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{{独自研究|date=2013年6月5日 (水) 05:47 (UTC)}}
'''頂点捕食者'''(ちょうてんほしょくしゃ、上位捕食者、{{lang-en-short|[[W:Apex predator|Apex predator]]}}、{{lang-en-short|[[W:Top-level predators|Top-level predators]]}})とは実質的に自分自身を[[捕食]]するものがいない、[[食物連鎖]]の頂点に位置する上位種のことである<ref> {{cite web|url=http://www.pbs.org/kqed/oceanadventures/glossary/ |title=apex predator |publisher=PBS|date=2008-3-12 |accessdate=2009年7月27日}} </ref>。一般に上位の捕食者ほど[[個体]]数が少ない。
 
[[ファイル:SaltwaterCrocodile('Maximo').jpg|thumb|right|200px|[[イリエワニ]]は世界最大の[[爬虫類]]の一つにして頂点捕食者である。]]
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== 定義 ==
[[ファイル:Lion Wildebeast Mara.JPG|thumb|left|190px|他の動物を捕食する[[ライオン]]。]]
[[動物学]]的な意味において、捕食とは、ある一つの[[生命]]の[[殺害]]とその[[生物]]の[[消費]]である。ただし[[バクテリア]]と[[寄生虫]]は頂点捕食者の概念から除外して考える。{{lang-en|Predation}}(「捕食」を意味する)は[[1932年]]以降、[[動物学]]的な文脈において使われるようになった<ref>{{cite web|url=http://www.etymonline.com/index.php?search=predation&searchmode=none |title=predator |publisher=Online Etymological Dictionary |accessdate=2009-07-20}}</ref>。頂点捕食者の概念は、[[野生生物]]管理と保護(それは[[エコツーリズム]]にとどまらない)において一般的に用いられる。これらの文脈では、それは[[栄養段階]]に関して定義される。栄養段階とは、[[食物連鎖]]でむすばれる[[生態系]]の動植物に対し、「生産」と「消費」の段階ごとに分けたもので<ref>{{cite web|url=http://www.weblio.jp/content/%E6%A0%84%E9%A4%8A%E6%AE%B5%E9%9A%8E |title=栄養段階 |publisher=[[Weblio]]辞典 |accessdate=2009-07-20 }}</ref>、具体的には[[生産者]]([[植物]])、一次[[消費者]]([[草食動物]])、二次消費者([[肉食動物]])、三次消費者(二次消費者を捕食する動物)、四次消費者(三次消費者を捕食する動物)、高次消費者(その他のすべての捕食者)および[[分解者]]([[死骸]]や[[排泄物]]を分解するもの)に分けることが出来る<ref>{{cite web|url=http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2003_17948/slides/09/30.html |title=栄養段階 |publisher=[[慶應義塾大学]] |accessdate=2009-07-20 }}</ref>。一次消費者、二次消費者、三次消費者、より高水準の位置にある消費者は、自分より下位の連続した栄養段階を占めることが出来る。
 
ある[[海洋]]の[[食物網]]の研究は、頂点捕食者を四次消費者以上の存在であると定義づけた<ref>{{cite journal |last=Essington |first=Timothy E. |coauthors= Beaudreau, Anne H.; Wiedenmann, John |year=2005 |month=December |title=Fishing through marine food webs |journal= Proceedings of the National Academy of Sciences|volume=103 |issue=9 |pages=3171–3175 |url=http://www.pnas.org/cgi/reprint/0510964103v1.pdf |accessdate= 2007-11-24 |format=PDF |doi=10.1073/pnas.0510964103}}</ref>。これに対して、陸上[[生態系]]においては、最高でも二次消費者までの短い食物連鎖しかないことが多い。例えば[[ライオン]]や[[トラ]]のような大型[[ネコ科]]動物、[[ハイエナ]]や[[オオカミ]]などのその他の[[肉食動物|肉食性]][[哺乳類]]、[[ワニ目]]や大型の[[ヘビ]]などの[[爬虫類]]は、大型の[[草食動物]]を捕食するので二次消費者である。頂点捕食者は必ずしも強肉食性(著しく[[肉食]]に特化した動物<ref>{{cite web |last= Egan|first=Logan Zane |coauthors=Téllez, Jesús Javier |date=2004-10-1 |title=Extinctions In The Dog Family |publisher=The Weekly Journal of the American Association for the Advancement of Science |url=http://www.eurekalert.org/pub_releases/translations/scisummaries093004jp.pdf |accessdate= 2009-07-27 |format=PDF }}</ref>)である必要はない。例えば[[ヒト]]と[[ハイイログマ]]はいずれも頂点捕食者であるが、これらは[[肉]]を食べるだけでなく、かなりの量の[[植物]]([[野菜]])を食べる[[雑食動物]]である。
 
== 環境的役割 ==
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|date= |title=野生生物の保護管理 |publisher=神奈川県|url=http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kankyo/kettei/pdf/3-2-5.pdf|accessdate=2009年7月30日}}</ref>。
 
頂点捕食者は、えじき種(被捕食者)の個体群力学に影響を及ぼす。2つの[[競争]]している[[ (分類学)|種]]が[[生態学]]上不安定な関係にあるところでは、その両方を捕食する頂点捕食者が安定をもたらす傾向がある。また、頂点捕食者は、捕食者間の関係にも影響を与える。例えば外来の魚が、固有の支配的な捕食者を圧倒することが知られている。ひとつの[[]]における調査で、[[外来種]]である[[コクチバス]]が人為的に除去されたとき、[[レイクトラウト]](これまでコクチバスによって抑えられていた[[固有種|固有]]の頂点捕食者)がそのえじき種選択を多様化して、より高次の消費者に移行したことが明らかになった<ref name="Lepak">Lepak, Jesse M., Kraft, Clifford E., and Weidel, Brian C. (March 2006). "[http://www.dnr.cornell.edu/cek7/Publications/Lepak_et_al_2006.pdf Rapid Food Web Recovery in Response to Removal of an Introduced Apex Predator]" (PDF). ''Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences'' '''63''' (3): 569-575. ISSN: 0706-652X. Retrieved on 2008-06-03.</ref>。
 
[[ファイル:Canis lupus laying.jpg|thumb|right|[[ハイイロオオカミ]]は[[北アメリカ]]と[[ユーラシア]]に分布する捕食性の[[イヌ科]]動物である。]]
頂点捕食者による、植物[[生態学]]のような、より広い生態的特徴に対する影響が検討された。そして、かなりの影響の証拠が頂点捕食者に見つかった。外来種の[[ホッキョクギツネ]]が分布する地域と、そうでない地域について、[[海鳥]]の生息数、土壌の[[リン]]濃度、植物組成などを比較検討した結果、ホッキョクギツネの分布域では海鳥数が2桁少なくなり、土壌のリン濃度が少なく、丈の低い草やコケの割合が丈の高いそれと比較して相対的に多かった。この結果が示すものは、ホッキョクギツネが海鳥を捕食してその結果個体数が減り、海鳥の排泄物によってもたらされるリン(土壌の栄養分)が減少し、その結果植生に影響を与えたと考えられる。移入されたホッキョクギツネは、[[草原]]から[[ツンドラ]]まで[[北極|亜北極]]の島の植生を変えたといえる<ref>{{cite journal |last=Croll |first=D. A. |coauthors=Maron, J. L.; et al. |year= 2005|month=March |title=Introduced Predators Transform Subarctic Islands from Grassland to Tundra |journal=[[サイエンス|Science]] |volume=307 |issue=5717 |pages=1959–1961 | url=http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/307/5717/1959 |accessdate= 2009年7月27日 |doi=10.1126/science.1108485 }}</ref><ref>{{Cite web
|date=2005-3-26
|publisher=[[ニュートン (雑誌)|Newton]]
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}}</ref>。頂点捕食者の除去(時に[[人間]]の影響による)は栄養カスケードを急進的に引き起こすことがあり得る<ref>{{cite web |last= Egan|first=Logan Zane |coauthors=Téllez, Jesús Javier |year=2005 |month=June |title=Effects of preferential primary consumer fishing on lower trophic level herbivores in the Line Islands |work=Stanford at Sea |publisher=[[スタンフォード大学|Stanford University]] |url=http://stanford.sea.edu/research/EganTellez_Research_Project.pdf |accessdate= 2007-11-24 |format=PDF }}</ref><ref>{{cite journal |last=Pace |first=M. L. |coauthors=Cole, J. J.; et al. |year=1999 |month=December |title=Trophic cascades revealed in diverse ecosystems |journal=Trends in Ecology and Evolution |volume=14 |issue=12 |pages=483–488 |url= http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=pubmed&list_uids=10542455&cmd=Retrieve&indexed=google |accessdate= 2007-11-24 |doi=10.1016/S0169-5347(99)01723-1}}</ref>。
 
生態系に影響を及ぼしている頂点捕食者の一般的に引き合いに出される例として、[[イエローストーン国立公園]]がある。かつてこの地には[[ハイイロオオカミ]]が生息していたが、[[1926年]][[絶滅]]していた。[[1995年]]のハイイロオオカミの人為的な[[オオカミの再導入|再導入]]の後、研究者は[[イエローストーン圏生態系]]に急激な変化が生じていることに気がついた。[[1990年代]]には増えすぎて2万頭以上いた[[アメリカアカシカ|ワピチ]]が[[オオカミの再導入|ハイイロオオカミ導入]]後、半分以下に減っていったのである。またこれまでワピチが[[食害]]していた[[ポプラ]]と[[ヤナギ]]の生育によい影響をもたらし70年ぶりに若木が芽吹きだした。それに伴いヤナギを料に[[ビーバー]]が[[ダム]]を造り始めた。水が豊かになると植物もいっそう豊かになった。他の様々な種の生息地も新たに造られていった。これらハイイロオオカミのえじき種への影響に加えて、[[ハイイログマ]]個体群もハイイロオオカミの存在によって影響を受け、その数を増加した。ハイイログマは、[[冬眠]]から目覚めた後にオオカミが殺した獲物をあさることで、冬眠中の[[断食]]による体力低下から回復するようになったのである。他の数十の種もオオカミのエサのおこぼれを頂戴していることが資料で裏付けられた<ref>[http://ukpmc.ac.uk/articlerender.cgi?artid=357498 Gray Wolves as Climate Change Buffers in Yellowstone]</ref><ref>{{Cite journal|和書
|author=Jim Robbins
|year=2004