「浮遊選鉱」の版間の差分

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[[脈石]]を多く含む泥状の物体は撹拌装置の底へ沈殿する。これはスライムと呼ばれ、経済的に可能ならば使える粘土をさらに選鉱した上で、最終的に廃棄される。スライムは鉱石や薬品由来の有害成分を含むので[[鉱滓ダム]]に堆積させる。水分を失ったスライムはそのまま放置か、もしくは[[坑道]]においての[[充填]]材として再利用する事がある。
 
==歴史と浮遊選鉱法の発展==
==功罪==
[[Image:FlCell.PNG|thumb|240px|right|泡沫浮選の図解、PULPは鉱石を粉砕して起泡剤などと混ぜた泥漿の事である]]
;多油浮選(bulk-oil flotation)
:古代から、油やピッチが特定の鉱石を集めやすいという事例は経験的に知られていた。[[特許]]として初めて歴史に表れたのは、1860年の英国人 William Haynesによる油を使い粉末にした硫化鉱物と脈石を分離する手法('''多油浮選''')の特許「British Patent 488」が浮遊選鉱の歴史の始まりである<ref>[http://www.mp.energy.kyoto-u.ac.jp/image/Creative_Kyoto_2009_10.pdf 泡は地球を救う!?~省資源・省エネルギー型分離技術 “浮選”~](京都大学)</ref><ref name=Flotation>Colloidal Science of Flotation ISBN-13:978-0824747824 p.10-16</ref><ref name=park>[https://www.nps.gov/parkhistory/online_books/npsg/milling.pdf Frothers, Bubbles and Flotation p23-31](アメリカ合衆国国立公園局)</ref>。
 
;被膜浮選(skin flotation)
:1877年、[[泥漿]]にガスを吹き込み泡立て水面に浮かんだ鉱物粒子の被膜を分離する特許が出され、1885年に酸や塩を加えて化学反応で泡立てる発明がなされた<ref name=Flotation/>。
 
;泡沫浮選 (Froth flotation)
:1905年に[[オーストラリア]]の[[ブロークンヒル]]に建設され商業的に成功して以来 現在まで主流となっている泡沫浮選は、起泡剤という[[界面活性剤]]を加え、撹拌機によって撹拌しながら空気を吹き込み、[[泥漿]]表面に形成された泡沫層を回収する手法が取られている<ref>[https://kotobank.jp/word/%E6%B3%A1%E6%B2%AB%E6%B5%AE%E9%81%B8-1414692 泡沫浮選](コトバンク)</ref><ref name=park/>。
==メリットとデメリット==
従来は廃棄されていた低品位の鉱石からの回収率が画期的に上昇し、鉱山の採算性ひいては金属価格の下落を促し、[[工業]]の発展に貢献することとなった。アフリカの[[ユニオン・ミニエール]]は典型である。日本の場合もダムをつくらなかった時代の河川や[[ボタ山]]の[[黒鉱]]から、特に[[亜鉛]]を生産する手段として行われ、大正にはイギリスへ輸出するほどに産業が成長した。
 
一方で、選鉱に用いられる廃水中の[[重金属]]が下流で濃集し、[[足尾銅山鉱毒事件]]や[[イタイイタイ病]]に代表される鉱害を発生させる事故も、世界的には時代に関係なく起こっている。なお、発生地域が発展途上域に限られないことを断っておく。
 
==出典==
<references />
 
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[[Category:鉱業]]