「固有状態」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2015年7月}}
[[量子力学]]において、ある物理量 ''A'' の「'''固有状態'''」とは、その物理量([[オブザーバブル]])を表す[[エルミート演算子]] <math>\hat{A}</math> の[[固有ベクトル]] <math>\{ |a_1\rangle,|a_2\rangle,\cdotsldots \} \ </math> のことである。
 
よって物理量 ''A'' の固有状態 <math>\{ |a_1\rangle,|a_2\rangle,\cdotsldots \} \ </math> は以下の[[固有値方程式]]を満たす。
: <math>\hat{A}|a_n\rangle=a_n|a_n\rangle \quad(n=1,2,\cdotsldots).</math>
 
一般に、量子系について物理量の測定を行った時、どんなに同じように状態を用意して同じように測定をしても、測定値は測定によってバラバラである。しかし系が<math>\hat{A}</math>の[[固有値]] <math>a_n \ </math> に属する固有状態 <math>|a_n\rangle \ </math> であるときは、物理量 <math>\hat{A}</math> を観測すれば必ず <math>a_n \ </math> という値を得る([[オブザーバブル]]を参照)。よって'''「物理量 <math>\hat{A}</math> の固有状態 <math>|a_n\rangle \ </math> は、物理量 <math>\hat{A}</math> が確定した値 <math>a_n</math> を持っている状態である」'''と解釈できる。
しかし系が<math>\hat{A}</math>の[[固有値]]<math>a_n \ </math>に属する固有状態<math>|a_n\rangle \ </math>であるときは、物理量<math>\hat{A}</math>を観測すれば必ず<math>a_n \ </math>という値を得る([[オブザーバブル]]を参照)。よって'''「物理量<math>\hat{A}</math>の固有状態<math>|a_n\rangle \ </math>は、物理量<math>\hat{A}</math>が確定した値<math>a_n</math>を持っている状態である」'''と解釈できる。
 
また <math>\hat{A}</math> はエルミート演算子なので、その固有値はすべて[[実数]]である。
 
==エネルギー固有状態==
定常状態の[[シュレディンガー方程式]]は、エネルギーを表す演算子である[[ハミルトニアン]]の固有値方程式である。
 
:<math>\hat{H}|\psi\rangle = E|\psi\rangle.</math>
 
よってその解 <math>|\psi\rangle \ </math> は、'''エネルギー固有状態'''である。
 
状態がエネルギー固有状態のひとつ <math>|\psi_i\rangle \ </math> であった場合、エネルギーを測定すると、測定値は <math>|\psi_i\rangle \ </math> に対応するエネルギー固有値 <math>E_i \ </math> が必ず得られる。よってエネルギー固有状態は「エネルギーが確定しているような状態」とも言える。
 
ある[[量子状態#純粋状態|状態ベクトル]]や[[波動関数]]のことを単に「固有状態」とか「固有関数」と呼ぶことがある。しかしその意味は「定常状態のシュレーディンガー方程式の解であり、エネルギーが確定しているような特別な状態」ということであり、任意の状態を意味しているわけではない。