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[[File:Gray802.png|thumb|250px|脊髄神経]]
'''脊髄神経'''(せきずいしんけい、{{lang-en|spinal nerves}}、{{lang-la|nervi spinales}})とは、[[末梢神経]]のうち、[[脊髄]]から分かれて出るものを指す。末梢神経は脊髄神経と[[脳神経]]に分かれるが、脳神経は[[迷走神経]]を除いて頭頸部にしか分布しないから、四肢・体幹を[[支配]]する神経はほぼすべて脊髄神経である。狭義には[[脊柱管]]から[[前根]]と[[後根]]が出て合わさるところから、[[脊髄神経前枝|前枝]]と[[脊髄神経後枝|後枝]]に分かれるまでの部分を指す。
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==解剖==
脊髄神経は、[[脊椎]]の椎間孔ごとに一対ずつ出ている。[[頚椎]]の間から出るものを頚神経(cervical nerve)、[[胸椎]]の間から出るものを胸神経(thoracic nerve)、[[腰椎]]の間から出るものを腰神経(lumbar nerve)、[[仙骨]]の仙骨孔から出るものを仙骨神経(sacral nerve)、第1尾椎と第2尾椎の間から出るものを尾骨神経(coccygeal nerve)と呼ぶ。これらは上から順に番号をつけた略号で、'''C1'''
脊髄神経は[[脊髄]]から分かれたのち、[[脊柱管]]の中でいくらか[[解剖学における方向の表現|下]]に走ってから椎間孔を抜ける。これはより低い位置の脊髄神経について顕著であり、C8が第7頸椎あたりの高さから起こる(脊髄から根が出る)一方、すべての腰神経は第12胸椎から第1腰椎あたりの高さから起こる。このため脊髄の本幹は第2腰椎あたりの高さで終わるのに、脊柱管の中ではその下にも長く脊髄神経の根が束になって走る。この部分を'''馬尾'''という。
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脊髄神経の根は、脊髄[[解剖学における方向の表現|前面]]の前外側溝から出る'''[[前根]]'''と、脊髄[[解剖学における方向の表現|後面]]の後外側溝から出る'''[[後根]]'''の2つである。前根はおもに[[骨格筋]]を[[支配]]する運動線維、後根はおもに[[皮膚]]などの[[知覚]]を伝える感覚線維を入れているので、後根は後外側溝「に入る」と言ったほうが正確ともいえる。前根と後根は合わさって脊柱管を出るが、後根は合流する少し根元で'''[[後根神経節]](脊髄神経節)'''と呼ばれるふくらみを作っている。脊髄神経節には神経節細胞と呼ばれる[[神経細胞]]の細胞体が入っている。神経節細胞は知覚の一次線維である。すなわち、神経節細胞から延びた線維が皮膚や[[筋紡錘]]で知覚の受容器を作り、受容した刺激の信号を[[シナプス]]を介することなく脊髄神経節まで送る。神経節細胞は脊髄の中にある細胞とシナプスを作って[[知覚伝導路]]をなす。
前根と後根が合流した先で、脊髄神経は細い硬膜枝と[[交通枝 (脊髄神経)|交通枝]]を出したのち、体の前面に向かう'''[[脊髄神経前枝|前枝]]'''と後面に向かう'''[[脊髄神経後枝|後枝]]'''に分かれる(前根・後根と混同しないよう注意されよ)。硬膜枝は硬膜の知覚を伝え、交通枝は[[交感神経幹]]の[[神経節]]に入る。一部の前枝は'''神経叢'''を作って異なる高さからの線維を交換し、さまざまな高さからの線維を含んだ[[神経]]になって末梢へ向かう。この型の神経叢は人体に4箇所あり、
神経叢にかかわらない脊髄神経はおおむね一様な分布を示す。後枝は[[固有背筋]]の運動と背部の皮膚知覚を支配する。前枝は[[肋間神経]]として[[肋骨]]の間を走り、体壁の[[筋肉]]と皮膚知覚を支配する。前枝の支配域は背部まで及んでおり、後枝の支配域よりもかなり広い。
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==参考文献==
*Werner Kahle、長島聖司・岩堀修明訳『分冊 解剖学アトラス
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