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人間由来の肥料を追記
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== 人間由来 ==
; 人糞尿
:*間により排泄された尿 : の混合物。下肥ともいう。肥料取締法第二条第二項によると、凝集を促進する材料(凝集促進材)または悪臭を防止する材料(悪臭防止材)を加えて脱水または乾燥されたものは普通肥料分類に当て屎尿汚泥肥料。それ以外まら特殊肥料である。新鮮ものは作物に有害なため、貯蔵と腐熟させた後に施用される<ref name=kanagawa2013 />
:* 発酵乾糞(かんぷん)肥料 : [[屎尿]]を[[嫌気発酵]]で処理して得られるもの。
 
; 発酵乾糞肥料
=== 下水汚泥 ===
: 発酵乾糞(かんぷん)肥料とは、人糞尿を調整槽内で嫌気発酵させた後、残留物を乾燥後粉末にしたもの。窒素1~2%、リン酸5%程度を含む<ref name=kanagawa2013 />。
(人間の排泄物の)屎尿はかつて伝統的な有機質肥料であったが、現在では、下水汚泥を材料とした[[生物固体]]が使用されている。
 
; 屎尿汚泥肥料
: 以下の4種類を指す。いずれも、登録の有効期間が3年の普通肥料である<ref name=sinyoodei>[url=http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/sinyoodei.pdf 屎尿汚泥の公定規格]</ref><ref name=odei_hiryo>[http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/odei_hiryo/pdf/data3.pdf 汚泥肥料の概要]</ref>。
:* 屎尿処理施設、集落廃水処理施設もしくは[[浄化槽]]から生じた[[汚泥]]またはこれらを混合したものを濃縮、消化、脱水または乾燥したもの。
:* 屎尿または動物の排泄物に凝集促進材または悪臭防止材を混合し、脱水または乾燥したもの。
:* 上記2種類の屎尿汚泥肥料に植物質もしくは動物質の原料を混合したもの、またはこれを乾燥したもの。
:* 上記3種類の屎尿汚泥肥料を混合したもの、またはこれを乾燥したもの。
 
===; 下水汚泥 ===
: (人間の排泄物の)屎尿はかつて伝統的な有機質肥料であったが、現在では、下水汚泥を材料とした[[生物固体]]が使用されている。
[[ファイル:Hestemøj.jpg|サムネイル|動物の糞の分解物は有機肥料の源である。]]
土壌改良材としての生物固体は米国の農耕地において1%未満しか使用されていない。下水汚泥は産業の汚染物質を含み、このことが肥料としての再利用の障害となっている。[[アメリカ合衆国農務省]](USDA)は、産業上の汚染物質、医薬品、ホルモン、重金属、およびその他の要因により米国の有機農業事業における下水汚泥の使用を禁止している<ref name=epa.gov2010 /><ref name=calorganicfarms2010 /><ref name=water.epa.gov />。USDAは、窒素含量が高い液性の有機肥料の米国での販売にサードパーティの認証を必要としている<ref name="USDA certification of high-nitrogen liquid fertilizer" />。USDAの禁止により、米国の有機農業事業における下水汚泥の使用は非常に限定され、また、希少である<ref name=epa.gov2012 /><ref name=calorganicfarms2012 /><ref name=sludgememo />。
 
; 下水汚泥肥料
USDAの禁止により、米国の有機農業事業における下水汚泥の使用は非常に限定され、また、希少である<ref name=epa.gov2012 /><ref name=calorganicfarms2012 /><ref name=sludgememo />。
: 以下の3種類を指す。いずれも、登録の有効期間が3年の普通肥料である<ref name=gesuiodei>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/gesuiodei.pdf 下水汚泥の公定規格]</ref>。
:* [[下水道]]の終末処理場から生じる汚泥を濃縮、消化、脱水または乾燥したもの。
:* 上記の下水汚泥肥料に植物質もしくは動物質の原料を混合したものまたはこれを乾燥したもの。
:* 上記2種類の下水汚泥肥料を混合したものまたはこれを乾燥したもの。
 
; 焼成汚泥肥料
== 動物由来 ==
: 下水汚泥肥料、屎尿汚泥肥料、工業汚泥肥料または混合汚泥肥料を高温で加熱し、構成化合物の安定化および形状と強度の確保(焼成)をしたもの<ref name=syoseiodei>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/syoseiodei.pdf 焼成汚泥肥料の公定規格]</ref>。
天然由来の有機肥料には、食肉加工くず、[[堆肥]]、[[スラリー]](泥漿)、および[[グアノ]](糞化石)を原料とする動物性廃棄物がある。
 
; 汚泥発酵肥料
: 以下の2種類を指す。いずれも、登録の有効期間が3年の普通肥料である<ref name=odeihakko>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/odeihakko.pdf 汚泥発酵肥料の公定規格]</ref>。
:* 下水汚泥肥料、屎尿汚泥肥料、工業汚泥肥料または混合汚泥肥料を堆積または攪拌し、腐熟させたもの。
:* 上記の汚泥発酵肥料に植物質もしくは動物質の原料または焼成汚泥肥料を混合したものを堆積または撹拌し、腐熟させたもの。
 
; 混合汚泥肥料
: 以下の3種類を指す。いずれも、登録の有効期間が3年の普通肥料である<ref name=kongoodei>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/kongoodei.pdf 混合汚泥肥料の公定規格]</ref>。
:* 下水汚泥肥料、屎尿汚泥肥料もしくは工業汚泥肥料のいずれか二以上を混合したものまたはこれを乾燥したもの。
:* 上記の混合汚泥肥料に植物質もしくは動物質の原料を混合したものまたはこれを乾燥したもの。
:* 上記2種類の混合汚泥肥料を混合したものまたはこれを乾燥したもの。
 
== 動物由来 ==
=== 動物の排泄物に由来 ===
動物由来の有機質肥料には動物の排泄物(主に乳牛、豚、鶏)を原料とするものがある。動物の排泄物を乾燥させただけのもの(動物の排泄物と称される)、発酵させたもの(動物糞堆肥)、および燃焼させて灰にしたもの(動物の排泄物の焼却灰)の3つは堆肥等特殊肥料に分類される<ref name=hiryoutorishimari>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO127.html 肥料取締法(昭和二十五年五月一日法律第百二十七号)]</ref>。
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:* 乾燥馬糞
; 動物糞堆肥
: 動物の排泄物を原料に含み、これを堆積または撹拌し[[腐熟]]させたもの。基本的に特殊肥料であるが、凝集促進剤または悪臭防止剤を加えて脱水または乾燥したものは登録有効期間6年の普通肥料の屎尿汚泥肥料に指定されている<ref name=kanagawa2013 />。発酵の工程では一般に副資材が動物糞に混合される。この副資材におけるもっとも重要な役割は発酵の促進である。主に[[大鋸屑]]や[[木質チップ]]などの木質系[[バイオマス]]が副資材に用いられる<ref name=tokusyuhiryou>{{cite journal |author=農林水産省 |title=調査結果の概要 |journal=たい肥等特殊肥料の生産・出荷状況調査 |date=2007年12月31日 |url=http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001064673}}</ref>。副資材にはほかに戻し堆肥(水分調整などの目的で生糞尿に添加し再利用される堆肥)や食品廃棄物がある。
:* 鶏糞堆肥(発酵鶏糞):鶏糞堆肥は牛糞堆肥と比べて肥料成分、特にリン酸の含有量が高い。発酵により窒素分が揮散しているため、乾燥鶏糞に比べて窒素分は少ない。加えて、肥効の発現が速い。粗大有機物はほとんど含まれておらず、土壌物理性の改善効果は大いに期待できない。過剰に施用すると肥料当たりが起こる。以上のように、使用方法は化学肥料のそれに近い。島根県は野菜畑への施肥量として500kg/10aを推奨している<ref name=taihisetumei />。ただし、米Agricultural Research Service(ARS)は、副資材を大鋸屑としたとき、鶏糞堆肥は[[土壌改良材]]としての価値を有することを見出した。加えて、この堆肥には高い肥料効果があることが実証された。鶏糞堆肥と他の有機質肥料と化学肥料をそれぞれ施肥した綿圃場では、綿の収量は化学肥料条件と比べて鶏糞堆肥条件で12%増加した。ARSの研究者らは、鶏糞堆肥の従来の販売額相場$61/tに17$/tの価値を足し、総合$78/tの価値と評した<ref name=ars.usda.gov23 />。
:* 鶏糞ペレット堆肥:鶏糞堆肥を成型機によりペレット状に成型したもの。成型機には乾式造粒型(ディスクペレッター)や円錐型(タブレット式)がある。ペレット化にはコストがかかるが、多くの利点がある。ペレット化前の堆肥(バラ堆肥)と比べて臭いが少なく、散布時に粉塵を引き起こさない。重量と容積ともに圧縮される。肥料効果と品質が均一化される<ref name=manure201111>{{cite journal |author=三重県農業研究所 研究員 村上 圭一 |title=鶏ふんのペレットたい肥化による利用の促進 |pages=1-6 |date=2011年11月6日 |url=http://www.maff.go.jp/tokai/seisan/tikusan/manure/pdf/manure201111_6.pdf}}</ref>。
:* [[牛糞#堆肥|牛糞堆肥]]:牛糞堆肥の特性は、畜産牛が牧草や、繊維質の多い粗飼料を食すことに由来する。他の畜種由来の堆肥と比較して窒素分やリン分は少ないが、[[肥料の三要素]]のバランスが良いとされている<ref name=shiryo8>{{cite journal |author=滋賀県 |title=1 家畜ふん堆肥の利用 |journal=肥料節減に向けた技術対策集 |pages=51-55 |date=2008年9月 |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/shiryo8.pdf}}</ref>。[[栄養素 (植物)#カルシウム|石灰]]はやや少ないが、[[栄養素 (植物)#ナトリウム|ナトリウム]]、[[栄養素 (植物)#塩素|塩素]]、[[栄養素 (植物)#ケイ素|珪酸]]の含量が高い。[[電気伝導度]](EC)は低く、C/N比は鶏糞や豚糞より高い。緩効性であり、土づくり資材として作付けの一月前に施用される。長期間にわたって持続的に肥料成分を供給する。乳牛の糞を原料とした場合、[[和牛]]のそれと比べて肥料成分は高い。島根県によると、牛糞堆肥は[[基肥]]としての利用に有利であり、野菜畑には基肥として2t/10a程度施用されることが望ましい<ref name=taihisetumei>[http://www.pref.shimane.lg.jp/industry/norin/seisan/kankyo_suishin/katikuhaisetubutu/index.data/taihisetumei.pdf たい肥の役割や主なたい肥の種類別特徴と使用方法(島根県)]</ref>。使用上の注意として、牛の飼料には雑草種子が混入している場合があり、発酵が不十分であると、牛糞に紛れていた雑草種子が発芽する。発酵熱による雑草種子や寄生虫卵の死滅には70~80度程度の温度が必要とされる<ref name=shiryo8 />。腐熟が不十分であると、例えば雑草の[[メヒシバ]]は50度未満の発酵熱でも96%発芽する<ref name=takabayashi1978>{{cite journal |author=高林 実 |author2=中山 兼徳 |title=主要畑雑草種子の土中における生存年限について |journal=雑草研究 |volume=23 |issue=1 |pages=32-36 |date=1978 |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/weed1962/23/1/23_1_32/_article/-char/ja/ |doi=10.3719/weed.23.32}}</ref>。このため、完熟堆肥が用いられる。
:* 豚糞堆肥:多くの場合、窒素分やリン酸といった肥料成分は牛糞堆肥より多く、鶏糞肥料より少ない。炭素量は牛糞堆肥と同程度であり、C/N比はより小さい。ECは牛糞堆肥より大きい<ref name=shiryo8 />。繊維質は牛糞堆肥よりも少なく、比較的微生物に分解されやすい。しかし、鶏糞肥料と比べて緩効性が高い。畑地への施用量は300-500kg/10aが推奨されている<ref name=taihisetumei />。過剰に施用すると肥料当たりが起こる。
:* 馬糞堆肥
; 動物の排泄物の焼却灰
動物の排泄物または堆肥を焼却した後に得られた灰。焼却により有機物は完全に熱分解されており、焼却灰中に水分や炭素は全く存在せず、窒素成分もほとんど含まれていない。リンと加里は焼却前から濃縮されており、それらの供給源として利用される。[[灰分]]を多く含むため、[[塩基性]]を示す<ref name=taihisetumei />。
:* 鶏糞焼却灰(鶏糞灰):小林ら(2013)<ref name=kobayashi2013>{{cite journal |author=小林 透 |author2=田中 章浩 |title=バイオマス燃焼灰のリンの形態と肥効 |journal=九州沖縄農研 第76回 発表要旨集 |volume=76 |pages=19 |date=2013年8月 |url=http://www.naro.affrc.go.jp/org/karc/qnoken/yoshi/no76/76-p019.pdf}}</ref>によると、鶏糞灰中には牛糞灰中よりもリン酸の全濃度と[[ク溶性]]濃度、および加里の全濃度が高い。リン酸の肥効率は[[熔成リン肥]]や[[過リン酸石灰]]と同程度である。青森農林総研によると、鶏糞灰は[[栄養素 (植物)#銅|銅]]を300ppm以上含む<ref name=YS6>{{cite journal |author=青森農林総合研究所 |title=鶏糞灰(商品名:昔の知恵、アッシュ、ハイカリン)及び炭化鶏糞(商品名:鶏ふん炭化物、万能炭太郎)の肥効特性に応じたりんリン酸・カリの減肥 |journal=普及する技術・指導参考資料 |volume= |issue= |pages=- |date=2012 |url=http://www.applenet.jp/~nouken/promote/sakumoku/yasai/YS6.pdf}}</ref>。
:* 牛糞焼却灰(牛糞灰):小林ら(2013)<ref name=kobayashi2013 />によると、鶏糞灰中よりもリン酸濃度は低いが、牛糞灰で育てた[[小松菜]]の乾燥重量およびリン酸吸収量は鶏糞灰で育てたものよりも同等以上であった。[[過リン酸石灰]]で育てたものよりも乾燥重量が、[[熔成リン肥]]で育てたものよりもリン酸吸収量とリン肥効率は有意に高かった。牛糞灰中のリン酸はほとんど[[可給態]]であると考えられ、リン酸化学肥料の代替となり得る。
; 炭化動物糞
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: 動物の[[蹄]]、角またはそれらの加工屑を加圧蒸製(3気圧、180℃、3時間以上)後に粉砕したもの<ref name=joseiteikakufun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/joseiteikakufun.pdf 蒸製蹄角粉の公定規格]</ref>。普通肥料(登録有効期間6年)である。窒素10.0~14.0%を含む<ref name=pocket />。
; [[蒸製皮革粉]]
: 製革および皮革加工工場から発生する皮革くずを加圧蒸製(3気圧、180℃、3時間以上)し粉砕したもの<ref name=joseihikakufun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/joseihikakufun.pdf 蒸製皮革粉の公定規格]</ref>。普通肥料(登録有効期間6年)である。[[皮革#なめし#タンニンなめし|タンニンなめし]]のものは6.0~7.5%、[[皮革#なめし#クロムなめし|クロムなめし]]のものは11.0~12.5%5%の窒素を含む<ref name=pocket />。
; 羊毛屑
: 羊毛を加工する際に発生する屑<ref name=sdojo20 />。特殊肥料である。
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: [[魚節]]のダシガラ(魚節を煮て出汁を抽出した粕)を乾燥し、窒素全量が9.0%以上となったもの<ref name=uobushinikasu>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/uobushinikasu.pdf 魚節煮粕の公定規格]</ref>。普通肥料(登録の有効期間は6年)に指定されている。魚節は、例えばうどん屋などの料理店から出る[[鰹節]]である。
; 魚鱗
: 魚の鱗を集めて乾燥したもの<ref name=kanagawa2013 />。特殊肥料に指定されている。窒素2~7%2~7%、リン酸2~18%2~18%を含む。
; 蒸製魚鱗およびその粉末
: 魚鱗を加圧釜で蒸製した後に加熱乾燥したもの<ref name=joseigyorin>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/joseigyorin.pdf 蒸製魚鱗の公定規格]</ref>。普通肥料(登録の有効期間は6年)に指定されている。窒素は6.0%以上、リン酸全量18.0%以上を含む。
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蒸製魚骨粉と蒸製骨以外は[[普通肥料]]である。
; 生骨粉(きこっぷん)
: 骨を水とともに煮沸して脂肪分を除いた後に乾燥、粉砕したもの<ref name=kikoppun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/kikoppun.pdf 生骨粉の公定規格]</ref>。蒸製処理はされていない。普通肥料(登録の有効期間は6年)に指定されている。窒素3~5%、リン酸16~20%16~20%を含む<ref name=pocket />。
; 蒸製骨
: 牛や豚などの動物の骨を砕いて加圧蒸製(3気圧、180℃、3時間以上)し、脂肪([[骨油]])と大部分の[[膠]]([[ゼラチン]])を除いた後の滓<ref name=sdojo20 />。特殊肥料である。
:* 脱膠骨(だっこうこつ) : 骨粉からゼラチンを除いたもの。
; 膠滓(うるしかす)
: 皮革製品の製造の際に副産されるニベ及びセービング屑から、膠を抽出したかす。窒素4~5%4~5%を含む<ref name=kanagawa2013 />。
; 蒸製骨粉
: 蒸製骨を乾燥して粉砕したもの<ref name=joseikoppun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/joseikoppun.pdf 蒸製骨粉の公定規格]</ref>。普通肥料(登録の有効期間は6年)に指定されている。窒素3.0~4.0%、リン酸17.0~24.0%を含む<ref name=pocket />。
:* 脱膠骨粉 : 脱膠骨を乾燥して粉砕したもの。
; 蒸製鶏骨粉
: 生の鶏骨を砕いて加圧蒸製(3気圧、180℃、3時間以上)し、脂肪とゼラチンを除去した後に乾燥・粉砕したもの<ref name=joseikeikotufun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/joseikeikotufun.pdf 蒸製鶏骨粉の公定規格]</ref>。普通肥料(登録の有効期間は6年)に指定されている。窒素3.5~5.0%0%、リン酸13.0~21.5%5%を含む<ref name=pocket />。
; 蒸製魚骨粉
: 鮫やマグロなどの大型魚の骨を蒸製し、乾燥・粉砕したもの。特殊肥料である。
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:* 回収骨炭粉末
; 骨灰
: 骨を空気の流通下で燃焼したかす。リン酸35~38%35~38%を含む<ref name=kanagawa2013 />。石灰やケイ酸などを含み、[[塩基性]]である<ref name=sdojo20 />。
 
=== 鳥獣以外の陸上動物に由来 ===
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: 干蚕蛹を粉砕したもの<ref name=kansanyofun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/kansanyofun.pdf 干蚕蛹粉末の公定規格]</ref>。普通肥料(登録期間6年)である。窒素7.0~8.0%、リン酸約1%を含む。乾物中には24~32%の油脂が含まれている<ref name=pocket />。
; 蚕蛹油粕およびその粉末
: 蚕の蛹から油をとった粕<ref name=sanyoaburakasufun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/sanyoaburakasufun.pdf 蚕蛹油粕およびその粉末の公定規格]</ref>。普通肥料(登録期間6年)である。窒素9.0~9.5%、リン酸1.3~1.5%5%を含む<ref name=pocket />。
; 絹紡蚕蛹屑(けんぼうさんようくず)
: [[絹糸]]紡績工場から廃出される絹糸くずや蛹皮、蛹粉を混合したもの。<ref name=kenbosanyokuzu>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/kenbosanyokuzu.pdf 絹紡蚕蛹屑の公定規格]</ref>。普通肥料(登録期間6年)である。窒素7~11%7~11%、リン酸0.4~1.8%8%を含む<ref name=pocket />。
; セラック滓
: [[ラックカイガラムシ]]の分泌物から[[セラック]]をアルコール抽出し精製する際に生じる残りかす。天然樹脂セラックなど。窒素4%4%前後を含む<ref name=kanagawa2013>{{cite journal |author=神奈川県 |title=15 肥料取締法について |journal=神奈川県作物別施肥基準 |volume= |issue= |pages=121-130 |date=2013年3月 |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/kana_26.pdf}}</ref>。
 
=== 魚以外の水産動物に由来 ===
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== 植物由来 ==
=== 米に由来 ===
; 稲わら
: 堆肥化させなかった水稲のわら。秋に農耕土壌中にすき込む。十分にすき込みをせずに稲わらを施用すると、土壌中の窒素と酸素が減少して作物の生育は阻害されるとともに[[田植機]]の能率と精度は低下する。志賀らによると、水田に5年間埋設しても10%ほど残留し、[[腐植]]を増加させる<ref name=gtuti4>{{cite journal |author=岐阜県 |title=2-4 有機物を施用する |journal=土づくりマニュアル(水田版) |pages=49-64 |date=1997年3月 |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/gtuti4.pdf}}</ref>土づくりマニュアル(水田版)。
; 稲わら堆肥
: [[稲わら]]に家畜糞堆肥などの窒素質肥料を加えて堆肥にしたもの。窒素質肥料に[[石灰窒素]]を選ぶと堆肥化が速い<ref name=tuti301>{{cite journal |author=青森県 |title=Ⅲ 堆肥 |journal=健康な土づくり技術マニュアル |pages=199-207 |date=2008年12月 |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/tuti301.pdf}}</ref>。北海道農政部の調査によると、窒素0.6%、リン酸0.4%、加里0.4%を含む<ref name=6_futai_siryo>{{cite journal |author=農政部 |title=Ⅵ 付帯資料 1 有機物資材 |journal=北海道施肥ガイド2010 |pages=222-226 |date=2010年3月 |url=http://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/6_futai_siryo.pdf}}</ref>。水田よりも畑で、乾燥(乾田)よりも湿潤(湿田)条件で、低温よりも高温で、土壌表面でよりも土中で分解・堆肥化されやすい
; 籾殻堆肥
: [[籾殻]]に家畜糞堆肥を加えて堆肥としたもの。稲わらと比べて腐熟しにくく、作成には家畜糞堆肥を用いる必要がある。石灰窒素のような化学肥料だけでは腐熟は進まない。仕上がりまで早くて6か月、通常は1年ほどを要する<ref name=tuti301 />。北海道農政部の調査によると窒素0.4%、リン0.2%、加里1.4%を含む<ref name=6_futai_siryo />。
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=== 麦やトウモロコシに由来 ===
; 麦酒の発酵かす
; ビール粕
発酵かすとは、発酵工業で植物原料から得られた副産物で、特殊肥料である。原料によって成分は一定しない。水分が多いものは早期に腐敗するため、堆肥原料に使うことが推奨されている<ref name=sdojo20 />。
: ビールの製造工程で、大麦が発芽して糖化酵素を生成した後に麦芽を取り除き、湯を加えて麦汁を精製した後に残る滓。特殊肥料である<ref name=sdojo20 />。
;:* ビールかす
;:* ウイスキーかす
:
; トウモロコシ胚芽
: [[コーングリッツ]]や[[コーンフラワー]]などの製造の際に出る副産物<ref name=tomorokoshihaigakuzu>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/tomorokoshihaigakuzu.pdf トウモロコシ胚芽およびその粉末の公定規格]</ref>。登録の有効期間が6年の普通肥料である。油分を多く含み、緩効性を持つ。[[マルチ資材|マルチ栽培]]向けの肥料の原料となる<ref name=pocket />。窒素全量2.0%以上、リン酸全量2.0%以上、加里全量1.0%以上を含む<ref name=pocket />。
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: トウモロコシ胚芽から油を抽出した滓<ref name=tomorokoshihaigaaburakasufun>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/tomorokoshihaigaaburakasufun.pdf トウモロコシ胚芽油粕の公定規格]</ref>。登録の有効期間が6年の普通肥料である。窒素全量3.0%以上、リン酸全量1.0%以上を含む<ref name=pocket />。
; コウモロコシ浸漬液肥料
: 材料は、[[コーンスターチ]]を製造する際に原料のトウモロコシから由来する副産物である。このトウモロコシを[[亜硫酸]]で浸漬し、その液を発酵させて濃縮させたものがトウモロコシ浸漬液肥料(CSL)である<ref name=tomorokoshishinsekieki>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/tomorokoshishinsekieki.pdf コウモロコシ浸漬液肥料の公定規格]</ref>。窒素全量3.0%以上、りんリン酸全量3.0%以上、加里全量2.0%以上、水溶性加里2.0%以上を含む<ref name=pocket />。
; 植物由来のアミノ酸滓
: トウモロコシや小麦などの[[タンパク質]]を塩酸または廃糖蜜アルコール醗酵濃縮廃液で分解してアミノ酸を製造する際に発生する[[腐植]]状のかす(遊離硫酸の含量0.5%5%以上のものを除く<ref name=sdojo20 />)。味液の製造において、塩酸処理後のアミノ酸滓を乾燥させたものは登録有効期間6年の普通肥料([[副産植物質肥料]])となる<ref name=fukusansyokubutushitu>[http://www.famic.go.jp/ffis/fert/kaisetu/fukusansyokubutushitu.pdf 副産植物質肥料の公定規格]</ref>。普通肥料のアミノ酸滓は窒素5.5~7.0%を含む<ref name=pocket />。それ以外は特殊肥料であり、窒素0.5~2.5%を含む<ref name=kanagawa2013 />。
 
=== その他草本に由来 ===
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: [[紡績]]工場から排出される綿屑。
; ヨモギ滓
: [[ミブヨモギ]]から[[ベンゼン]]で[[サントニン]]を抽出した滓を、または[[ヨモギ]]を加工して[[モグサ]]を製造した滓を乾燥したもの。特殊肥料である。窒素2.5%5%、加里3.5%5%程度を含む<ref name=kanagawa2013 />。
; 製糖副産石灰
: 製糖の工程で、汁液の調整および[[ショ糖]]の精製分離のため加えられた消石灰を濾別回収したもの。水分が多く成分含有量の変動が大きい<ref name=kanagawa2013 />。
271 ⟶ 299行目:
=== 海藻・藻類に由来 ===
; 乾燥藻およびその粉末
: [[海藻]]([[クロレラ]])を乾燥したもの。[[トロロコンブ]]の製造滓も含まれる<ref name=sdojo20 />。特殊肥料である。窒素1%1%程度、加里2~13%2~13%を含む<ref name=kanagawa2013 />。成分は原料の海藻の種類や収穫時期によって異なる。
; 藻類
: ARSの研究によると、藻類は有機質肥料の材料となるだけでなく、農耕土壌からの窒素およびリンの流出を防ぎ、これら栄養素の流入による[[水圏]]の[[水質汚染|汚染]]を防止することができる。ARSは、栄養の流出を防止するためのalgal turf scrubberを開発した。栄養豊富な藻類は一度乾燥させてキュウリやトウモロコシの苗に投入されると、化学肥料の使用条件に匹敵する植物生長をもたらす<ref name=ars.usda.gov7 />。
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: 草や木を空気中で燃焼させたもの(塵芥灰を除く)、または[[稲藁]]、[[籾殻]]、[[おが屑]]等を低温燃焼させたもの。空気を遮断して焼いたものは[[木炭]]である。燃焼による揮散で窒素成分を含まない。加里成分を高濃度で含む他、石灰、ケイ酸などを有しアルカリ性である<ref name=sdojo20 />。
; 燻炭(くんたん)肥料
: おが屑、籾殻等を炭化したものに人糞尿や[[木酢液]]を吸着させたもの。あるいは、落葉や塵芥を燻炭にし、人糞尿を吸収させたもの。後者は窒素0.7%7%、リン酸0.4%4%、加里0.7%7%程度を含む<ref name=kanagawa2013 />。
; 腐植酸質資材
: [[肥料取締法]]における特殊肥料と[[地力増進法]]における[[土壌改良資材]]の両方に分類されている<ref name=ntuti31 />。土壌改良材としての定義は[[亜炭]]を硝酸で分解し、[[炭酸カルシウム]]で中和したものである。主な効果は土壌の保肥力の改善である。