「ジェネレーティブアート」の版間の差分

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ジェネレーティブアートは創作方法として、自然科学的な[[システム]]を主体として用いた芸術である。ジェネレーティブアートと呼ばれるには、その創作活動が自己完結的で、ある程度の自律性を伴って行われなければならない。システムによる作品は、[[複雑系]]や[[情報理論]]といった[[科学]]理論を実行することがある。ジェネレーティブアートで構築されるシステムは科学の各分野で見られるシステムとよく似ている。そのようなシステムは秩序と無秩序を併せて表現し、同時に[[複雑性]]の度合いを様々に変化させ、予測困難な振る舞いを見せる。しかし、そのシステム自体は[[決定論]]的に動作する。[[ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト]]の "Musikalisches Würfelspiel"(音楽のさいころ遊び)1757 はランダム性に基づいたジェネレーティブなシステムの初期の例である。その構造は一方では秩序の要素に基づき、もう一方では無秩序の要素に基づいている。
 
制作者には高度に数学的なイメージ能力と、複雑なアルゴリズムの考案・実装技術が要求される。そのため、参入の敷居は高い。数式やアルゴリズムの扱いに長けた理系分野在籍者が、この分野の作品に触れた事が切っ掛けで強い魅力を感じて参入する分野でもある。アーティストまたはクリエイターは、ある基本原則や数式やテンプレートなどの素材を設定し、そこに無作為または半無作為のプロセスが作用するよう設定する。多くの作品では、その基本原則においても、要素となる理論間で影響を与え合うシステムを構築することにより、単純な要素の線形加算合成だけでは得られないような複雑な表現を可能にしている。その結果は設定された限度内にある程度とどまるが、微妙かつ大胆な変化を発生する傾向もある。既存の芸術作品などを元にして芸術創作活動を行うという考え方はジェネレーティブアートの重要な要素の1つであり、そのプロセス指向の基本的性質を表している。[[ハンス・ハーケ]](Hans Haacke)らは、芸術活動に物理的かつ生物的システムのプロセスを導入してきた。
 
ジェネレーティブアートではリアルタイム性を導入する場合もあり、フィードバックと生成プロセスを作品の現在状態に適用して時々刻々変化させたりする。このような作品は同じ状態を再び目にすることはない。[[デモシーン]]や[[ビデオジョッキー]]文化などではリアルタイム性のあるジェネレーティブなオーディオビジュアル作品の創作に様々なグラフィカルプログラミング環境(例えば、[[Max/Msp]]、[[Pure Data]])を利用する。