットマンを管理下におくべくスーパーマンをゴッサムに再び派遣する。
:バットマンはスーパーマンとの対決に両親が殺された路地を選び、様々な兵器を用意してスーパーマンを攻撃する。ほとんどの兵器はスーパーマンに通用せずピンチに陥るが、本当の切り札は[[グリーンアロー]]が放ったクリプトナイトの矢であった。形勢逆転したバットマンはスーパーマンを打ち倒
:その死によって正体が明らかとなったブルース・ウェインの葬儀に様々な人が訪れる。列席者の中にはクラークの姿もあった。埋葬が済み、立ち去ろうとしたクラークはバットマンの墓から密かな心臓の鼓動を聞く。
== 登場人物 ==
; [[バットマン (架空の人物)|バットマン]](ブルース・ウェイン)
:55歳。10年前に引退していたが、内なる叫びに従って再びバットマンとして復活する。壮健な肉体は健在だが、老齢による身体的影響と狂気にも似た精神の蝕みが繰り返し描写される。
; ジェームズ・ゴードン ''[[:en:James Gordon (comics)|James Gordon]]''
:70歳。市警察の本部長として、バットマンの協力者として長らく活躍してきたが、ついに引退の時を迎える。引退後も市民の一人として無秩序状態に陥った街を守ろうとする。妻はサラ・エッセン。
; [[スーパーマン (架空の人物)|スーパーマン]](クラーク・ケント)
:55歳。政府の下で働
; [[ジョーカー (バットマン)|ジョーカー]]
:年齢不詳。アーカム・ホームに収容され治療中だったが、バットマン
; [[ロビン (バットマン)#番外編ロビン|ロビン]](キャリー・ケリー) ''[[:en:Robin (comics)|Robin]]''
:13歳。ロビンとしては、ディック、ジェイソンに続く三代目と推測される。コンピュータの知識が豊富。バットマンから助けられたのをきっかけに活動を開始。両親からの関心が薄いようで、ロビンとして夜な夜な家を出ていても気取られる事は無かった。
; エレン・インデル
:35歳。ゴードンを模範としてきたが、バットマンの件では意見が対立する。優秀な警官だが、その本部長就任には市長による若干の政治的思惑が絡んでいた。
; アルフレッド・ペニーワース ''[[:en:Alfred Pennyworth|Alfred Pennyworth]]''
:95歳。現在も変わらずブルースの優秀な執事として仕えている。
; ラナ・ラング ''[[:en:Lana_Lang|Lana_Lang]]''
:55歳。かつてのクラーク・ケントの親友。デイリー・プラネット社の現編集長で、今もヒーローを支持している。
; [[キャットウーマン|セリーナ・カイル]]
:52歳。現在は更生して、高級コンパニオン派遣会社を経営している。ブルースへの想いは今も変わっていない。
; 大統領
:年齢不詳。現アメリカ合衆国大統領。復活したバットマンを危惧し、スーパーマンに彼を倒すよう命じる。劇中では本名は明らかにされないが、台詞から恐らく[[ロナルド・レーガン]]ではないかと思われる。
; [[グリーンアロー]](オリバー・クイーン) ''[[:en:Green Arrow|Green Arrow]]''
:63歳。
; [[トゥーフェイス]](ハーヴェイ・デント)
:58歳。12年前
; ミュータント団のボス
:年齢、本名不詳。手錠すら引きちぎる卓越した肉体と、戦車も恐れない度胸で部下達から信頼を
== 関連項目 ==
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