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Ufoha (会話 | 投稿記録)
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#: 真実性・相当性の法理においては真実性及び真実相当性の立証責任はすべて被告側(表現者側)が負担する{{Sfn|佃克彦|2008|p=279}}{{Sfn|松尾剛行|2016|p=162}}。
#: 人の名誉を危殆にさらす以上は表現者はその根拠があやふやであってはならないという趣旨である{{Sfn|佃克彦|2008|p=300}}。他方、摘示した事実にき細大漏らさず真実性の立証を負担させることは言論の萎縮につながるおそれがある{{Sfn|佃克彦|2008|p=300}}。最高裁の判例には真実性の証明の範囲を「重要な部分」で足りるとした原判決の判断を是認したものがある(昭和58年10月20日最高裁判所判決判時1112号44頁){{Sfn|佃克彦|2008|p=300}}{{Sfn|松尾剛行|2016|p=182}}。
#: 真実性の証明の対象は、例えば風評の摘示の場合、風評そのものの存在ではなく風評の内容たる事実である(原判決を是認した判例として最高裁判所昭和39年1月28日判決){{Sfn|佃克彦|2008|pp=302-303}}。ただ真実性の証明の対象は読者がどう受け止めるかの解釈によって定まるから、風評形式であっても記述がその風評が真実であることを前提にしてなされたものか否かによって異なると解されている{{Sfn|佃克彦|2008|p=303}}。
#: 仮に真実性が証明できなかったとしても、行為者が事実を真実であると信ずるにつき相当の理由があるときは名誉毀損は成立しない{{Sfn|松尾剛行|2016|p=194}}。ただし相当性が認められるためには、行為者が真実と誤信することとともに確実な資料や根拠に照らして相当の理由があることの双方が必要となる<ref>最高裁判所大法廷昭和44年6月25日判決刑集23巻7号975頁</ref>{{Sfn|松尾剛行|2016|p=194}}。最高裁は「インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるとき」に限って名誉毀損は成立しないとしており(最高裁判所平成22年3月15日決定刑集64巻2号1頁)、従来型の名誉毀損以上に深刻な被害を与えるおそれがあり反対言論による損害の回復も確実とは言えないことを考慮したものとされている{{Sfn|松尾剛行|2016|p=195}}。なお、この判例(最高裁判所平成22年3月15日決定)は参考資料の一部として雑誌記事を用いていた事例であったが結果として相当性は否定されている{{Sfn|松尾剛行|2016|p=200}}。