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大きな地震があったとき、わずか数十 - 数百m隔てた場所で被害が大きく違うことがある。これは地質構造によって揺れ方がかなり違うことが原因。すなわち地下の浅いところに硬い岩盤があるような場所では揺れは比較的小さいが、砂や粘土が厚く積もった場所では揺れが大きくなる(数十km離れた2地点でも一方が地震動を観測し、一方では無感ということがある)。同じ原理で、谷間を埋め立てた造成地も揺れが大きくなる傾向がある。日本全国の揺れやすさについては国土省が調査した結果が公表されている。上図参照。大河の河口周辺の[[沖積層]]では、震度が1ポイント近く高くなる(赤く表示されている範囲)ことが想定されている。
 
揺れの大きさを表す単位に、振幅、加速度(ガル)、[[震度]]がある。振幅は揺れ幅の大きさを、加速度は揺れの速さを物理的に示す。震度は以前は人間の感覚で評価したものが発表されていたが、[[1996年]]以後計測震度計(強震計)により自動的に観測された値が発表されるようになった。観測点が増加したことで新しい地震ほど大きな値が記録される傾向がある<ref name=jgeography.115.4_466 />
 
=== 山崩れ、崖崩れ ===
不安定な急斜面が強い揺れによって崩壊する現象。谷の上流部でがけ崩れが発生した場合、岩石や土砂が谷筋に沿って長い距離を走る'''岩屑なだれ(がんせつなだれ)'''や地盤の深い部分も同時に崩れる'''[[深層崩壊]]'''となる。崩壊によって斜面上にあった山林、田畑、住居、道路が被害を受け、更に落下した大量の土砂によって田畑や住居や道路が埋められる。山間部の河川では大量の土砂によって渓谷が埋まってダムを形成することがある。このダムは不安定なので後日決壊して下流域に[[水害]]をもたらす。[[1847年]]の[[善光寺地震]]では、善光寺平の西にある虚空藏(こくぞう)山が崩壊し、麓の犀川に高さ100m65m<ref name="1847-zenkoJISHIN">[http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1847-zenkoJISHIN/index.html 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 第1章 災害の概要 平成19年3月 -1847 善光寺地震-] 内閣府中央防災会議</ref>にもおよぶ[[天然ダム]]でき形成された。このダムは地震発生の1ヶ月後に決壊し、善光寺平一帯に大規模な水害をもたらした。
 
=== 地割れ、液状化現象 ===
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=== 建造物の損傷や崩壊と火災 ===
強い揺れによって建物の柱組や壁が破壊され、建造物が損傷・崩壊し、中にいた人を埋めてしまう。調理や暖房に火を用いている時に建物が崩壊すると火災を引き起こす。地震時の火災は消火が極めて困難。地震による火災の特徴を列記する
; 倒壊
*多数の個所で一斉に発生する。
建築物側の要因として、木造瓦葺き構造、古い[[耐震基準]]による建物([[既存不適格]])で有ったり建設時点で耐震基準を満たしていない違法建築物は倒壊の危険性が高くなる。しかし、最新の耐震基準を満たしていても[[建築基準法]]の地域係数により強度基準が軽減された建築物では倒壊の危険性が高くなる<ref>[http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/sj/15/150245/041800042/?ST=safety 細野透 【熊本地震】東海大の学生アパートを倒壊させた「地域係数Zの悲劇」、SAFETY JAPAN セーフティー・ジャパン] 日経BP社 2016年4月18日</ref>
*水道管が破壊されて消火用水が供給できない。
。一方、新耐震基準を満たしていても複数回震度7程度の揺れが加わり倒壊した例が[[熊本地震 (2016年)|熊本地震]]におて報告された<ref>[http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/042100046/ 住宅倒壊、新耐震後でも明暗分かれる] 日経ホームビルダー 2016/04/22</ref>。
*崩壊した建物の破片が道路を埋めて通行が困難になる。
 
*停電による信号故障により道路の通行が混乱する。
日本国外の地震では、鉄筋や鉄骨構造を持たず「土を固めて乾燥しただけの日干し煉瓦」を積み上げた構造物が容易に倒壊している<ref name=jgeography.115.4_466 />。
これらによって消防署による消火活動が十分に実施できない。また地震の数日後に倒壊した無人の家屋から出火することがある。これは倒壊によって損傷した[[屋内配線]]が[[短絡]]した状態のまま停電が復旧し、短絡した配線が発熱して周辺の可燃物を発火させる現象で'''通電火災'''と呼ばれている。
 
; 火災
これらによって消防署による消関東大震災では、炊事用の活動十分に実施火災の主原因きない。まあっが、阪神・淡路大の数日災では停電に倒壊した無人家屋から出火す復電(通電)によこと電気火災大きな原因でった。これは倒壊によって損傷した[[屋内配線]]が[[短絡]]した状態のまま停電が復旧し、短絡した配線が発熱して周辺の可燃物を発火させる現象で'''通電火災'''と呼ばれている。地震時の火災は消火が極めて困難。地震による火災の特徴を列記する。
* 多数の個所で一斉に発生する。
* 水道管が破壊されて消火用水が供給できない。
* 崩壊した建物の破片が道路を埋めてに重なり通行が困難になを阻害する。
* 停電による信号故障により道路の通行が混乱する。
これらによって消防署による消火活動が十分に実施できない。また津波により堆積した瓦礫はバクテリアの発酵熱が出火原因となり発熱・出火することがある<ref>[http://doi.org/10.11196/kasai.62.49 発酵による発熱を原因とした瓦礫類の火災危険性について] 日本火災学会論文集 Vol.62 (2012) No.2_3 p.49-57, {{DOI|10.11196/kasai.62.49}}</ref><ref name=jgeography.115.4_466>[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgeography1889/115/4/115_4_466/_article/-char/ja/ 伯野元彦、最近の地震被害の特徴] 地学雑誌 Vol.115 (2006) No.4 P.466-469, {{DOI|10.5026/jgeography.115.4_466}}</ref>。
 
大きな地震では多数の橋梁や高架道路・高架線路が破損や落下するため、交通網が寸断される。阪神・淡路大震災では、[[神戸市]]の大火災、[[山陽新幹線]]の高架の落下、[[高速道路]]の転倒等の被害を出し、現代社会の地震に対する弱点を明らかにした。
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== 断層周辺の地形変形による災害 ==
地震は、震源断層に沿って岩盤がずれ動くことで発生するため、断層周辺では地形の変形が起こる。正断層や逆断層が動いた場合、断層を境に地面の上昇や下降が起こる。[http://riodb02.ibase.aist.go.jp/activefault/ 活断層データベース]には、日本の主な活断層の、一回の地震に伴ってずれ動く量(単位変位量)などのパラメータや、それらの算出根拠となった調査データがまとめられている。
 
=== 津波 ===
海底で大きな地震が起こった場合、海底地盤の変位が海水を動かし[[津波]]が発生する。大規模な津波は伝播範囲が非常に広いため、直接地震動を感じなかった海岸まで巨大な津波が襲うことがある。日本は過去何度も津波の被害を受けており、[[気象庁]]は警戒や予報に力を入れている。2011年の[[東北地方太平洋沖地震]]はマグニチュード9.0と日本の観測史上最大規模の地震が日本近海で発生し、東日本の太平洋沿岸へ津波が押し寄せ非常に大きな被害を与えた(犠牲者と損害の多くは津波によるもので、強震動による家屋倒壊などでの被害の割合は比較的少なかった)。地震を原因とする津波被害で、海底地震に起因しない例として[[1792年]]に九州で起こった[[島原大変肥後迷惑]]がある。この事件は[[雲仙岳]]の火山活動に起因するマグニチュード6.4の地震で[[島原半島|島原]]にある眉山が崩壊し、大量の土砂が島原海に流れ込んで津波を発生したもの。津波の被害は島原対岸の肥後(熊本県)が最も大きかった。日本国外では[[2004年]]に[[インド洋]]で発生した大津波などの事例がある。
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=== 中・長期的な影響 ===
阪神・淡路大震災の際は、道路や鉄道の被害が大きかったので被災地では生鮮食料品の供給がほとんどなくなった。この状況は2週間以上継続した。避難所での生活が長引くと心理的にも疲労が溜まり、病気になる人が出てくる。居住地の早期復旧が困難と判断された市民は仮設住宅に移動することになる。旧来の地域コミュニティーから断絶した生活が続くので、特に高齢者にとって辛いものがある。
<!--以下は出典が明示されたものから復帰してください--><!--
 
== その他の巨大地震による大きな影響 ==
日本の中心地域で東海地震、関東地震、東京直下(東京湾北部)地震などの地震が起こった場合、事態は日本の存亡に関わり、またそれに留まらない可能性が高い。
*第2関東大震災の直接的被害は100 - 200兆円とされる。間接的被害は計算できない。
*東西交通の要衝である。[[東海道本線]]、[[国道1号線]]、[[東海道新幹線]]が止まり、物流([[サプライ・チェーン]])が切断される。航空路、中央道、北陸道なでどは代替することができない。
*在日米軍の岩国、板付、佐世保、横田、横須賀、厚木、座間などの基地に影響を及ぼせば、軍事バランスが世界的に崩れる可能性がある。その時日本は外国の侵攻に対応する国力がない可能性が高い(東海地震等の地震が沖縄方面へ連動する可能性と津波の襲来のおそれのため、在沖縄米軍が機能する保証はない)。←世界史を見ても災害に乗じた侵攻の例は存在しない
*日本での大きな災害は、世界に大きな影響を及ぼす。世界第2位の外貨準備、債権国であるだけではなく、災害救援金の支出国、高品質部品の供給基地、重要な輸入国、国際金融の要、国連分担金の最大の支出国であるからである。
*[[浜岡原子力発電所]]などでの事故は地震の有無にかかわらず、大きな被害を生む(浜岡20km圏の交通停止で東西は分断される)。
*借金は、大きさや対GDP比で世界最大規模であり、東日本大震災でさらに膨れ上がっているため、さらなる震災による円や国債の暴落が懸念される([[サマーズ]]元米財務長官「これから日本は貧しい国になる」2011年3月。対外債務、国内資産、生産力でまかないきれるか懸念されるため)。円価値の下落は、世界経済に大きな影響を及ぼす。増税、国債増発、年金の減額が起こりうる。国債増発(半強制購入や国債の日銀引き受けの可能性)のため、超インフレも懸念されている。
*[[中部電力]]の発電所は太平洋岸に集中しており、発電機能の喪失によって日本の中央部が(日本海側まで)機能しなくなり、大きな影響が出る。一部の発電機能停止でも、東日本大震災のように計画停電になる可能性が高い。(河田先生) ←誰?
*災害の記憶は、社会の雰囲気、消費性向、文化のあり方などを動かす。
*広域災害では、備蓄・消防・警察・ボランティアなど、普通の震災を支える機能が動かない。何日分備蓄すればよいか見当も付かない。他地域では生産力が追いつかない可能性が高い。
*[[アスベスト]]被害(直接被害地域だけではなく)が懸念される。必要な知識もマスクも避難所もない。
*学校も大きな被害を受ける。被害がなくても避難所を用意できなければ、避難民が学校にとどまるしかない。先生、黒板、チョーク、ノート、教科書、問題集も不足する。実験設備も大きな被害を受ける。図書館は機能しない。
**例えば東日本地震の影響で、茨城大学の書庫内は、崩れ落ちた本が25cm積み重なった。
**筑波の実験動物は、一部を教授自らが名古屋に運んだだけである。
*[[石油備蓄基地]]に損害が出た場合、広域を原油または有毒ガスが覆う。大都会では大きなガスタンクが住宅密集地や交通の要衝にある(例えば[[大阪ガス]]千里供給所の3km圏内には名神高速道路・中国自動車道・東海道本線・東海道新幹線・大阪モノレール・大阪環状線・阪急千里線・関西電力千里丘変電所などがある)。通常時でも東京湾内でのLNGタンカーの事故が懸念されている。
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== 安全対策 ==
発電施設、貯水施設、ガス施設、揮発油施設、交通施設、通信施設などは、震災に対する高度な安全対策が求められる。また通常の災害対策関連法とは別個に制定されている特別法が存在する[[原子力事故]]については災害対策として一層の安全が求められている<ref>2011年4月26日 衆議院予算委員会</ref>。
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== 関連書籍 ==
* [[柴山知也]] 『3.11津波で何が起きたか - 被害調査と減災戦略』[[早稲田大学出版部]]〈早稲田大学ブックレット<「震災後」に考える>〉、2011年。ISBN 9784657113047。
 
== 脚注 ==
{{Reflist|2}}
<references/>
 
== 関連項目 ==
*[[避難準備]]・[[避難指示]]・[[避難勧告]]
*[[ライフライン]]
*[[ボランティア]]
*[[挫滅症候群]](クラッシュ症候群)
*[[ショック]]、[[ストレス (生体)]]、[[トラウマ]]、[[急性ストレス障害]]、[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)、[[メンタルケア]]
*[[防災倉庫]]、[[防災無線]]、[[市町村防災行政無線]]、[[ハザードマップ]]、[[自主防災組織]]、[[防災訓練]]
*[[消防団]]、[[自衛消防組織]]、[[自衛防災組織]]
*[[災害救助犬]]
*[[自衛隊#災害派遣]]
*[[震災特需]]
 
== 外部リンク ==
{{Commons|Category:Earthquakes}}
{{Wikibooks|防災 地震|震災}}
* [[避難準備]]・[[避難指示]]・[[避難勧告]]
*[http://www.bousai.go.jp/ 内閣府防災情報]
* [[ライフライン]]
**[http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/ 「地盤のゆれやすさ全国マップ」](PDF)・[http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/zuhyo.pdf 各図表](PDF)
* [[ボランティア]]
**[http://www.bousai.go.jp/panf/saigai.html 「わが国の災害対策」](PDF)
* [[挫滅症候群]](クラッシュ症候群)
*[http://www.gsi.go.jp/ 国土地理院]
* [[ショック]]、[[ストレス (生体)]]、[[トラウマ]]、[[急性ストレス障害]]、[[心的外傷後ストレス障害]](PTSD)、[[メンタルケア]]
*[http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/ 気象庁 地震・津波の資料]
* [[防災倉庫]]、[[防災無線]]、[[市町村防災行政無線]]、[[ハザードマップ]]、[[自主防災組織]]、[[防災訓練]]
**[http://www.jma.go.jp/jp/quake/ 気象庁 地震情報]
* [[消防団]]、[[自衛消防組織]]、[[自衛防災組織]]
*[http://www.gsj.jp/HomePageJP.html 独立行政法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター]
* [[災害救助犬]]
**[http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/ 独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター]
* [[自衛隊#災害派遣]]
**[http://riodb02.ibase.aist.go.jp/activefault/ 活断層データベース]
* [[震災特需]]
*[http://www.real-time.jp/ 緊急地震速報に関する研究調査や普及活動](特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会)
 
== 外部リンク ==
* [http://www.bousai.go.jp/ 内閣府防災情報]
** [http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/ 「地盤のゆれやすさ全国マップ」](PDF){{PDFlink|[http://www.bousai.go.jp/oshirase/h17/yureyasusa/zuhyo.pdf 各図表](PDF)}}
** [http://www.bousai.go.jp/panf/saigai.html 「わが国の災害対策」](PDF)
* [http://www.gsi.go.jp/ 国土地理院]
* [http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/ 気象庁 地震・津波の資料]
** [http://www.jma.go.jp/jp/quake/ 気象庁 地震情報]
* [http://www.gsj.jp/HomePageJP.html 独立行政法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター]
** [http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/ 独立行政法人 産業技術総合研究所 活断層・地震研究センター]
** [http://riodb02.ibase.aist.go.jp/activefault/ 活断層データベース]
* [http://www.real-time.jp/ 緊急地震速報に関する研究調査や普及活動](特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会)
 
{{Earthquake}}