「深海魚」の版間の差分

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[[性転換]]をする魚類は浅海魚からも知られているが、深海魚にも同様の繁殖様式が見られる。浅海魚では雌から雄に性転換する[[雌性先熟]]が多いのに対し、深海魚ではオニハダカ属やヨコエソ属など、雄から雌に性転換をする[[雄性先熟]]がしばしば見られる。主に中深層に生息するヨコエソ属の魚類は生後1年目まではすべて雄だが、概ね2年目までには雌に性転換をする。
 
このような雄性先熟は、浅海魚では[[クマノミ]]などに見られる。雄が[[縄張り]]や[[ハーレム]]を形成する魚種では、雄が大型化する雌性先熟が有利であるが、個体群密度が非常に小さい深海においてはこのような行動様式を取ることは難しい<ref>{{cite book|author = Ghiselin MT|title = The economy of nature and the evolution of sex|publisher = University of California Press|location = Berkeley|year = 1974}}</ref>。一般に[[精子]]よりも[[卵]]を作る方が多くの栄養分エネルギーを必要とする(雌の方が[[性成熟]]が遅い)ことから、深海魚にとっては雄性先熟による繁殖が有利になると考えられている。
 
==== 矮雄 ====
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矮雄を持つ他の深海魚としては、ミツマタヤリウオ属とオニハダカ属の一部(ワニトカゲギス目)、および[[クジラウオ科]]の仲間が知られ、いずれも雌への寄生はしない。[[ミツマタヤリウオ]] (''Idiacanthus antrostomus'') は50cmほどに成長する雌に対して雄は5cm程度にしかならず<ref>『日本の海水魚』 p.109</ref>、歯と消化器官は貧弱で自力で餌をとることはほとんどできない。眼下発光器と精巣は発達していることから、普段はエネルギー消費を抑えて浮遊しており、発光で雌を呼び寄せるものと考えられる。
 
このように雌ではなく雄が小型化するのは、上述の性転換の場合と同様で、繁殖には雌の方が(体をきくして)多くの栄養分なエネルギー体内に蓄積る必要があることが理由考えられなっいるいる。矮雄は雌を求めて比較的長い距離を遊泳する必要があるため、持久力の高いいわゆる赤身の[[筋繊維]]が発達している<ref name=Helfman396-397>『The Diversity of Fishes Second Edition』 pp.396-397</ref>。また、ほとんどの矮雄は雌よりも発達した高精度の[[嗅覚]]と、わずかな光を鋭敏に捉える[[視覚]]を持ち、雌の位置を特定するために役立てている<ref>{{cite journal|author = Marshall NB|title = The olfactory organs of bathypelagic fishes|journal = Symposia Zoo Soc L|year = 1967|volume = 19|issue =|pages = 57-70}}</ref><ref name=Helfman396-397/>。
 
=== 成長 ===