「アロステリック効果」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
Isourou (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
1行目:
'''アロステリック効果'''(あろすてりっくこうか)とは、二種類以上の[[化合物]]が一対多の[[複合体]]を形成する際に、前の段階の複合体形成によって次以降の[[複合体形成反応]]が促進・抑制されること、およびその複合体による反応が加速・減速されることを言う。主に[[酵素]]反応に関して用いられる言葉で、酵素の活性中心以外の部分に対する基質(反応に関係する物質でもそうでなくてもよい。)との複合体形成により酵素の[[コンフォメーション]]が変化し、その複合体形成反応の[[平衡定数]]や酵素の[[触媒]]活性が増減することを表現するのに用いられる。アロステリック効果のうち、代謝系の生産物が、その系の中間反応を触媒する酵素の活性を抑制する場合、負の[[フィードバック]]制御の生体内における例であるとみなせるため、[[フィードバック阻害]]と呼ばれる。
==例==
*[[血液]]中の[[ヘモグロビン]]は酸素と結合する鉄中心を持つ[[ヘム]]を四つ持ち、各々の酸素との結合には一定の[[平衡定数]]が存在する。しかし、ヘモグロビン中の一つのヘムが酸素と結合を作るとヘモグロビン全体の構造が変化し、他のヘムと酸素との結合が促進される。すなわち、酸素濃度の高い所では単独のヘムよりも効率的に酸素を取り入れることができる。一方で、細胞中の[[ミオグロビン]]のそれぞれのヘムにはヘモグロビンのような協同効果は無いので、酸素との結合生成反応は酸素濃度に一次で比例するだけである。この結果、ヘモグロビンは酸素の多い肺では酸素を吸収し、酸素の少ない各細胞では酸素を放出することができるのである。