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=== 産卵場所の解明 ===
長らく正確な産卵場所は不明で[[フィリピン]]東方海域とされてい時期もあるが、外洋域の[[深海]]ということもあり長年にわたる謎であった。しかし、[[2006年]]2月、魚類学者の[[塚本勝巳]]らの研究チームが、ニホンウナギの産卵場所が[[グアム島]]や[[マリアナ諸島]]の西側沖のマリアナ[[海嶺]]の[[スルガ海山]]付近であることを突き止めた<ref name="suisan.72.350">塚本勝巳、[http://doi.org/10.2331/suisan.72.350 ウナギ回遊生態の解明] 日本水産学会誌 Vol.72 (2006) No.3 P350-356 (平成 17年度日本水産学会賞受賞)</ref>。これは孵化後2日目の仔魚を多数採集することに成功し、その[[遺伝子]]を調べニホンウナギであることを確認したものである<ref name="suisan.78.316">塚本勝巳、[http://doi.org/10.2331/suisan.78.316 天然ウナギ卵発見の道] 日本水産学会誌 Vol.78 (2012) No.2 P316-319</ref><ref>Katsumi Tsukamoto, [http://www.nature.com/nature/journal/v439/n7079/abs/439929a.html Oceanic biology: Spawning of eels near a seamount.] Nature 439, 929 (23 February 2006), {{doi|10.1038/439929a}}</ref>これにより、「冬に産卵する」というかつての説は誤りであることが明確になっ否定された。
 
[[2008年]]6月および8月には、水深が2,000m以上もある西マリアナ海嶺南部海域で[[水産庁]]と[[水産総合研究センター]]による調査チームが成熟したニホンウナギおよびオオウナギの捕獲に世界で初めて成功した<ref name="suisan.78.316"/><ref>黒木洋明、[http://doi.org/10.2331/suisan.76.446 ウナギ親魚捕獲の現場] 日本水産学会誌 Vol.76 (2010) No.3 P446-448</ref>。トロールの曳網水深は200-300mであった。雄には成熟した精巣が、雌には産卵後と推定される収縮した卵巣が認められた。また、水深100-150 mの範囲で、孵化後2-3日経過したと思われる仔魚([[プレレプトケファルス]])26匹も採集された。さらに、プレレプトケファルスが生息する層の水温が、摂氏26.5-28度28℃であることを初めて確認した<ref>[http://www.springerlink.com/content/d034287351066298/fulltext.pdf?MUD=MP Discovery of mature freshwater eels in the open ocean(英文)]Fisheries Science </ref><ref name="suisan.78.316"/>。同チームは2009年の調査においてさらに南方の海域で8個体(雌4、雄4)のニホンウナギと2個体(雌1、雄1)のオオウナギを捕獲した。トロールの曳網水深は150-300mであり、周辺には海山のような浅場はなかった<ref>[http://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr21/210707/ ウナギの産卵生態調査の結果について] [[水産総合研究センター]] </ref>。これの結果から、海山上に生息しているわけではなく中層を遊泳しながら産卵をしていると考えられる<ref name="suisan.78.316"/>。
 
この推定を基に、塚本らの研究チームが周辺海域をさらに調査したところ、[[2009年]][[5月22日]]未明、マリアナ海嶺の南端近くの水深約160メートル、水温が摂氏26度26℃の海域で、直径約1.6 mmの受精卵とみられるものを発見。遺伝子解析の結果、天然卵31個を確認した<ref name="suisan.78.316"/>。天然卵の採集は世界初である同時に、卵は水深約200 mで産卵され、約30時間かけてこの深さまで上がりながら孵化することも判明した<ref>[http://www.nature.com/ncomms/journal/v2/n2/full/ncomms1174.html Oceanic spawning ecology of freshwater eels in the western North Pacific(英文)] ネイチャー・コミュニケーションズ電子版  2011年2月1日付、同日閲覧</ref><ref>黒木洋明、{{PDFlink|[http://www.fra.affrc.go.jp/kseika/211028/program5.pdf 完全養殖への挑戦その3-日本列島から南へ2500km!!  熱帯の太平洋上で世界初のウナギの親魚を捕獲!-]}} 水産総合研究センター第7回成果発表会講演要旨集</ref>。さらに同チームでは、[[2011年]][[6月29日]]学術研究船[[白鳳丸 (2代)|白鳳丸]]に搭載した[[プランクトンネット]]を用いて、産卵直後から2日程度経過した147個の受精卵の採取に成功した。[[新月]]の2-4日程度前の日没から23時の間、水深150-180 mで産卵されたと推定される。
 
== 種の保全状態評価 ==