「テクネチウム」の版間の差分

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| dm2=[[ガンマ崩壊|γ]] | de2=0.140 | pn2= | ps2=-}}
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'''テクネチウム'''({{lang-en-short|technetium}})は[[原子番号]]43の元素。[[元素記号]]は '''Tc'''。[[マンガン族元素]]の1つで、[[遷移元素]]である。天然のテクネチウムは地球上では非常にまれな元素で、[[天然ウラン|ウラン鉱]]などの中の[[ウラン238]]の[[自発核分裂]]により生じるが生成量は少ない。そのため、[[自然界]]からは発見できず[[人工]]的に[[元素合成|合成]]することで作られた最初の元素となった。安定[[同位体]]が存在せず、全ての同位体が[[放射性]]である。最も[[半減期]]の長いテクネチウム98でおよそ420万年である。
 
== 発見の歴史 ==
周期表中で[[モリブデン]]と[[ルテニウム]]の中間に空欄があったことから、1800年代から1900年代初頭にかけて、多くの研究者がこの43番元素を発見するのに熱中した。この43番元素は他の未発見元素と比べると簡単に発見できるだろうと思われていたが、1936年に[[加速器#サイクロトロン|サイクロトロン]]で[[元素合成|合成]]されるまで得られなかった。
* [[1828年]] - 白金鉱石から発見された元素が43番元素であると発表し、''' ポリニウム ''' (polinium) という名前がつけられた。しかし、この元素の正体は不純物が混入した[[イリジウム]]であることがわかった。
* [[1846年]] - 43番元素が発見されたという報告が入り、''' イルメニウム ''' (ilmenium) という名前がつけられた。しかしこの元素の正体は不純物が混入した[[ニオブ]]であることがわかった。この誤りは[[1847年]]まで繰り返された。
* [[ドミトリ・メンデレーエフ|メンデレーエフ]]はこの43番元素をマンガンの1マス下にあることから「エカマンガン」と名付けた。
* [[1877年]] - ロシアの科学者セルゲイ・カーンが白金鉱石から43番元素を発見したと報告。カーンは有名なイギリスの科学者[[ハンフリー・デービー]]にちなんで'''デビウム''' (dabyum) と名付けた。しかし、それは[[ロジウム]]、イリジウム、[[鉄]]の混合物であることが判明した。
* [[1908年]](明治40年) - [[小川正孝]]が43番元素を発見したと発表、'''ニッポニウム''' (nipponium, Np) と命名したが、後に43番元素は[[地球]]上には存在しない(半減期が短いため、地球が誕生してから現在までにほぼ全てのテクネチウムが[[崩壊]]している)ことが判明したためこれは取り消され、[[元素記号]]として使用される予定だった Np も[[ネプツニウム]]に使用された。現在、小川正孝の発見は75番の[[レニウム]]だったと考えられている。当時まだ75番元素は発見されていなかった。
* [[1936年]] - [[エミリオ・セグレ|セグレ]]は[[ローレンス・バークレー国立研究所]]を訪れた際に所長の[[アーネスト・ローレンス]]に依頼して、[[サイクロトロン]]で加速した重陽子線が衝突したモリブデン箔(部品の一部)を帰国後に送ってもらった。セグレは Carlo Perrier と共に[[パレルモ大学]]でこのモリブデン箔を分析して43番元素を12月に発見(人工的に作られた元素としては最初のものである)。[[1947年]]になってテクネチウムと命名された([[ギリシャ語]]の「人工」を表す "{{lang|gr|τεχνητός}}" (technitos) が語源)。ちなみに、パレルモ大学では[[パレルモ]]のラテン名にちなむ'''パノルミウム''' (panormium) という名を提案していた。
* [[1957年]] - [[ポール・メリル]]により、[[赤色巨星]]にテクネチウムが存在することが[[スペクトル]]で観測された。
 
== 特徴 ==