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'''スティーブン・ミルハウザー'''('''Steven Millhauser''',[[1943年]][[8月3日]]-)は[[ニューヨーク]]生まれ、[[コネティカット州]]育ちの現代アメリカ作家。現在は[[サラトガ・スプリングス]]に住み、[[スキットモア・カレッジ]]で教鞭を取りながら作品を発表している。現代アメリカでは極めて稀な幻想的・耽美的・ロマン主義的な作風で知られ、子供と芸術家を主人公に据えた物語を好んで書く。
 
1111歳で不朽の傑作小説『まんが』を書きあげた天才少年エドウィンの伝記を、類稀な記憶力を持つ友人が綴るという内容の、伝記文学のパロディ『エドウィン・マルハウス』でデビュー。同作は[[フランス]][[メディシス賞]]外国語部門を受賞。読書家から熱い反響を呼ぶ。
 
だが、次作『ある浪漫主義者の肖像』、『モルフェウスの国から』、『イン・ザ・ペニーアーケード』は批評家に支持されず、アメリカでは埋もれた存在になる。
 
『三つの小さな王国』『バーナム博物館』を経て、2020世紀初頭のホテル経営者マーティンのアメリカン・ドリーム実現と失墜を描いた、ミルハウザーにしてはいささか社会性の強い長編『マーティン・ドレスラーの夢』で[[ピューリッツァー賞]]を受賞。
 
にわかにミルハウザー再評価の空気が流れるも、本人は白けていたらしい。次作の『ナイフ投げ師』、『Enchanted Night』、『The King in the Tree』で、再び、親密な雰囲気の屋根裏部屋のようにこじんまりと幻想的で、精緻に構築されたミニアチュールのように職人的な作風に戻った。
 
日本では[[岸本佐知子]]さんと[[柴田元幸]]氏の完璧な翻訳によって本国以上の支持を得ている。
 
 
その作風は[[エドガー・アラン・ポー]]や[[ナサニエル・ホーソーン]]などのアメリカ浪漫派の流れを汲み、[[ボルヘス]]や[[イタロ・カルヴィーノ]]的な知的遊戯も見られるが、むしろ最大の影響源はドイツ浪漫派か。[[トーマス・マン]]、[[ホフマン]]、[[クライスト]]などの影響は特に色濃く、中でもトーマス・マンの『トニオ・クレーゲル』『ヴェニスに死す』はその最たる例。ミルハウザー作品に常に登場する“天才的な才能を持ちながら、現実および商業主義に敗退し、破滅する芸術家”はおそらくこの二作から取られている。(比較的ありがちなモチーフではあるが。)
 
本人は「もっともインスピレーションを受けた作品」としてポーランドの前衛作家[[ブルーノ・シュルツ]]の『大鰐通り』と、イギリスの歴史家[[R・D・オールティック]]の『ロンドンの見世物』を挙げており、美の極致を行くような艶かしい文体、懐古趣味的なオブジェの羅列とその微に入り細を穿った描写といった点でこれらの作品との類似が見られる。
 
[[category:アメリカ合衆国の小説家|みるはうさ]]
[[de:Steven Millhauser]]
[[en:Steven Millhauser]]