「和製漢語」の版間の差分

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== 幕末以後 ==
[[19世紀]]後半には、[[西洋]]の文物・概念を漢語によって翻訳した和製漢語が多く作られた。これらを「[[新漢語]]」と呼ぶことがある。ただし、新漢語の割合は漢語全体から見れば必ずしも多いわけではない。[[第二次世界大戦]]後の調査によれば、[[新聞]]・[[雑誌]]の二字漢語の上位1000語のうち、902語は幕末までに存在したものである<ref>宮島達夫「現代語いの形成」『国立国語研究所論集3 ことばの研究』秀英出版、1967年</ref>。{{要出典範囲|ただ、[[文章]]の種類にもよるが、近年報道文などは、固有名詞などを含めると旧来からの漢語の割合よりも、新漢語の割合の方が多い傾向がある。|date=2008年4月}}
 
新漢語は2種に分けられる。1つは、「[[科学]]」、「[[哲学]]」、「[[郵便]]」、「[[野球]]」など、新しく漢字を組み合わせて作った、文字通り新しい語である。もう1つは、「[[自由]]」、「[[観念]]」、「[[福祉]]」、「[[革命]]」など、古くからある漢語に新しい意味を与えて転用・再生した語である。後者を狭義の和製漢語には含まないこともある。近代以降は、「 - 性」、「 - 制」、「 - 的」、「 - 法」、「 - 力」や「超 - 」などの[[接辞]]による[[造語]]も盛んになり、今日でもなお新しい語を生産している。
 
和製漢語は特に近代以降、中国に逆輸出されたものも少なくない。{{要出典範囲|これを日本の大陸侵攻と結びつけて考える向きもあるが|date=2012年1月}}、むしろ、中国が近代化を遂げる過程で、特に[[日清戦争|日清]]・[[日露戦争]]前後に、中国人留学生によって日本語の書物が多く翻訳されたことが大きいともされる。中国語になった和製漢語の例として、「[[意識]]」、「[[右翼]]」、「[[運動]]」、「[[階級]]」、「[[共産主義]]」、「[[共和]]」、「[[左翼]]」、「[[失恋]]」、「[[進化]]」、「[[接吻]]」、「[[唯物論]]」など種々の語がある。中国でも自ら西洋語の翻訳を試み、華製新漢語なるものを作り出していた。しばしば和製漢語と競合するようになることもあった<ref>「株式会社」という和製漢語は中国では広まらず、華製新漢語である「股份有限公司」が広まった(なお「株式」は華製新漢語では「股票」という)。また[[梁啓超]]は"economy"を「資生」と翻訳したが、和製漢語「[経済]]」のほうが中国で広まった例がある。</ref>。
 
「中華人民共和国」の「[[人民]]」「[[共和国]]」も和製漢語であり、国名だけでなく中国の体制に必要不可欠な概念までも和製漢語には含まれている<ref>[http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=17073&servcode=100&code=100 【噴水台】造語後進国]、[[中央日報]]、2001年7月5日</ref>。また、同じく[[漢字文化圏]]である[[台湾]]、[[大韓民国]]、[[ベトナム]]でもこうした和製漢語を自国語漢字音で取り入れている。これには日本では和製漢語とは見なされない漢字書きの訓読み和語(割引など)も含まれている。
{{正確性|section=1|date=2010年6月}}
; 幕末以降の和製漢語の例
: [[文化]][[文明]][[民族]][[思想]][[法律]][[経済]][[資本]][[階級]][[分配]][[宗教]][[哲学]][[理性]][[感性]][[意識]][[主観]][[客観]][[科学]][[物理]][[化学]][[分子]][[原子]][[質量]][[固体]][[時間]][[空間]][[理論]][[文学]][[美術]][[喜劇]][[悲劇]][[社会主義]][[共産主義]]など。
このように、東北アジア各国で使われる漢字でできた近代的な概念語の大半が日本製となっていると高島俊男は主張している。
 
一方で、[[1860年代]]半ばに清で翻訳された国際法解説書『[[万国公法]]』が幕末の日本にもたらされた際に、[[国際法]]・[[政治]]・[[法学]]関連の概念を表す中国製新漢語も多数日本語にもたらされた。
; 「万国公法」により日本にもたらされた[http://zh-classical.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E8%A3%BD%E6%96%B0%E6%BC%A2%E8%AA%9E 華製新漢語]
: [[国債]][[特権]][[平時]][[戦時]][[民主]][[野蛮]][[越権]][[慣行]][[共用]][[私権]][[実権]][[主権]][[上告]][[例外]]など。
このように日本語から中国語に取り入れられた新漢語の中には、各種英華辞典や漢訳洋書を参照して日本で広まったが中国では一旦忘れられ、もう一度中国に逆輸入されたものが多数含まれている<ref>陳、22頁。</ref>。