「準用・類推適用」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Poohpooh817 (会話 | 投稿記録)
編集の要約なし
Poohpooh817 (会話 | 投稿記録)
記述を整理
1行目:
'''準用'''(じゅんよう)とは、立法技術の1つであり、ある事柄について、別の類似した事柄に関する一定の規定に論理的に必要な修正を行った(羅:mutatis mutandis)内容の効力を及ぼすことをいう。似たような条文を重ねて記述することを避け、条文数を削減することができるというメリットがあるが、特に読替えが多い場合などは読みづらくなるというデメリットもある。
 
類似する立法技術として、'''みなし適用'''と「'''例による'''」旨の定めがある。
7行目:
これらに対して、「例による」は、別の事柄に関する特定の規定の効果を及ぼすのではなく、当該別の事柄に関する一定の法規範(例えば委任先の下位法令を含む。)に準じた効力を及ぼすものであるが、対象となる規定が必ずしも明確に特定されず、読替えも行われないため、内容が不鮮明になりがちである。準用の場合と同じく、「例による」規定そのものが法的な効果の根拠となる。
 
'''類推適用'''(るいすいてきよう)とは、[[法解釈]]技術の1つであり、ある事柄に関する規定の背後にある趣旨を別の事柄についても及ばせて新たな(明文のない)規範を発見ないし創造しそれを適用するものである。そのような趣旨のことを「類推の基礎」という。そして、そのための[[解釈]]技術を'''類推解釈'''(るいすいかいしゃく)とよぶ。明文の根拠のない規範を解釈により導くものであることから、[[罪刑法定主義]]または[[租税法律主義]]の下では、少なくとも被告人または納税者に不利益な形での類推適用は禁止されるものと考えられている
 
類推適用の具体例として、[[権利外観法理]]に基づく民法94条2項の類推適用が挙げられる。このような解釈技術により、明文のある規定のみを適用した場合に比べて整合性のとれた法規範により、安易な一般条項の適用を回避しつつ、妥当な結論を導くことができることとなる。
両者は異なる性質のものであるが、もたらす効果が類似することもあり、[[法学]]上まとめて解説されることが多く、本稿もそれに倣う。
 
両者準用と類推適用は異なる性質のものであるが、もたらす効果が類似することもあり、[[法学]]上まとめて解説されることが多く、本稿もそれに倣った
== 共通点 ==
ある事柄についてのルールを別の類似した事柄についても及ぼすことで、ルールの整合性をとることが可能である。
 
== 相違点 ==
[[刑事法]]においては、[[罪刑法定主義]]つまり罪刑は法で定められてはじめて構成される。準用は立法技術であるためその適用が予め明示されているため罪刑が法で定められていることになり罪刑法定主義に抵触しないが、類推適用は解釈技術にすぎず罪刑が法で定められているわけではなく事前の明示を欠くため罪刑法定主義に抵触し許されないとされている(類推適用の禁止)。
 
== 準用の具体的な効果 ==
準用には、法典の条文を節約できる効果があり、[[手形法]]の[[約束手形]]に関する規定や、[[刑事訴訟法]]の[[捜査]]に関する規定などは多くは準用によって規定が代用されている。ただし、準用の仕方によっては適用関係が分かりづらくなりがちで、実際にかつての[[商法]]は条文の準用が多く、読みづらいと会社実務で不評であったため、[[2005年]]制定の[[会社法]]においては条文の準用は控えめにされたが、その結果条文は膨大な量になった。
 
== 具体例 ==
例として、法廷において、当該訴訟が、第三者がからむものや[[代理]]などで法律関係が複雑になっている場合、保護すべき者(本人、相手方、又は第三者など)をいかなる法律を以って保護すべきか考えられる場合に、[[b:民法第93条|民法第93条]]([[心裡留保]])などを類推適用して解すべき判断がなされている。これは、法の[[欠缺]]を補うとともに、[[ご都合主義]]に陥らないよう、なるべく[[信義則]]をもって判断することを避けるためである。
 
{{law-stub}}