「マグヌス・リンドベルイ」の版間の差分

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1980年代に[[ライヴエレクトロニクス]]の経験を経た後、[[アンサンブル]]のための「ウア」、[[オーケストラ]]のための「キネティクス」、[[アコーディオン]]ソロのための「リードの遊び」などの代表作を作曲。[[スペクトル楽派]]からの影響を受けつつ、単純な基音上の倍音に固執せず様々な音場を自由自在に駆け回る作風を展開した。この才能をいち早く日本で評価したのが[[武満徹]]であり、まだ若いリンドベルイに東洋初の委嘱を授けた。リンドベルイも「武満さんは世界でもいち早く評価してもらった<ref>[https://www.operacity.jp/concert/award/judge/profile2004/index.php 外部リンク]</ref>作曲家の一人なので、この恩を死ぬまで忘れない」と語っている。
 
スペクトル楽派の流行が終わると、「クラリネット五重奏曲」以後は古典音楽からの影響が顕著となり、遂には「ネオ・シベリウス楽派<ref>After Sibelius: Studies in Finnish Music, Tim Howell; Publisher: Routledge; ISBN-13: 978-0754651772</ref><ref>[https://www.groene.nl/includes/2012_Out%20of%20the%20Box.pdf ofInterview themet BoxRichard.pdf 外部リンクRijnvos]</ref>」などと称されるような流麗な書法に変化した。「クラリネット協奏曲」、「ピアノ協奏曲」、「オーケストラのための協奏曲」などはそうした書法で貫かれている。だが、彼本人は「現代音楽の凶暴なノイズ性は大好き<ref>[https://www.operacity.jp/concert/award/result/result2004/index.php 外部リンク]</ref>」であり、初期は非常に速い速度で音群を動かす書式の達人で、「キネティックス」はその頂点の作品であった。「20世紀的観点の前衛作曲家」的な視点が、ともすると孤立した印象も与える21世紀現在、現在の彼の方向性は、[[エサ=ペッカ・サロネン|サロネン]]、[[ヨウニ・カイパイネン|カイパイネン]]、[[ジョン・アダムス]]、[[スティーヴ・ライヒ|ライヒ]]、等のまなざしと共に注目されていると言える。
 
「四分音符二つ、六分音符三つ」で形成されるブルックナーリズムにあやかって、彼は「六分音符三つ、八分音符八つ」(大抵はこの二分の一の縮小)といったリズム・カデンツを多くのセクションで多用している。近年の作品はオーケストラ作品の委嘱が多く、かつての室内アンサンブルや独奏曲で鳴らした速度には頼らなくなってきている。現代音楽の流行からも彼の音楽は離れており、伝統的な旋律や和声とともに、三和音やオクターブもかなりの頻度で現れる。その音色の明るさは現在も健在である。作品はブージー・アンド・ホークスから出版されている。