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[[Imageファイル:033-vamana.jpg|thumb|right|200px|椅子に座るのがマハーバリ。左が乞食の少年として紫の皮膚の姿でマハーバリ王に尋ねるヴァーマナ(ヴィシュヌ)]]
{{Hinduism}}
[[Image:Vamana1.jpg|thumb|200px|ヴァーマナが巨大化し、マハーバリの額に3歩目の足を下ろす場面]]
'''マハーバリ'''('''Mahabali''', (Mahabali、[[デーヴァナーガリー]]表記:महाबली)もしくは'''バリ''' ('''Bali''') とは、主に[[インド神話]]に登場する[[アスラ]]の[[王]]である。2つの絵をみてもわかる通り、マハー<ref>『[[#インド神話伝説辞典|インド神話伝説辞典]]』, p.262.(バリは皮膚の色は白くほぼ人間と同じ姿をしている)</ref>。名前に付いているマハーとは「偉大な」を意味する敬称である。[[ダイティヤ]]族であり、同じく[[アスラ]]王である[[ヴィローチャナ]]を父に、[[プラフラーダ]]を祖父に、[[ヒラニヤカシプ]]を曾祖父に持つ<ref name="インド神話伝説辞典p262">『[[#インド神話伝説辞典|インド神話伝説辞典]]』, p.262.(バリ)</ref>。また、[[ダイティヤ]]族の守護女神である[[コータヴィー]]を妻とする{{要出典|date=2016年10月2日 (日) 12:10 (UTC)}}。ヴィンディヤーヴァリーもマハーバリの妻である<ref>菅沼晃編 「『[[#インド神話伝説辞典」東京堂出版 1985|インド神話伝説辞典]]』,p90(「 p.90.(ヴィンディヤーヴァリー)</ref>。コータヴィーとマハーバリは子[[バーナースラ]]をもうけた。
 
== 概要 ==
マハーバリは天界の王[[インドラ]]との戦いで命を落とした父[[ヴィローチャナ]]にかわり祖父[[プラフラーダ]]の下で育てられた。[[プラフラーダ]]は最高神[[ヴィシュヌ]]に帰依して大悟を得た[[アスラ]]であり、祖父の薫陶を受けたマハーバリは長じて地底界を治め、公正で献身的な王となった。やがてマハーバリは父の仇を討つべく天界に軍を進め、[[インドラ]]率いる[[デーヴァ]]神族を掃討して、天界・空界・地上界の三界を掌握した<ref name="インド神話伝説辞典p262" />。彼の治世は喜びに満ち、世界はあまねく光り輝いて富にあふれ、三界のどこにも飢える者はなかったという。
 
[[インドラ]]を含む[[デーヴァ]]神族は戦争に負けたため今度は逆に天界から追放された。[[インドラ]]を不憫に思った神々の母[[アディティ]]は[[ヴィシュヌ]]に祈りを捧げ、それを聞き届けた[[ヴィシュヌ]]は女神[[アディティ]]の胎内に入り、彼女の夫[[カシュヤパ]]との間の息子として転生した。それが[[ヴィシュヌ]]の第5の[[アヴァターラ]]、矮人の'''ヴァーマナ''' ('''Vāmana''') であった<ref name="インド神話伝説辞典p64">『[[#インド神話伝説辞典|インド神話伝説辞典]]』, p.64.(ヴァーマナ)</ref>
 
ある時[[ヴァーマナ]]は、[[バラモン]]の乞食の少年の姿になり、マハーバリを讃える祭へ出かけた。そこでマハーバリは多くの人々に施しを与えており、自分の前に進んできた[[ヴァーマナ]]にも望む物を尋ねた。[[ヴァーマナ]]の望みは、自分が歩いた3歩分の土地であったので、その程度ならとマハーバリは快く承諾した。彼の師である聖仙ウシャナー(アスラグル・[[シュクラ]]チャリヤ)は[[ヴァーマナ]][[ヴィシュヌ]]の化身である事を見抜き、施しを止めるよう警告したが、[[ダルマ]]を重んじるマハーバリは「例え敵であったとしても、一度交わした約束を反故にする事ほど罪深い事はない」と言って取り合わなかった<ref name="インド神話伝説辞典p64" />
 
そして[[ファイル:Vamana1.jpg|thumb|200px|right|ヴァーマナが巨大化し、マハーバリの頭に3歩目の足を下ろす場面]]
そしてヴァーマナが脚を踏み出すと同時にその身体は巨大化し、まず1歩目で地上の全てを、2歩目で空界と天界の全てを跨いだ。2歩にて全宇宙の全てを跨ぎ<ref name="インド神話伝説辞典p64" />、もはや3歩目を踏み降ろす場所を無くした[[ヴァーマナ]]の前に、マハーバリは「3歩目の領地」として最後に残された領地である自身の頭を差し出した。
 
マハーバリは現在もスタラの徳性て親族感服する同時現世安寧を祈ってい祖父で自分の孫でもあと言われプラフラーダにも免じいる、ヴァーマナは彼を許した<ref group="注釈">マハーバリとヴァーマナの神話は様々なパターンが存在し、マハーバリはヴァーマナから地下世界を守る為に3歩目の下に自分の頭を置いたとも言われ、あるいはこの時マハーバリは落命し、その体が純粋な帰依心によって聖別され、さまざまな宝石に化したとも言われている。また、ヴァーマナは偉大な皇帝マハーバリのただ一つの欠点であった「エゴ(国民を幸せにしたいというエゴ)」を取り除き、解脱させる為に現れたとも言われている。</ref><ref group="注釈">山際素男編訳「[[#空っぽの部屋のバリ|空っぽの部屋のバリ]]マハーバーラタ  第7巻』第51)51頁にて、バリは空っぽの部屋で驢馬の姿となり、インドラ(帝釈天)と対話し、己の権勢を自慢しバリの逆境を嘲笑するインドラ神を諌めている。また池田運訳「ナムチ魔神と天帝が、対話の中で語った死魔王の威力」マハバーラト  第3巻』第)<!--2014年11月9日 (日) 04:39 (UTC)-->868頁では、ある山の洞窟の中で瞑想するバリの前にインドラが現れ、権威を失ったバリを嘲笑し、それをバリが諫めている。いずれの訳書においてもバリは権威を誇ることの虚しさを説き、そのまま権威に囚われていればやがて失う時の悲しみに耐えられないだろうとインドラを諭している。(それぞれの訳書で細部が異なっているのは、マハーバーラタ自体に二つのパターンのバリとインドラの対話が収録されているためであり、それぞれの訳者がどちらか一方のみを訳した為である)</ref>。ヴァーマナは<!--次代のマヌヴァンタラ([[マヌ]]の時代)における天帝の地位をマハーバリに約束し、-->地底世界のスタラ([[パーターラ]]の3層目)を領地としてマハーバリに与えた<ref name="インド神話伝説辞典p262" /><ref>『[[#インド神話伝説辞典|インド神話伝説辞典]]』, p.255.(パーターラ)</ref>。
自身を差し出しても尚約束を守ろうとするマハーバリの徳性に[[ヴァーマナ]]は感服し、彼を許した。[[ヴァーマナ]]は次代のマヌヴァンタラ([[マヌ]]の時代)における天帝の地位をマハーバリに約束し、地底世界の一つスタラをそれまでの領地として与えた。
 
マハーバリは現在もスタラにて親族と共に現世の安寧を祈っていると言われている{{要出典|date=2016年10月2日 (日) 12:10 (UTC)}}。
マハーバリは現在もスタラにて親族と共に現世の安寧を祈っていると言われている<ref>マハーバリとヴァーマナの神話は様々なパターンが存在し、マハーバリはヴァーマナから地下世界を守る為に3歩目の下に自分の頭を置いたとも言われ、あるいはこの時マハーバリは落命し、その体が純粋な帰依心によって聖別され、さまざまな宝石に化したとも言われている。また、ヴァーマナは偉大な皇帝マハーバリのただ一つの欠点であった「エゴ(国民を幸せにしたいというエゴ)」を取り除き、解脱させる為に現れたとも言われている。</ref><ref>山際素男編訳「空っぽの部屋のバリ」『マハーバーラタ 第7巻』第51頁にて、バリは空っぽの部屋で驢馬の姿となり、インドラ(帝釈天)と対話し、己の権勢を自慢しバリの逆境を嘲笑するインドラ神を諌めている。また池田運訳「ナムチ魔神と天帝が、対話の中で語った死魔王の威力」『マハバーラト 第3巻』第868頁では、ある山の洞窟の中で瞑想するバリの前にインドラが現れ、権威を失ったバリを嘲笑し、それをバリが諫めている。いずれの訳書においてもバリは権威を誇ることの虚しさを説き、そのまま権威に囚われていればやがて失う時の悲しみに耐えられないだろうとインドラを諭している。(それぞれの訳書で細部が異なっているのは、マハーバーラタ自体に二つのパターンのバリとインドラの対話が収録されているためであり、それぞれの訳者がどちらか一方のみを訳した為である)</ref>。
 
== 現代におけるマハーバリ ==
またマハーバリは1年に1度、彼の国民の繁栄を保障すべく現世へ戻って来ると信仰されており、インドの南部[[ケーララ州]]では彼を讃える[[オナム]]というお祭りが毎年開かれている<ref>「[[#【インド通信】第7号 オーナム祭|【インド通信】第7号 オーナム祭]]」</ref>
 
インドの南部、[[タミル・ナードゥ州]][[カーンチプラム県]]にある町「[[マハーバリプラム]]」は、マハーバリの名前に由来する。
==宝石に関する説話==
[[Image:Gem.pebbles.800pix.labelled.jpg|right|thumb|300px|マハーバリの体から出た宝石群]]
ヴァーマナに倒されるとき、マハーバリの体から宝石群がさまざまな大地へと飛び出したと言われる。宝石はマハーバリはまことに真実の輝ける心の清い神であったことの証明であったとされる。以下紹介する。なお、「Mani」と付くのは「加護のある宝石」という意味である。
*ルビー:マハーバリの血
*パール:マハーバリの心
*サンゴ(コーラル):マハーバリの血が海水に落ちて形成されたもの
*イエローサファイア:マハーバリの肉
*ブルーサファイア:マハーバリの目
*ダイヤモンド:マハーバリの脳漿
*ヘッソナイト:マハーバリの脂肪
*キャッツアイ:マハーバリのヤジノパヴィタ(聖紐)
*トルコ石:マハーバリの神経
*ムーンストーン:マハーバリの瞳孔
*Ghrit Mani:マハーバリの腰の断片
*Tail Mani:マハーバリの皮膚
*Bheeshmak:マハーバリの頭
*Upalak Mani:マハーバリの痰
*ロッククリスタル:マハーバリの汗
*Parasmani:マハーバリの心臓
*Ulook Mani:マハーバリの舌
*ラピスラズリ:マハーバリの頭髪
*Masar Mani:マハーバリの糞便
*Ishiv Mani:マハーバリの精液
 
== 脚注 ==
==[[アスラ]]族の扱いについて==
{{Hinduism脚注ヘルプ}}
===注釈===
インドの南部、[[タミル・ナードゥ州]][[カーンチプラム県]]にある町「[[マハーバリプラム]]」は、マハーバリの名前に由来する。一方で岩彫芸術ではアスラ族の王となった[[マヒシャースラ]]が水牛の姿に化けたときに女神[[ドゥルガー]]が退治するという有名な場面も彫られていることでも有名な場所である。すべてのアスラ族が愛されているわけではないことにも留意なされたい。なお、オーナムの逆バージョンとして[[ナヴラトリ]]祭がある。これはアスラ族の王[[マヒシャースラ]]を討ち取ったことと、マヒシャースラを討ち取った女神[[ドゥルガー]]を祝う祭りである。
<div style="font-size: 95%"><references group="注釈" /></div>
 
===脚注===
<div style="font-size: 95%">{{Reflist}}</div>
<references/>
 
== 参考文献 ==
{{Notice|style=question|text=池田訳『マハバーラト』に基づいて加筆した際、注釈では3巻を参照し、この節には1巻を掲載していますが、実際に参照したのは1巻と3巻のどちらですか?|date=2016年10月2日 (日) 12:10 (UTC)}}
*美莉亜 訳『全訳 バーガヴァタ・プラーナ (中)』株式会社ブイツーソリューション 2007年
* {{Cite book |和書 |others=池田運訳 |title=マハバーラト |volume=1 |publisher=[[講談社]]出版サービスセンター |date=2006-06 |isbn=978-4-87601-739-3 |ref= }}<!--2014年11月9日 (日) 04:39 (UTC)-->
*山際素男編訳「空っぽの部屋のバリ」『マハーバーラタ 第7巻』三一書房 東京 1996年
* {{Cite book |和書 |others=池田運訳 |title=マハバーラト |volume=3 |publisher=[[講談社]]出版サービスセンター |date=2008-05 |isbn=978-4-87601-809-3 |ref= }}
*『マハバーラト』 全4巻 [[池田運]]訳、講談社出版、1巻目.ISBN 4876017395、2006-09年、自費出版 
* {{Cite book |和書 |others=美莉亜訳 |title=バーガヴァタ・プラーナ 全訳 |volume=中 |publisher=星雲社・ブイツーソリューション |date=2007-12 |isbn=978-4-434-11197-6 |ref= }}<!--2014年11月9日 (日) 04:39 (UTC)-->
*[http://www.onamfestival.org/king-mahabali-onam.html SFCI Onam] {{En icon}}
* {{Cite book |和書 |others=[[山際素男]]編訳 |chapter=空っぽの部屋のバリ |title=マハーバーラタ 第7巻 寂静の巻 後 |publisher=[[三一書房]] |date=1996-12 |isbn=978-4-380-96522-7 |ref=空っぽの部屋のバリ }}<!--2013年3月12日 (火) 02:18 (UTC)-->
*[http://web.archive.org/web/20141111155657/http://www.hfweb-blog.jp/yoga/archives/2009/11/post_441.html 『ヴァーマナの物語』 (yoga車団地)]
* {{Cite web |author=佐藤友美 |url=http://eurasianclub.org/wp-content/uploads/52c0e1ae8b9f0ad77e0cd8b050cd7d59.pdf |title=【インド通信】第7号 オーナム祭 |work=ニュースレター第154号 ユーラシアンホットライン |publisher=特定非営利活動法人ユーラシアンクラブ |page=2 |format=PDF |date=2012-11-01 |accessdate=2016-10-02 |ref=【インド通信】第7号 オーナム祭 }}
*[http://www.ne.jp/asahi/lapis/fluorite/gallery10/713rubyindia.html ルビー Ruby 鉱物たちの庭 - Ne]
*[http://blog.sitarama.jp/2015/08/25/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A0%E7%A5%AD-4/ SitaRamaブログ | オーナム祭]
 
{{参照方法|date=2016年10月2日 (日) 12:10 (UTC)}}
==関連項目==
* {{Cite web |url=http://www.onamfestival.org/king-mahabali-onam.html |title=SFCI Onam |publisher=Society for the Confluence of Festivals in India |language=英語 |accessdate=2015-06-03 |ref= }}
*[ {{Cite web |url=http://blog.sitarama.jp/2015/08/25/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%A0%E7%A5%AD-4/ SitaRamaブログ | title=オーナム祭] |publisher=SitaRama |date=2015-08-25 |accessdate=2015-10-12 }}
<!--個人ブログ * [http://web.archive.org/web/20141111155657/http://www.hfweb-blog.jp/yoga/archives/2009/11/post_441.html 『ヴァーマナの物語』 (yoga車団地)]-->
 
== 関連項目 ==
{{commons category|Mahabali}}
* [[ヴァーマナ]]
* [[ヴィシュヌ]]
* [[コータヴィー]] -
* [[バーナースラ]] -
* [[ヴィローチャナ]] -
* [[ヴァイローチャナ]]<!--この記事には不要では? [[ヴァイローチャナ]]は[[サンスクリット]]で「太陽の子」「[[ヴィローチャナ]]の子」の意-->
* [[ウッチャイヒシュラヴァス]] - マハーバリの馬であるが、太陽を引く馬とも同一視される
* [[オナム]] - マハーバリを称えるケーララ州の祭
* [[シュクラ]] - アスラ神族の教導者
* [[毘盧遮那仏]]
* [[大日如来]]
* [[パーターラ]] - マハーバリ王に与えられたスタラは、地下世界パーターラの第3層である
 
{{Hinduism2}}
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:まはあはり}}
[[Category:アスラ]]