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現在日本ではジビエを入手するには専門の業者・肉屋に依頼する方法が一般的だが、国内の猟師とつながりのある肉屋、または[[食肉処理施設]]を持つ猟師から直接買い付ける方法もある。ジビエの品質は年齢や性別など肉質が不揃いで当たり外れがあり、実際に捌いてみないと確認できない事も多い。また、費用や労力がかかる上に安定供給できない効率の悪い商材のため、相場感も独特である。ジビエの流通では信頼関係や目利き、経験が重要となる{{sfn|神谷 |2014|p=14-18}}。
 
日本国内の多くの都道府県では、農作物のシカによる[[食害]]に悩まされている<ref>平野恭弘、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfsc/125/0/125_786/_article/-char/ja/ 臨床環境学的視点からみた日本のシカ問題] 第125回日本森林学会大会 セッションID: T10-02</ref>ことから、生息密度をコントロールするために、鳥獣被害対策実施隊を組織すると共に<ref>{{PDFlink|[http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/pdf/h280219_jissitai_panfu.pdf 鳥獣被害対策実施隊の設置]}} 農水省 鳥獣被害対策コーナー</ref>地元猟友会の協力を得て毎年一定量の「有害鳥獣駆除」を行っている。しかし捕獲されたシカ野生動物肉が食肉として利用されることは少ない。例えば2006年に長野県で駆除された[[ニホンジカ]]約9,200頭のうち、食肉となったのは820頭で僅か9%に過ぎない。大半はハンターに自家消費されたり、山中に埋設されたりしている。そうした中、平成20年2月の「[[鳥獣による農林水産業等に係る被害防止のための特別措置に関する法律]]」が施行された以降は捕獲したシカを「モミジ鍋」ばかりではなくジビエとして消費を拡大し、特産物として地域振興につなげようという動きも多い<ref>大澤啓志、清水由紀奈、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/arp/32/Special_Issue/32_263/_article/-char/ja/ 獣害対策のシシ肉を地域特産にする試みをめぐる関係者意識 栃木県那珂川町「八溝ししまる」事業を事例に] 農村計画学会誌 Vol.32 (2013) No.Special_Issue p.263-268, {{DOI|10.2750/arp.32.263}}</ref>。長野県[[大鹿村]]などでの取り組みが代表例としてあげられるが、近年は全国各地の自治体も取り組み始めている<ref>徳島県の取り組み例。{{cite news |title=鹿の食害減らしたい、ジビエ料理5店舗認定 |newspaper= [[読売新聞]]|date=2013-3-22|url=http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/cooking/20130322-OYT8T00332.htm |accessdate=2013-8-26}}</ref>。獣肉を単に肉屋や地域特産物販売所に並べるだけでは地域振興にはならず、「販路の確保」と「調理法の普及」が重要であると指摘されている<ref>松井 賢一、"ジビエ料理の普及は、獣害対策につながるのか?--「鹿肉利活用」のポイントは、「販路の確保」と「調理法の普及」 (特集 踏み込めるか野生鳥獣対策--野生鳥獣害の拡大と被害防止の新たな方向)" 農業と経済 75(2), 70-79, 2009-03, {{naid|40016975513}}</ref>。
 
前述の様な背景から、ジビエ料理の普及拡大を通じ鳥獣被害を減らすことで地域振興を目論んだ日本ジビエ振興協議会が組織され<ref>[http://www.gibier.or.jp/ 日本ジビエ振興協議会]</ref>流通加工技術の向上と情報交換のため、2015年には第一回ジビエサミットが開催された<ref>[http://www.gibier.or.jp/event/event/534/ 第1回日本ジビエサミット開催の内容] 日本ジビエ振興協議会</ref><ref>押田敏雄、坂田 亮一、"「第1回日本ジビエサミット」に参加して : 地方創世への道 迷惑ものが資源に変わる"、畜産の研究 69(4), 317-322, 2015-04, {{naid|40020410061}}</ref>。
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解体までに獣医師による病原微生物や寄生虫の検査が行われておらずリスクの高い肉と指摘されている<ref name=jpan.18.2_121>渡辺隆之、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/18/2/18_121/_article/-char/ja/ 生肉ジビエ料理の危険性] ペット栄養学会誌 Vol.18 (2015) No.2 p.121-125, {{DOI|10.11266/jpan.18.2_121}}</ref>。
 
寄生虫症<ref name=jpan.18.2_121 /><ref>青木佳代、石川和彦、林賢一ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsfm/30/1/30_28/_article/-char/ja/ シカ肉中の ''Sarcosystis'' が原因として疑われた有症苦情] 日本食品微生物学会雑誌 Vol.30 (2013) No.1 p.28-32, {{DOI|10.5803/jsfm.30.28}}</ref>、[[E型肝炎]][[ウイルス]]<ref>[http://idsc.nih.go.jp/iasr/26/308/dj3083.html 野生イノシシ肉がE型肝炎感染源に] 国立感染症研究所 感染症情報センター</ref><ref>[http://doi.org/10.2957/kanzo.45.509 三好龍也、李天成、武田直和ほか、野生イノシシの肝臓, 血液からE型肝炎ウイルス遺伝子の検出] 肝臓 Vol.45 (2004) No.9 P509-510, {{DOI|10.2957/kanzo.45.509}}</ref>や病原性[[大腸菌]]<ref>壁谷英則、佐藤真伍、丸山総一、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma/69/5/69_277/_article/-char/ja/ 野生動物の食用利用と人獣共通感染症] 日本獣医師会雑誌 Vol.69 (2016) No.5 p.277-283, {{DOI|10.12935/jvma.69.277}}</ref>などの食中毒原因病原体に汚染されているため生で食用とした場合、感染症を発症する恐れがある事から厚生労働省は「よく加熱して食べる」様、注意を促している<ref>[http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000032628.html ジビエ(野生鳥獣の肉)はよく加熱して食べましょう] 厚生労働省</ref>。また、人だけで無くペットに対しても獣生肉を与える事を止める様指摘している獣医師もいる<ref name=jpan.18.2_121 />。
 
== 脚注 ==