「くそったれ! 少年時代」の版間の差分

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'''くそったれ! 少年時代'''(くそったれ! しょうねんじだい、原題:''HAM ON RYE''<ref>直訳では「ハムをはさんだ[[ライ麦パン]]」。訳者あとがきより。</ref>)は[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の作家で詩人の[[チャールズ・ブコウスキー]]による半自伝的小説<ref>訳者はあとがきにて「自伝そのものではないか」と評している。</ref>。
 
== 概要 ==
「ヘンリー・チナスキー」という、ブコウスキーの分身的存在について、彼の少年時代を辿っている。ブコウスキーのがさつな性格について平易な表現で描かれており、本作では彼の[[世界大恐慌]]中の[[ロサンゼルス]]における成人前の姿を知ることができる。
<!--以下、出典ページは文庫版による-->
== 構成 ==
ブコウスキーの前回の作品と同様に本作は作者が育ったロサンゼルスを舞台としている。ブコウスキーは故郷について事実に即して描写しつづけ、ロサンゼルスの都市そのものよりも、そこで暮らす人々についてより関心を払っている。<!--このように都市を讃え理想化しない描き方は、他のいわゆる「ロサンゼルス小説」とは対照的である。(ロサンゼルス小説が何なのか不明)-->彼と彼の家族がオレンジ果樹園から追い出される冒頭の場面<!--p10-->のように、ロサンゼルス郊外の情景においてはチナスキーを侵入者のように描写している。
 
== 主人公 ==
ブコウスキーの前回の作品と同様に、本作はヘンリー・チナスキーの生活について、彼の幼少期と少年時代を中心に据えている。作中を通じて、「[[ポスト・オフィス]]」や「[[パンク、ハリウッドを行く]]」で見られるような、ブコウスキーの人間嫌いなアンチヒーロー的性格が展開している。大不況下のロサンゼルスで貧しく育った<!--p59-->チナスキーは皮肉屋の独り者に成長する。
これはおもに彼の家庭生活に由来し、彼はそこで父親からしばしば(たいてい理由もなく)殴られる<!--p47-->。彼がスポーツが得意でなく<!--p36-->、そしてニキビが醜いこと<!--p171-->により、やがて学校の子供たちから疎んじられるようになっていく。
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<!--しかし彼はほとんど自分の能力に確信を持ってなく、However, he rarely is completely confident with his own abilities and often second-guesses whether he can win.--><!--p38-->
 
== チナスキー一家 ==
ヘンリー同様、ほかのチナスキー一家はブコウスキー自身の家族を手本にしている。たとえば、ヘンリーの両親はブコウスキーと同様、[[第一次世界大戦|第一次大戦]]のあとにドイツで出会っている。
 
* '''エミリー'''  チナスキーの父方の祖母。小説の冒頭、彼女の言葉についてのチナスキーの最初の記憶は「まったく、ろくでなしどもばっかりだね!(“I will bury all of you!)」と言い放つことである<!--p6-->。<!--Other than that, his best memory of visiting her home involves him and his parents leaving to go visit his grandfather, who does not live with Emily. Later, she appears with a crucifix to rid him of "the devil" causing his acne.-->
 
* '''レナード'''  チナスキーの祖父で、エミリーと別居。レナードが酒のみであっても、チナスキーは彼を立派な男だと認めている<!--p8-->。チナスキーが最初に出会ったとき、レナードより[[鉄十字|ドイツの十字勲章]]を与えられている。
 
* '''ヘンリー・チナスキー・シニア'''  チナスキーの父。ドイツで母と出会い、そこでヘンリー(ジュニア)が生まれた。小説の冒頭で父は牛乳配達人として働いている<!--p29-->。彼は息子に小さい頃から体や言葉で責め立て、厳しく残酷にふるまう<!--p46-->。父は家族、弟のジョンと兄のベンを軽蔑している。父はしばしば彼らを酒飲み<!--p16-->で女たらし<!--p17-->(息子はやがてそうなるが)だとこき下ろしている。大恐慌の始まりのころ、父は仕事を失ったものの、あたかも仕事をしているかのように近所を車で乗り回して一日を過ごす<!--p155-->。息子は時がたつにつれ彼の折檻を疎ましくなりはじめ、二人はやがてあからさまに憎しみを互いに持ち始める<!--p28-->。<!--結局、父は息子を家から追い出す。Eventually, Henry, Sr. throws his son out of the house after finding Henry’s short stories.-->
 
* '''キャサリン'''  チナスキーの母。生粋のドイツ人で、第二次大戦のあとドイツでヘンリーの父と出会い結婚した。キャサリンは情愛深い母親だが<!--p27,362-->、ヘンリー・シニアの罵りに甘んじている<!--p48-->。チナスキーは初め父親の暴力から守ってくれないことに恨むが、後に自分と同じく彼女を別の犠牲者と考えるようになる<!--p66-->。
<!--以下感想を含み省略Though often disappointed with how her son lives his life, she really loves him and often displays a confidence that he will better himself. Her love for her son is perhaps best shown when she warns him that his father found his stories.--><!--p362-->
<!--以降省略-->
* '''ベン'''  チナスキーの叔父。結核のためサナトリウムに住んでいる。
 
* '''アナ'''  チナスキーの叔母で父親の弟ジョンに嫁いだ。ジョンは失踪し子供2人を抱え困窮している。
 
==日本語訳==
「くそったれ! 少年時代」[[中川五郎]]訳 河出文庫 1999年 ISBN 4-309-46191-3